宣伝失礼しました。本編に移ります。
LINEは、今や日本のコミュニケーションインフラとして、私たちの生活に深く根付いています。月間アクティブユーザー数は9,600万人(2023年9月末時点)を超え、その圧倒的な利用者数は、広告媒体として計り知れないポテンシャルを秘めています。特に、ユーザーの獲得を至上命題とするダイレクトレスポンス広告において、LINE広告は他の追随を許さない強力な選択肢となり得ます。しかし、「Google広告やMeta広告と具体的に何が違うのか?」「成果に直結する費用対効果の高い運用は可能なのか?」といった実践的な疑問をお持ちのマーケティング担当者様も少なくないでしょう。本記事は、そうした疑問に終止符を打つべく、LINE広告の運用スペシャリストが、コンバージョン獲得に特化した観点から、その本質、具体的な運用手法、そして成功への最短ルートを、余すところなく解説するものです。単なる機能紹介に留まらず、明日からのアクションに繋がる「勝つための戦略」を、ここに提示いたします。
LINE広告とは?その本質と獲得媒体としての価値
LINE広告とは、言うまでもなく、コミュニケーションアプリ「LINE」および、その広大なファミリーサービスから成る「LINE広告ネットワーク」に広告を配信できる運用型広告プラットフォームです。最低出稿金額の縛りはなく、1円単位での少額出稿から、大規模な予算を投下したキャンペーンまで、事業規模を問わず柔軟な広告展開が可能です。しかし、我々獲得を追求するマーケターが注目すべき本質は、単なるユーザー数の多さではありません。その真価は、「他のプラットフォームではリーチできない、独自のユーザー層に、高精度なターゲティングで直接アプローチできる」点に集約されます。LINEヤフー社の公式データによれば、LINEユーザーのうち実に41.2%は、他の主要SNS(Facebook, X, Instagram, TikTok)を利用しておらず、LINE広告でしか接触できない独自のユーザー層であることが示されています。これは、競合がひしめく他の媒体でCPA(顧客獲得単価)が高騰している状況において、競争の少ないブルーオーシャンで新たな見込み顧客を発見できる可能性を意味します。さらに、ユーザー属性は若年層からシニア層、会社員から主婦、学生に至るまで、日本の人口構成比に限りなく近い形で分布しています。この多様性は、ニッチな商材からマス向けのサービスまで、あらゆるビジネスにおいて最適なターゲット層を見つけ出し、コンバージョンを獲得できる土壌があることを証明しているのです。詳細なターゲティング精度と、独自のリーチ力を武器に、他の広告媒体とは一線を画した獲得戦略を展開できる。これこそが、我々がLINE広告に取り組むべき最大の理由です。
LINE広告って効果あるの?運用するメリットとデメリット
LINE広告という戦場に足を踏み入れる前に、その武器の特性、すなわちメリットとデメリットを精密に把握しておくことは、勝利のための絶対条件です。ここでは、コンバージョン獲得という観点から、LINE広告が持つ強みと、乗り越えるべき課題を専門家の視点で徹底的に解剖します。
LINE広告を運用する5つのメリット【獲得最大化の武器】
LINE広告が獲得目的のマーケティングにおいて、なぜこれほどまでに強力な武器となるのか。その根幹をなす5つのメリットを、具体的な戦略と絡めながら解説します。
- 日本ではLINEを利用しているユーザーが圧倒的に多い
- 獲得に直結するターゲティングの種類が豊富
- コンバージョン地点に近い多様な配信面
- 他の広告媒体ではリーチ不能な独自のユーザー層
- 競合が比較的少なく、CPAを抑制しやすい(ブルーオーシャン)
これら一つひとつのメリットが、いかにして我々のコンバージョン数とCPAに貢献するのか、そのメカニズムを深く掘り下げていきましょう。
①日本ではLINEを利用しているユーザーが圧倒的に多い
月間9,600万人というユーザー数は、もはや説明不要の圧倒的なリーチ力を示しています。しかし、獲得のプロとして我々が注目すべきは、単なる数字の大きさではなく、その「アクティブ率の高さ」です。LINEは単なる情報収集ツールではなく、家族や友人とのコミュニケーションを担う「生活インフラ」です。そのため、ユーザーは1日に何度もアプリを起動し、能動的に情報をやり取りします。この高いエンゲージメント環境は、広告にとって非常に有利に働きます。広告が単に表示されるだけでなく、「見られ、読まれ、クリックされる」確率が本質的に高いのです。例えば、他のSNSのように流し読みされるタイムライン上での広告とは異なり、トークリスト上部に表示される「Smart Channel」などは、ユーザーがトークを確認するたびに視界に入り、高い視認性を確保できます。この「日常への溶け込み」こそが、広告への心理的ハードルを下げ、自然な形でクリックを促し、最終的なコンバージョンへと繋がる第一歩となるのです。アクティブユーザーが多いということは、それだけ多くのテスト機会を確保できるという利点もあります。短期間で十分なデータを蓄積し、クリエイティブやターゲティングのABテストを高速で回せるため、勝ちパターンの発見と最適化のサイクルを加速させることが可能です。
②ターゲティングの種類が豊富
LINE広告の真骨頂は、その高精度かつ多様なターゲティング機能にあります。これにより、コンバージョンに至る可能性が極めて高い「今すぐ客」に狙いを定めて広告費を投下することが可能になります。主要なセグメントを具体的に見ていきましょう。
- 属性セグメント:年齢(5歳刻み)、性別、地域(市区町村単位まで指定可能)といった基本的なデモグラフィック情報はもちろんのこと、配偶者の有無、子供の有無、推定年収、職業といった詳細なライフステージや経済状況に基づいたターゲティングが可能です。例えば、高価格帯の不動産や金融商品であれば、「東京都港区在住、40-49歳、男性、推定年収1,000万円以上」といった極めて具体的なペルソナに直接アプローチできます。
- 行動セグメント:ユーザーのアプリ内での行動履歴(※トーク内容などのプライベートな情報を除く)に基づいたターゲティングです。「ゲームアプリを頻繁に利用する」「テレビの視聴頻度が高い」「特定のカテゴリのECサイトで購買意欲が高い」など、18種類以上のカテゴリから選択できます。これにより、ユーザーの興味関心だけでなく、その熱量や消費行動の癖までを捉えた広告配信が実現します。
- 興味関心セグメント:ユーザーが閲覧した記事や利用したサービスから推測される興味関心を18のカテゴリ、さらにその下のサブカテゴリで指定できます。「美容・コスメ」「ファッション」「旅行」といった広範なカテゴリから、「オーガニックコスメ」「メンズファッション」「国内温泉旅行」といった、よりニッチな興味を持つ層まで絞り込むことが可能です。例えば、オーガニックコスメの新商品を訴求する場合、「美容・コスメに興味があり、かつ購買意欲が高い」という行動セグメントと掛け合わせることで、CPAを劇的に改善できる可能性があります。
これらのセグメントを複数掛け合わせることで、「自社の優良顧客と酷似した、まだ見ぬ見込み顧客」の輪郭を鮮明に描き出し、そこにピンポイントで広告を届けることができるのです。これは、無駄な広告費を徹底的に排除し、ROI(投資対効果)を最大化するための最も重要な機能と言えるでしょう。
③配信面が多い
LINE広告は、LINEアプリ内の中核機能から、多種多様なファミリーサービスに至るまで、10以上の配信面に広告を掲載できます。この配信面の多様性は、コンバージョン獲得において二つの大きな意味を持ちます。
一つは、「ユーザーの文脈に合わせた最適なアプローチが可能になる」ことです。例えば、最新ニュースに敏感なユーザーが集まる「LINE NEWS」では情報感度の高い層に、お得な情報に目がないユーザーが集まる「LINEポイントクラブ」では価格訴求が響きやすい層に、といったように、各配信面の特性とユーザーの心理状態を理解し、それに最適化されたクリエイティブとメッセージを届けることで、クリック率(CTR)とコンバージョン率(CVR)を向上させることができます。
もう一つは、「配信面を広げることでリーチを最大化し、機会損失を防ぐ」ことです。特定の配信面だけに固執すると、リーチできるユーザーが限定され、獲得数の頭打ちに繋がります。LINE広告ネットワークを含め、複数の配信面をテストし、自社の商材と相性が良く、CPAが安定する「勝ち配信面」を見つけ出すことが、持続的な成果拡大の鍵となります。特に「LINE広告ネットワーク」は、LINEが提携する1万以上の外部アプリメディアに広告を配信できるため、LINEアプリ本体ではリーチできない層へのアプローチを可能にし、獲得の裾野を大きく広げるポテンシャルを秘めています。
④LINE独自のユーザー層をターゲットに広告を配信できる
前述の通り、LINEユーザーの約4割は他の主要SNSを利用していません。これは、獲得競争が激化するFacebook広告やGoogle広告では、もはや獲得効率が悪化している多くの広告主にとって、極めて重要な意味を持ちます。これらのユーザーは、他の広告プラットフォームのターゲティングから「こぼれ落ちている」存在であり、競合他社の広告に接触する機会が少ない、いわば「新鮮な」見込み顧客です。彼らにとって、あなたの広告は目新しい情報として受け取られる可能性が高く、結果として高いCTRやCVRが期待できます。他の媒体で獲得できるユーザーリストを除外設定(後述のオーディエンス配信で可能)して配信することで、LINE広告でしか獲得できない純新規ユーザーにのみ広告費を集中させるといった、高度な戦略も可能です。この「オンリーリーチ」は、事業全体の新規顧客獲得数を純増させる上で、他に代えがたい強力なメリットです。
