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検索広告の世界は、拡張テキスト広告(ETA)が主流だった時代から大きな変革を遂げました。かつては、限られた広告見出しと説明文の枠内で、地道にA/Bテストを繰り返すのが定石でした。しかし現在、Google広告、Yahoo!広告ともに拡張テキスト広告の新規入稿は廃止され、レスポンシブ検索広告(RSA)が唯一の、そして標準の広告フォーマットとなっています。この変化は、単なるフォーマットの変更に留まりません。広告運用の思想そのものを、静的な「A/Bテスト」から動的な「機械学習による最適化」へとシフトさせる、パラダイムシフトなのです。

レスポンシブ検索広告は、複数の広告見出しや説明文といった「アセット」を登録しておくだけで、システムがユーザーの検索語句や属性、デバイスといった状況に合わせて最適な組み合わせを自動で生成・配信してくれます。これにより、これまで手動では不可能だった膨大なパターンの広告テストを効率的に実行できるようになりました。

しかし、この強力な機能を最大限に活用するためには、その仕組みと特性を深く理解する必要があります。例えば、アセットごとの直接的なコンバージョン単価(CPA)や、特定のキーワードに対するアセットの成果を直接測定することは困難であるというデメリットも存在します。この点を理解せず、ただアセットを登録するだけでは、期待した成果は得られません。重要なのは、機械学習の力を借りつつも、運用者が戦略的にアセットを設計し、パフォーマンスを分析・改善していく「人間と機械の協業」という視点です。

本記事では、レスポンシブ検索広告の基本的な仕組みから、成果を最大化するための具体的な戦略、見落としがちな注意点、そしてパフォーマンス分析の方法まで、網羅的かつ実践的な視点で徹底的に解説していきます。

また、Google広告に関してさらに知見を深めたい!という方は、以下の記事に総括的にまとめてありますので、ぜひ読んでみてください。

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レスポンシブ検索広告とは

レスポンシブ検索広告(Responsive Search Ads、略してRSA)とは、広告運用者が事前に複数の「広告見出し(ヘッドライン)」と「説明文」のパーツ(これらを総称して「アセット」と呼びます)を登録すると、GoogleやYahoo!の機械学習アルゴリズムが、それらを自動的に組み合わせて広告を生成・配信する広告フォーマットのことです。

この仕組みの核心は、「一人ひとりのユーザーに、その瞬間に最も響くであろうメッセージを届ける」という思想にあります。ユーザーが検索に至った背景、使用しているデバイス、時間帯、過去の行動履歴など、無数のシグナルを基に、アルゴリズムが「このユーザーには、この見出しとこの説明文の組み合わせが最もクリックされやすいだろう」と判断し、リアルタイムで広告を最適化します。これは、旧来の拡張テキスト広告(ETA)が、あらかじめ決められた一つの広告文を配信していたのとは対照的です。

料理に例えるなら、拡張テキスト広告は「あらかじめ調理済みの定食」を提供するようなものでした。一方、レスポンシブ検索広告は、運用者が「新鮮で多様な食材(アセット)」を豊富に用意し、超一流のシェフ(機械学習アルゴリズム)が、お客様(ユーザー)の好みやその日の気分に合わせて、最高のコース料理を即興で組み立ててくれるようなものと言えるでしょう。このアプローチにより、手動では到底試すことが不可能な、膨大な数の広告バリエーションを同時にテストし、常にパフォーマンスの高い組み合わせを配信することが可能になるのです。

拡張テキスト広告とレスポンシブ検索広告の違い

レスポンシブ検索広告と、かつての主流であった拡張テキスト広告との違いは、単に入稿できるアセットの数だけではありません。その根底にある思想から機能まで、多くの点で異なります。ここでは、その決定的な違いを具体的に解説します。

