古典的なマーケティング手法とも言える4P分析は、活用方法がよくわからない人が多いフレームワークのひとつです。

 

自社の取り扱う商品やその価格、販売する場所やプロモーションを細かく分析し、他社に負けないマーケティング戦略を立案・検討するためには4P分析の理解は必須といえます。

 

今回の記事では、4P分析の詳細やその活用方法のほか、他社での成功例を要素別に詳しく解説しています。

 

記事の最後のほうでは、要素別に起こりうる悪影響についても掲載しているので、ぜひ参考にしてください。

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4P分析とは?その主な内容とは

4P分析の「4P」とは、Product(製品)・Price(価格)・Place(流通・場所)・Promotion(プロモーション)の頭文字を取った言葉です。

 

企業が商品・サービスを市場へ提供する時に、どんな製品を・いくらで・どの場所(経路)を使って・どんな方法で販売するのかを検討するためのフレームワークになります。

 

例として、一冊の本を販売するとしましょう。その場合は…、

  • 資格試験対策本を(どんな製品か?)
  • 3500円で販売(いくらで?)
  • 都市部の大型書店やインターネット通販(どの場所で?)
  • 店頭の一押しコーナー・通販サイトでおすすめ商品として表示(どんな方法で?)

 

など、販売するための各要素を総合的に分析・検討することで、成果を上げていくためのものです。

 

以下で、各要素の内容について、詳しく解説していきます。

Product(製品)

Product(製品)では、購買の対象となるユーザーにどんな商品やサービスを提供するのかを考える要素です。

 

もちろん、物理的な商品だけでなく、アプリなどのソフトウェアやサービスなどの「形のないもの」にも該当し、そのなかには製品・商品全体・デザイン・商品名・質感・パッケージなども含まれます。

 

例として、「おしゃれなデザインの椅子」を、自社で企画・開発するとしましょう。

 

その椅子は、ユーザーにとって座りやすいものか・どんな価値を提供できるのかをメインに分析します。決して、「企画・開発側の自己顕示欲を満たすだけ」に商品を企画・開発してはいけません。

 

Product(製品)の分析ポイントは、「ユーザーにとって価値のある製品やサービスを企画・開発できているか?」ということで、重要なのは「消費者からの視点」で分析することです。

自社商品のコンセプト・構成の具体化

商品の分析をおこなう前に、対象とする商品のコンセプトを設定します。

 

そのうえで、商品構成の見直し・方向性の具体化を客観的な視点で見直しましょう。

 

上記で挙げた「資格試験対策本」で例をあげると、

  • ターゲット…誰が使うのか?→会社員や、就活中の学生・求職者
  • 利用シーン…どう使われるのか?→資格取得のための自主勉強で・スクールの教材として
  • 顧客ベネフィット…主な価値は?→合格に必要な知識が得られる・就活に有利になる

 

商品単体で考えるのではなく、自社が扱っている複数の商品との関連性を考慮した見直しをおこないます。

プロダクト3層モデルの活用

プロダクト3層モデルとは、商品分析を整理するためのフレームワークで、商品特性を「中核」「実態」「不随機能」の3層に分け、各層で商品特性の要素を考えます。

  • 中核…顧客が実質的に購入している「基本的かつ中核的なベネフィット」
  • 実態…商品を特徴づけている要素(品質・ブランド・パッケージなど)
  • 不随機能…中核の提供時に影響はないが、顧客側の価値が高まる要素(配達の無料化、品質保証の長期化など)

商品ライフサイクルに注目する

商品ライフサイクルはプロダクト3層モデルと密接な関係があり、「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つのサイクルがあります。

 

最初の「導入期」ではプロダクト3層モデルの中核を注視し、低コストかつ大量生産での製造に力を入れ、売り上げ数を伸ばしていきましょう。

 

「成長期」では、顧客価値を意識する「商品の実態」に視点を置き、売り上げを上げていくことです。

 

最後の「成熟期」では、高品質なアフターサービスなどを付け、顧客が商品を選択する基準となる「不随機能」に注力するようにしましょう。

プロダクトエクステンションで、過去の商品を復活させる

「プロダクトエクステンション」とは、衰退期を迎えた「過去の商品」の価値を新たに見出すためのマーケティング手法です。

 

現在はあまり使われず衰退してしまった商品を、プロダクトエクステンションにより、新たな舞台で復活させることが可能になります。

 

既存の商品に対して、性能の向上・改善をおこなったり、新たな販売ルートや舞台を見つけ、リニューアル商品として販売したりすることで、当初は予想しなかった新たな価値が見い出せるかもしれません。

 

さらに、効率のよい広告方法などを利用して情報拡散すれば、新規顧客の発掘ができるかもしれません。

Price(価格)

Price(価格)では、顧客に提供する商品やサービスの適正な価格を考えるための要素です。

 

単刀直入に言ってしまうと、そもそも商品やサービスの「適正な価格」というのは、厳密には決まっていません。理由は、商品やサービスの価格というものは、その時点での材料価格などの原価や顧客のニーズ・該当する商品やサービスの市場の競争などで変動するからです。

 

それでも敢えて「適正な価格」というものを定義するなら、ユーザーが納得する範囲内であり、販売する側である企業が利益を得られる価格というのが、適正な価格であると言えます。

 

ここで間違ってはいけないのが「ユーザーの視点から見ても納得のいく適正な価格なのか?」です。

 

企業側の利益のみ追求し「相場からかけ離れた高額な設定」にしてしまうと、企業側の利益は上がるかもしれませんが、高額からの「顧客離れ」が起こり、結果的に損失となりうる可能性があります。

 

商品やサービスの価格を設定する時は、競合他社が設定している価格、顧客が支払える範囲内に設定されているのか、その価格設定に見合った品質があるのかなどの情報を整理しながらチェックすることが重要です。

適切な商品価格の設定

上記でも述べましたが、適正な価格を決める時は、ユーザーが納得しつつ企業側にも利益が出る価格にすることは、企業の存続という面からも重要なことになります。

 

商品やサービスの価格は、商品コストを「価格の最低限度」にして、カスタマーバリュー(顧客が得られる価値)を「最高限度」にします。簡単に言うと「商品コストの割合よりも、カスタマーバリューの割合を大きくする」ということです。