⑤LINE広告を掲載している企業がまだ少ない
「LINE広告は審査が厳しい」「運用が難しそう」といったイメージから、Google広告やMeta広告と比較すると、まだ本格的に参入している企業が少ないのが現状です。これは、後発組である我々にとって大きなチャンスを意味します。広告オークションにおける競合が少なければ、それだけ入札価格(CPCやCPM)は低く抑えられます。つまり、同じ予算でもより多くのクリックやインプレッションを獲得でき、結果としてCPAを低く維持しやすいのです。特に、ニッチな業界や特定のターゲット層を狙う場合、競合が皆無という状況も珍しくありません。このような「ブルーオーシャン」市場では、独占的に見込み顧客にアプローチし、先行者利益を享受することが可能です。しかし、この状況は永遠には続きません。LINE広告の効果が広く認知されるにつれ、参入企業は確実に増加します。競合が少ない「今」こそ、迅速に参入し、運用ノウハウを蓄積し、市場での優位性を確立する絶好の機会なのです。
LINE広告で起こり得る5つのデメリット【克服すべき課題】
光があれば影があるように、LINE広告にも乗り越えるべき課題、すなわちデメリットが存在します。しかし、これらのデメリットは、その特性を正しく理解し、適切な戦略をもって対処すれば、決して致命的な弱点にはなりません。むしろ、他社が躊躇する要因を克服することこそが、競争優位性を築く源泉となります。
- BtoB商材における直接的な獲得の難易度
- 掲載不可の商材や業種が多く、表現の制約も厳しい
- 厳格な審査プロセスとそれに伴うリードタイム
- 他の媒体と比較して煩雑な出稿・設定工数
- ユーザーによる「非表示」機能の存在
これらの課題一つひとつに対する具体的な対処法と、プロの視点からの思考法を解説します。
①拡散力が小さい
X(旧Twitter)のリポストやInstagramのシェア機能のように、ユーザーの手によって爆発的に情報が拡散される「バイラル性」は、LINE広告には期待できません。広告は、あくまでターゲティングしたユーザーに届けるものであり、そこからの二次、三次の自然拡散は起こりにくい構造になっています。これは、低コストで認知を広げたいという目的には不向きですが、我々のように「コンバージョン獲得」を至上命題とするマーケターにとっては、実は大きな問題ではありません。なぜなら、我々の目的は不特定多数に広く浅くリーチすることではなく、「購入する可能性の高い、特定の見込み顧客」に深く確実にリーチすることだからです。拡散性に頼った運用は、成果の予測が難しく、再現性も低い博打のようなものです。対してLINE広告は、ターゲティングした範囲内で、投下した予算に応じて予測可能な成果を積み上げていく、堅実な獲得手法です。拡散力がないことは、むしろ「広告費の使い道がコントロールしやすい」「意図しないユーザー層に情報が届き、ブランドイメージを損なうリスクが低い」というメリットとして捉えることすら可能です。我々は、コントロール不能な拡散力に期待するのではなく、コントロール可能なターゲティング精度を極めることに全力を注ぐべきです。
②掲載不可の商材や業種が多い
LINEは、その公共性の高さから、プラットフォームの健全性を極めて重視しており、広告掲載に関するガイドラインは他の媒体と比較して厳格です。具体的には、以下の業種・商材は原則として掲載が認められていません。
- 特定の宗教、および宗教団体
- ギャンブル関連、パチンコ等(公営競技・宝くじは除く)
- アダルト関連
- 出会い系、マッチングサイト等(一部当社が認めた場合を除く)
- 連鎖販売取引(MLM)
- たばこ、電子タバコ
- 武器全般、毒物・劇物
- 未承認の医薬品・医療機器等
- 情報商材
- チケット不正転売
- その他、LINE社が不適合と判断した業種・サービス
引用元:LINE広告審査ガイドライン
これらに該当する場合、LINE広告での出稿は極めて困難です。しかし、このデメリットの裏側には、「悪質な広告が少なく、プラットフォーム全体の信頼性が高い」というメリットが存在します。ユーザーは安心して広告に接触できるため、健全な商材を扱う広告主にとっては、むしろ追い風となります。また、問題となるのは業種だけでなく、「表現」に関する制約も厳しい点です。例えば、化粧品や健康食品の広告におけるビフォーアフター表現、効果効能を断定する表現、「世界一」「No.1」といった最上級表現の使用には、客観的な根拠データの提示が求められるなど、薬機法や景品表示法に準拠した、極めて厳格なチェックが行われます。この課題を克服するためには、広告出稿を計画する初期段階で「LINE広告審査ガイドライン」を熟読し、抵触する可能性のある表現を事前に洗い出すことが不可欠です。不安な場合は、広告代理店に相談するか、表現をマイルドなものに差し替えるといった対応が求められます。一見すると窮屈に感じられますが、これはユーザーに誠実な姿勢を示すことと同義であり、長期的な信頼関係の構築に繋がるのです。
③審査が厳しい
掲載可否の基準が厳しいだけでなく、審査のプロセス自体も時間がかかります。他の広告媒体では数時間~1営業日で完了することが多い中、LINE広告では広告アカウントの開設審査、およびクリエイティブ審査にそれぞれ数営業日、場合によっては10営業日前後を要することがあります。これは、機械的な審査だけでなく、人間の目による丁寧なチェックが行われているためです。このリードタイムは、迅速な広告展開を計画している場合に大きな障壁となり得ます。「明日からキャンペーンを開始したい」といった急な要望には応えられないのです。このデメリットを克服するための鉄則は、ただ一つ。「徹底的な事前準備と、余裕を持ったスケジュール管理」です。広告配信を開始したい日から逆算して、最低でも2週間、理想を言えば3~4週間前からアカウント開設やクリエイティブの準備に着手すべきです。特に、キャンペーンの開始日が厳格に決まっているセールやイベント告知の場合は、このスケジュール管理が成否を分けると言っても過言ではありません。審査落ちによる手戻りも考慮し、複数のクリエイティブパターンを準備しておくなど、リスクヘッジの視点も重要になります。
④出稿の工数が大きい
LINE広告の管理画面は、Google広告やMeta広告と比較すると、やや独特の構造をしており、特に初心者にとっては設定項目が多く、直感的に操作しにくいと感じるかもしれません。キャンペーン、広告グループ、広告という階層構造自体は他媒体と共通ですが、ターゲティング設定やクリエイティブの入稿規定(フォーマットごとの詳細なサイズ指定など)が細かく、慣れるまでは一つひとつの設定に時間がかかります。このデメリットは、運用担当者の学習コストや人件費に直結します。対処法としては、まず公式が提供しているマニュアルや学習コンテンツを徹底的に読み込むことが基本です。その上で、社内のリソースが不足している、あるいはより高度な運用を目指したい場合は、専門の広告代理店に運用を委託する(アウトソーシング)のが最も現実的かつ効果的な解決策です。ただし、代理店に丸投げするだけでは成果は最大化しません。自社でもLINE広告の基本構造と主要な指標を理解し、代理店と対等に議論し、戦略の舵取りを行える体制を築くことが重要です。代理店はあくまで「運用の実行部隊」であり、事業の成功に責任を持つのは広告主自身であるという認識を忘れてはなりません。
⑤「非表示」機能がある
ユーザーは、表示された広告に対して、数タップで簡単に「この広告を非表示」にすることができます。これは、ユーザー体験を保護するための重要な機能ですが、広告主にとっては脅威となり得ます。広告が非表示にされるということは、そのユーザーに対して二度と広告を届けられなくなることを意味し、リーチできる母数が減少していきます。非表示にされる主な理由は、「広告がしつこい(フリークエンシー過多)」「自分に興味のない内容である(ターゲティングのミスマッチ)」「クリエイティブが不快である」の3つです。この問題を回避するためには、第一にフリークエンシーキャップを設定し、同一ユーザーへの過度な表示を抑制すること。第二に、ターゲティング精度を常に磨き、無関係なユーザーへの誤爆を減らすこと。そして最も重要なのが、ユーザーにとって有益で、不快感を与えない「質の高いクリエイティブ」を追求し続けることです。広告を単なる売り込みではなく、ユーザーへの有益な「情報提供」として捉え、クリエイティブを制作する視点が求められます。非表示率は管理画面で確認できる重要な指標です。この数値が上昇傾向にある場合は、広告配信戦略に何らかの問題があると判断し、速やかに原因を特定し、改善策を講じる必要があります。
LINE広告から得られる効果
費用と工数を投じてLINE広告を運用する以上、我々が求めるのは明確な「成果」、すなわちコンバージョンです。ここでは、LINE広告が特にどのような領域で、いかにしてコンバージョンという結果をもたらすのかを具体的に解説します。
