会社でマーケティング業務を担当していると「DMP」という言葉を耳にすることもあるでしょう。
「何かの頭文字っぽいけど具体的にどんなものなのかちょっと分からない…」という人もいるかも知れませんね。
DMPは近年で多くの企業で取り入れられており、使いこなせるようになれば自社の広告のターゲティング精度を高められたり、新規顧客の開拓に繋げたりすることが可能です。
今回の記事では、DMPを全く知らない・聞いたことがない人にもわかりやすい基本的な内容から、導入するうえでのメリットや導入方法なども詳しくご紹介していきます。
DMPとは?
ここでは、DMPとはどんなものなのか・似たようなツールとの違いについてご紹介します。
近年広がりを見せているプラットフォーム
DMPとは「データ・マネジメント・プラットフォーム」の頭文字が由来です。インターネット上に蓄積されているさまざまなデータを一元管理する、という目的のためのプラットフォームのことを指しています。
日本国内におけるDMPは広がりを見せており、2018年では107億円だったものが2023年には325億円と、5年間で約3倍になると予測されています。
データマネジメントの最終形態かも!?
DMPは近年でよく聞かれるようになった言葉のため「最近になってできたシステムなのかな」と思う人もいるかも知れません。
しかしDMPは全く新しいシステムということではなく、以前からあるシステムに外部データが加わってできたシステムです。
企業が独自に持つマーケティングデータと、外部サイトのデータを集約したものが合わさってできているものなので、活用すれば広告配信やキャンペーン施策の最適化や、CVRの改善といったOne to Oneのマーケティングが可能でしょう。
MAツールとの違い
MAツールもDMPと同様に、データを管理出来るシステムです。
MAとは「マーケティング・オートメーション」の頭文字をとったもので、MAツールは決められたプランに沿ってメール配信などマーケティング施策を自動的に行うシステムです。
MAツールが扱うデータは自社が持つ顧客データや自社webサイト内の顧客行動履歴などで、自社の中で顧客情報を獲得し情報が蓄積してからようやく使えるツールになります。
DWHとの違い
データ管理のシステムとしてDWHもあります。「データウェア・ハウス」のことで、顧客データを収集し蓄積し、整理するシステムです。
MAツールと同様に扱うデータは一般的に自社の顧客データのみで、顧客ではないユーザーのデータは収集しません。
またDWHはあくまでもデータを保管するためのシステムなので、データを分析したりマーケティングに活用したりするには別のツールを使用する必要があります。
DMPの種類
DMPにはオープンDMP(パブリックDMP)とプライベートDMPの2種類に分けられます。それぞれどのようなものかをご紹介します。
オープンDMP
オープンDMPとは、外部サイトにおける行動履歴や属性情報などの顧客データを蓄積するプラットフォームのことです。このデータは3rd Partyデータと呼ばれ、Cookieやデバイス、IPアドレスといった匿名情報で構成されています。
オープンDMPのデータを取り込めば、自社と接点がなかった顧客の情報を収集できるので、新規顧客の獲得に効果的に活用可能でしょう。データの母数が大きいので、広告運用の際のマーケティングに活用するのも有効です。
ただし先述の通り限定的な匿名情報しか得られないため、詳細な情報収集はできません。
プライベートDMP
プライベートDMPは、自社で保有するデータを扱います。
既に顧客として商品を購入したりサイトを訪問したりしているユーザーの会員情報や商品の購入・閲覧履歴、サイトのアクセスログなどさまざまなデータがあり、これらのデータは1st partyデータと呼ばれます。
プライベートDMPのデータを分析すれば、例えばECサイトでチェックした商品が購入に至らなかった場合にクーポンやキャンペーンを配信したり、実店舗で購入した商品の類似商品をメールで配信したりといった施策を打つことができるでしょう。
DMPを活用するメリット
DMPを活用すると、他のデータ管理システムとは違うさまざまなメリットを得られます。ここではどのようなメリットがあるのかをご紹介します。
データの一元管理が可能
DMP導入の上で一番のメリットとしては、多種多様にわたるデータを一元管理出来る点でしょう。
複数のツールを使ってデータを蓄積している企業も多いですが、これらのデータを活用しようとするとデータの集約、分析に多くの時間や労力がかかってしまう、というケースも考えられます。貴重なデータを活用しきれずにもったいない状況にしてしまっているかも知れませんね。
DMPを導入すれば自社の顧客データだけでなく外部データとも統合し一元管理が可能になるので、貴重なデータを最大限に活用できるようになります。
マーケティング業務の効率化が進む