 

カスタマーバリューは、ユーザーの収入・支出などの懐事情・競合他社や市場の相場の価格情報を把握する必要があるため、その見極めは困難を極めます。

 

しかし、商品コストは社内の内的要因・材料の物価などの影響で多少の変動はありますが、カスタマーバリューよりも比較的容易に把握できるでしょう。

 

そのため、商品コストを可能な限り「最低限度の割合」に設定し、カスタマーバリューに重きをおいて設定することが重要です。

ユーザーが感じる価値を基準に価格設定をおこなう

ユーザーが感じる価値(カスタマーバリュー)に重きをおいて販売価格を決める方法は、「需要思考型」と呼ばれる方法で、主に新商品や「他に類のない新規サービスの提供」で使われる価格設定方法になります。

 

新商品・新規サービスでは、アンケートなどの市場調査で収集したユーザーの意見や希望を基に価格を設定するため、設定した金額でも十分な利益が得られるように商品設計・開発をすることが重要です。

 

これを「需要思考型の価格設定」といい、大きく分けて2つの方法があります。

 

1つ目は「知覚価値価格設定」と呼ばれるもので、市場調査や入念なリサーチで得られたデータから「ユーザーが適切だと感じる価格はいくらか?」の情報を基に価格を設定する方法です。

 

2つ目は「需要価格設定」と呼ばれる方法で、ターゲット層別にニーズを把握して価格を決める方法になります。

 

例として、新規顧客やライトユーザーが対象なら「お試し版」や「スタンダード版」の控え目な価格設定。

 

常連客やヘビーユーザー向けなら「プレミアム版」や「ゴールド・プラチナセット」などの豪華版の価格設定…などの方法があります。

競合他社の動きを参考に価格設定をおこなう

競合他社との価格競争を意識した「競争志向型」と呼ばれる価格設定方法も、現場ではよく使われる方法です。

 

この方法は、新規商品やサービスの提供時ではなく「従来からある同類の商品やサービス」を市場で販売する時に採用される方法になります。

 

この「競争志向型」の価格設定は、他社との業界の調和が容易で「不毛な低価格競争」による参入企業の損失が起こりにくいのがメリットです。

 

他にも、低コストで他社より利益が得られる・付加価値によるブランドの差別化・認知度拡大などの効果が期待できますが、ユーザーのニーズを考慮しない「企業ファースト」気味な方法のため、利益や損失が予測しづらいというデメリットもあります。

2つの選択肢から、新商品の価格を決めていく

新商品の価格設定方法には、「スキミング・プライシング」と「ペネトレーション・プライシング」の2種類の方法があり、ターゲット層を限定する方法と、広範囲に取るかで設定方法が違います。

 

「スキミング・プライシング」は、市場参入当初からやや高めの価格設定で、商品開発時に費やしたコストを早い段階で回収するために採用される方法です。

 

販売初期の段階から価格は高めなので、お金に余裕のある人や欲しいものならお金に糸目を付けない「購入意志の強いユーザー」を対象にした価格設定になります。

 

それに対して「ペネトレーション・プライシング」は、市場への浸透やシェア・認知度の拡大を主な目的としているため、価格設定をコストと同額・コスト以下の価格に設定する方法です。

 

比較的安価で市場に出回るため、消費者の「購入に対する抵抗感」を低減する効果や、販売数量の拡大などの効果がありますが、価格設定によっては「損失が積み重なる」おそれがあるため、他商品での損失補填も考慮しておく必要があるでしょう。

Place(場所・流通)

Place(場所・流通)では、自社商品やサービスの購入を求めているユーザーへ届けるために必要な場所や、それを届けるまでの流通経路について考えるための要素です。

 

どの場所でどの程度の範囲で販売するのかということに加えて、在庫が必要な場合はそれを管理する倉庫やオフィスをどこに設置するのかまで考える必要があります。

 

また、現在はオンライン通販や専用アプリなどからも商品やサービスの注文・購入が可能なため、24時間365日無休で商品やサービスの購買・在庫管理・出荷管理ができるシステムも必要不可欠です。

 

多種多様な販売ルート・販売方法や手段がある中で、自社商品やサービスの特性・ターゲット層の特徴などを分析し、合理的かつ効果的な流通手段を選択してください。

最適な流通経路の設定

商品やサービスの流通を考える前に、ターゲットとなる消費者に効率的に届けるための「流通の役割」を分析しましょう。

 

最適な流通経路の設定に必要な要素は、以下の7種類になります。

 

【調査・リサーチ】
対象とする商品やサービスに対する消費者の情報を収集する。

 

【ユーザーとの接触】
対象とする商品のターゲットとなりうるユーザーを見つけ、接触する。

 

【適合・探索】
接触したユーザーから、詳細な「顧客ニーズ」を探り、適合するか否かを探索する。

 

【販売促進】
効果的かつ効率的な流通を考慮した販売促進活動をする。

 

【物流・輸送】
商品の輸送や、在庫を管理する倉庫・その設置場所を確保する。

 

【金融】
流通に必要不可欠な資金の確保・配分の検討。

 

【価格交渉】
商品価格や送料・手数料などの取引条件に関する「最終的な合意」を得る。

消費者視点でメリットが大きい流通経路を決める

対象とする商品やサービスの特性や、ユーザーの購買までの行動パターンによって、効率的な流通経路は違います。

 

その商品を求めるユーザーが購買に至るまでの過程やニーズを詳細に分析し、最大限のメリットを得られるように流通の経路や手段を設計しましょう。

 

サプリメントの購入を例に挙げると、消費者にとってのメリットは「手軽に購入できる店舗が近くにあること」になります。特殊な商品や限定品でもない限り、わざわざ遠い店舗まで買いにいく消費者はごく少数です。

 

したがって、ここで重要になるのは「消費者との接触頻度を高める」ことになるため、流通経路の選択としては、スーパーやドラッグストア・コンビニエンスストアのほか、オンラインショップなどを対象にします。

 