アセットの入稿数と組み合わせの自由度

最大の違いは、入稿できる見出しと説明文のアセット数です。

  • 拡張テキスト広告(ETA): 見出しを最大3つ、説明文を最大2つまで設定可能でした。しかし、これらの組み合わせは「固定的」であり、設定した通りの順番でしか表示されませんでした。
  • レスポンシブ検索広告(RSA): 見出しを最大15個、説明文を最大4個まで登録できます。そして、これらのアセットの中から、システムが都度最適な組み合わせを自動で選択して配信します。

この結果、理論上の組み合わせパターンは天文学的な数にのぼり、多様なユーザーニーズに対して柔軟に対応することが可能になります。

レスポンシブ検索広告の見出し設定画面
レスポンシブ検索広告の説明文設定画面
レスポンシブ検索広告のプレビュー画面

ここで非常に重要な注意点があります。レスポンシブ検索広告は、表示される広告枠や文字数が増えるわけではない、という点です。あくまでも、従来の広告枠(見出しが最大3つ、説明文が最大2つ)の中で、登録したアセットが組み替えられて表示される仕組みです。この点を誤解すると、アセット作成の方向性を見誤る可能性があるため、正確に理解しておくことが不可欠です。

最適化アプローチの違い

広告の最適化に対する考え方も根本的に異なります。

  • ETA: 運用者が複数の広告クリエイティブ(Aパターン、Bパターンなど)を作成し、どちらの成果が高いかを比較する「手動A/Bテスト」が基本でした。成果の判断は運用者に委ねられていました。
  • RSA: 複数のアセットを登録することで、システムが自動的に組み合わせをテストし、クリック率(CTR)やコンバージョン率が最大化されるように最適化を進めます。これは「機械学習による自動最適化」であり、運用者はアセットの提供とパフォーマンスの監視に集中する形となります。

広告の有効性(Ad Strength)という指標の存在

レスポンシブ検索広告には、「広告の有効性」という独自の評価指標が導入されています。これは、登録されたアセットの数、多様性、キーワードとの関連性などを基に、広告設定の品質を「低い」から「優良」までの5段階で評価するものです。ETAにはこのような設定品質をリアルタイムで評価する指標はなく、これも大きな違いと言えるでしょう。

レスポンシブ検索広告のメリットとデメリット【旧来のテキスト広告との比較】

レスポンシブ検索広告は多くのメリットをもたらしますが、同時に注意すべきデメリットも存在します。双方を正確に理解し、戦略的に活用することが成功の鍵となります。

レスポンシブ検索広告の戦略的メリット

1. デバイスや画面サイズへの自動最適化による機会損失の防止

ユーザーが使用するデバイスは、PC、スマートフォン、タブレットと多岐にわたり、それぞれの画面サイズは異なります。従来の拡張テキスト広告では、長い見出しがスマートフォンの小さな画面では途切れてしまうなど、意図したメッセージが伝わらないケースがありました。レスポンシブ検索広告は、デバイスの表示幅に合わせて、表示する見出しの数や長さを自動的に調整します。例えば、PCの広い画面では見出しを3つ表示し、スマートフォンの狭い画面では2つにするといった最適化を自動で行うため、どのような環境のユーザーに対してもメッセージを効果的に伝え、広告の表示機会の損失を最小限に抑えることができます。

2. 機械学習による最適な組み合わせの自動配信

これがレスポンシブ検索広告の最大のメリットです。運用者が行うべきことは、様々な角度から訴求する多様なアセットを用意することだけです。価格の安さを訴求する見出し、機能の豊富さを伝える見出し、実績や信頼性をアピールする見出しなどを登録しておけば、ユーザーの検索語句や行動履歴から「価格を重視している」と判断されたユーザーには価格訴求の見出しを、「機能を比較検討している」ユーザーには機能訴求の見出しを優先的に表示するなど、アルゴリズムが自動で判断し、ローテーション配信してくれます。これにより、手動では不可能なレベルでのパーソナライズが実現し、クリック率(CTR)の向上が期待できます。

