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Web広告を出稿した後、その投資が適切であったか、費用対効果は妥当であったかという検証は、広告運用において不可欠なプロセスです。コンバージョン数やCPA(顧客獲得単価)といった集計データは、全体のパフォーマンスを把握する上で非常に重要な指標となります。しかし、その数字の裏側で、ユーザー一人ひとりがどのような思考を持ち、どのような行動を経てコンバージョンに至ったのか、あるいは至らなかったのか、その具体的な道のりまでを把握することは、集計データだけを眺めていても困難を極めます。例えば、「CPAは目標範囲内だが、なぜこの広告クリエイティブ経由のユーザーがコンバージョンしたのか、その具体的な要因が分からない」「広告のランディングページに誘導した後、ユーザーが期待通りの行動をとってくれているのか確信が持てない」といった、より解像度の高い問いに直面することも少なくないでしょう。全体の傾向や平均値の裏に隠された、個々のユーザーの真実の行動を理解したい。その専門的かつ具体的な要求に応える強力なツールが、Googleアナリティクス4(GA4)に標準搭載されている「ユーザーエクスプローラ」機能です。

この機能を用いることで、これまで「集団」としてしか捉えられなかったユーザーを、「個人」のレベルで深く理解することが可能になります。サイト内での一つ一つのクリック、ページの遷移、滞在時間といった行動のすべてを時系列で可視化し、コンバージョンに至るまでの成功の道のりや、離脱に至った失敗の原因を、まるでユーザーの肩越しに画面を覗き込むかのように詳細に追跡できます。この記事では、GA4のユーザーエクスプローラの基本的な概念から、具体的な操作方法、そして広告効果の最大化とWebサイト改善に直結する高度な分析シナリオまで、体系的かつ実践的に解説いたします。ぜひ最後までお読みいただき、データに基づいたより精度の高い意思決定にお役立てください。

 

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ユーザーエクスプローラとは?

ユーザーエクスプローラとは、GA4に標準で備わっている「探索」レポート機能群の一つであり、Webサイトやアプリを訪れたユーザー一人ひとりの行動データを、個別のタイムライン形式で詳細に分析するためのツールです。一般的なレポートがユーザー全体を「集計」したデータを表示するのに対し、ユーザーエクスプローラは個々のユーザーに焦点を当て、その行動を「分解」して可視化する点に最大の特徴があります。具体的には、特定のユーザーがどの広告キャンペーンを経由してサイトを初めて訪れ、どのページをどのような順番で閲覧し、どのボタンをクリックしたか、といった一連のインタラクションを、イベント単位で時系列に沿って追跡することが可能です。この機能は、GA4プロパティにデータを送信しているすべてのWebサイトやアプリで利用でき、特別な設定を追加することなく、すぐに分析を開始することができます。広告運用者やWebサイト改善担当者にとって、集計データだけでは決して見えてこない「なぜ?」を解き明かすための、強力な顕微鏡のような存在であると言えるでしょう。

GA4におけるユーザーエクスプローラの重要な位置づけ

GA4のレポート機能は、大きく分けて「レポート」セクションと「探索」セクションに分類されます。「レポート」セクションは、定型的な指標をモニタリングするためのダッシュボード的な役割を担います。一方で「探索」セクションは、より能動的にデータを深掘りし、独自の視点で分析を行うための、いわば分析官のための作業台です。ユーザーエクスプローラは、この「探索」機能群の中に位置づけられています。これは、ユーザーエクスプローラが単にデータを閲覧するための機能ではなく、仮説を立て、特定のユーザー群を抽出し、その行動を詳細に検証するという、一連の分析プロセスを能動的に実行するためのツールであることを意味しています。例えば、「目標到達プロセスデータ探索」レポートで特定された離脱ユーザー群をセグメントとして保存し、そのセグメントをユーザーエクスプローラで読み込むことで、「なぜ彼らはそのステップで離脱したのか?」という問いに対して、個々のユーザーの具体的な行動から答えを探ることが可能になります。このように、他の探索レポートと連携させることで、その価値はさらに飛躍的に高まります。