専門性の高い用途がある「クリエイター向けパソコン」などの場合は、要求される性能・拡張性は顧客やユーザーにより変わってくるため、搭載する機能や性能・価格の交渉が「流通の役割」です。

 

上記の条件を満たす「オンラインBTOショップ」や「メーカー直営店」が、流通経路の対象になります。

消費者に到達するまでの距離を選ぶ

流通において、自社から消費者の手に届くまでの流通経路の距離は、いくつもあります。

 

業界や販売ルートの中には、「以前からの習慣や決められたやり方」のみの流通方法で「長さ」が決められ、安易に変更できないなどの場合も少なくありませんが、インターネット通販の活発化により経路も変わってきているので、最適な「経路」を選択しましょう。

 

最適な経路の選択には、ゼロ段階から3段階の「チャネル」があるので、以下を参考に選択してください。

 

【ゼロ段階チャネル】
自社が直接ユーザーに販売する「直販」のこと。取り扱う商品が高額だったり、商品の詳細説明が必要な商品が主な対象となります。

 

【1段階チャネル】
商品を販売するための実店舗が必要な商品が対象です。卸売業者を利用せず店舗側が直接メーカーから購入する方法です。

 

【2段階チャネル】
自社とユーザーとの中間に流通業者が2箇所介在する販売方法。主にスーパーなどの「取り扱い商品が多く、商品単価が低い」店舗によく利用され、卸売業者と実店舗が介在するのが一般的です。

 

【3段階チャネル】
自社とユーザーとの中間に流通業者が3つある販売方法になります。近年では「中間マージン削減」のため、二次卸売業者は淘汰されている傾向が強く出ています。

消費者に到達するまでの「経路の幅」を選ぶ

流通経路の長さを選択する重要性について上記で解説しましたが、長さ以外に「幅」も重要な要素です。

 

流通経路の幅が広ければ、商品が消費者に届く可能性が高くなり、逆に狭いと商品に対するブランドイメージが調整しやすくなります。

 

経路(チャネル)の幅には、「開放的」「選択的」「排他的」の3種類があり、商品の特徴や特性、消費者の入手難易度などを分析し、適切な幅を選択してください。

 

【開放的流通チャネル】
対象とする商品を広範囲かつ開放的に流通させる戦略になります。一般的な食料品や日用雑貨などの「低価格で大量に販売したい商品」向けのチャネルです。基本的にブランドイメージの調整は困難。

 

【選択的流通チャネル】
自社の販売力・資金力のほか、競合商品の取り扱い業法などを考慮し、流通チャネルを選択する戦略です。

 

ある程度のブランドイメージを保ちたい・すでにイメージを確保している商品に向いており、商品購入後の修理やアフターサービスが必要なものが該当します。

 

【排他的流通チャネル】
特定の地域や商品の販売先に「独占販売権」を与える戦略で、ここでしか手に入らない「○○店専売」や「ご当地限定」の商品が対象です。

 

販売コンセプトを明確にして、ブランドイメージを確立・コントロールしたい商品の販売で利用します。

Promotion(プロモーション)

Promotion(プロモーション)では、自社が販売する商品やサービスをどんな手段で認知させ、購買やサービス利用に繋げるか?について考える要素です。

 

CMや広告以外の手段で商品を購入した時のメリットや使い方を知ってもらう活動はプロモーション(販促)活動に該当します。SNSの自社アカウント内の投稿でインフルエンサーを起用した商品紹介も、そのひとつです。

 

そのほか、ポイントカードや会員専用クーポンを利用した「ユーザーの定着」や「顧客満足度アップ」などの行動も、プロモーション活動になります。

STPとの整合性には注意する

「STP」は、Segmentation(市場細分化)・Targeting(ターゲット設定)・Positioning(ポジショニング設定)の頭文字をとった略語で、自社商品やサービスを「どの市場で、どのような価値を提供するのか」を決めることが、マーケティングの基本的な戦略を決める鍵となります。

 

自社商品のユーザー層や対象となるターゲット、商品の性質や特徴による市場での立ち位置を考え、臨機応変かつ各商品にマッチしたプロモーション活動をおこなうことが重要です。

 

食料品や日用雑貨などのターゲット層が広いものは、認知度アップが肝となるので、TVCMやラジオ・新聞の折り込み広告などを利用して、多くの消費者に商品を知ってもらえるようにするのが効果的かつ効率的な戦略になります。

 

逆に、ターゲットが限定されており、高額かつ特殊な用途で使用される企業向けの商品などは、人的リソースを用いた営業活動や、専門誌への掲載・オンライン動画広告の配信などの販売促進戦略を選択するといいでしょう。

他の4P要素との一貫性を考える

4P分析というマーケティング戦略は、売り手側目線(企業からの目線)のため、具体的な施策のための各要素の内容は、一貫している(ブレがない)必要があります。

 

対象とする商品(Product)のユーザー層が20代〜30代なら、TVCMを使った宣伝は平日の夕方以降や土日祝日などの休日が効果的です。シェア拡大も考えているなら「期間限定の特別価格(Price)」などに設定するという戦略も効果的でしょう。

 

流通(Place)がオンラインショップのみの場合は、自社サイトでランディングページを使った紹介やSNS広告の出稿・配信で商品情報を拡散させるなどの戦略が効果的です。

 

重要なのは、商品の性質や特徴・価格・流通方法にマッチした手段を選択し、消費者へ確実に伝わるプロモーション戦略を立てることが大切です。

AISCEAS(アイシーズ)の法則の理解が不可欠

AISCEAS(アイシーズ)の法則とは、インターネットが普及している現在の「消費者の購買行動」や「購買心理」のプロセスモデルになります。

 

オンライン通販などを利用して商品・サービスを購入する場合、単独のサイトのみで購入を判断せず複数のサイトを巡回したり、口コミなどの購入者の感想・評価を参考にしたりして購入するか否かを決めることが多いです。

特に「比較(Comparison)」と「検討(Examination)」の過程は重要視されるため、「効果的な商品の売り込み」や「高品質な広告クリエイティブ」を使った戦略は重要になります。

コミュニケーションミックスの活用

コミュニケーションミックスとは、自社が決めているマーケティング目標を追及するために、ユーザーとの最適なコミュニケーション手段を組み合わせることです。

 