BtoCに効果的
LINE広告は、そのユーザー層の広さと生活への密着度から、BtoC(Business to Consumer)ビジネス、特にECサイトや実店舗への集客において絶大な効果を発揮します。考えてみてください。友人とランチの約束をしている最中に、トークリストの上にお洒落なカフェの広告が表示されたら?夜、くつろぎながらマンガを読んでいる時に、気になっていたコスメの新商品が紹介されたら?ユーザーの日常の文脈に溶け込む形で広告を配信できるため、他の広告媒体よりも自然な形で興味を引き、そのまま商品ページへの遷移や来店予約といったアクションを促すことができるのです。特に、衝動買いを誘発しやすいアパレル、コスメ、食品、アプリなどの低~中価格帯の商材との相性は抜群です。さらに、詳細な地域ターゲティング(市区町村単位)が可能なため、美容室、飲食店、学習塾といった地域密着型の店舗ビジネスが、商圏内の見込み顧客にピンポイントでチラシを配るような感覚でアプローチすることも可能です。BtoB領域においては、まだ活用事例は少ないですが、例えば「経営者」や「特定の職種」といった属性ターゲティングを活用し、ビジネス向けSaaSの資料請求を獲得するといった動きも出てきており、今後の活用に大きな期待が寄せられています。
新規ユーザーが獲得できる
LINE広告の最大の価値の一つが、前述した「LINE広告でしかリーチできないユーザー層」の存在です。これは、事業の持続的成長に不可欠な「新規顧客の獲得」において、極めて強力な武器となります。多くの企業がGoogle広告やMeta広告で激しい顧客獲得競争を繰り広げ、CPAが高騰し、獲得効率が頭打ちになるという壁に直面します。この壁を突破するためには、新しい狩場を見つけるしかありません。LINE広告は、まさにその最も有望な狩場なのです。他の広告媒体で獲得した顧客リストを「除外オーディエンス」として設定し、LINE広告では純粋な新規ユーザーにのみ広告を配信する。この戦略を実行することで、広告費を無駄なく新規顧客の開拓に投下し、事業全体の顧客基盤を着実に拡大していくことが可能です。既存顧客へのアプローチはCRMツールに任せ、広告は新規獲得に特化させるという役割分担を明確にすることで、マーケティング全体のROIを最適化できます。
コンバージョン率向上
LINE広告は、コンバージョン率(CVR)の向上に寄与する二つの強力なエンジンを搭載しています。一つは、これまで繰り返し述べてきた「高精度なターゲティング」です。年齢、性別、地域、興味関心、行動履歴などを詳細に設定し、自社の商品やサービスを「今、まさに必要としている」可能性が極めて高いユーザーに広告を届けることで、CVRが向上するのは必然です。もう一つは、より強力な「オーディエンス配信」機能です。これは、自社のウェブサイトを訪れたユーザー(サイトリターゲティング)や、顧客リスト(メールアドレスや電話番号)に合致するLINEユーザーに再度広告を配信する機能です。例えば、「商品をカートに入れたが購入しなかったユーザー」に対して、「今なら10%OFFクーポンプレゼント!」といった広告を配信することで、購入の後押しをすることができます。また、一度商品を購入したユーザーのリストを活用し、そのユーザーと行動が類似した他のLINEユーザーに広告を配信する「類似配信」機能も、高いCVRを期待できる極めて有効な手法です。これらの機能を駆使することで、単なる新規リーチに留まらず、見込み顧客の育成から刈り取りまでを一気通貫で行い、キャンペーン全体のコンバージョン率を劇的に引き上げることが可能なのです。
LINE広告にかかる費用
LINE広告は、いわゆる運用型広告であり、定められた掲載料金は存在しません。広告主が設定した予算と入札価格に基づき、オークション形式で広告の表示が決定されます。極端な話、1日の予算を100円に設定して出稿することも理論上は可能です。しかし、成果を出すためには、その費用構造を正しく理解し、戦略的な予算配分を行う必要があります。ここでは、LINE広告の費用を構成する「課金方式」「入札方法」「予算設定」の3つの要素を詳細に解説します。
課金方式は主に4つ
LINE広告では、キャンペーンの目的に応じて最適な課金方式を選択します。それぞれの特徴を理解し、自社のKPIに合った方式を選ぶことが、費用対効果を高める第一歩です。
- クリック課金(CPC)
- インプレッション課金(CPM)
- 友だち追加課金(CPF)
- 動画視聴課金(CPV)
クリック課金(CPC:Cost Per Click)
CPCは、ユーザーが広告をクリック(またはタップ)した時に初めて費用が発生する課金方式です。広告が何千回表示されようとも、クリックされなければ費用は一切かかりません。このため、「広告費の無駄を最小限に抑えたい」「ウェブサイトへのアクセスを増やし、そこでのコンバージョンを計測したい」場合に最も適した方式と言えます。表示されるだけでは費用が発生しないため、高いCTR(クリック率)を実現できる魅力的なクリエイティブを作成できれば、非常に効率的な運用が可能です。ただし、CPCの単価はオークションによって常に変動します。競合が多いキーワードやターゲット層ではクリック単価が高騰し、1クリック数百円に達することも珍しくありません。そのため、クリック後のランディングページ(LP)でのCVR(コンバージョン率)を常に意識し、「CPA = CPC ÷ CVR」の公式から逆算して、許容できるCPCの上限を把握しておくことが重要です。CPCだけに目を奪われるのではなく、最終的なCPAで費用対効果を判断する視点が求められます。
インプレッション課金(CPM:Cost Per Mille)
CPMは、広告が1,000回表示されるごとに費用が発生する課金方式です。クリックの有無にかかわらず、表示回数に応じて費用が決まります。この方式の最大の特徴は、インプレッション数が最大化されるように広告配信が最適化される点です。つまり、とにかく多くのユーザーに広告を見せたい場合に有効です。しかし、我々獲得目的のマーケターにとっては、通常、優先順位は低くなります。なぜなら、表示されただけでコンバージョンには繋がらず、費用対効果の計測が難しいからです。クリック率が低い広告をCPMで配信し続けると、無駄な広告費を垂れ流すことになりかねません。ただし、例外もあります。例えば、非常に狭いターゲット層(サイト訪問者リストなど)に対して、確実に広告を届けたい場合や、クリック単価が極めて高騰している市場で、相対的にCPMの方がCPAを低く抑えられると判断した場合など、限定的な状況で戦略的に活用するケースは存在します。
友だち追加で課金(CPF:Cost Per Friend)
CPFは、LINE広告の中でも特にユニークで強力な課金方式です。これは、ユーザーが広告をクリックし、LINE公式アカウントを「友だち追加」した時点で初めて費用が発生する、成果報酬型の一種です。友だちを追加してもらうことに、どのような獲得上のメリットがあるのでしょうか。それは、「一度接点を持った見込み顧客を、自社の資産としてリスト化できる」点にあります。友だちになったユーザーには、その後、追加費用なしでメッセージを一斉配信したり、ステップ配信で段階的に情報を届けたりすることが可能です。メルマガと比較して開封率が圧倒的に高いLINEメッセージを通じて、セール情報や新商品の案内を送ることで、ウェブサイトへの再訪問を促し、コンバージョンに繋げることができます。つまり、CPFは一度の広告費で、将来にわたって何度もアプローチできる潜在顧客リストを獲得する行為なのです。CPAの観点から見ても、一度友だちになってもらえれば、その後のコミュニケーションコストはゼロに近いため、LTV(顧客生涯価値)の高いビジネスモデルと非常に相性が良いと言えます。
動画広告の視聴回数(CPV:Cost Per View)
CPVは、配信した動画広告が一定の条件(例:3秒以上再生されるなど)を満たして「視聴」された場合に費用が発生する課金方式です。動画に全く興味を示さず、すぐにスキップするユーザーに対しては費用がかからないため、比較的無駄の少ない配信が可能です。動画という情報量の多いフォーマットで、商品の魅力や使い方を分かりやすく伝え、ウェブサイトへの遷移やアプリのインストールを促したい場合に選択されます。ただし、CPVもCPMと同様、視聴されただけでは直接的なコンバージョンにはなりません。動画の視聴から、いかにして最終的なコンバージョンに繋げるか、という「動画の後の導線設計」が極めて重要になります。動画の最後に強力なCTA(Call to Action:行動喚起)を設置したり、動画の内容とLPの内容を完全に一致させたりといった工夫が不可欠です。動画広告は制作コストも高くなりがちなので、投下したコストを回収できるだけの高いCVRが見込める場合にのみ、慎重に採用を検討すべきでしょう。
LINE広告の入札方法は2つ
課金方式を選択したら、次にその単価をどのように決定するか、入札方法を決めます。LINE広告では、大きく分けて「自動入札」と「手動入札」の2種類から選択できます。
- 自動入札
- 手動入札
結論から言えば、特別な理由がない限り、我々は「自動入札」を選択すべきです。その理由を詳しく解説します。