ユーザー識別の仕組み:クライアントIDとUser-ID

ユーザーエクスプローラが「個々のユーザー」をどのように識別しているのか、その技術的な背景を理解することは、分析の精度を高める上で極めて重要です。GA4では、主に二つの識別子を用いてユーザーを追跡しています。

クライアントID(Client ID)

一つ目は「クライアントID」です。これは、ユーザーが初めてWebサイトにアクセスした際に、GA4がブラウザのCookieに自動的に保存する一意の識別子です。このIDはデバイスのブラウザ単位で生成されるため、例えば同じユーザーが会社のデスクトップPCと個人のスマートフォンでサイトにアクセスした場合、GA4はこれらを「2人の異なるユーザー」として認識します。クライアントIDは、特別な設定なしで自動的に機能するため手軽ですが、ユーザーがブラウザのCookieを削除したり、異なるデバイスやブラウザを使用したりすると、追跡が途切れてしまうという限界があります。ユーザーエクスプローラで表示される「アプリ インスタンス ID」は、このクライアントIDに基づいています。

User-ID

二つ目は「User-ID」です。こちらは、サイト側が会員登録やログインといった機能を通じて独自に発行・管理する、ユーザーを恒久的に識別するためのIDです。サイトの会員IDなどをGA4のトラッキングコードに設定することで、GA4はデバイスやブラウザが異なっても、同じUser-IDを持つユーザーの行動を「同一ユーザー」として統合して記録します。これにより、例えばユーザーが通勤中にスマートフォンで広告を見て商品をカートに入れ、帰宅後にデスクトップPCで決済を完了した場合でも、その一連の行動を分断することなく追跡する「クロスデバイス分析」が可能になります。User-IDを実装するには、サイト側での開発が必要となりますが、ユーザー行動の全体像をより正確に把握するためには、極めて有効な手段です。User-IDを設定している場合、ユーザーエクスプローラではクライアントIDベースの行動とUser-IDベースの行動の両方を分析することができます。

またGoogleアナリティクスについては別の記事で詳しく紹介していますので、ぜひこちらの記事もご確認ください。

Googleアナリティクス(GA4)完全マスターガイド:広告成果を最大化するデータ分析の思考法と実践マニュアル

ユーザーエクスプローラでできること

ユーザーエクスプローラを活用することで、単なるアクセス解析のレベルを超え、広告戦略やサイト改善に直結する具体的なインサイトを得ることができます。ここでは、ユーザーエクスプローラが具体的にどのような分析を可能にするのかを詳しく解説します。

ユーザーの動きを調査できる

ユーザーエクスプローラの最も基本的な機能は、前述の通り、Cookie情報(クライアントID)やUser-IDを基にした個々のユーザーの行動記録を詳細に表示することです。この記録には、ユーザーがサイトにアクセスした日時、流入元(例:特定のGoogle広告キャンペーン)、閲覧したページのURL、各ページでの滞在時間、クリックしたボタン、再生した動画、ダウンロードしたファイルなど、あらゆるインタラクションがタイムスタンプ付きで記録されています。これにより、特にコンバージョンに至ったユーザーが、どのような情報収集を行い、どのような比較検討を経て、最終的な意思決定に至ったのか、その一連の行動と思考のプロセスを手に取るように理解することが可能です。例えば、「広告Aから流入したユーザーは製品特徴ページを熟読した後に購入しているが、広告Bから流入したユーザーは導入事例ページを閲覧した後に購入している」といった、広告クリエイティブや訴求内容によるユーザー行動の違いをミクロな視点で発見することができます。また、意図的に特定の行動パターン(例:特定の製品ページを閲覧したが購入しなかったユーザー)を示したユーザー群を抽出し、その行動を深く分析することで、新たな施策のヒントを見つけ出すこともできます。

サイト運営の改善に役立てられる!