コミュニケーション手段には、「広告」「販売促進」「人的販売」「パブリシティ」「口コミ」という5つがあり、「ミックス」の名の通り複数の手段を組み合わせて顧客とのコミュニケーションを図ります。

 

以下は各コミュニケーション手段の内容です。

 

【広告】
ターゲットを限定せず、新聞の折り込み広告や雑誌に掲載されている広告・TVCMなどの不特定多数の消費者に商品やサービスをアピールして認知度を拡大し、販売する手段。

 

【販売促進】
商品やサービスの購買を促進するために、商品に関連したイベント開催や商品サンプルの配布などの活動が該当します。

 

【人的販売】
売り手側が顧客やユーザーと対面で営業活動をおこないます。その場で商品やサービスに関する疑問や内容について即座に回答ができるというメリットがある。

 

【パブリシティ】
テレビや雑誌などの「広告」で用いる媒体を利用し、「広報」をおこなう手法です。テレビや雑誌出版社から取材され「報道」という形式で商品やサービスの情報を広めてもらいます。

 

【口コミ】
SNSなどを通じて、消費者からの「生の声・評価」を利用し、商品やサービスの情報を拡散する手法。かなり影響力の強い手法ですが、企業が意図的に口コミをコントロールすることは難しい。

4P分析を利用する目的

「4P分析を利用する目的」を簡潔かつ解かりやすく言うと、Product(製品)・Price(価格)・Place(場所・流通)・Promotion(プロモーション)という4つの要素を総合的に分析し、自社の効果的かつ効率的な販売戦略を立てるためです。

 

前述した各要素の詳細から分析・検討をおこない、自社のマーケティングや広告の運用に応用し、消費者視点からの「最適な商品を、適正な価格と場所・流通手段で提供する」方法を考えます。

 

4P分析は、どうしても「企業側(売り手側)視点の分析」になってしまうので、その点を注意して各要素を総合的に分析しましょう。

4P分析でマーケティングを考える上でのメリット・デメリット

ここまで、4P分析の詳細や目的について解説してきました。正直、手間のかかる分析で「できることなら回避したい」と考える人は少なくないと思います。

 

ここからは、4P分析でマーケティングを考える上で得られるメリットやデメリットについて説明していきましょう。

 

マーケティング戦略の改善や立案に欠かせないものだと解かっていても、具体的なメリットやデメリットを知っておいた方が、各要素をより深く理解することができます。

 

【メリット】
マーケティング戦略の分析において、4P分析をおこなうことで得られるメリットは「漏れや重複を回避した網羅性の高い整理された考え方」ができるようになることです。

 

どんなに緻密な計画を立案して実行しても、アクシデントや事故などの問題は発生します。そんな時でも、4P分析から得られた思考をおこなうことで、事態の収拾や解決に向けての行動がスムーズになります。

 

【デメリット】
デメリットとしては、前述した通り「売り手側の視点に偏る」という点です。

 

そのため、企業が提供する価値の提供手段と経路・価格設定などが「企業側の独りよがり」になりがちで、最悪の場合「消費者の存在や意見・ニーズ」を無視した戦略になってしまいます。

4Pのデメリットを補うための4C

4P分析のデメリットに対し、それを補うための枠組みが4Cです。4Cは売り手側視点だった4Pの視点を「顧客側の視点」から考え直したもので、各要素に対して以下のような対応になっています。

  • 商品(Product)=顧客価値(Customer Value)
  • 価格(Price)=コスト(Cost)
  • 場所・流通=(Place)利便性(Convenience)
  • プロモーション(Promotion)=コミュニケーション(Communication)

 

「4つのC」の視点から、顧客や消費者のニーズを分析し、企業サイドの4Pが大きく乖離していないかを確認すれば、デメリットを克服することができるでしょう。

4P分析のポイントと効果的な進め方

ここからは、4P分析を利用した分析の方法を、具体的な例を挙げて解説していきます。

 

4Pの各要素で「考えるべきポイント」なども紹介していくので、自社で分析をおこなう際に参考にしてみてください。

「Product」は顧客ニーズ・製品の特徴・性質を考慮する

Product(製品)は企業(売り手側)が市場に提供する商品やサービスのこと。当然ながら、顧客のニーズ・求めているものに合致したものを市場に提供する必要があります。

 

例えば、消費者は「現状の不便・手間を解消するための商品が欲しい」と考えているのに、「商品の高性能さや、企業の技術力の高さ」のみをアピールした商品を販売しても売れないのと同じです。

 

大切なのは、顧客の声や市場の動きを把握し、消費者が「使ってみたい・欲しい」と思えるような商品やサービスを市場に提供することになります。

 

それに加えて、Product(製品)の要素には、機能面だけでなく品質・ブランドイメージ・アフターサービス内容・デザイン・外装などの要素を考慮した商品・サービスの開発・設計をおこないましょう。

 

その他の分析ポイントは、以下になります。

  • 消費者が何を求めているのか?
  • 消費者ニーズを満たすために必要な「商品の特徴」
  • 商品の使われ方
  • 心地よいデザインとは?
  • 大きさや色・形状などの外観は?
  • 商品やサービスを購入することで消費者が得られる価値・体験は?
  • ブランド化・競合との差別化は?

「Price」は販売にかかるコストと、需要・競合他社の価格を把握しておく

Price(価格)は、商品やサービスを市場で販売する時の価格です。価格を決定する時は、企画段階からのコストを把握して、それに適切な利益分を加えることが重要です。

 

価格を設定する場合、製造時のコストや自社の利益分だけで決めてしまうのはおすすめしません。

 

もちろん、自社が赤字にならないよう「コストを回収できるだけの最低限の価格設定」は必要ですが、市場の動向や競合他社の価格変更などの情報を考慮することも大切です。

 

市場での相場や競合他社の価格を考慮し、逆算して「製造コストを決める」のも、ひとつの方法と言えるでしょう。

 

また、他社よりも高い価格設定にする場合は、何らかの「他社製品とは違った付加価値」を付け、金額に見合った価値を市場にアピールすることで、ブランド化や他社との差別化を図ることができます。

 

上記のまとめや、その他のポイントは以下になります。

  • 消費者にどんな価値を提供できるか?
  • 商品の「市場での価格相場」はいくらか?
  • 競合他社と比較して魅力的な価格なのか?
  • 製造コストに対して採算が取れるか?
  • 値引きは可能か?