自動入札
自動入札とは、LINEの強力な機械学習アルゴリズムが、設定された目標(例えば、コンバージョン数の最大化)を達成するために、リアルタイムで入札単価を自動的に調整してくれる機能です。広告主は、入札単価を1円単位で調整する煩雑な作業から解放され、より戦略的な業務(クリエイティブ改善やターゲット分析など)に集中することができます。LINEのAIは、膨大なユーザーデータと過去の配信実績を基に、「このユーザーはコンバージョンする可能性が高い」と判断すれば入札を強め、「可能性が低い」と判断すれば入札を弱める、といった人間には不可能なレベルの最適化を24時間365日行い続けます。特に、コンバージョンデータを一定数(目安として1広告グループあたり月間40件以上)蓄積させることができれば、その精度は飛躍的に向上します。LINE広告公式も自動入札を強く推奨しており、現代の運用型広告において、この機械学習の力を活用しない手はありません。自動入札は、もはや「楽をするための機能」ではなく、「成果を最大化するための必須機能」なのです。
自動入札の仕組みや導入方法について、より専門的な知識を深めたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

手動入札
手動入札は、その名の通り、広告主が自らCPCやCPMの入札単価上限を手動で設定する方法です。広告配信の状況を常に監視し、効果を見ながら細かく単価を調整していく必要があります。メリットとしては、予算の消化ペースを厳密にコントロールできる点や、特定のキーワードや配信面に対して意図的に入札を強化できる点が挙げられます。しかし、これには大きなデメリットが伴います。第一に、膨大な運用工数がかかります。担当者は常に管理画面に張り付き、細かな調整を続けなければならず、人件費の観点から非効率です。第二に、人間の勘や経験に基づく調整は、LINEの機械学習によるデータドリブンな最適化に勝ることは、ほとんどありません。属人的な運用はスケールせず、担当者の不在がパフォーマンスの低下に直結します。手動入札が有効なのは、ごく限定的なケース、例えば「コンバージョンデータが全く蓄積されていないキャンペーンの初期段階で、適切な入札単価の相場観を掴むため」といった場合に限られるでしょう。基本戦略は「自動入札」に委ね、人間はよりクリエイティブな仕事に集中する。これが現代の運用型広告の鉄則です。
キャンペーンごとの入札方法の詳細な設定については、以下の公式マニュアルが最も正確です。
https://www.linebiz.com/jp/manual/line-ads/ad_015/
LINE広告の予算設定
広告キャンペーンの効果を最大化するためには、戦略的な予算設定が不可欠です。予算が少なすぎれば、機械学習が最適化される前に配信が終了してしまい、成果を得られません。逆に、多すぎれば無駄なコストが発生する可能性があります。LINE広告では、大きく分けて2つのレベルで予算を設定します。
- キャンペーン全体の上限予算
- 日予算
キャンペーン全体の上限予算
これは、特定のキャンペーンで使用する広告費の総額に上限を設ける設定です。「月単位」で設定するか、キャンペーンの「全期間」で設定するかを選択できます。例えば、「今月のプロモーション予算は100万円」と決まっている場合、キャンペーン予算の上限を100万円に設定しておくことで、それを超えて費用が発生することを防げます。管理画面の仕様上、一時的に設定額を超えて配信されることがありますが、最終的な請求時には設定した金額に調整されるため、予算オーバーの心配はありません。予算管理を厳格に行いたい場合には、必ず設定しておくべき項目です。特に、複数のキャンペーンを同時に走らせる際には、各キャンペーンに上限予算を設けることで、全体の広告費を正確にコントロールできます。
日予算
日予算は、1日あたりに使用する予算の目安を設定するものです。LINE広告では、この日予算を「キャンペーン単位で最適化する」方法と、「広告グループごとに手動で設定する」方法の2つがあります。
キャンペーン予算の最適化(CBO):これは、キャンペーンに一つの日予算を設定し、その予算内で最も成果の高い広告グループに自動的に予算が重点配分される仕組みです。例えば、日予算1万円のキャンペーン内にAとBの2つの広告グループがあった場合、AのCPAが低く、BのCPAが高いと判断されれば、Aに7,000円、Bに3,000円といったように、AIが賢く予算を振り分けてくれます。これにより、広告主は広告グループごとの細かな予算調整から解放され、キャンペーン全体のパフォーマンスを最大化できます。現在では、このCBOの利用が主流であり、強く推奨されます。
広告グループごとの手動設定:これは、各広告グループに対して個別に日予算を設定する方法です。特定の広告グループ(例えば、リターゲティングリスト)に、どうしても一定の予算を投下したい場合などに使用しますが、多くの場合、CBOに比べて非効率な結果に終わります。機会損失や非効率な予算配分を生むリスクがあるため、明確な意図がない限りは使用を避けるべきでしょう。
注意点として、日予算はあくまで「目安」であり、広告の表示機会が多い日には設定額を多少超過して配信されることがあります(最大で2倍程度)。ただし、月間の合計請求額が「日予算×30.4日」を超えることはありません。これを防ぎ、予算を厳密に管理するためにも、「キャンペーン全体の上限予算」と「日予算(CBO)」を併用することが、最も安全かつ効果的な予算設定の方法です。例えば、月予算30万円なら、キャンペーン上限予算を30万円、日予算を1万円と設定します。これにより、日々の配信量のブレを許容しつつ、月間のトータルコストは予算内に収めることが可能になります。
広告を表示するには一定額の予算が必要
LINE広告はオークション形式であるため、そもそも入札に勝てなければ広告は表示されません。極端に低い予算設定、例えば日予算1,000円などでは、インプレッションがほとんど出ず、クリックも発生せず、結果として何のデータも得られないままキャンペーンが終了してしまう可能性が高いです。特に、自動入札の機械学習を機能させるためには、ある程度のデータ量(コンバージョン数)が必要です。学習期間中は、成果が出なくても辛抱強くデータを蓄積させるフェーズであり、この期間を乗り切るための予算は確保しなければなりません。一般的に、1つのコンバージョンを獲得するために必要なクリック数の目安は100クリック(CVR 1%の場合)です。そして、機械学習の最適化には最低でも月間40件のコンバージョンが推奨されます。つまり、「目標CPA × 40件」が、LINE広告で成果を出すための最低月間予算の一つの目安となります。例えば、目標CPAが5,000円であれば、月20万円(5,000円×40件)の予算を確保することが理想的です。もちろん、これはあくまで理想であり、これ以下の予算では成果が出ないというわけではありません。しかし、予算が少なければ少ないほど、最適化にかかる時間が長くなり、成果が出るまでの道のりが険しくなることは理解しておく必要があります。
LINE広告の利用料金支払い方法
LINE広告の利用料金の支払いは、原則としてクレジットカード決済となります。請求書払い(銀行振込)も可能ですが、そのためには代理店経由での申し込みや、一定の取引実績が必要となる場合が多く、新規で直接アカウントを開設する場合はクレジットカード登録が必須です。対応しているカードブランドは以下の通りです。
- VISA
- Mastercard
- JCB
- American Express
- Diners Club
クレジットカードを登録しておけば、毎月の利用額が自動で決済されるため、請求書発行や振込手続きといった経理上の手間を削減できるメリットがあります。広告アカウントの開設時に登録が必要となりますので、事前に準備しておきましょう。登録は、広告管理画面である「LINE Ad Manager」から簡単に行うことができます。
LINE広告の支払い方法や費用に関する公式のまとめ情報は、以下の記事が参考になります。
https://www.linebiz.com/jp/column/technique/20191024/
LINE広告の配信面
LINE広告の強みの一つは、ユーザーの利用シーンに合わせて多種多様な面に広告を配信できる点です。ここでは、主要な配信面とその特徴、そしてコンバージョン獲得を目的とした場合の活用法を解説します。
配信面 | 概要と獲得向け活用法 |
トークリスト(Smart Channel) | LINEアプリ内で最も利用頻度と視認性が高いトーク画面の最上部に表示されます。圧倒的なインプレッション数を誇り、多くのユーザーにリーチできるため、新規顧客獲得の起点として最適です。ただし、ユーザーは友だちとのコミュニケーションを主目的としているため、あまりに広告色の強いクリエイティブは嫌厭される傾向にあります。ニュース記事やお役立ち情報のような体裁で、自然にクリックを促す工夫が効果的です。 |
LINE NEWS | LINEアプリ内のニュースタブの上部や記事一覧、提携するアカウントメディアの記事一覧ページに表示されます。ユーザーは情報収集モードであるため、広告に対しても比較的寛容です。商品の特徴やメリットをしっかりと伝えたい場合に適しています。特に、記事型のランディングページ(LP)との相性が良く、広告からLPへスムーズに誘導し、深い理解を促すことでコンバージョンに繋げられます。 |