ユーザーの行動を個別に調査・分析するプロセスは、最終的に自社WebサイトのUI/UX改善やコンバージョン率の向上に直接的に貢献します。コンバージョンに至った優良顧客の行動に共通するパターンを見つけ出し、そのパターンを他のユーザーも辿りやすくなるようにサイトの導線を最適化することは、非常に効果的な改善アプローチです。例えば、高額商品を購入したユーザーの多くが、「製品詳細ページ」→「機能比較ページ」→「導入事例ページ」→「よくある質問ページ」という順序でページを閲覧していることが判明したとします。この場合、「製品詳細ページ」内に「機能比較ページ」や「導入事例ページ」への明確なリンクを設置することで、他のユーザーもこの成功パターンを辿りやすくなり、結果としてサイト全体のコンバージョン率向上に繋がる可能性があります。また、逆にコンバージョンに至らなかったユーザーの行動を分析することで、サイトが抱える問題点やユーザーの「つまずきの石」を特定することも可能です。例えば、申し込みフォームの入力ページで多くのユーザーが何度もページを再読み込みしたり、短い時間で行き来を繰り返したりしている場合、そのフォームの入力項目が分かりにくい、あるいは技術的なエラーが発生している可能性が疑われます。このように、ユーザーエクスプローラは、サイト改善のための具体的な仮説を発見するための、アイデアの宝庫となり得るのです。

GA4で新たに登場した探索機能

GA4への移行に伴い、ユーザーエクスプローラの機能性と位置づけは大きく進化しました。以前のバージョンであるユニバーサルアナリティクス(UA)でもユーザーエクスプローラ機能は存在していましたが、その利用方法と分析の自由度は限定的でした。2023年7月1日にUAのデータ計測が原則として終了し、GA4への完全移行が必須となった現在、この新しい「探索」機能の概念を理解することは、GA4を最大限に活用する上で不可欠です。UAからGA4へのデータ引継ぎは行えないため、過去のデータとの比較はできませんが、GA4のユーザーエクスプローラはそれを補って余りあるほどの強力な分析能力を備えています。

UAでは、「ユーザー」セクションの中に固定のレポートとしてユーザーエクスプローラが存在していましたが、GA4では前述の通り、より能動的な分析を行うための「探索」セクションに統合されました。一見すると階層が深くなり、どこにあるか分かりにくくなったと感じるかもしれませんが、これは機能の後退ではなく、むしろ大きな進化です。GA4の「探索」機能は、分析者が「見たいデータを、見たい形式で、自由自在に」組み合わせて分析レポートを作成できる、高度にカスタマイズ可能なツール群です。UAのユーザーエクスプローラは、表示される項目や形式があらかじめ決まっており、データをより深く分析するためには、レポートをエクスポートして表計算ソフトなどで二次加工する必要がありました。しかし、GA4のユーザーエクスプローラでは、テンプレートを選択した後、分析の軸となる「ディメンション」や評価したい数値である「指標」、そして分析対象を絞り込む「セグメント」や「フィルタ」を、すべて同じ画面内で直感的に組み合わせることが可能です。これにより、レポート作成から分析までの一連のプロセスが、GA4の画面内でシームレスに完結するようになり、分析効率が飛躍的に向上しました。

UA版ユーザーエクスプローラとの3つの決定的違い

GA4への移行は単なるインターフェースの変更ではありません。データの計測思想そのものが根本的に刷新されており、それに伴いユーザーエクスプローラの能力も格段に向上しています。ここでは、UA版と比較した際のGA4版ユーザーエクスプローラの決定的な違いを3つのポイントで解説します。

違い1:計測モデルの根本的変革(セッションからイベントへ)

UAのデータ計測は「セッション(訪問)」という概念が中心でした。一連のページビューやクリックは「セッション」という箱にまとめられ、分析もセッション単位で行われることが基本でした。これに対し、GA4では「すべてのインタラクションはイベントである」という思想に基づき、データが計測されます。ページビューはもちろん、ファイルのダウンロード、動画の再生、フォームの送信、特定要素のクリックなど、ユーザーが行うあらゆる行動が個別の「イベント」として記録されます。この変革により、ユーザーエクスプローラで追跡できる行動の粒度が飛躍的に細かくなりました。UAでは追跡が難しかった「ページ遷移を伴わない行動」も正確に捉えられるため、「ユーザーがページのどの部分までスクロールしたか(scrollイベント)」や「どの外部リンクをクリックしたか(clickイベント)」といった、より詳細なエンゲージメントを時系列で分析することが可能になっています。