「Place」では、顧客が容易に製品まで「たどり着ける」場所にあるかを考える

Place(場所・流通)では、製品やサービスをどうやって消費者の手まで届けるのか・どんな流通手段を使うのかを考えます。いくら消費者のニーズにマッチした製品を開発しても、消費者が入手しにくい状態だと、売り上げに繋がりません。

 

流通手段となる「流通経路」を考える際は、「消費者との接点を確保する方法」も考慮しておくと、ターゲットとなるユーザー層の属性や傾向が把握しやすくなるでしょう。

 

例えば、「従来よりも汚れがよく落ちる新製品の洗剤」をインターネットと実店舗の両方で販売するとします。

 

実店舗の販売では、消費者が物理的にアクセスしやすい場所に店舗を設置することで「生の声を聞く」ことができたり、他社製品との差を明確に把握したりすることができるかもしれません。

 

インターネット販売では、SNSなどのオンライン上の広告を利用して広範囲のユーザーにアクセスできるうえ、各媒体の機能によりターゲットの属性や購買層の動向や傾向の把握・SNSを利用したユーザーとの交流も可能になるでしょう。

 

その他のポイントは、以下になります。

  • 顧客はどこで・どのように商品を探しているか?
  • どこに店舗を設置すれば、消費者に早く商品が届くか?
  • 販売網の構築
  • どんな方法を用いて販売するのか?
  • 競合他社の流通手段は?

「Promotion」では、顧客と接触しやすいか?効果が出やすいか?を考慮する

Promotion(プロモーション)は、自社商品やサービスを消費者に知ってもらう(認知してもらう)ための活動です。

 

自社が「消費者が一番求めている理想的で魅力のある商品」を開発・販売しても、消費者が知らなければ「無い」ものと同様なので、広告媒体や人的販売・対象となる商品のイベント開催などの手段を用いて認知度を高めましょう。

 

プロモーション活動において重要なのは、効果的・効率的にユーザーと接触し、接点を持つことです。

 

例えば、大型家電量販店で新商品の「お掃除ロボット」を実演販売するとします。

 

事前にSNS媒体を利用した広告や店頭での告知・新聞の折り込み広告などを利用して「プロモーション活動」を認知してもらうことで、店舗に足を運ぶ消費者を増やし「顧客との接点を持つ」ことが可能になるでしょう。

 

その他のポイントは、以下になります。

  • 顧客にどう動いてもらいたいか?
  • どんな価値・メッセージを届けられるのか?
  • 自社の商品やサービスをどうやって認知してもらうか?
  • 販促をおこなうタイミングは適切か?
  • 競合他社の販促手段は?

4P分析の結果を効果的に得るための、活用時に意識するべきポイント

ここまでは、4P分析の詳しい内容や活動ポイントについて説明してきました。

 

ここからは、活用時に意識すべきポイントについて解説していきます。これを理解することで、効果的な分析結果を得られるでしょう。

 

4P分析以外の分析方法の解説も交えて、以下で詳しく解説していきます。

ターゲット市場を決めてから、4P分析をおこなう

4P分析をおこなう前に、自社の商品やサービスを利用するターゲット(ユーザー)や、そのターゲットが存在する市場を事前に分析しておきましょう。

 

その判断をおこなうツールとして、「PEST分析」や「SWOT分析」「STP分析」といった手法があり、マクロ環境や市場機会・事業の課題を見つけるための分析方法になります。

 

ちなみに「マクロ環境」とは、企業が参加する業界を取り巻く外部環境のこと。 企業側からのコントロールはできず「企業とは無関係」に起きている「政治的環境」や「経済的環境」「社会的環境」「技術的環境」などが主なマクロ環境です。

 

【PEST分析】
上記のマクロ環境を分析するためのフレームワークになります。Political(政治的)・Economic(経済的)・Social(社会的)・Technological(技術的)の4つの要素の頭文字を取ったものです。

 

企業が戦略などを策定する時に使います。

 

【SWOT分析】
SWOT分析は、企業の現状を客観的に把握して、市場機会・事業課題などを発見するためのフレームワークです。Strength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)の4つの要素で構成され、主観的になりがちな4P分析を補う効果もあります。

 

【STP分析】
STP分析は、「Segmentation Targeting Positioning」の頭文字を取ったもので、マクロ環境や市場機会・事業課題を明らかにしてから利用する分析方法です。

 

SWOT分析やPEST分析を参考にして、狙うべき市場を分割(区分け)し、そこから「実際に狙うターゲットの選定」をおこない、最後に自社がそのターゲットから見て「どのようなポジションなのか?」を決定します。

4Pの各要素の相互関係を理解してから、改善策を検討する

4Pの各要素は、密接な関係にあり、それぞれが相互に影響を及ぼし合っているので、ひとつでも変更を加えると整合性が崩れるおそれがあります。

 

4P分析では、各要素の相互関係を理解した組み合わせ・改善策を決めることが重要です。

 

例えば、自社で「電動アシスト自転車」を販売するとします。

 

競合他社よりも高額な設定にした場合、顧客は商品に対して「他ではない便利な機能があるかも?」と期待するでしょう。企業側は、その期待に沿うだけの品質や機能を付加させる必要が出てきます。

 

販売場所を実店舗のみに変更した場合は、プロモーション活動として店頭ポスターや新聞の折り込み広告・店頭での試乗体験などを検討してみるといいかもしれません。

 

このように、ひとつの要素が変わると、バランスを取るために他の要素もそれに合わせた変更が必要になります。

 

各要素の相互関係を十分理解してから、最適な組み合わせ・改善策を検討するようにしましょう。

自社がサービス業なら、7Pまで考える

7Pは「Product(製品)」に当てはまるのが「サービス」である場合に利用します。要は「サービス業向け」のフレームワークで、4Pに加えParticipants(参加者)・Physical Evidence(物理的な環境)・Process(サービス組み立てのプロセス)が追加されたものです。

