宣伝失礼しました。本編に移ります。
この数日で何が起きたのか――分断を縫い合わせる発表が連鎖しました
9/16→9/18 タイムライン ┌─────────────┬─────────────────────────────┐ │ 9/16 │ HubSpotを用いた「ビジネス エクスペリエンス コア」受付開始 │ ├─────────────┼─────────────────────────────┤ │ 9/16 │ ∞AI LPがGPT-5搭載で大幅アップデート(LP改善案を約10分で生成) │ ├─────────────┼─────────────────────────────┤ │ 9/16 │ DealAgentがSlack連携でリアルタイム検知・即応を強化 │ ├─────────────┼─────────────────────────────┤ │ 9/17 │ TikTok×Pontaが購買データ活用型の配信・分析サービスを開始 │ ├─────────────┼─────────────────────────────┤ │ 9/16-17 │ Adobe「LLM Optimizer」発表(AI検索上の露出を可視化・最適化) │ └─────────────┴─────────────────────────────┘
直近の数日間、マーケティング実務の分断をつなぎ直すニュースが立て続けに発表されました。オンライン行動データとリアル接点の紐づけ、LP制作の自動最適化、サイト上の顧客シグナルの即時検知と連携、SNS広告での購買データ活用、そして生成AI時代の「AI検索」上でのブランド露出最適化まで、点と点が線になりました。いずれも単独で導入効果が見込めるソリューションですが、真価は相互接続にあります。本稿では、それぞれの要点を実務視点で噛み砕き、組み合わせた時に現場で何が変わるのかを具体的に描き出します。
HubSpotを核にリアル接点まで統合する――「ビジネス エクスペリエンス コア」の衝撃
オンライン行動 → 来店・イベント体験 → 再デジタル接点 [Web/広告/メール] → [予約QR/自動チェックイン/端末で顧客確認/接客ログ] → [CRM反映/配信・分析] └────────────HubSpot CRM────────────┘
ソニーネットワークコミュニケーションズとJBNによる「ビジネス エクスペリエンス コア」は、HubSpot上に来店予約、受付用QR発行、自動チェックイン、顧客情報の端末提示、接客後フォロー(アンケート・メール配信)までを一気通貫で構築します。オンラインで蓄積した閲覧履歴や反応スコアを、店舗・展示会・セミナーといったリアル接点に持ち込み、個別の意図に合わせた体験へ落とし込む。接客で得た一次データは即CRMへ戻し、次回の配信やクリエイティブ、優先度付けの最適化に反映されます。従来の「オンラインとオフラインは別運用」という前提を崩し、ひとりの顧客の文脈を往復でつなぐアーキテクチャが、現場の再現性ある成果を後押しします。加えて、主要SNS運用支援やLP制作のアクセシビリティ配慮まで視野に入れている点は、導入初期から成果創出までの距離を短くします。
LP制作は“日単位”から“分単位”へ――GPT-5搭載「∞AI LP」が作るスピードの新基準
比較分析 → 改善案同時生成 → デザイン/コード/画像 → 納品 ┌────────┬───────────┬──────────────┬──────┐ │ 自社×競合 │ FV/訴求/FAQ等 │ UI案/HTML/CSS/画像 │ 約10分 │ └────────┴───────────┴──────────────┴──────┘
電通デジタルとDLPOの「∞AI LP」アップデートは、最新のGPT-5を実装し、LPの比較分析から複数の改善案生成までを約10分で完了させます。テキストの修正提案にとどまらず、デザイン案やコード、使用画像の生成までを一気通貫で提示するため、合意形成と具体化が同時に進みます。金融・不動産・通信・保険などの導入実績では、CVRが大幅に改善した事例が示され、制作・納品のリードタイムも削減されています。人の経験知とAIの網羅性を重ね、ABテストの回転数を飛躍的に増やせる点は、限られた制作リソースで利益を最大化したい現場に直結します。最重要なのは、改善サイクルの起点が「すぐに試せる具体案」になることです。抽象的な示唆ではなく、今日アップデート可能なファイルとして提示されるため、意思決定の速度が変わります。
顧客シグナルはSlackに流し込め――DealAgent×Slackで“いま”に対応するチームへ
サイト行動/対話/資料DL → Slack通知 → 即時アプローチ [閲覧/フォーム前後/AIチャット/資料アクセス] → [チャンネル/担当者メンション] → [電話/DM/メール/再提案] └─個人レベルの意図データ(同意取得の上)─┘
マツリカのマーケティングAIエージェント「DealAgent」はSlack連携により、フォーム送信の前後やAIチャットでの質問、資料アクセスなどの行動をリアルタイムで検知し、チームに即時通知します。熱量が高いタイミングで関心ごとに合致した一言を返せることは、転換率に直接効きます。さらにファーストパーティのインテントデータを個人単位で取得・検知し、透明性の高い同意プロセスに基づき運用できることも重要です。MAやCMSのログを「事後に見る」運用から、「同じ画面に流れてくる」運用へ。意思決定の単位時間が短くなるほど機会損失は減り、体験の連続性も高まります。AIエージェントをチームの一員として定着させる思想は、のちほど触れる組織設計の変化とも響き合います。