違い2:分析の自由度と柔軟性の飛躍的向上

前述の通り、UAのユーザーエクスプローラは固定フォーマットのレポートでした。分析対象とするユーザーの条件を変更するには、レポートの外でセグメントを作成し、適用する必要があり、分析の切り口(ディメンション)を追加することも限定的でした。一方、GA4のユーザーエクスプローラは「探索」機能の一部として、ディメンション、指標、セグメントを同じ画面内で自由にドラッグ&ドロップで組み合わせることができます。例えば、「特定の広告キャンペーンから流入した、スマートフォンユーザー」というセグメントをその場で作成し、分析軸として「市区町村」や「ランディングページ」を追加し、評価指標として「エンゲージメント時間」や「コンバージョン数」を設定するといった一連の操作が、数クリックで完結します。この圧倒的な柔軟性により、分析者の思考を妨げることなく、次々と湧き上がる仮説をその場で検証していく、スピーディーでインタラクティブな分析が実現します。

違い3:BigQueryとの連携による分析の拡張性

GA4の大きなメリットの一つに、無料でBigQuery(Google Cloudが提供するデータウェアハウス)へローデータをエクスポートできる機能があります。ユーザーエクスプローラを含むGA4の管理画面上で保持されるデータは、最長でも14ヶ月という制限がありますが、BigQueryにデータをエクスポートしておくことで、この期間を超えた長期的なユーザー行動分析が可能になります。さらに、BigQuery上では、GA4のデータと、自社が保有する顧客管理システム(CRM)のデータや販売データなどを統合して分析することも可能です。例えば、「LTV(顧客生涯価値)が高い特定の顧客群が、Webサイト上でどのような行動特性を持っているか」といった、ビジネスの根幹に関わるような高度な分析も、BigQuery連携によって実現可能になります。これはUAの無料版では提供されていなかった、非常に強力な機能です。

ユーザーエクスプローラの使用方法

それでは、実際にGA4の管理画面でユーザーエクスプローラをどのように使用するのか、具体的な手順をステップバイステップで詳しく解説します。

ステップ1:Googleアナリティクスのページを開き「探索」へ

まず、GA4のプロパティにログインし、画面左側のナビゲーションメニューから「探索」をクリックします。すると、新しい探索レポートを作成するための画面が表示されます。ここには、「空白」から始める方法の他に、「目標到達プロセスデータ探索」や「経路データ探索」など、分析目的に応じた様々なテンプレートが用意されています。これらのテンプレートを活用することで、効率的に分析を開始することができます。

ステップ2:「ユーザーエクスプローラ」テンプレートを選択する

テンプレートの一覧を右にスライドしていくと、「ユーザーエクスプローラ」という名称のテンプレートが見つかります。このテンプレートのボックスをクリックしてください。すると、ユーザーエクスプローラ専用のレポート作成画面が表示されます。画面は大きく分けて、左側の「変数」カラムと、右側の「タブの設定」カラム、そして中央から右側にかけて広がるレポート表示エリアの3つで構成されています。

ステップ3:レポートの構成要素を理解し、項目を選択・設定する

レポート作成画面の操作に慣れることが、ユーザーエクスプローラを使いこなす鍵となります。左側の「変数」と「タブの設定」の各エリアの役割を理解しましょう。

各エリアの用語解説

  • セグメント: 分析対象とするユーザーやセッション、イベントを特定の条件で絞り込むためのフィルターです。例えば、「特定の広告キャンペーンから流入したユーザー」や「商品を購入したセッション」といった条件でデータ全体から一部分を切り出すことができます。
  • ディメンション: 分析の「切り口」となる項目です。例えば、「国」「市区町村」「性別」「年齢」「参照元/メディア」「ページのタイトル」などがこれにあたります。ユーザーの属性や行動の背景を理解するために使用します。
  • 指標: 分析で評価したい「数値」データです。例えば、「アクティブユーザー数」「セッション数」「エンゲージメント率」「コンバージョン数」「イベント数」などがこれにあたります。ディメンションで切り分けたデータが、どの程度の量や割合なのかを定量的に評価します。

