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過去にウェブサイトで閲覧した商品やサービスが、別のサイトやアプリで広告として表示される。このような経験はございませんか。これは「ダイナミック広告」と呼ばれる手法で、特にEC、不動産、人材、旅行といった多岐にわたる商品・サービスを取り扱うビジネスにおいて、コンバージョン獲得の強力な推進力となります。ユーザー一人ひとりの行動履歴に基づき、最適な広告クリエイティブを自動で生成・配信することで、高い費用対効果を実現する獲得型広告の切り札と言えるでしょう。

本記事では、国内で圧倒的なユーザー数を誇るLINEプラットフォーム上で展開されるダイナミック広告、「LINE Dynamic Ads」に焦点を当てます。その基本的な仕組みから、具体的な設定手順、成果を最大化するための戦略的活用法、そして他媒体との比較に至るまで、事業担当者様が明日から実践できるレベルで網羅的に解説してまいります。

LINE広告全体の戦略にご関心をお持ちの場合は、こちらの記事も併せてご参照ください。

【2025年完全版】LINE広告の費用対効果を最大化する運用戦略|獲得特化の教科書
2023-04-20 00:59
LINEは、今や日本のコミュニケーションインフラとして、私たちの生活に深く根付いています。月間アクティブユーザー数は9,600万人(2023年9月末時点)を超え、その圧倒的な利用者...

LINE Dynamic Ads とは何か?

LINE Dynamic Ads(以下、LINEダイナミック広告)とは、LINEが提供する広告配信プラットフォーム「LINE広告」の一機能であり、ユーザーの行動履歴に基づいて広告内容を動的に最適化し、配信する広告プロダクトです。具体的には、ユーザーが自社のウェブサイトで「どの商品を見たか」「カートに何を入れたか」といった行動データを基に、そのユーザーの興味関心に合致する可能性が極めて高い広告をLINEの多様な配信面に自動で表示させます。これにより、画一的な広告配信では実現不可能な、高度にパーソナライズされたアプローチが可能となり、サイトへの再訪や最終的な購買・申し込みといったコンバージョンを強力に後押しします。

LINEダイナミック広告の仕組みのイラスト

LINE社の公式ドキュメントでは、その本質を以下のように定義しています。

ユーザーの商品の閲覧履歴に基づき、興味がありそうな特定商品を広告表示します。そのため、ユーザーひとりひとりに向けた配信最適化が可能です。また、商品ごとに遷移先を設定できるため、より効率的に再来訪や購入を促進できます。

この「ユーザーひとりひとりに向けた配信最適化」こそが、獲得効率を最大化する上での核心部分となります。

ダイナミック広告の基本的な仕組み

不動産ポータルサイトで特定の物件情報を閲覧した後や、アパレルECサイトで気になる洋服をいくつか見た後に、LINEアプリを開くと、まさに先ほどまで見ていた物件や洋服が広告として表示される。これがダイナミック広告の典型的な挙動です。この裏側では、精緻なシステムが稼働しています。

LINE VOOMに表示されるダイナミック広告の例

画像引用元:LINEのダイナミックリターゲティング広告「LINE Dynamic Ads」の提供を開始

この仕組みは、主に二つの要素によって成り立っています。

1. 商品フィード(商品カタログ): 広告として配信したい全ての商品情報(商品ID, 名称, 価格, 画像URL, 在庫状況など)を所定のフォーマットでまとめたデータファイルです。このデータが、表示される広告の元ネタとなります。

2. トラッキングタグ(LINE Tag): ウェブサイトの各ページに設置する計測用のコードです。このタグが、訪問したユーザーの行動(「どの商品IDを見たか」「カートに商品IDを追加したか」など)を記録し、LINEのサーバーへ送信します。

広告配信システムは、LINE Tagから送られてきたユーザーの行動データと、事前に登録された商品フィードの情報をリアルタイムで照合します。そして、「このユーザーは商品ID『A』に興味を持っている」と判断すると、商品フィードから商品ID『A』の画像や価格情報を引き出し、最適な広告クリエイティブを自動生成して、そのユーザーがLINEアプリを利用するタイミングで配信するのです。さらに、ユーザーが閲覧した商品だけでなく、その関連商品やおすすめ商品を一緒に表示させることも可能で、これによりクロスセルやアップセルの機会を創出します。