LINE VOOM | ショート動画がメインのコンテンツプラットフォームです。ユーザーは暇つぶしやエンターテイメントを求めて利用しているため、楽しませる、あるいは驚きを与えるような動画クリエイティブが効果を発揮します。特に、アプリのインストールやECサイトでの衝動買いを促すのに適しています。音声ありきで視聴されることも多いため、音と映像の両方で訴求することが重要です。 |
LINEマンガ | 若年層を中心に絶大な人気を誇る電子マンガサービスです。マンガを読んでいる合間に表示されるため、エンタメ系のアプリやゲーム、若者向けファッション、コスメといった商材と高い親和性があります。マンガの世界観を邪魔しないようなクリエイティブが好まれます。 |
LINE BLOG | 現在はサービス終了していますが、過去には有力な配信面の一つでした。このように、配信面は変更される可能性があるため、常に最新情報をチェックすることが重要です。 |
ウォレット | LINE PayやLINE証券などの決済・金融サービスや、お得なクーポンが集まるタブです。ユーザーは「お金」や「お得」に関心が高い状態にあるため、金融サービス、保険、クレジットカードの申し込みや、割引クーポンをフックにしたECサイトへの誘導などに高い効果が期待できます。 |
LINEショッピング | LINEアプリ内から様々なECサイトの商品を検索・購入できるサービスです。ユーザーは明確な購買意欲を持って利用しているため、コンバージョンに直結しやすい非常に有望な配信面です。自社の商品カタログデータと連携させることで、ユーザーの閲覧履歴や興味関心に合わせた商品を動的に表示する「ダイナミック広告」の配信も可能です。 |
LINEチラシ | スーパーやドラッグストアなどのデジタルチラシを閲覧できるサービスです。実店舗への来店促進(O2O)に特化しており、地域ターゲティングと組み合わせることで、近隣住民にセール情報や限定クーポンを届け、来店を促すことができます。 |
LINE広告ネットワーク | LINEが提携する1万以上の外部パートナーアプリ(ゲーム、マンガ、ツール系アプリなど)に広告を配信できます。LINEアプリだけではリーチできない多様なユーザー層にアプローチできるため、獲得数のスケールを目指す上で欠かせない配信面です。様々なジャンルのアプリに配信されるため、幅広い商材に対応可能ですが、配信先の質をコントロールすることが重要になります。 |
LINEポイントクラブ | ユーザーが特定の条件をクリアすることでLINEポイントを獲得できるサービスです。「ポイントを貯める」という明確な目的を持ったユーザーが集まるため、「友だち追加で〇〇ポイント」や「商品購入で〇〇ポイントバック」といったインセンティブをフックにしたキャンペーンと非常に相性が良く、高いコンバージョン率が期待できます。 |
これらの配信面は、広告グループの設定で配信のオン・オフを選択できます。キャンペーン初期は「自動配置」で全ての面に配信し、データを蓄積した上で、CPAの高い(成果の悪い)配信面を除外していく、という最適化プロセスが基本戦略となります。
LINE広告目的別キャンペーン
LINE広告では、広告を出稿する最終的なビジネスゴールに合わせて、最適化のアルゴリズムが異なる「キャンペーン目的」を選択する必要があります。この最初の選択が、その後の広告パフォーマンスを大きく左右するため、極めて重要です。獲得を目的とする我々が主に使用するのは、以下のものです。
目的 | 概要と戦略的活用法 |
ウェブサイトへのアクセス | とにかくウェブサイトへのクリック(アクセス)を最大化するように最適化されます。コンバージョン計測ができない、あるいはデータが少なすぎて「ウェブサイトコンバージョン」目的がうまく機能しないキャンペーン初期段階で、まずはトラフィックを集めてオーディエンスリストを蓄積するために使用することがあります。しかし、これはあくまで準備段階の目的であり、最終ゴールではありません。 |
ウェブサイトコンバージョン | 【最重要】これこそが、我々獲得目的マーケターの主戦場です。ウェブサイト内での「商品購入」「資料請求」「会員登録」といった、事前に設定したコンバージョンイベントの発生を最大化するように、入札と配信が自動で最適化されます。この目的を最大限に活用するためには、後述する「LINE Tag」をウェブサイトに正しく設置し、コンバージョンを正確に計測することが絶対条件となります。十分なコンバージョンデータが蓄積されれば、AIが「コンバージョンしやすいユーザー」を学習し、驚くほど高い精度で広告を配信してくれるようになります。 |
アプリのインストール | モバイルアプリのインストール数を最大化することが目的です。アプリ広告において、新規ユーザー獲得の根幹をなすキャンペーン目的です。クリックしてアプリストアに遷移し、インストールを完了させたユーザー数を最大化するように最適化されます。 |
アプリのエンゲージメント | 既にアプリをインストールしているユーザーに対して、アプリの再起動や、アプリ内での特定のアクション(例:アイテム購入、ステージクリア)を促すことが目的です。休眠ユーザーの掘り起こしや、LTV向上に貢献します。 |
動画の再生 | 動画の再生数を最大化するように最適化されます。獲得目的で直接使用することは稀ですが、動画で商品の魅力を伝えた上で、動画を最後まで視聴したユーザーのオーディエンスリストを作成し、そのリストに対して「ウェブサイトコンバージョン」目的のキャンペーンでリターゲティングをかける、といった二段階の戦略で活用することがあります。 |
友だち追加 | LINE公式アカウントの友だち追加数を最大化することが目的です。前述のCPF(友だち追加課金)と連動しており、将来の見込み顧客リストを低コストで獲得したい場合に選択します。獲得した友だちに対して、メッセージ配信でコンバージョンを狙うという長期的な視点が必要になります。 |
商品フィードから販売 | ECサイト向けのダイナミック広告(LINE Dynamic Ads)を配信する場合に選択します。事前に登録した商品フィード(商品カタログデータ)とユーザーのサイト内行動履歴を基に、各ユーザーに最適な商品をパーソナライズして表示し、購入を促します。多くの商品を扱うECサイトにとっては、コンバージョン獲得の強力な武器となります。 |
キャンペーン目的の選択や、それぞれの詳細な活用戦略についてさらに深く知りたい方は、以下の記事も非常に参考になります。


LINE広告のターゲティングの種類
LINE広告のターゲティングは、大きく分けて「オーディエンスセグメント配信」と「オーディエンス配信」の2つのアプローチがあります。この2つを戦略的に使い分けることが、広告の費用対効果を最大化する鍵となります。
オーディエンスセグメント配信
これは、LINEが保有する膨大なデータを基に、ユーザーを特定のセグメントに分類し、そのセグメントに対して広告を配信する方法です。いわば、LINEのプラットフォーム上で「新規の見込み顧客を探し出す」ためのターゲティングです。具体的には、これまで説明してきた以下のセグメントを指します。
- デモグラフィックデータ配信:年齢、性別、地域などを指定。
- 興味関心:特定のカテゴリに興味を持つユーザーを指定。
- 行動:特定の行動傾向を持つユーザーを指定。
- 属性:配偶者や子供の有無、職業、推定年収などを指定。
これらのセグメントを単体、あるいは複数掛け合わせて使用することで、自社のターゲット顧客に近いペルソナを持つユーザー群に広告を届けることができます。キャンペーンの初期段階や、リーチを拡大したい場合に中心となる配信手法です。
オーディエンス配信
こちらは、自社が保有する顧客データなどを活用して、特定のユーザーリスト(オーディエンス)に対して広告を配信、または除外する手法です。いわば、「既に何らかの接点があるユーザー、あるいはそれに類似したユーザー」に狙いを定める、より精度の高いターゲティングです。具体的には、以下のようなオーディエンスを作成・活用できます。
- ウェブサイトトラフィックオーディエンス:LINE Tagを設置したウェブサイトにアクセスしたユーザーのリスト。「サイト全体を訪問したユーザー」「特定の商品ページを見たユーザー」「カートに商品を入れたユーザー」など、行動別にリストを作成し、リターゲティング配信に活用します。これがコンバージョン獲得の要です。
- モバイルアプリオーディエンス:自社のアプリをインストールした、あるいはアプリ内で特定の行動をとったユーザーのリスト。
- IDFA/AAIDアップロード:アプリユーザーの広告識別子(IDFA/AAID)をアップロードして作成するオーディエンスリスト。
- 電話番号/メールアドレスアップロード:自社が保有する顧客リストの電話番号やメールアドレスをアップロードし、それに合致するLINEユーザーのリストを作成します。既存顧客へのアップセル・クロスセルや、休眠顧客の掘り起こしに活用できます。
- LINE公式アカウントの友だちオーディエンス:友だちになっているユーザーのリスト。彼らを除外して新規ユーザーにのみ配信する、といった使い方が可能です。