設定方法

各エリアの右上にある「+」ボタンをクリックすることで、利用可能なセグメント、ディメンション、指標をライブラリから選択し、左側の「変数」エリアに追加することができます。追加した項目は、「タブの設定」エリアにドラッグ&ドロップすることで、実際のレポートに適用されます。例えば、分析したいディメンション(例:「デバイス カテゴリ」)を「変数」エリアに追加し、それを「タブの設定」エリアの「ディメンション」ボックスにドラッグすると、レポートにデバイスカテゴリごとのデータが表示されるようになります。

ステップ4:個々のユーザーの行動履歴を読み解く

セグメントやフィルタで分析対象を絞り込むと、レポートの中央エリアに条件に合致したユーザーのリストが「アプリ インスタンス ID」ごとに表示されます。このリストから任意のユーザーIDをクリックすると、そのユーザーの詳細な行動履歴がタイムライン形式で表示されます。このタイムラインには、発生したすべてのイベントが時系列で並んでおり、各イベントの左側にある矢印をクリックすると、そのイベントに関する詳細なパラメータ(例:page_viewイベントであれば、ページのURLやタイトルなど)を確認することができます。このタイムラインを丁寧に読み解くことで、ユーザーの具体的な行動と思考のプロセスを深く理解することが可能になります。

サイト改善に繋がる5つの具体的な活用シナリオ

ユーザーエクスプローラの基本的な使い方を理解しただけでは、宝の持ち腐れとなってしまいます。重要なのは、このツールを使ってどのような分析を行い、それをいかにして具体的なサイト改善や広告効果の向上に結びつけるかです。ここでは、実践的な5つの活用シナリオを、具体的な手順と共に紹介します。

シナリオ1:コンバージョンユーザーの「ゴールデンパス」を発見する

「ゴールデンパス」とは、ユーザーがコンバージョンに至るまでに辿る、最も理想的で効果的な行動経路のことです。この経路を発見し、他のユーザーもその経路上をスムーズに進めるようにサイトを改善することで、全体のコンバージョン率向上が期待できます。

分析手順

  1. セグメント作成: まず、「コンバージョンに至ったユーザー」のセグメントを作成します。「変数」エリアの「セグメント」で「+」をクリックし、「ユーザーセグメント」を選択します。条件として「イベント」を選び、「purchase」や「generate_lead」など、自サイトのコンバージョンイベントを指定します。セグメント名を「CVユーザー」などと付けて保存します。
  2. セグメント適用: 作成した「CVユーザー」セグメントを「タブの設定」エリアにドラッグ&ドロップして適用します。
  3. 行動履歴の分析: 表示されたCVユーザーのリストから、複数のユーザーの行動履歴を詳細に確認します。特に、初回訪問からコンバージョンに至るまでのイベントの順序に着目し、多くのユーザーに共通して閲覧されているページやコンテンツのパターンを探します。例えば、「広告LP → 製品A詳細ページ → 機能比較ページ → 導入事例 → 購入完了」という共通経路が見つかるかもしれません。
  4. 改善アクション: 発見したゴールデンパスを基に、サイトの導線を最適化します。「製品A詳細ページ」に「機能比較ページ」や「導入事例」への目立つリンクを設置するなど、ユーザーが迷わずに成功経路を辿れるような改善策を実施します。

シナリオ2:カート放棄・フォーム離脱ユーザーの「つまずきの石」を特定する

ECサイトにおけるカート放棄や、BtoBサイトにおける入力フォームからの離脱は、コンバージョンを妨げる大きな要因です。ユーザーエクスプローラを使えば、離脱のまさにその瞬間にユーザーが何をしていたのかを特定し、原因を究明することができます。