3. 大規模なA/Bテストの自動化と工数削減

ETA時代には、訴求パターンをテストするために、複数の広告を手作業で作成し、広告グループに追加する必要がありました。3つの訴求軸をテストしたい場合、最低でも3つの広告を作成する必要があり、その組み合わせを試そうとすると、さらに多くの広告が必要でした。レスポンシブ検索広告では、1つの広告内に複数のアセットを登録するだけで、システムが自動で組み合わせをテストしてくれます。これにより、広告作成にかかる工数が大幅に削減され、運用者はより戦略的な業務、例えば新しいアセットの考案やランディングページの改善などに時間を割くことができるようになります。

4. 新たなユーザーインサイトの発見

後述する「アセットレポート」を分析することで、どの訴求軸がユーザーに響いているのかを発見できます。例えば、「送料無料」というアセットの表示回数や評価が非常に高い場合、ユーザーが送料を強く意識しているというインサイトが得られます。この知見は、広告文だけでなく、ランディングページや他のマーケティング施策にも活かすことができる貴重なデータとなります。

レスポンシブ検索広告のデメリットと注意点

1. どの「組み合わせ」で成果が良かったのか、の観測ができない

これは運用者にとって最ももどかしい点であり、最大のデメリットと言えます。「見出しA+見出しB+説明文C」という特定の組み合わせで何件のコンバージョンが獲得できたのか、といった詳細なパフォーマンスデータを確認することはできません。確認できるのは、あくまで個々のアセット単位での表示回数やパフォーマンス評価のみです。そのため、ETA時代のような厳密なクリエイティブ単位での成果比較は困難になりました。この特性を理解し、アセット単位での評価を基に改善サイクルを回していくという考え方の転換が求められます。

2. 意図しない組み合わせや順番で表示されてしまう可能性がある

機械学習は非常に優秀ですが、万能ではありません。登録したアセットの組み合わせによっては、文脈がおかしくなったり、日本語として不自然な広告文が生成されたりするリスクが常に伴います。例えば、「【期間限定】今なら50%OFF」という見出しと、「安心の定価販売」という見出しを同時に登録した場合、これらが並んで表示されるとユーザーに混乱を与えてしまいます。このような事故を防ぐためには、どのアセットがどのように組み合わせられても意味が通じるように設計するか、後述する「ピン留め」機能を戦略的に活用する必要があります。

3. 最適化プロセスのブラックボックス化

「なぜこの組み合わせが表示されたのか」というアルゴリズムの判断基準は、完全には開示されていません。成果が上がっている間は問題ありませんが、パフォーマンスが悪化した際に、その原因を特定するのが難しい場合があります。運用者は、ある程度システムを信頼しつつも、提供するアセットの品質に全責任を持つという姿勢が重要になります。

4. 多様なアセットを作成する新たなクリエイティブ工数の発生

A/Bテストの工数は削減されますが、その一方で、質の高いアセットを15個の見出しと4個の説明文という最大数まで用意するのは、決して簡単な作業ではありません。単に同じような言い回しを並べるだけでは、レスポンシブ検索広告のメリットを活かせません。ユーザーの様々なニーズを想定し、多角的な視点から訴求を考え出す、新たなクリエイティブ作成の工数が発生する点は認識しておくべきです。

【成果最大化】レスポンシブ検索広告の7つの戦略的コツ

レスポンシブ検索広告を単なる「便利な機能」で終わらせず、「成果を生み出す武器」にするためには、いくつかの戦略的なコツが存在します。ここでは、特に重要な7つのポイントを深掘りして解説します。

1. 見出し・説明文は「多様性」と「一貫性」を両立させて設定する

最も重要な基本原則です。機械学習の効果を最大化するためには、できるだけ多くの、そして多様なアセットを提供することが不可欠です。しかし、ただ闇雲に数を揃えれば良いわけではありません。