DMPを導入すれば上記の通りにさまざまなデータを連携させたり統合させたりし、自動的に分析することも簡単になります。データの集約や分析に人手や時間を使わずに済むため、膨大なデータも最大限活用することが可能です。
具体的なマーケティングの施策を考えて実施し、結果からさらにデータを分析し、さらに新たな施策をうつ…といったPDCAサイクルを効率的に回せるようになるので、マーケティング業務の成果を上げるためにとても頼れるツールになるでしょう。
顧客への理解が深まる
DMPは自社の顧客だけでなく、見込み客や新規顧客への理解も深まります。パブリックDMPを取り込むことで、幅広いユーザー層について嗜好や傾向を知ることが可能なのは先述した通りです。
このデータをもとに、企業は自社の製品やサービスを知ってもらうための施策を打つこともできるでしょう。
またプライベートDMPを用いればさまざまなマーケティングデータを統合して一元管理出来るので、自社顧客への理解が一層深まります。直近の顧客行動パターンや購入履歴、関心事項を把握することも簡単なので、顧客に一層効果的なアプローチが可能です。
DMPを活用するデメリット
DMPには多くのメリットがある反面、導入や活用にあたってはデメリットもいくつかあります。デメリットも把握して導入可否の判断に役立てましょう。
コストがかかる
DMPは多くのデータを扱うので、利用するために初期費用や毎月のランニングコストなどが必要です。サービスやツールの中には基本利用料や初期費用が無料のものもありますが、月額利用料は発生してしまいます。
ある程度のコストが継続的にかかるため、効果を出すためにはうまく活用して成果を出す必要があるでしょう。
導入前にサービスやツールの内容や使い方などを十分に確かめておけば「使いこなせなくて放置してしまい、費用が無駄になってしまった…」という失敗をある程度防げます。
情報流出のリスクがある
DMPは社内・外の顧客データを大量に扱うので、情報流出のリスクがあることを忘れてはいけません。
データの管理者と管理権限を定め、データの保管場所はセキュリティレベルが高い場所にしておきましょう。データアクセスの権限も設定し、特定の人員しかアクセスできないようにするのも有効です。
また、個人情報保護法やプライバシーポリシー、セキュリティーポリシーを策定し遵守するようにし、外部にデータが漏れないよう努めましょう。
導入前に準備が必要
DMPを利用する際には自社にある顧客データを準備する必要があります。データを扱う部門が複数にまたがっている場合などは、データの設定や管理者が異なることもあるでしょう。
これらのデータを取りまとめるための調整や整備が必要で、骨の折れる作業になるケースもあるようです。
DMPを導入検討するタイミングで、まず社内にどんなデータがありそれを整備するために必要な手順を整理したり、人員の調整をしたりといったことが可能なのかを確認しておきましょう。
DMPを導入する流れ
ここではDMPを実際に導入する時の基本的な流れについてご紹介します。
1・DMPの導入目的を明確にする
「最近ではDMPを導入する企業が増えているから、自社でもとりあえず導入しよう!」といった動機では、うまく活用できないケースが多いのがDMPの特徴です。
どんな課題を解決したいのか・どんな効果を得たいのかなどを出来るだけ具体的にし、DMP導入を検討した方が良いでしょう。
例えば「商品販売数を10%増やしたい」や「広告費用を10%削減したい」など、数値化した目標を設定して検討すれば、目標達成のためにどんなデータがどれだけ必要なのかが明確にできます。
2・目的に応じてDMPの種類を選ぶ
上記のように導入目的を明確化できたら、その目的に応じたDMPの種類を選定します。
目的によってオープンDMPを導入するのか、プライベートDMPを導入するのか、あるいはその両方が必要なのかが判断できるでしょう。
3・要件を満たすシステムを選定する
近年ではDMPの広がりが高まっている影響もあり、さまざまなDMPベンダーが登場しています。ベンダーによって目的やDMPの種類に適したものが異なるので、吟味して選定しましょう。
またDMPはコストがかかるので、利益を増やしたいのにコストが上回ってしまうのでは導入する意味がなくなってしまいます。
自社の予算に合い、運用も問題なくできそうかどうかも十分考慮しましょう。
まとめ
DMPは近年で広がりを見せているシステムで、大企業でも導入されることが増えるなど注目度が高まっています。
導入にあたっては準備することが多かったりコストがかかったりと少し導入ハードルは高く感じますが、DMPにはさまざまなメリットがあり効果的に活用できればマーケティング業務の大きな助けとなる可能性があります。
今回ご紹介したように他のデータ管理ツールの違いや導入の流れをしっかりと頭に入れて、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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