- 動画視聴オーディエンス:広告として配信した動画を特定の条件(例:95%視聴)で視聴したユーザーのリスト。関心度の高いユーザーとして、リターゲティングの対象とします。
その他の配信機能
上記のオーディエンス配信をさらに拡張する機能として、「類似配信」があります。これは、獲得効率を飛躍的に向上させる可能性を秘めた、極めて強力な機能です。
類似配信(Lookalike Audience)
これは、元となるオーディエンス(ソースオーディエンス)と行動履歴が類似しているLINEユーザーを新たに見つけ出し、そのユーザー群に広告を配信する機能です。ソースオーディエンスには、「コンバージョンしたユーザーのリスト」や「LTVの高い優良顧客のリスト」などを設定します。つまり、「自社にとって最も価値の高い顧客と似た人」をLINEのプラットフォーム上で自動的に探し出してくれるのです。これにより、まだ自社を知らない潜在的な優良顧客に効率的にアプローチでき、新規顧客獲得のCPAを大幅に改善することが期待できます。類似度(オーディエンスサイズ)は1%~15%の間で設定でき、1%に近づくほど元のオーディエンスとの類似性が高くなり(精度は高いがリーチは狭い)、15%に近づくほど類似性は低くなりますがリーチは広がります。最初は1~3%程度の高い類似度でテストし、成果を見ながら徐々に広げていくのが定石です。
類似配信の具体的な設定方法や活用テクニックについては、こちらの記事で詳しく解説されています。

高精度なターゲティングならクロスターゲティング
LINE広告のターゲティングをさらに進化させるのが「クロスターゲティング」機能です。これは、LINEが提供する様々なサービス(例:LINE公式アカウント、LINEポイントADなど)で得られたユーザーデータを、LINE広告のターゲティングに活用できる仕組みです。例えば、「LINE公式アカウントで特定のメッセージを開封したユーザー」や、「LINEポイントADでポイントを獲得したユーザー」といった、よりエンゲージメントの高いユーザーのオーディエンスリストを作成し、そのリストに対してLINE広告で追客することができます。従来は各サービス内で閉じていたデータを横断的に活用することで、ユーザーの解像度をさらに高め、よりコンバージョンに近いユーザーに、最適なタイミングで広告を届けることが可能になります。これは、LINEのエコシステム全体を統合した、まさに「One to Oneマーケティング」を実現するための強力な機能と言えるでしょう。
クロスターゲティングの仕組みや設定方法など、さらに専門的な知識を深めたい方は、以下の記事が必読です。

LINE広告のフォーマット
LINE広告では、配信面や目的に応じて複数のクリエイティブフォーマットが用意されています。各フォーマットの特性を理解し、メッセージを最も効果的に伝えられるものを選択することが、CTRとCVRを向上させる上で重要です。
Card
- 仕様:静止画(1200 x 628px)と動画(アスペクト比 16:9)の横長フォーマット。
- 特徴:LINE NEWSやタイムラインなど、多くの配信面に対応する最も汎用性の高いフォーマットです。ウェブ広告で一般的に使用されるバナーサイズに近いため、他媒体のクリエイティブを転用しやすいメリットがあります。静止画、動画ともに対応しており、まずはこのフォーマットからテストを開始するのが基本となります。
画像引用元:【LINE広告】クリエイティブの制作│配信面やサイズについて|LINE for Business
Square
- 仕様:静止画(1080 x 1080px)と動画(アスペクト比 1:1)の正方形フォーマット。
- 特徴:Cardと同様に、多くの配信面に対応しています。特に、スマートフォンの画面占有率が高く、ユーザーの視線を引きつけやすいのが大きな強みです。InstagramなどのSNS広告でも主流のフォーマットであるため、クリエイティブの汎用性が高いです。CardとSquareの両方を入稿しておくことで、配信面に応じて最適なフォーマットが自動で表示されるため、機会損失を防ぐことができます。
画像引用元:【LINE広告】クリエイティブの制作│配信面やサイズについて|LINE for Business
Vertical
- 仕様:動画専用(アスペクト比 9:16)の縦長フォーマット。
- 特徴:LINE VOOMの配信面に特化したフォーマットです。スマートフォンを縦に持ったまま、画面全体に表示されるため、非常に没入感の高いユーザー体験を提供できます。ユーザーはフルスクリーンで動画に集中するため、商品の世界観を伝えたり、ストーリー性のある動画でエンゲージメントを高めたりするのに最適です。TikTokやInstagramリール向けの縦型動画素材があれば、それを活用することができます。
画像引用元:【LINE広告】クリエイティブの制作│配信面やサイズについて|LINE for Business
カルーセル
- 仕様:1つの広告枠で、複数の画像や動画(最大10点)をスワイプして見せることができるフォーマット。
- 特徴:ユーザーが能動的にスワイプして情報を得るため、エンゲージメントが高い傾向にあります。複数の商品のラインナップを見せたり、商品の使い方をステップ・バイ・ステップで解説したり、一つの商品の特徴を様々な角度から見せたりと、多くの情報をコンパクトに伝えることができます。各カードに異なるリンク先URLを設定できるため、それぞれの商品の詳細ページに直接誘導することも可能です。不動産の物件紹介や、ECサイトの商品カタログなどに非常に効果的です。
画像引用元:【LINE広告】クリエイティブの制作│配信面やサイズについて|LINE for Business
カルーセル広告の設定方法や、より効果的な活用事例について詳しく知りたい場合は、こちらの記事が大変参考になります。

Small Image
- 仕様:小さな画像(600 x 400px)とテキストで構成される、シンプルなフォーマット。
- 特徴:主にトークリスト(Smart Channel)の上部に表示される広告フォーマットです。表示領域が小さいため、多くの情報を詰め込むことはできませんが、そのシンプルさゆえに広告色が薄く、ユーザーに受け入れられやすいというメリットがあります。一目で何の広告か分かるような、視認性の高いアイコンやロゴ、そして簡潔で力強いキャッチコピーが効果を発揮します。
画像引用元:【LINE広告】クリエイティブの制作│配信面やサイズについて|LINE for Business
これらのクリエイティブ制作については、以下の記事も参考になります。

LINE広告おすすめの機能
LINE広告のパフォーマンスを最大化するためには、標準的な機能に加えて、いくつかの上級者向け機能を使いこなすことが重要です。ここでは、コンバージョン獲得に直結する、特に重要な2つの機能について解説します。
LINE Tagによるコンバージョン計測
LINE Tagは、LINE広告の成果を正確に計測し、オーディエンス配信や自動入札の最適化を行うために必要不可欠な、ウェブサイト設置型の計測タグです。このタグをサイトの全ページに設置することで、以下のようなデータを計測し、広告配信に活用することができます。
- コンバージョン計測:「商品購入完了ページ」や「資料請求サンクスページ」にコンバージョンタグを設置することで、どの広告がコンバージョンに繋がったかを正確に把握できます。「ウェブサイトコンバージョン」目的のキャンペーンを機能させるための大前提です。
- リターゲティングリストの作成:サイトを訪問したユーザー、特定ページを閲覧したユーザー、商品をカートに入れたユーザーなど、ユーザーの行動に基づいたオーディエンスリストを自動で作成します。
LINE Tagを正しく設置しなければ、LINE広告の成果を正しく評価することはできず、機械学習による自動最適化の恩恵も受けられません。それは、羅針盤を持たずに航海に出るようなものです。アカウントを開設したら、何よりも先にLINE Tagをウェブサイトに設置してください。
LINE Tagの具体的な設定方法や活用法については、こちらの記事で詳細に解説されています。

LINE広告のCPF(Cost Per Friends)
LINE広告には、友だち追加を目的とした「友だち追加広告」があります。これはCPF(Cost Per Friends)課金とも呼ばれ、広告を通じてLINE公式アカウントの友だちが1人増えるごとに費用が発生します。この機能は、単にリストを集めるだけでなく、その後のナーチャリング(顧客育成)を通じてコンバージョンを獲得するための強力な武器となります。一度友だちになれば、追加コストなしで継続的に情報発信が可能です。例えば、友だち追加直後にクーポンを配信して初回の購入を促したり、ステップ配信機能を使って数日間にわたり商品の魅力を伝え、購買意欲を高めたりすることができます。広告で刈り取るだけでなく、「見込み顧客を育てる」という視点を取り入れることで、LTV(顧客生涯価値)を大幅に向上させることが可能です。
CPFを活用した友だち獲得広告の戦略については、以下の記事でさらに詳しく学ぶことができます。

LINE広告で成果を出すには?【プロの運用鉄則】