 

サービス業に従事する人々や、サービスを受ける環境、サービスを受けるまでの過程の要素を考慮して、効果の高いマーケティング戦略を構築できるので、サービス提供を生業とする場合はぜひ活用してみてください。

 

以下で「追加される3P」について、詳しく解説していきます。

Participants(参加者)

Participants(参加者)とは、サービスの提供・受領に関わる人達のことです。

 

サービス業は「顧客となる消費者」だけでなく、製造・供給者や販売に関わる従業員などが「参加者」として協力し合い、それぞれの役割を全うすることで成り立っています。

 

例えば、オフィス機器を取り扱う会社では、業績アップに大きく関わるのが営業担当者です。担当者は、そのコミュニケーション能力を駆使して「クライアントの要望を掴み、最適な機器を提供する」役割をもっています。

 

こういった営業担当者のスキルは、顧客満足度の向上に欠かせないものであり、なくてはならないものです。

Physical Evidence(物理的な環境)

Physical Evidence(物理的な環境)は、サービスの質の高さ・得られる価値を顧客に伝えるための具体的な要素・環境になります。

 

「サービス」そのものには形がないので、顧客がサービスの質や価値を評価する材料となるのは、店舗の外観・内装、サイトの使いやすさ・アクセスのしやすさなどの物理的な環境です。

 

見た目やユーザビリティが高いと、顧客の満足度や信頼感も高まり「また利用したい」と思ってもらえるようになるでしょう。

Process(サービス組み立てのプロセス)

Process(サービス組み立てのプロセス)は、自社のサービスが顧客の手に渡るまでの「一連の手順や活動」になります。

 

サービス提供のプロセスにおいて、顧客の満足度に大きく影響するのが「提供までの時間の短さ・手間の少なさ」です。

 

いくら自社が「他では類を見ない高品質かつ価値の高いサービス」を提供できる能力があっても、入手までに長時間を要したり、手続きなどが複雑で手間がかかったりすると、顧客の満足度は上がりません。

 

最悪の場合は、顧客離れ・低評価の拡散に繋がるおそれがあるため、待ち時間の短縮・手続きの簡略化は「顧客との良好かつ長期的な関係の継続・信頼獲得」の重要なプロセスです。

4P分析を最大限に活かすマーケティング戦略のポイント

ここまで、4P分析の目的や意識の持ち方について解説してきました。

 

ここからは、実際に4P分析を最大限に活かすマーケティング戦略のポイントについて説明していきます。

 

具体的な例も含めて、解かりやすく説明していくので、ぜひ参考にしてください。

ターゲット層を満足させるプロダクトにする

対象となる商品やサービスのターゲット層が、自社商品やサービスにどんな期待をかけているのか?自社はユーザーの期待に対してどのように応えるのかを明確にし、誠実かつ確実にユーザーへ伝えることが重要です。

 

もちろん、応える方法は製品やサービスの種類や特徴・特性により違ってきます。

 

メーカー製デスクトップパソコンのモニターを例に挙げると、個体差の無い一定の機能・色再現性を持つモニターを提供できることが、ユーザーの一番求めているニーズでしょう。

 

それに加えて、長期間の保証やアフターサービス・故障時の梱包材の無料提供や引き取りサービス・代替品の貸し出しなどは、ユーザーにとって大きな魅力となります。

 

ターゲットのユーザーが期待していること・ニーズを汲み取り、どのように課題を解決するか・どう応えるかを明らかにすることが重要です。

双方の利益を考慮した戦略的な価格設定にする

「売値(販売価格)をいくらに設定するのか?」は難しい問題ですが、基本的には「自社の利益」や「競合他社の価格設定」「市場での相場」の3つの観点から価格を決定します。

 

少なくとも、開発・製造にかかったコストと十分な利益を確保しないと、薄利多売の戦略で販売することになるでしょう。逆に高めに設定し過ぎると、ユーザーが買いづらいものになってしまうため、利益に繋がりません。

 

仮に「競合他社よりも高額」な設定でも、それに見合うだけの価値をユーザーに伝えることができれば、購入してもらうことが可能です。

 

十分な利益の確保と競合との差別化・ユーザーのニーズに対応できる「戦略的な価格設定」が必要になります。

多種多様な販売エリアを総合的に検討する

多種多様な販売エリアから「どれを選ぶのか」は、対象となる商品やサービスを「確実に需要がある層に届けるため」だけではありません。その製品・サービスに対する「客観的なイメージ」も考慮して決定しましょう。

 

「地域限定のお土産」などは、スーパーなどで利用する大規模な流通を使わず、対象となる地域の取引先に限定したり、特定の百貨店で期間限定商品として販売したりして、選択的かつ排他的に販売場所を設定するのもひとつの方法です。

 

この方法だと、戦略的な管理が容易で、顧客とのコミュニケーションが取りやすくなるため、賛否両論・激励・感想などの「顧客の生の声」を聞くことや、リアルタイムでの販売データの収集が可能になります。

 

販売量・販売エリア・市場でのシェアの課題解決も重要ですが、価格やブランドイメージのコントロールのしやすさなどを把握し、販売エリアを総合的に検討しましょう。

訴求ポイントを限定した販促活動をする

販促活動では、自社製品やサービスの強み・競合との差別化・ユーザーが享受できるメリットの3点に限定して訴求することが大切です。

 

ノートパソコンを例に挙げると、他社製品を上回るスペックと軽量さをアピールすること以外に、「バッテリーが長持ちする」「防水性があり、野外でも使える」など、他社製品よりも自社製品を選択することで得られるメリットを訴求したほうが効果があります。

 

それに加えて、ターゲット層へのリーチや訴求が容易な媒体を使い、効果やコストを比較検討しながら「商品やサービスにマッチした販促方法」を使い分けていきましょう。

4P分析の成功事例

4P分析は、現在多くの企業で取り入れられており、これまでに目を見張るような成果をあげてきた企業は多数存在します。

 