LINEダイナミック広告は、LINEが提供するサービスの一つですが、同様の仕組みを持つ広告は他の主要な広告媒体にも存在します。それぞれの媒体でプロダクト名は異なりますが、基本的な構造は共通しています。

媒体 プロダクト名
Google 動的リマーケティング / 動的プロスペクティング
Meta (Facebook/Instagram) Facebookダイナミック広告
Yahoo!広告 動的ディスプレイ広告
Criteo Criteo Dynamic Retargeting
LINE LINE Dynamic Ads

これらの媒体の中でも、LINEダイナミック広告は日本のコミュニケーションインフラであるLINEの広大なリーチと高いアクティブ率を背景に、独自の強みを発揮します。

LINEダイナミック広告の4大メリットと戦略的価値

ダイナミック広告が持つ一般的な利点に加え、LINEダイナミック広告は事業のコンバージョン獲得において、具体的にどのような戦略的価値を提供するのでしょうか。ここでは4つの主要なメリットを深掘りします。

メリット1:広告運用の工数を劇的に削減し、効率化を実現

数百、数千、あるいは数万点にも及ぶ商品を取り扱うビジネスにおいて、個別の商品ごとに広告クリエイティブを作成し、ターゲット設定を行い、入稿作業を繰り返すことは、現実的ではありません。仮に実行できたとしても、その人的リソースと時間は膨大なものとなり、費用対効果は著しく低下します。

LINEダイナミック広告は、この課題を根本から解決します。一度商品フィードとLINE Tagの設定を完了させれば、あとはシステムがユーザーの行動に合わせて最適なクリエイティブを「自動で」生成・配信してくれます。新商品が追加された場合も、商品フィードを更新するだけで対応が完了します。これにより、広告運用担当者は、煩雑な手作業から解放され、より戦略的な分析や企画、全体の予算配分といった高付加価値業務に集中することが可能になります。

メリット2:ユーザー毎の高度な最適化によるコンバージョン率の最大化

コンバージョンを獲得する上で最も重要な要素の一つは、「適切なタイミングで、適切な人に、適切なメッセージを届ける」ことです。ダイナミック広告は、まさにこれを自動で実現する仕組みです。

ユーザーがサイトで閲覧した商品は、そのユーザーの「顕在化した興味」そのものです。全く関心のない広告を見せられるのに比べ、直前まで検討していた商品や、それに関連する魅力的な商品を提示されることは、ユーザーにとって有益な情報となり、クリックや再訪、そして最終的な購入へと繋がりやすくなります。この「自分ごと化」された広告体験が、一般的なリターゲティング広告と比較しても高いコンバージョン率を期待できる最大の理由です。

特にLINEというプラットフォームは、日常的に利用されるコミュニケーションツールであるため、リラックスした状態で広告に接触する機会が多く、より自然な形でのアプローチが可能です。

メリット3:機会損失の防止と売上の着実な底上げ

通常のリターゲティング広告では、広告を配信するために「オーディエンスリスト」を作成します。例えば、「特定の商品カテゴリページを訪問したユーザー」といったリストです。しかし、このリストのサイズ(人数)が媒体の規定する最小数に達していない場合、広告を配信すること自体ができません。ニッチな商品や、まだアクセスの少ない新商品ページでは、リストが十分に貯まらず、広告配信の機会を逃してしまうケースが頻繁に発生します。

LINEダイナミック広告は、個々のユーザーの行動に基づいて広告を生成するため、このようなリストサイズの制約を受けにくいという大きな利点があります。たとえその商品を見たユーザーが少数であっても、条件に合致すれば広告を配信できるため、取りこぼしなくアプローチが可能です。これにより、ニッチな商品の売上貢献や、ロングテールでの着実な売上積み上げに繋がり、事業全体の機会損失を防ぎます。

メリット4:クロスセル・アップセル戦略の自動化

LINEダイナミック広告の価値は、単に閲覧した商品を再度表示する「リマインド機能」に留まりません。商品フィードに登録された情報とユーザーの行動履歴を組み合わせることで、より高度な販売戦略を自動で展開できます。