分析手順

  1. セグメント作成: 「カートに商品を追加したが、購入はしなかったセッション」のセグメントを作成します。「セッションセグメント」を選択し、条件として「イベント『add_to_cart』を1回以上含む」かつ、「イベント『purchase』を0回含む」と設定します。
  2. 行動履歴の分析: 作成したセグメントを適用し、表示されたユーザーの行動履歴を分析します。特に、最後のイベントや離脱直前の行動に注目します。例えば、「送料・手数料のページを閲覧した直後に離脱している」「特定の入力項目で何度もエラーイベントが発生している」「個人情報保護方針のページへ遷移したまま戻ってこない」といった、具体的な離脱原因が見つかる可能性があります。
  3. 改善アクション: 特定した「つまずきの石」を取り除く改善策を実施します。送料体系を分かりやすく表示する、フォームの入力補助機能を強化する、エラーメッセージを具体的にするなど、ユーザーがストレスなく次のステップに進めるようにUI/UXを改善します。

シナリオ3:特徴的な行動からサイトの潜在的な課題を発見する

コンバージョンに直接関わらないユーザーの行動の中にも、サイト改善のヒントは隠されています。特定のページ間を何度も行き来したり、サイト内検索を多用したりするユーザーの行動は、サイトの情報構造やナビゲーションが分かりにくいことのサインかもしれません。

分析手順

  1. セグメント作成: 例えば、「サイト内検索を3回以上行ったセッション」や、「特定の2ページ間(例:製品Aと製品B)を5回以上行き来したセッション」といった特徴的な行動を条件にセグメントを作成します。
  2. 行動履歴の分析: これらのユーザーが、どのようなキーワードで検索しているか、どのページ間で迷っているかを具体的に確認します。サイト内検索で入力されたキーワードは、ユーザーが求めているにも関わらず、サイト内で見つけにくい情報を示唆しています。
  3. 改善アクション: ユーザーが検索している情報への導線を分かりやすい場所に設置したり、製品比較ページを作成して1ページで情報が完結するようにしたりと、ユーザーが目的の情報を簡単に見つけられるようにサイト構造を改善します。

シナリオ4:広告LPのミスマッチを特定し、費用対効果を改善する

広告をクリックしてランディングページ(LP)に訪れたユーザーが、すぐに離脱してしまう場合、広告の訴求内容とLPのコンテンツにミスマッチが生じている可能性があります。ユーザーエクスプローラを使えば、このミスマッチを個々のユーザーレベルで検証できます。

分析手順

  1. セグメント作成: 「特定の広告キャンペーン(例:Campaign_A)から流入したセッション」のセグメントを作成します。ディメンション「セッションのキャンペーン」を使用します。
  2. 行動履歴の分析: セグメントを適用し、ユーザーのLP到着後の行動を分析します。特に、LPに数秒しか滞在せずに離脱している(直帰)ユーザーや、LPからサイトのトップページや全く関係のないページに移動しているユーザーの割合を確認します。
  3. 改善アクション: ミスマッチが疑われる場合、広告のターゲティング、広告文、バナークリエイティブと、LPのファーストビューで訴求しているメッセージに一貫性があるかを見直します。ユーザーが広告から期待した情報が、LPですぐに見つけられるようにコンテンツを改善します。

シナリオ5:Webサイトの技術的な問題や不具合を発見する

ユーザーエクスプローラは、サイトの技術的な問題をユーザー視点で発見するためのデバッグツールとしても活用できます。

分析手順

  1. フィルタ適用: ユーザーリスト全体に対して、フィルタ機能を使って「イベント名 に『error』を含む」といった条件を設定します。これにより、何らかのエラーを経験したユーザーを抽出できます。
  2. 行動履歴の分析: 抽出されたユーザーが、どのページで、どのような操作をした際にエラーが発生しているのかをタイムラインから特定します。ページの表示速度が極端に遅いことが原因で、ユーザーが何度も再読み込みをしているような行動も、問題の兆候として捉えることができます。
  3. 改善アクション: 発見した不具合の再現手順(どのページのどのボタンを押したかなど)を具体的な情報として開発チームに共有し、迅速な修正を依頼します。これにより、機会損失を防ぎ、ユーザー体験を向上させることができます。