購買データという“実弾”をSNS広告へ――Ponta×TikTokで配信と効果測定がつながる
Ponta購買/ライフスタイル → セグメント生成 → TikTok配信 → 購買分析/ブランドリフト [店舗レシート/会員属性] → [購入者類似/カテゴリ購買] → [動画広告/リーチ/最適化] → [実店舗/ECの寄与可視化] └──────────────一定条件でデータ利用費負担キャンペーン期間──────────────┘
ロイヤリティマーケティングのPontaデータをTikTok広告に活用する取り組みが始まり、購買やライフスタイルに基づくセグメントで配信し、その後の購買寄与やブランドリフトまで可視化できる枠組みが整いました。SNS側の行動・属性データに、オフラインの一次購買データという「重い事実」を重ねることで、配信の精度と検証の説得力が同時に高まります。さらに一定条件下ではデータ利用費が免除される告知もなされ、試行の障壁が下がっています。クッキー規制やトラッキング制限の進行下で、ファーストパーティデータを中核にしたターゲティングと計測は、広告運用の新たな標準です。店舗売上や実購買への効き目まで一本の線で語れることは、現場の合意形成を一変させます。
検索は“AIの回答面”へ――Adobe「LLM Optimizer」で露出と根拠を同時に制御する
AI検索/チャットの回答面 → 可視化 → 競合比較 → 改善レコメンド [Chat/AIブラウザ] → [どの自社情報が根拠になったか特定] → [クエリ別の露出度比較] → [自社/外部チャネルの改善指示]
生成AI搭載のブラウザやチャットが普及するいま、顧客は検索リンクではなくAIの一言で意思決定を進めます。Adobeの「LLM Optimizer」は、AIが参照した自社のどのページやFAQが回答の根拠に使われたかを可視化し、競合と並べた露出度をクエリ単位で比較します。さらに自社サイトやFAQ、外部のナレッジベースや百科事典といったチャネル別に、露出ギャップを埋める実行レコメンドを提示します。従来のSEOは「人の検索行動」を対象に最適化してきましたが、これからは「AIの参照行動」に対する最適化も不可欠です。AIに“正しく引用させる準備”を日次で回す運用へ切り替えることが、ブランド想起と発見を左右します。
AIはチームの“同僚”になる――博報堂「CX AI STUDIO」が示す運用の重心移動
組織設計図 顧客視点のCX構想 ─→ 接点統合・データ連携 ─→ 施策実装 ↑ │ EX(業務プロセス/導入定着) ←─── AIチームメイト
「AIエージェントを現場の同僚として扱う」前提に立つと、戦略と実装、CXとEXの断絶が縮みます。博報堂の「CX AI STUDIO」は、顧客視点の戦略・設計と、現場の業務プロセス変革やAI導入定着をワンチームで支援する姿勢を明確にしました。重要なのは、AIの導入を「単独プロジェクト」ではなく、組織の働き方の一部として位置づけることです。LP制作やチャネル運用、顧客応対、レポーティングといった日々の反復作業をAIが担い、人は仮説と品質保証に集中する。こうした分担が定着すると、施策の質が揺れにくくなり、成果までの時間が短縮されます。
分断のない体験を設計する――現場実装の青写真
青写真(エンタープライズ/ミッドマーケット共通) データ層:CDP/CRM(HubSpot等)── 行動/属性/購買/接客ログ 接点層:Web/アプリ/広告/SNS/店頭/イベント ── 予約/チェックイン/端末接客 自動化:MA/配信/オファー ── LP自動改善(∞AI LP) 即応層:AI×Slack通知(DealAgent) ── 営業・CSアクション 評価層:可視化(購買寄与/ブランドリフト) ── TikTok×Ponta 発見層:AI検索露出の監視・最適化 ── LLM Optimizer
まずはHubSpotなどのCRM/CDPを中心に、予約やチェックイン、接客端末ログまで一次データの連関を設計します。次に、LPの自動改善を既存の制作フローへ組み込み、チャネル別の仮説検証を分単位で回します。同時に、サイト行動や対話のシグナルをSlackに流し込み、営業・CSが即応できる導線を整えます。SNS広告はファーストパーティの購買データと統合し、到達の良し悪しではなく購買寄与で評価します。最後に、AI検索面での露出監視と改善を日常運用に組み込み、オウンドと外部ナレッジをセットで整備します。この一連の流れを週次から日次に圧縮できれば、体験の“途切れ”がなくなります。
クリエイティブの再定義――人の感性とAIの網羅性を重ねる
役割分担のイメージ(ボリュームは相対) 人間:洞察/価値命題/最終表現の品位 ███████████████ AI:パターン探索/生成/差分提案 █████████████████████████ ハイブリッド:検証/解釈/安全性 █████████████