  • 多様性:ユーザーが抱えるであろう様々なニーズや検索意図に応えるため、多角的な訴求を用意します。例えば、以下のような切り口が考えられます。
    • 価格訴求:「業界最安値」「初期費用0円」「今だけ30%OFF」
    • 品質・機能訴求:「国産素材100%使用」「AIによる自動分析機能」「特許取得技術」
    • 実績・権威性訴求:「導入実績No.1」「顧客満足度98%」「〇〇賞受賞」
    • 限定性・緊急性訴求:「本日限定価格」「先着100名様」「残り3枠」
    • 利便性訴求:「24時間365日対応」「最短即日発送」「駅徒歩1分」
    • 不安払拭訴求:「全額返金保証」「安心のサポート体制」「初心者歓迎」
  • 一貫性:多様なアセットを用意しつつも、どの見出しや説明文が組み合わされても、広告全体のメッセージとして一貫性が保たれ、意味が通じるように設計する必要があります。前述の通り、「50%OFF」と「定価販売」のような矛盾したメッセージが同居しないように、細心の注意を払います。広告グループのテーマに沿ったアセット群を作成することが基本となります。

この「多様性」と「一貫性」のバランスを取ることが、質の高いレスポンシブ検索広告を作成する上での第一歩です。

2. 同一広告グループ内に拡張テキスト広告を2つは入れる

レスポンシブ検索広告(RSA)単体のみの入稿ではなく、拡張テキスト広告を同一広告グループ内に最低でも2つ同時に入稿することを、Googleが推奨しています。

*この推奨事項は、拡張テキスト広告の提供が終了したため、現在では適用されません。

レスポンシブ検索広告(RSA)2022年6月検索広告唯一の広告タイプに!拡張テキストは廃止?
2021-09-01 17:38
Googleは2021年8月31日に、検索キャンペーンで使用できる広告タイプを「レスポンシブ検索広告(RSA)」のみにすることを発表しました。この広告タイプがレスポンシブ検索広告(...

参照:効果的なレスポンシブ検索広告を作成する

3. 広告グループ内にレスポンシブ検索広告は1つにとどめる

こちらもGoogleの推奨です。複数のレスポンシブ検索広告を同一広告グループ内に入れてしまうと、最適化遅延の原因になります。

*現在、Googleは広告グループごとに最大3つの有効なレスポンシブ検索広告を設定することを推奨しています。これにより、異なる訴求軸を持つRSA同士でテストを行うことが可能になります。ただし、初心者のうちはまず1つのRSAのパフォーマンスを最大化することに集中するのが良いでしょう。

4.「ピン留め(固定表示)」機能は諸刃の剣と理解し、戦略的に活用する

ピン留めは、特定の見出しや説明文を、指定した位置(見出し1、見出し2、見出し3など)に必ず表示させることができる機能です。これは、広告のメッセージをコントロールしたい場合に非常に有効ですが、使い方を誤るとレスポンシブ検索広告のメリットを大きく損なう「諸刃の剣」です。

ピン留めの戦略的活用例:

  • 位置1にブランド名や社名を固定:広告の主体を明確にし、ブランド認知に貢献します。
  • 位置2に最も重要な訴求(キャッチコピー)を固定:「業界最安値」「満足度98%」など、絶対に伝えたいメッセージを確実に表示させます。
  • 位置3は固定せず、複数のアセットをテスト:コントロールしたい部分と、機械学習に任せる部分を分けることで、テストの効率とメッセージの安定性を両立できます。

ピン留めの注意点:

  • 過度なピン留めは避ける:見出し1、2、3のすべてをピン留めしてしまうと、それは実質的に拡張テキスト広告と同じになり、機械学習による最適化の機会を完全に失います。組み合わせのパターンが大幅に減少し、パフォーマンスが低下する主な原因となります。ピンの設定は必要最小限に留めるのが鉄則です。

5.広告作成時は「広告の有効性」を正しく理解し活用する


広告の有効性の評価画面

レスポンシブ検索広告の作成画面には、「広告の有効性(Ad Strength)」というインジケーターが表示され、設定内容が「未完了」「低い」「平均的」「良」「優良」の5段階でリアルタイムに評価されます。これは広告の品質を測る上で重要な指標ですが、その評価基準を正しく理解する必要があります。