例えば、ユーザーが閲覧した商品(例:標準モデルのノートパソコン)に対して、より高機能な上位モデル(アップセル)や、関連アクセサリー(マウス、PCケースなど)を同時に広告内で提案(クロスセル)することが可能です。これにより、顧客単価(CPA)の向上に直接的に貢献します。どのような商品を関連付けるかは、商品フィードの設定や広告配信のアルゴリズムによって制御され、効果的な組み合わせをシステムが学習・最適化していきます。

導入前に把握すべき注意点と、向いていないケース

多くのメリットを持つLINEダイナミック広告ですが、万能というわけではありません。導入を検討する際には、いくつかの注意点を理解し、自社のビジネスモデルに適しているかを見極めることが重要です。

注意点1:導入初期における技術的な設定ハードル

LINEダイナミック広告の恩恵を享受するためには、避けて通れない二つの技術的な準備が必要です。それが「LINE Tagの正確な設置」と「商品フィードの継続的なメンテナンス」です。特に、ウェブサイトの全てのページ構造を理解し、各ページで発生するユーザー行動(商品閲覧、カート追加など)を正確に捉えるためのイベントコードを設置する作業は、専門的な知識を要します。また、商品フィードも、在庫状況や価格変動を常に最新の状態に保つ必要があり、そのための運用体制が求められます。これらの初期設定と運用体制の構築が、導入における最初のハードルとなる可能性があります。

注意点2:クリエイティブのテスト・改善における制約

広告クリエイティブは、商品フィードのデータ(商品画像、商品名、価格など)を基に、LINEが用意したテンプレートに沿って自動生成されます。そのため、静的なバナー広告のように、デザインやキャッチコピーを自由にABテストするといった細やかなクリエイティブ改善には向きません。効果を改善するための主要なレバーは、クリエイティブそのものではなく、「商品フィードの品質向上」や「オーディエンスセグメントの最適化」となります。

ダイナミック広告が不向き、または効果が出にくい商材・サービス

以下の特徴を持つ商材やサービスは、ダイナミック広告の効果が限定的になる可能性があります。

  • 取扱商品点数が極端に少ない: ユーザーに提示できる商品のバリエーションが少ないため、ダイナミック広告のパーソナライズ機能が活かしきれません。
  • 単一サービス・単一プランの商材: 比較検討する対象がそもそも存在しないため、ダイナミックな出し分けのメリットがありません。(例:SaaSの特定プラン、単一のコンサルティングサービスなど)
  • 検討期間が極端に短い、または衝動買いが多い低単価商材: サイトを離脱した後に再度広告でアプローチする前に、すでに購入意思が失われているか、他で購入済みである可能性が高い商材です。
  • BtoB向けの専門的すぎる製品・サービス: 企業内での稟議や複数人での検討が必要となるため、個人の行動履歴に基づくアプローチだけではコンバージョンに結びつきにくい傾向があります。

自社の商材がこれらの特性に当てはまる場合は、ダイナミック広告以外の獲得手法を優先的に検討する方が賢明かもしれません。

【最重要】LINEダイナミック広告を始めるための全手順

ここからは、実際にLINEダイナミック広告を開始するための具体的なステップを、順を追って詳細に解説します。このセクションは特に重要ですので、一つ一つの手順を確実に実行してください。

LINEダイナミック広告の配信面一覧

画像引用元:LINE Dynamic Adsを利用する

主要な配信面とその特性

設定を始める前に、広告がどこに表示されるのかを理解しておくことは重要です。LINEダイナミック広告は、LINEが提供する多様なサービス内に配信されます。主要な配信面とその特徴は以下の通りです。