ここからは、4P分析を取り入れ「成果を出した」数多くの企業のなかから、具体的な成功例をいくつか紹介していきます。

  • マクドナルド
  • スターバックス
  • ユニクロ

国内外で有名な企業が、4P分析を利用してどのような戦略を立てているのかを説明しているので、ぜひ参考にしてください。

マクドナルド

マクドナルドでは、軽食として手頃な価格設定・子供や若者をターゲットにした宣伝で、安定した集客数・家族連れでの来店をキープしています。

 

小さな子供を対象にした「おもちゃ付きのハッピーセット」や、店舗内の遊具施設などは人気が高く、子供連れのご家族に好評です。

 

マクドナルドが取った戦略を、4P分析の観点から解説していきます。

 

【Product(商品)】
マクドナルドでは、ハンバーガーやドリンク以外にも多様なラインナップを展開しており、定期的に新商品を出したり、季節ごとの人気メニューを提供したりしています。

 

これにより、特定の商品のみの販売で被るリスクを分散し、年中を通してマンネリ化しにくい商品を提供することが可能です。

 

【Price(価格)】
マクドナルドでは、定番のハンバーガーやドリンクの他にも「ワンコイン」で買えるサイドメニューやバリューセットを多く提供しており、競合のファーストフード店と比較しても安価な価格設定です。

 

特に「セット」での販売は、顧客が「お得」だと感じるような価格で販売して顧客の購買意欲を促しています。

 

【Place(場所)】
マクドナルドは、店舗を道路沿いに設置することで、店舗へのアクセスを容易にしたり、ドライブスルーの利用者数を増やしたりしています。

 

スマートフォンの普及により「モバイルアプリ」からの注文も可能になり、購入時にかかる手間が大幅に減ったので、商品の購入数は近年さらに増加中です。

 

【Promotion(販促)】
マクドナルドでは、テレビCMに限らず、SNSを利用した広告・動画を多数配信。特にSNSはユーザー数が多く、広告配信にかかる費用もテレビCMよりも安いため積極的に広告を配信しています。

スターバックス

大手のコーヒーショップとして有名なスターバックスは、サラリーマンや外国人からの人気が高く、連日多くの顧客が店舗を訪れています。

 

口コミがメインのため、新聞の折り込み広告などの「物理的な広告」は出していません。その代わり、多様なSNS媒体で広告を配信しているので、認知度の高さやフォロワー数の多さはご存じの方が多いでしょう。

 

近年は、コーヒー以外のドリンクも人気が高く、SNSアカウントの投稿の影響もあり「若年層女性」という大きなセグメントの獲得に成功しています。

 

以下でスターバックスが取った戦略を、4P分析の観点から解説していきましょう。

 

【Product(商品)】
スターバックスでは、高品質なコーヒーを多数揃えており、季節ごとの限定商品を定期的に提供することで、リピーターを獲得しています。

 

店内の雰囲気もよく、「落ち着いておいしいコーヒーを楽しめる」という付加価値を提供しているので、「第二のオフィス」として利用している方も少なくありません。

 

【Price(価格)】
スターバックスのコーヒーは、競合と比較して高めの価格設定になっていますが、敢えて高めの設定にすることで「他では体験できない高級感」という価値を提供しています。

 

少々高めの価格設定ですが、特定の商品に関しては「2杯目の価格を安く」しているので、高級感を味わいつつ、お得感を享受させることにも成功しています。

 

【Place(場所)】
スターバックスの店舗がある場所は、比較的往来の多いオフィス街や都会的な場所に設置されていることが多いです。他にも、駅構内や遊園地などの「人が多く集まる場所に出店する」ことで、安定した集客数を維持しています。

 

集客数が多いと、そこから得られる「顧客の生の声」も多くなるため、今後の展開や戦略立案の参考になるでしょう。

 

【Promotion(販促)】
スターバックスでは、口コミをメインにプロモーションをおこなっていますが、近年はSNSを利用した新商品の紹介や限定商品・季節ごとの定番商品の投稿を積極的におこなっています。

 

SNS媒体の機能を利用することで、広告費用をおさえたプロモーション活動を可能にしました。

ユニクロ

ユニクロは、「どんな服との組み合わせが可能」で「高品質」な服を提供することに強いこだわりをもっています。

 

製造小売業へ転換した後は、シンプルかつ高品質でカジュアルな服を比較的安い価格で提供する路線を進めてきた経歴から衣料品としての完成度が高く、老若男女問わず愛用されています。

 

ここからは、ユニクロが取った戦略を、4P分析の観点から解説していきましょう。

 

【Product(商品)】
ユニクロは、自社が販売する服を「部品」として考え、他社のデザインに対抗・反発しないシンプルなデザインを重視しています。

 

デザインにはあまりこだわらない代わりに、性能や機能には強くこだわっており、ベーシックで機能性の高い服というコンセプトを守り続け、競合他社との差別化で成功しました。

 

【Price(価格)】
ユニクロがターゲットにしているのは、「あまり服飾に興味がない人」です。その他の多くの企業では性別や年齢・人種・地域などからターゲットを絞っています。

 

服に興味がなく、服にお金をかけられない・お金をかけたくない人でも購入しやすい価格設定にすることで、「あそこなら安くて高品質な服を買える」という位置づけを成功させました。

 

【Place(場所・流通)】
ユニクロの服の主な生産国は中国で、そこから世界各国に輸出されています。商品を保管している倉庫では「商品部門別」に保管され、各店舗への輸送を外部の業者に委託することでコスト削減に成功しています。

 

実店舗は道路沿いに設置することで、「乗用車で買い物にいこう」と顧客に思わせ、まとめ買いをしてもらえる可能性を高めています。

 

【Promotion(販促)】
ユニクロでは、ベーシックな機能性の高さをアピールするために、CMなどで有名なスポーツ選手を起用するなどの効果的なイメージ戦略を展開しています。

 

SNSマーケティングの手法で例えると、インフルエンサーマーケティングに該当します。

 

また、ユニクロでは「店舗にチラシと同じ商品が並ぶ」ようにしているので、ユーザーに「広告通りの商品がある」という安心感を与え、競合や他のアパレル業界との差別化で成功をおさめました。