「広告の有効性」が評価している主な要素:

  • アセットの数:登録されている見出しと説明文の数。多ければ多いほど評価は高まります。
  • アセットの独自性:似たような言い回しのアセットばかりでなく、ユニークで多様なアセットが登録されているか。
  • キーワードとの関連性:広告グループ内の主要なキーワードが、見出しや説明文に含まれているか。

重要な注意点:「広告の有効性」は、あくまで入稿時点での設定内容を評価するものであり、実際のクリック率(CTR)やコンバージョン率(CVR)といった配信実績を反映したものではありません。「優良」の評価を得ることは、あくまで良いスタートを切るための準備であり、それが最終的なビジネス成果を保証するわけではないのです。最低でも「平均的」以上を目指しつつも、「優良」にすること自体が目的化しないように注意が必要です。

追記:広告の有効性はクリック率しか見ていないので、あくまでもCPAを見ていく

広告の有効性は、Googleのシステムが予測する「クリックされやすさ」を基にしている側面が強いと言われています。しかし、獲得型広告において最も重要な指標は、最終的なコンバージョン単価(CPA)や広告費用対効果(ROAS)です。広告の有効性が「優良」であってもCPAが高いケースもあれば、逆に「平均的」でもCPAが非常に良いケースも存在します。この指標は参考程度に留め、最終的な判断は実際のビジネス成果に基づいて行うべきです。詳しくは下記の動画も参考にしてください。

6.アセット作成時はユーザーの分析、セグメント分けで顧客ニーズを細分化する

質の高いアセットを作成するための根幹となるのが、徹底したユーザー分析です。レスポンシブ検索広告の「各ユーザーに最適な広告を自動で出し分けてくれる」という特性を最大限に活かすには、まず「どのようなユーザーが存在し、それぞれが何を求めているのか」を深く理解する必要があります。

⑴全体像を理解してセグメント分けする

まず、自社の商材やサービスの潜在的な顧客となりうるユーザー全体を俯瞰し、共通のニーズや属性に基づいてグループ(セグメント)に分類します。例えば、BtoBのSaaSツールであれば、「価格重視のスタートアップ」「機能とセキュリティを重視する大企業」「導入のしやすさを求める中小企業」といったセグメントが考えられます。

⑵ターゲットの決定をする

次に、セグメント分けしたグループの中から、今回の広告キャンペーンでメインターゲットとするセグメントを明確に定めます。すべてのセグメントを同時に狙うのは非効率です。獲得効率が見込めそうなセグメントや、LTV(顧客生涯価値)が高いと想定されるセグメントに焦点を絞ります。ただし、ターゲットを絞りすぎるとユーザー母数が少なくなり、機械学習が十分に機能しない可能性があるため注意が必要です。

⑶各ターゲットのニーズに応えるテキストを広告文に追加

最後に、決定したターゲットセグメントごとに、彼らが抱えているであろう「不安」「不満」「欲求」を具体的に想定し、それらを解決・満たすメッセージをアセットとして作成します。「価格重視」のセグメントには「月額〇〇円から」「業界最安値保証」といった訴求を。「機能重視」のセグメントには「〇〇連携で業務効率化」「AIが自動でレポート作成」といった具体的なベネフィットを提示します。このように、ペルソナを深く掘り下げてアセットを作成することで、レスポンシブ検索広告は各ユーザーに対して「自分事」と感じさせるメッセージを届けられるようになります。

7. 定期的なアセットの見直しと改善サイクルを回す

レスポンシブ検索広告は、一度設定したら終わりではありません。むしろ、設定してからが本当のスタートです。継続的に成果を改善していくためには、定期的なパフォーマンスレビューとアセットの入れ替えが不可欠です。

改善サイクルの例:

  1. データ蓄積:広告の配信を開始し、統計的に有意なデータ(最低でも数千インプレッション、理想は1ヶ月程度)が蓄積されるのを待ちます。
  2. アセットレポートの分析:後述するアセットレポートを確認し、各アセットの「パフォーマンス評価(優良・良・学習中・低い)」や表示回数を確認します。
  3. 改善アクションの実行:
    • 「低い」と評価されたアセット:表示回数が少なく、クリックにも繋がっていない可能性が高いアセットです。思い切って停止し、新しい訴求軸のアセットと入れ替えます。
    • 表示回数が極端に少ないアセット:評価が「学習中」のままであっても、ほとんど表示されていないアセットは、他のアセットとの相性が悪いか、関連性が低いと判断されています。これも入れ替えの候補となります。
  4. 効果測定:アセットを入れ替えた後、再度データを蓄積し、変更前と後で広告全体のパフォーマンス(CTR、CVR、CPAなど)がどのように変化したかを測定します。

この「分析→改善→測定」のサイクルを継続的に回し続けることが、レスポンシブ検索広告のパフォーマンスを最大化する上で最も重要な運用プロセスです。

レスポンシブ検索広告の入稿規定

レスポンシブ検索広告のアセットには、文字数などの入稿規定があります。これはGoogle広告、Yahoo!広告で共通です。

種類 アセット数 文字数(半角換算)
広告見出し 最低3個 ~ 最大15個 30文字以内
説明文 最低2個 ~ 最大4個 90文字以内
パス(表示URL) 0個 ~ 最大2個 15文字以内

参考:レスポンシブ検索広告について-Google 広告 ヘルプ

文字数は、日本語(全角文字)では1文字を半角2文字分としてカウントします。したがって、見出しは全角15文字、説明文は全角45文字、パスは全角7文字が上限となります。この文字数制限を意識してアセットを作成する必要があります。

レスポンシブ検索広告で使える記号一覧

広告文に使用できる記号には制限があります。不適切な記号を使用すると、広告が不承認となる原因になりますので、事前に確認しておくことが重要です。以下は、Google広告における一般的な規定です(Yahoo!広告も概ね準じますが、詳細は各媒体のポリシーをご確認ください)。

記号の種類 使用可否 備考・注意点
漢字、ひらがな、カタカナ 半角カタカナは使用できません。
英数字 機種依存文字(①②、ⅠⅡ、ⅰⅱ など)は使用できません。
、 。 , . (句読点、カンマ、ピリオド) 文法的に正しい使用に限られます。連続使用や装飾目的での使用は不承認の対象となります。
! (感嘆符) 見出しには使用できません。説明文内でのみ、1つの広告につき1回まで使用可能です。
? / ? (疑問符) 連続使用(例: ??)はできません。
” “ ‘ ‘ (引用符) 語句や名詞を区切る目的でのみ使用可能です。
% & # / : ( ) - $ 一般的な意味の範囲内での使用に限られます。
【 】「 」『 』≪ ≫《 》 全角のみ使用可能です。半角の < > [ ] は使用できません。
¥ ・ 〜 … 全角のみ使用可能です。
® ™ (商標記号) 商標記号としての正しい使用に限られます。
⇒ → ← ↑ ↓ × ユーザーの注意を引くためだけの矢印記号は使用できません。
@ ± × ÷ = ≠ ∞ × これらの数学記号や特殊記号は使用できません。
ギリシャ文字、キリル文字 × ターゲット言語と異なる文字は原則使用できません。
※Yahoo!広告で使用可能な記号については、こちらの記事で詳しく説明しております。