生成AIは、要素の列挙・比較・差分出し・構図バリエーションといった網羅作業に強みがあります。一方で、何を伝えるのかという「価値命題」や、ブランドらしさの最終表現、倫理や文脈の繊細な判断は人が担うべき領域です。∞AI LPのようにファイル一式で提案が返ってくる環境では、レビューと品質保証の“筋力”が競争力になります。レビュー観点をパターン化し、NG要素やブランドガイドの自動検証を併用することで、人の審美眼を増幅できます。クリエイティブは「名人芸」で閉じず、再現性のある工程として設計する段階に入りました。
プライバシーと信頼を起点に――同意と透明性で“長く効く”データ運用へ
信頼の循環 明示的同意 → 取得(最小化) → 利用(目的限定) → 可視化/管理(撤回容易) → 価値還元
DealAgentが掲げるように、個人レベルのインテントデータを扱う際は、透明性の高い同意の取得と、利用目的の限定、撤回の容易さが不可欠です。Ponta×TikTokのような購買データ活用でも、活用期間や条件を明確に示すアプローチは、生活者と企業の信頼関係を維持する上で重要です。データ最小化の原則を守りつつ、価値還元を具体的に提示すること。例えば、より適切な在庫・価格・来店導線の最適化など、生活者に直結する利得を“見える化”することで、長期的な受容度は高まります。生成AI時代のブランド露出最適化においても、オウンド情報の正確性と鮮度を担保し、AIに“正しく引用させる”責務が生じています。
実装ロードマップ――90日で「分断のない体験」を形にする
0-30日:基盤準備 CRM接続/予約・チェックイン設計/LP自動改善の試行/Slack通知の基本導線 30-60日:回転数を上げる チャネル別のLP差分運用/通知の優先度設計/営業・CSの即応プレイブック整備 60-90日:測定と拡張 購買寄与の可視化導入/AI検索露出の監視運用/外部ナレッジの整備と連携
最初の30日で、データの往復導線を最短距離で引きます。次の30日で、LP差分の回転数とSlack即応の運用精度を上げます。最後の30日で、購買寄与やブランドリフトの可視化、AI検索露出の監視を加えます。ポイントは、各工程を“回せる最小単位”で定義し、人とAIの役割を固定化してしまわないことです。現場の学習に応じて分担を再編し続ける柔軟性が、速度と品質の両立につながります。
現場はこう変わる――体験の連続性が当たり前になる
体験の連続性(Before/After) Before:Webで興味 → 店頭でゼロから説明 → 追客は一斉配信 After :Webの文脈で来店 → 端末で文脈確認 → その場で最適提案 → フォローも文脈継続
来店前の関心と店頭の会話がつながり、会話で生まれた関心が次回のメールやLPの差分へ直結する。広告は“誰に当たったか”ではなく“購買にどう効いたか”で評価され、検索は“リンクに載るか”ではなく“AIの答えでどう語られたか”で管理する。こうして体験の連続性が当たり前になると、説明の重複やフォローの手戻りが消え、顧客も担当者も“本当に話すべきこと”に時間を割けます。結果として、体験の品位と業務の速度が同時に上がります。
いま動くべき理由――この数日のニュースは“偶然の同時”ではありません
変化の3要因 ① 生成AIの一般化(制作/自動化/検索回答) ② トラッキング制限とファーストパーティ回帰 ③ 現場の即応ニーズ(Slack等の業務導線への統合)
制作や分析の速度を上げる技術、トラッキング制限で求められるファーストパーティ運用、そして現場の即応が日常化した働き方。三つの圧力が同時に高まった結果、今回のニュース群は“同時に”出てきました。つまり導入の順番で迷って立ち止まるより、つながる導線を最小構成で引き、回しながら拡張する方が合理的です。先に全体像を描き、回す順番を決め、戻りやすく作っておく。それがこのタイミングでの勝ち筋です。
参考リンク
参考記事一覧 ・「HubSpot」を活用して顧客体験を最大化する「ビジネス エクスペリエンス コア」提供 https://webtan.impress.co.jp/n/2025/09/17/50070 ・電通デジタルとDLPOが「∞AI LP」アップデート、GPT-5搭載、LP改善案を10分で作成 https://webtan.impress.co.jp/n/2025/09/17/50069 ・マツリカがマーケティングAI「ディールエージェント」とSlack連携、顧客行動を即時把握 https://webtan.impress.co.jp/n/2025/09/17/50071 ・「TikTok広告」でPontaデータを活用した多彩なターゲティング配信・分析サービス提供 https://webtan.impress.co.jp/n/2025/09/18/50081 参考プレス:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000835.000004376.html ・アドビが生成AI時代で変わるブランド戦略の最適化サービス「LLM Optimizer」発表 https://webtan.impress.co.jp/n/2025/09/18/50078
以上の各発表は、単体の導入でも即効性がありますが、つなげたときの“増幅”こそが真価です。顧客の文脈を切らさず、制作と運用の回転数を上げ、購買という最終事実で検証し、AIの回答面でも正しく語られる。数日でそろったこのピースを、貴社の地図の上でつなぎ合わせていただければと存じます。
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