利用上の注意点と制限事項

ユーザーエクスプローラは非常に強力なツールですが、利用にあたってはいくつかの注意点と制限事項を理解しておく必要があります。これらを把握しておくことで、より正確で適切な分析を行うことができます。

注意点1:データ保持期間(最大14ヶ月)の制約

GA4の管理画面上でユーザー単位およびイベント単位のデータを保持できる期間は、デフォルトで2ヶ月、設定で最大14ヶ月まで延長できます。この期間を超えたデータは自動的に削除されるため、例えば「2年前の同じ時期に購入したユーザーの行動」をユーザーエクスプローラで直接分析することはできません。長期的なユーザー行動分析を行うためには、前述のBigQueryへデータを定期的にエクスポートし、そちらでデータを保管・分析する必要があります。

注意点2:プライバシー保護のための「しきい値」

GA4では、ユーザーのプライバシーを保護するため、「しきい値」という仕組みが導入されています。これは、レポートや探索で表示されるユーザー数が少ない場合に、個々のユーザーが推測されることを防ぐ目的で、データの一部が表示されなくなる機能です。非常にニッチな条件でセグメントを作成した場合など、ユーザーエクスプローラで表示されるユーザーリストが「(しきい値が適用されました)」と表示され、期待通りの結果が得られないことがあります。この場合、分析対象の期間を広げるなどして、該当するユーザー数を増やすことで表示される可能性があります。

注意点3:レポートの共有とエクスポート

ユーザーエクスプローラで作成したレポートは、他のユーザーと共有することができます。レポート画面の右上にある共有アイコンをクリックすることで、閲覧権限を持つ他のユーザーに共有リンクを送ることができます。また、ダウンロードアイコンからは、表示されているユーザーリストをGoogleスプレッドシート、TSV、CSV、PDFといった形式でエクスポートすることも可能です。ただし、エクスポートされるのはユーザーリストのサマリーであり、個々のユーザーのイベントタイムラインの詳細までがエクスポートされるわけではない点に注意が必要です。詳細な行動履歴はGA4の画面上で確認する必要があります。

注意点4:個人を特定する情報の送信は規約違反

最も重要な注意点として、Googleアナリティクスの利用規約では、個人を特定できる情報(PII: Personally Identifiable Information)をGoogleに送信することが固く禁じられています。これには、氏名、メールアドレス、電話番号などが含まれます。ユーザーエクスプローラは個々の行動を追跡できますが、それはあくまでも匿名のIDに基づいたものであり、「誰が」アクセスしたかを特定するためのツールではありません。誤ってURLのパラメータなどに個人情報が含まれないよう、サイトの実装には細心の注意が必要です。

まとめ

この記事では、GA4の「ユーザーエクスプローラ」機能について、その基本的な概念から具体的な使用方法、そして広告効果の測定やサイト改善に繋がる実践的な活用シナリオまでを包括的に解説いたしました。集計データからは見えてこない「個」の行動を深く、そして具体的に可視化するユーザーエクスプローラは、データドリブンな意思決定を行う上での強力な武器となります。コンバージョンに至ったユーザーの成功の道のりを解明し、サイトの導線を強化すること。あるいは、離脱してしまったユーザーの「つまずきの石」を特定し、それを取り除くこと。これらの地道な分析と改善の繰り返しが、最終的に広告の費用対効果を最大化し、ビジネスの成長を加速させます。これまで「使ったことがない」「使い方がよくわからなかった」という方も、まずは本記事で紹介したシナリオを参考に、自社のGA4データに触れてみてください。特定のコンバージョンユーザーを一人選んで、その行動履歴を眺めてみるだけでも、きっと新たな発見があるはずです。ユーザーエクスプローラをぜひ活用し、Webサイト改善の精度を一段階引き上げてみてはいかがでしょうか。



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