レスポンシブ検索広告 Google広告での設定方法

ここでは、Google広告の管理画面からレスポンシブ検索広告を新規作成する手順を解説します。

まず、Google広告にログインし、対象のキャンペーンを選択します。

Google広告のキャンペーン選択画面

左側のメニューから「広告と広告表示オプション」をクリックし、次に「広告」を選択します。

広告と広告表示オプションの画面

青い「+」ボタンをクリックすると、作成可能な広告フォーマットが表示されますので、「レスポンシブ検索広告」を選択してください。

レスポンシブ検索広告の選択

次に、この広告を追加する「広告グループ」を選択します。適切な広告グループを選んでください。

広告グループの選択画面

広告作成画面に移動したら、各項目を入力していきます。画面右側には広告のプレビューと「広告の有効性」が表示されるので、確認しながら進めましょう。

  • 最終ページURL:広告をクリックしたユーザーが最終的に到達するページのURLです。ランディングページ(LP)のURLを入力します。
  • 表示URL(パス):広告に表示されるURLです。ユーザーが広告の内容を推測しやすくなるように、簡潔なキーワードを設定します。(例: /sale/tokyo)
  • 見出し:最低3つ、最大15個まで登録します。多様な訴求を心がけましょう。
  • 説明文:最低2つ、最大4個まで登録します。見出しで伝えきれなかった詳細や、行動を促す文言を入力します。

広告作成画面の詳細入力

すべてのアセットを入力し、「広告の有効性」が少なくとも「平均的」以上になったことを確認したら、「広告を保存」ボタンをクリックして完了です。

レスポンシブ検索広告 Google広告エディタでの設定方法

複数の広告グループにレスポンシブ検索広告を効率的に追加・編集したい場合は、Google広告エディタの使用が非常に便利です。

まず、Google広告エディタを開き、最新の変更を取得します。

Google広告エディタのメイン画面

左下の管理パネルで、[広告]のツリーを展開し、[レスポンシブ検索広告] を選択します。

エディタでレスポンシブ検索広告を選択

データビューの上部にある[レスポンシブ検索広告を追加] をクリックします。

エディタで広告グループを選択

広告を追加したい広告グループを選択し、[OK] をクリックします。

エディタのデータビュー画面

データビューに新しいレスポンシブ検索広告が追加されるので、それを選択します。すると、右側に編集パネルが表示されます。

エディタの編集パネル
編集パネルでのアセット入力

この編集パネルで、見出し、説明文、最終ページURL、パスなどの各アセットを入力・編集します。Excelなどで作成したアセットリストをコピー&ペーストすることも可能で、大量の広告を管理する際に大幅な時間短縮に繋がります。

編集が完了したら、エディタ上部の「送信」ボタンをクリックして、変更内容をGoogle広告アカウントにアップロードします。

【成果分析の鍵】アセットレポートの徹底活用術

レスポンシブ検索広告の運用において、成果を継続的に改善していくための生命線となるのが「アセットレポート」です。このレポートを正しく読み解き、次のアクションに繋げる方法を解説します。

アセットレポートは、広告グループ単位で、各レスポンシブ検索広告の「アセットの詳細を表示」リンクから確認できます。

このレポートで確認できる主要な指標は以下の通りです。

  • アセット:登録した見出しや説明文のテキストそのものです。
  • アセットタイプ:「見出し」か「説明文」かを示します。
  • ピン留めした位置:アセットを特定の位置に固定している場合に表示されます。
  • 表示回数:そのアセットが含まれた広告がユーザーに表示された回数です。
  • パフォーマンス評価:アセットの成果を評価する指標で、これが最も重要です。
    • 優良(Best):広告グループ内で、他の同タイプのアセットと比較してパフォーマンスが非常に高いことを示します。
    • 良(Good):パフォーマンスが良好であることを示します。
    • 低い(Low):パフォーマンスが低いことを示します。改善(入れ替え)の第一候補となります。
    • 学習中(Learning):評価を下すのに十分なデータ(通常、2週間で5,000回以上の表示回数)がまだ蓄積されていない状態です。
    • 評価保留(Pending):まだ評価が開始されていない状態です。

アセットレポートの戦略的活用法:

  1. 「低い」評価のアセットを特定し、入れ替える:これが最も基本的な改善アクションです。「低い」と評価されたアセットは、ユーザーの反応が悪いか、他のアセットとの組み合わせで効果を発揮できていないものです。これを新しい訴求軸のアセットに入れ替えることで、広告全体のパフォーマンス改善が期待できます。
  2. 表示回数に注目する:評価が「学習中」のままでも、表示回数が極端に少ないアセットは、アルゴリズムによって「使いにくい」と判断されている可能性があります。これも入れ替え候補として検討します。逆に、表示回数が非常に多いアセットは、様々な組み合わせで活用されている「キラーアセット」である可能性が高いです。
  3. 「優良」「良」のアセットから成功要因を分析する:なぜこれらのアセットが高い評価を得ているのかを考察します。特定のキーワードやベネフィットがユーザーに響いているのかもしれません。その成功要因を抽出し、横展開して新しいアセットを作成することで、さらなる改善が見込めます。

このレポートは、機械学習のブラックボックスの中身を垣間見ることができる貴重な情報源です。定期的にチェックし、仮説検証のサイクルを回すことが、レスポンシブ検索広告運用の要諦と言えるでしょう。

レスポンシブ検索広告 まとめ

検索広告の主役が拡張テキスト広告からレスポンシブ検索広告へと完全に移行した今、その仕組みを理解し、使いこなすことは、広告運用者にとって必須のスキルとなりました。もはや、静的な広告文のA/Bテストに固執する時代は終わりを告げ、いかに機械学習と協業し、その能力を最大限に引き出すかという視点が求められています。

レスポンシブ検索広告の本質は、「自動化による効率化」だけではありません。その真価は、「多様なユーザーニーズに対する、きめ細やかなメッセージの最適化」にあります。これを実現するためには、運用者は「質の高い多様なアセット(=食材)を提供するクリエイティビティ」と、「アセットレポートを基に改善サイクルを回す分析力と戦略性」の両方を発揮する必要があります。

最初は、成果の可視化が難しい部分や、コントロールできない部分にもどかしさを感じるかもしれません。しかし、ピン留め機能を戦略的に活用し、アセットのパフォーマンスを粘り強く分析・改善していくことで、レスポンシブ検索広告は必ずやビジネスの成果に貢献する強力な武器となります。自動化の流れは今後も間違いなく加速します。この変化を脅威と捉えるのではなく、自らの手腕を発揮する新たな機会と捉え、効果的な活用法を追求していきましょう。

また、レスポンシブ検索広告のアセットレポートについての解説を下記の記事でしております。

レスポンシブ検索広告(RSA)完全攻略ガイド.成果を最大化する戦略的運用術
2021-12-08 22:11
検索広告の世界は、拡張テキスト広告(ETA)が主流だった時代から大きな変革を遂げました。かつては、限られた広告見出しと説明文の枠内で、地道にA/Bテストを繰り返すのが定石でした。し...

Yahoo!広告でも2021年5月よりレスポンシブ検索広告の機能がリリースされ、デフォルトの入稿フォーマットになりました。

Yahoo!広告 検索広告にもレスポンシブ検索広告(RSA)の機能が追加 2021年5月12日よりリリース
2021-04-26 15:52
2021年5月12日より、Yahoo!検索広告にも、レスポンシブ検索広告の機能が追加されます。 参考: 【検索広告】レスポンシブ検索広告提供開始のお知らせ Yahoo!JAPAN広...

追記: レスポンシブ検索広告で各アセットの効果を測定する方法

前述の通り、レスポンシブ検索広告では「組み合わせ」単位での厳密な成果測定はできません。しかし、より詳細な分析を求める上級者向けに、個々のアセット単位での成果(クリック数やコンバージョン数など)を測定する方法が存在します。

広告代理店のJADE様が、Looker Studio(旧Googleデータポータル)とBigQueryを活用し、レスポンシブ検索広告のアセットごとの詳細なパフォーマンスレポートを自動で作成する方法を公開されています。

Looker Studioのレポート例

この手法は、Google広告のデータをBigQueryにエクスポートし、それをLooker Studioで可視化するというもので、専門的な知識が必要となりますが、標準機能では見ることのできない詳細なデータ分析が可能になります。データドリブンな運用を極めたい方は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。

【Google 広告】RSAのアセット毎データをLooker Studioで自動化する方法を見つけたので共有申し上げます



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