広告運用の担当者なら、4Pが関与して起こりうる悪影響も把握しておく

4P分析は優秀な分析ツールですが、万能ではありません。

 

広告運用の担当者なら、4Pが関与して起こりうる悪影響についても理解しておく必要があります。

 

以下で、各要素が関与して起こりうる影響について解説していくので、参考にしてください。

Productが関与する悪影響

起こりうる悪影響で、最も多いのが「売り上げの低下・低迷」です。

 

売り上げの低下・低迷の原因としては、次の例が考えられます。

 

【サービスに実装していた機能の停止・廃止】
広告でその機能をメインにしていた場合、「それが嘘の情報」だと思われ、クリック率やコンバージョン率が低下する。

 

【サービスの終了】
広告で宣伝しているサービスを終了しても、広告の修正・変更をしていなかった場合は、コンバージョンが低下する。

 

【ブランドの名称変更】
ブランドの名称を変更したのに、広告やランディングページでは修正・変更をしていなかった場合は、コンバージョンが低下する可能性がある。

 

【デザインやパッケージの変更】
デザインやパッケージを変更したのに、広告やランディングページでは修正・変更をしていなかった場合は、コンバージョンが低下する可能性がある。

 

【保証の有無・保証期間や保証内容の変更】
保証の廃止・期間の短縮や保証内容の変更があったのに、広告やランディングページでの告知や表記の修正・変更をしていなかった場合は、コンバージョンが低下する可能性がある。

 

【製品ライフサイクルの衰退期に入る】
製品のライフサイクルが終盤(衰退期)に入るため、売れ行きが低下・低迷する。

Priceが関与する悪影響

「売り上げの低下・低迷」の原因は、Price(価格)が影響する場合もあります。

 

以下は、Price(価格)の影響で起こりうる悪影響の一例です。

 

【顧客が想定する価格よりも高額である】
製品の設定価格が、顧客が想定する価格よりも高いため、コンバージョン率が低下する。

 

【コストの問題による値上げ】
物価高などの影響によるコストの増大で設定価格が上がり、コンバージョン率が低下する。

 

【競合他社の値下げ】
自社よりも、競合他社のほうが安く買えるようになるため、コンバージョン率が低下する。

 

【割引の廃止・値下げ率の低下】
従来よりも購入に必要な費用が高くつくため、コンバージョン率が低下する。

 

【送料無料の廃止・送料無料の条件の追加・変更】
商品代に加えて、送料が余分にかかるようになるため、コンバージョン率が低下する。条件追加・変更により、条件を満たすことが難しくなるため、コンバージョン率が低下。

 

【支払い期限の変更】
商品の設定価格と顧客の懐事情により、期限内の支払いが不可能と判断され、コンバージョン率が低下する可能性がある。

Placeが関与する悪影響

販売する場所や、流通経路に変更があった場合も、売り上げの低下・低迷が起こる可能性があります。

 

以下は、その一例です。

 

【販売方法の変更】
ターゲティング設定が変わるため、クリック率やコンバージョン率が低下する。

 

【販売地域の変更】
特に新しい土地では「認知度」が低く、一からの集客となるため、売り上げが低下する。

 

【webサイトやランディングページの変更】
新規サイトの立ち上げなどでアドレスが変更になった場合、旧サイトでのジャンプ設定や事前告知をしていないと、アクセス数が低下する。

 

【商品が届くまでの時間が増えた】
納期を指定する顧客・短納期指定の顧客からは、最悪「離脱・取引終了」の可能性が出てくる。

 

【品揃えが悪い・在庫切れ】
顧客が欲しい時に商品が手に入らず、売り上げの低下が起こる。「離脱・取引終了」の可能性も出てくる。

Promotionが関与する悪影響

プロモーションの変更でも、売り上げの低下・低迷が起こる可能性があります。

 

以下は、その一例です。

 

【特定の媒体で広告配信を停止】
停止した広告が、クリックやリーチに間接的に影響していた可能性があるため、その影響でコンバージョン率が低下する。

 

【イベントの中止】
イベントに関するプロモーションキャンペーンの効果がなくなり、認知度の低下やコンバージョン率が低下する。

 

【広告の設定変更】
設定変更によるパフォーマンスの低下が原因で、コンバージョン率が低下する。

 

【効果測定方法の変更】
効果測定による分析データが不正確になり、コンバージョンの追跡が曖昧になるため、広告予算の適切な配分ができなくなる。

 

【広報や人的販売の取りやめ・活動内容の変更】
顧客とのコミュニケーションが曖昧になり、良好な関係構築が困難になる。

4P分析に関連した、よくある質問

最後に、4P分析に関連した「よくある質問」について解説していきます。

 

文中でも少し触れた内容もありますが、おさらいとして参考にしていただければ幸いです。

4P分析の弱点は何か?

4P分析は企業の主観が強く出るため、顧客側の視点(客観的な視点)が弱いという弱点があります。

 

それを補うため「4つのC」の視点から、 4P分析の4つのPそれぞれに対応する顧客視点を設定し、顧客の立場から製品やサービスを分析していくのが通例です。

 

4P分析だけでは、どうしても「企業側の独りよがり」になってしまうのが「4P分析の弱点」になります。

3C分析と4P分析の違いは?

4P分析は、競合他社と比較しながら自社の製品をより深く理解し、製品やサービスの販売を促進するためのやり方を検討するためのものですが、3C分析は自社・競合・市場や顧客といった「多角的な視点」で分析するものであるという点に違いがあります。

まとめ

4P分析は、競合他社と4つの要素であるProduct(製品)・Price(価格)・Place(流通・場所)・Promotion(プロモーション)の各要素で分析し、自社製品の特徴や特性を理解して価値を見い出し、販売を促進するためのものです。

 

4P分析は古典的な分析方法ですが、伝統的なマーケティング手法の基本といえます。今回の記事内で紹介した「4C分析」のほか、3つのPを追加したサービス業向けの「7P分析」も合わせて、ターゲット層に合致したマーケティング戦略を組み立てていきましょう。

 

今回の記事が、マーケティング戦略立案のための「ステップアップのきっかけ」になれば幸いです。



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