LINE広告の機能や仕様を理解しただけでは、成果は出ません。ここでは、数々の広告アカウントを成功に導いてきたスペシャリストが実践する、コンバージョンを最大化するための5つの鉄則をご紹介します。
自動入札を120%活用する
繰り返しになりますが、現代のLINE広告運用において自動入札の活用は「選択肢」ではなく「必須」です。しかし、ただ設定するだけでは不十分です。そのパフォーマンスを120%引き出すためには、AI(機械学習)が学習しやすい環境を、我々人間が整えてあげる必要があります。
- 十分なコンバージョンデータを与える:AIが学習するための燃料は、コンバージョンデータです。最低でも1広告グループあたり月間40件のコンバージョンを目標に、予算と期間を確保してください。データが少ないうちは、購入完了などのハードルの高いCVポイントだけでなく、カート追加やフォーム到達といった、より発生しやすいマイクロコンバージョンを計測対象にすることも有効です。
- 頻繁な変更を避ける:AIが学習を進めている期間(通常1~2週間)に、予算やターゲティング、クリエイティブを頻繁に変更すると、学習がリセットされてしまい、いつまで経っても最適化が進みません。設定後は、ぐっとこらえてAIに任せる「我慢」も重要な戦略です。
- アカウント構成をシンプルにする:ターゲティングごとに細かく広告グループを分けすぎると、コンバージョンデータが分散し、AIの学習効率が低下します。関連性の高いターゲティングは、ある程度一つの広告グループにまとめることで、データの集約を促しましょう。
友だち追加で質の高い顧客を獲得
友だち追加広告(CPF)は、単なるリスト集めではありません。「CPAを劇的に改善する可能性がある、質の高い見込み顧客の獲得手段」と捉えるべきです。考えてみてください。広告をクリックするだけでなく、自ら「友だち追加」という能動的なアクションを起こすユーザーは、その時点で商品やサービスに対して相当高い興味関心を持っています。彼らは、単にウェブサイトを訪問しただけのユーザーよりも、遥かにコンバージョンに近い「ホットな」見込み顧客です。CPFの入札単価相場は100円~300円程度と比較的安価です。例えば、CPAが5,000円の商材があったとします。20人の友だちをCPF単価250円で獲得するのにかかる費用は5,000円です。もし、この20人の中から1人でもコンバージョンすれば、直接コンバージョンを狙うのと同じCPAで、19人のホットな見込み顧客リストが手元に残ることになります。このリストに対して、今後無料でアプローチし続けられることを考えれば、その費用対効果の高さは計り知れません。
LINE広告ネットワークを戦略的に利用
キャンペーンをスケールさせる段階において、LINE広告ネットワークの活用は避けて通れません。LINEアプリ内だけではリーチできるユーザー数に限界がありますが、ネットワークに配信を広げることで、獲得数を一気に数倍に伸ばせる可能性があります。しかし、やみくもに配信を広げるだけでは、質の低いメディアに広告が表示され、CPAが悪化するリスクもあります。ここで重要になるのが「プレースメント(配信先)の精査」です。LINE広告では、広告が配信されたアプリのリストを確認することができます。定期的にこのリストをチェックし、インプレッションは多いのにクリックやコンバージョンが全く発生していない、あるいはCPAが極端に高いプレースメントを特定し、「除外設定」していくのです。この地道な作業を繰り返すことで、ネットワーク配信の質を最適化し、CPAを維持したままリーチを拡大するという、理想的なスケーリングを実現できます。
目的に応じたフォーマットを選ぶ
クリエイティブは、広告の成果を左右する最も重要な要素の一つです。そして、その効果はフォーマットの選択に大きく依存します。訴求したい内容に合わせて、最適なフォーマットを選択することが鉄則です。
- 多くの情報を伝えたい場合:商品の使い方やお客様の声など、複数の要素を伝えたい場合は「カルーセル」や「動画」が最適です。ユーザーは自分のペースで情報を深掘りでき、理解度が高まります。
- インパクトを与えたい場合:LINE VOOMで配信するなら、画面を占有する「Vertical(縦型動画)」が最も効果的です。ユーザーを惹きつける冒頭の3秒が勝負です。
- シンプルに認知させたい場合:トークリストに表示される「Small Image」では、複雑なメッセージは伝わりません。一目でわかるロゴや商品画像と、簡潔なキャッチコピーで刷り込み効果を狙います。
最初から一つのフォーマットに絞るのではなく、複数のフォーマット(最低でもCardとSquare)でクリエイティブを作成し、ABテストを行うことが重要です。どのフォーマットが自社のターゲットに最も響くのかは、実際に配信してみなければ分かりません。
ABテストを徹底的に実施する
運用型広告において、「最初から完璧な広告」は存在しません。成功は、常に地道なテストと改善の繰り返しによってのみもたらされます。ABテストは、その改善プロセスを科学的に進めるための強力な手法です。「勘」や「思い込み」を排除し、データに基づいて意思決定を下すことが重要です。テストすべき要素は無数にありますが、影響の大きい順に進めるのが効率的です。
- クリエイティブ(画像・動画):最もCTRに影響を与える要素です。人物写真 vs イラスト、商品写真 vs 利用シーン写真など、全く異なるコンセプトのものを複数テストします。
- 広告文(ヘッドライン・説明文):価格訴求 vs 機能訴求、限定感の煽り vs 安心感の訴求など、ターゲットに響く切り口を探ります。
- ターゲティング:興味関心ターゲティング vs 類似配信など、どのオーディエンスが最もCPAが良いかを比較します。
- ランディングページ(LP):広告からの遷移先であるLPの改善も忘れてはなりません。ファーストビューのキャッチコピーや、CTAボタンの色・文言などをテストします。
ABテストを実施する際の注意点は、「一度に変更する要素は一つだけにする」ことです。同時に複数の要素を変更してしまうと、どの要素が成果に影響したのかが分からなくなります。仮説を立て、テストを実行し、結果を分析し、次の改善に繋げる。このPDCAサイクルを高速で回し続けることこそが、LINE広告で勝ち続けるための唯一の方法です。
成果を出すための運用テクニックについては、以下の記事も非常に示唆に富んでいます。

LINE広告配信までの流れ
それでは、実際にLINE広告を配信開始するまでの具体的なステップを、注意点と共に解説していきます。一つひとつのステップを着実に進めることが、スムーズな配信開始に繋がります。
- LINEビジネスIDの発行
- 広告アカウントの開設
- 広告配信の設定(キャンペーン・広告グループ・広告の作成)
- 審査
- 広告配信開始
LINEビジネスIDの発行
LINE広告を含む、LINEの法人向けサービスを利用するためには、まず「LINEビジネスID」を取得する必要があります。これは、各サービスに共通でログインするためのIDです。
作成手順:
-
- LINE Business IDの公式サイトにアクセスし、「アカウント作成」をクリックします。
-
- 普段お使いのメールアドレスで登録するか、個人のLINEアカウントと連携するかを選択できます。ビジネスで利用する場合は、会社のメールアドレスで登録するのが一般的です。メールアドレスを入力し、「登録用のリンクを送信」をクリックします。
-
- 入力したメールアドレス宛に確認メールが届きますので、メール本文内の「登録画面に進む」というリンクをクリックします。
-
- 表示された画面で、担当者の名前と、ログイン用のパスワードを設定し、「登録」ボタンをクリックします。
-
- 「登録が完了しました」と表示されたら、「サービスに移動」をクリックします。
- 最後に、利用規約とプライバシーポリシーが表示されますので、内容を確認の上、「同意して次へ」をクリックすれば、IDの発行は完了です。
引用元:LINE広告(LINE Ads) LINEビジネスIDの作成マニュアル|LINE for Business
ここで登録したメールアドレスとパスワードは、今後LINE広告の管理画面にログインする際に毎回使用しますので、厳重に保管してください。また、一度削除したIDは復元できないため、取り扱いには十分注意が必要です。
広告アカウントの開設
LINEビジネスIDが準備できたら、次に広告を管理するための「広告アカウント」を作成します。このアカウント単位で、請求情報や広告の配信実績が管理されます。
作成手順:
LINEビジネスIDで広告マネージャーにログインし、画面の指示に従って「広告アカウント」のタブから新規アカウントを作成します。入力が必要な情報は、大きく分けて以下の4つです。
【請求先情報】
広告費の請求先となる会社名、住所、担当者部署、担当者名などを正確に入力します。ここで入力した情報が請求書等に記載されます。
【広告主情報】
実際に広告を出す主体(広告主)の正式名称と、ウェブサイトのURLを入力します。
【商材情報】
広告で宣伝する商品やサービスについて、詳細を入力します。商材の正式名称、および広告をクリックした際の遷移先となるウェブサイト(ランディングページ)のURLを登録します。
【基本情報】
広告アカウントの名称(管理しやすい名前)や、LINE公式アカウントとの連携設定などを行います。
引用元:LINE広告(LINE Ads) LINEビジネスIDの作成マニュアル|LINE for Business
全ての情報を入力し終えたら、申し込みは完了です。この後、入力された情報に基づき、LINE社による広告アカウントの審査が行われます。この審査には数営業日を要する場合があるため、広告配信を開始したい日から逆算して、早めに申請を済ませておきましょう。
広告配信の設定
広告アカウントの審査に通過したら、いよいよ広告そのものを作成していきます。LINE広告の構造は、以下の3階層になっています。
- キャンペーン:広告の「目的(ウェブサイトコンバージョンなど)」や「予算」を設定する最上位の階層。
- 広告グループ:「ターゲット(誰に配信するか)」や「配信面」、「入札戦略」などを設定する中間階層。
- 広告:実際にユーザーの目に触れる「クリエイティブ(画像・動画)」や「広告文」を設定する最下層。
設定手順:
-
- 広告マネージャーのメイン画面から「+キャンペーン作成」をクリックし、まずは「キャンペーンの目的」を選択します。我々獲得目的の場合は、原則として「ウェブサイトコンバージョン」を選択します。
-
- 次に、キャンペーン名(例:202507_主力商品A_CV獲得)や、キャンペーンの総予算、掲載期間などを設定します。
-
- キャンペーンを保存したら、続いて「広告グループ」の作成画面に移ります。ここで、広告グループ名(例:女性20-30代_類似1%)、ターゲット設定(年齢、性別、地域、オーディエンスなど)、配信面の選択、日予算、入札戦略などを詳細に設定していきます。
- 最後に、「広告」の作成です。広告グループの設定を保存すると、広告作成画面に遷移します。ここで、広告フォーマット(Card, Squareなど)を選択し、画像や動画、ヘッドライン、説明文を入稿します。
引用元:LINE広告(LINE Ads) LINEビジネスIDの作成マニュアル|LINE for Business
この3階層の構造を理解し、目的に応じて適切に設定することが、効果的な広告運用の第一歩です。
審査
作成した広告は、配信前にすべてLINE社の審査を受ける必要があります。前述の通り、この審査は他の広告媒体と比較して厳格であり、完了までに要する時間も長い(最大10営業日程度)という特徴があります。審査の対象となるのは、「広告アカウント」「広告(ランディングページを含む)」「クリエイティブ」の3点です。ガイドラインに違反する表現や、ユーザーに誤解を与えるような内容、不快感を与えるクリエイティブなどは、ここで否認されます。審査落ちのリスクを最小限に抑えるためには、広告を作成する前に、必ず最新の「LINE広告審査ガイドライン|LINE for Business」に隅々まで目を通し、禁止されている業種・商材、表現方法を完全に把握しておくことが絶対条件です。特に、健康食品や化粧品、金融商品など、規制の厳しいジャンルでは、細心の注意が必要です。
広告配信開始
無事に審査を通過し、以下の条件がすべて満たされている場合、設定した配信開始日時になると自動的に広告の配信が始まります。
- キャンペーン、広告グループ、広告の各ステータスが「オン(有効)」になっていること。
- キャンペーンで設定した掲載期間内であること。
- (必要な場合)LINE公式アカウントの認証が完了していること。
引用元:よくあるご質問 | LINE for Business
配信開始後は、管理画面でリアルタイムにパフォーマンスを確認できます。しかし、配信直後に成果が出ないからといって、すぐに設定を変更するのは得策ではありません。AIの学習期間を考慮し、少なくとも数日~1週間は静観し、データが蓄積されるのを待つことが重要です。
LINE広告の審査基本ルール
LINE広告で成果を出すためには、まず審査という最初の関門を突破しなければなりません。ここでは、審査の基本ルールと、万が一審査に落ちてしまった場合の対処法について、より詳しく解説します。
LINE広告の審査
LINE広告の審査は、「プラットフォームの健全性とユーザー体験の保護」を最優先事項としています。そのため、審査は非常に慎重に行われ、完了までには最大10営業日程度を見込んでおく必要があります。審査の対象は、前述の通り「広告アカウント」「広告(クリエイティブ)」「ランディングページ」の3つに大別されます。
- 広告アカウント審査:広告主の事業内容や、取り扱う商材がLINEのガイドラインに準拠しているかが審査されます。ここで否認された場合、その事業体でのLINE広告出稿は原則として不可能となります。
- 広告(クリエイティブ)審査:入稿した画像、動画、テキストが、ガイドラインに違反していないか、ユーザーに不快感や誤解を与えないか、といった観点で審査されます。
- ランディングページ審査:広告の遷移先であるウェブサイトが、広告内容と関連性があるか、ユーザーにとって不利益な点はないか(例:強制的なポップアップ、戻るボタンの無効化など)、プライバシーポリシーや特定商取引法に基づく表記が適切に記載されているか、などがチェックされます。
審査の状況は、広告マネージャーの共有ライブラリ内にある「メディア」から確認できます。ステータスが「承認済み」となれば、配信が可能な状態です。
審査に関するより詳細な情報は、公式の解説ページを必ず確認してください。
https://www.linebiz.com/jp/service/line-ads/review/
LINE広告のプライバシーポリシー
LINE広告の審査ガイドラインの根底には、以下のような思想があります。
LINE広告は、子どもから大人まで幅広い年齢層のユーザーに対して広告配信を行うプラットフォームです。そのため、当社は本サービスで配信される広告(当社が提携する第三者の広告枠で配信される広告も含みます)について「情報の受け手(ユーザー)がどう思うか」「ユーザーが必要とする情報を適切な形で提供しているか」「ユーザーが不快に感じることはないか」「すべてのユーザーが安心・安全にサービスを利用できているか」という点を非常に重視しております。
引用元:LINE広告審査ガイドライン|LINE for Business
この「ユーザーファースト」の思想が、厳格な審査基準に繋がっています。広告主としては、単にルールを守るだけでなく、「この広告を見たユーザーがどう感じるか?」という視点を常に持ち、誠実で誤解のないコミュニケーションを心掛けることが、結果的に審査をスムーズに通過し、ユーザーからの信頼を得るための最短ルートとなるのです。
審査に落ちた場合の対処法
万全を期していても、意図せず審査に落ちてしまうことはあります。その場合は、否認理由を冷静に分析し、適切に対処する必要があります。
- 広告アカウントが否認された場合:否認理由が「掲載不可業種」である場合、残念ながらそのアカウントでの再審査はできません。事業内容自体がガイドラインに抵触しているため、根本的な解決は困難です。入力情報の誤りなど、軽微な理由であれば、修正して再申請が可能な場合もあります。
- 広告(クリエイティブ)が否認された場合:管理画面に表示される否認理由(例:「最上級表現の根拠不明確」「ユーザーのコンプレックスを煽る表現」など)を確認し、該当箇所を修正します。ただし、一度入稿したクリエイティブを直接編集することはできないため、否認されたクリエイティブを複製し、修正を加えたものを「新しい広告として」再入稿する必要があります。
- ランディングページが否認された場合:LPが原因で否認された場合は、LPの内容を修正し、広告の管理画面から「再審査をリクエスト」することができます。この場合、広告自体を再作成する必要はありません。
審査落ちは、配信スケジュールの遅延に直結する大きなリスクです。このリスクを最小化するため、キャンペーン開始前には複数のクリエイティブパターンを用意し、異なる表現でいくつかを入稿しておくといった対策も有効です。
LINE広告で幅広い層にリーチしよう
本記事では、コンバージョン獲得という明確な目的を達成するために、LINE広告をいかに戦略的に活用すべきか、その思想から具体的な運用テクニックまでを網羅的に解説してまいりました。月間アクティブユーザー9,600万人という国内最大級のプラットフォームは、他の広告媒体では決してリーチできない、独自の広大なユーザーの海を内包しています。
確かに、その厳格な審査や独特の運用作法は、初心者にとっては高いハードルに感じられるかもしれません。しかし、そのハードルの向こう側には、競合が少なく、CPAを低く抑えられる可能性を秘めた、巨大なブルーオーシャンが広がっています。高精度なターゲティング機能、コンバージョンを最適化する強力な機械学習、そして将来の資産となる友だち獲得機能。これらの武器を正しく理解し、使いこなすことができれば、LINE広告は貴社の事業成長を加速させる、最も強力なエンジンの一つとなり得ます。
本記事で解説した戦略とノウハウを羅針盤とし、まずは少額の予算からでも、LINE広告という新たな航海に乗り出してみてはいかがでしょうか。その一歩が、これまでの獲得戦略の限界を打ち破る、大きな飛躍に繋がることを確信しております。
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