  • LINE VOOM (旧タイムライン): 友人・知人の投稿の間に自然な形で表示されます。MAUは6,800万人以上(2019年8月時点)と非常に広範なリーチを誇ります。
  • LINE NEWS: MAU7,700万人以上(2021年8月時点)を誇る国内最大級のニュースサービスです。ニュース記事の合間に表示され、信頼性の高い情報と共に広告が閲覧されます。
  • トークリスト: LINEアプリで最もアクティブなトーク一覧画面の最上部に表示されます。視認性が非常に高く、多くのユーザーへのリーチが可能です。
  • LINEマンガ: 若年層を中心に幅広い世代が利用する電子コミックサービスです。作品の合間に表示され、エンターテイメントコンテンツ消費中のユーザーにアプローチできます。
  • LINE BLOG: アーティストやタレントが情報発信するブログサービスです。特定の趣味・嗜好を持つユーザー層にリーチしやすい特徴があります。
  • LINEポイント: ポイント獲得を目的としたアクティブなユーザーが多く利用するサービスです。広告閲覧に対するインセンティブが高いユーザーにアプローチできます。
  • LINEショッピング: 商品購入意欲の高いユーザーが利用するサービスです。購買ファネルの最終段階に近いユーザーへのアプローチが期待できます。

これらの配信面に、ユーザーの行動履歴に基づいて最適化された広告が表示されることになります。

LINE VOOMの広告表示例
LINE NEWSの広告表示例
LINEマンガの広告表示例
LINE BLOGの広告表示例
LINEポイントの広告表示例
LINEショッピングの広告表示例
トークリストの広告表示例

ステップ1:LINE Dynamic Adsの利用権限付与を申請する

LINEダイナミック広告は、通常のLINE広告アカウントを開設しただけでは利用できません。事前に専用のフォームから利用申請を行い、権限を付与してもらう必要があります。これは、商品フィードの利用に関する審査などが含まれるためです。

申請は、LINE for Businessの公式サイト内にある専用フォームから行います。広告アカウントIDやビジネスの業種、ウェブサイトURLなどの情報が必要となります。

LINEダイナミック広告の権限付与申請フォームの画面

フォームの案内に従い、必要事項を正確に入力します。特に広告アカウントIDを間違えると権限が付与されないため、注意深く確認してください。

LINEダイナミック広告の権限付与申請フォームの入力画面

全ての入力が完了し、利用規約に同意した上で送信します。審査には数営業日かかる場合があります。承認されると、広告管理画面に「商品カタログ」というメニューが表示されるようになります。

ステップ2:LINE Tagを正確に作成・設置する

LINE Tagは、ユーザーの行動データを計測するための生命線です。この設定が不正確だと、広告の最適化が正しく機能しません。LINE Tagは「ベースコード」と「イベントコード」の2種類で構成されます。

LINE広告管理画面でのLINE Tag取得画面

1. ベースコード: 全てのページで共通して設置する基本的なタグです。ウェブサイトの<head>タグ内に設置することが推奨されており、これによりサイト全体の訪問者を計測します。

2. イベントコード: 特定のアクションが発生したページにのみ設置するタグです。LINEダイナミック広告では、以下の5つのイベントコードを正しく設置することが極めて重要です。

  • ViewContent(商品詳細ページ閲覧): ユーザーが個別の商品ページを閲覧した際に発火させます。「どの商品IDを閲覧したか」という情報を送信するため、ダイナミックリターゲティングの基本となります。
  • AddToCart(カート追加): ユーザーが商品をショッピングカートに追加した際に発火させます。購入意欲が比較的高いユーザーを特定するために重要です。
  • InitiateCheckout(購入手続き開始): ユーザーが購入手続きのページへ進んだ際に発火させます。カート追加よりもさらに購入に近い、非常に重要なシグナルです。
  • Purchase(購入完了): ユーザーが商品の購入を完了した際に発火させます。コンバージョンの計測はもちろん、購入者をリターゲティング対象から除外するためにも必須です。
  • Search(サイト内検索): ユーザーがサイト内で特定のキーワードで商品を検索した際に発火させます。ユーザーの潜在的なニーズを捉えるのに役立ちます。

これらのイベントコードを、ウェブサイトの該当するページ(商品詳細ページ、カートページ、購入完了ページなど)に正確に設置する必要があります。各コードには、商品IDや価格、通貨といった「パラメータ」を動的に含める必要があり、この実装にはエンジニアの協力が必要となる場合がほとんどです。

ステップ3:成果を左右する「商品フィード」を作成・登録する

商品フィードは、広告クリエイティブの元となるデータベースです。このフィードの品質が、広告の成果に直接影響します。LINE広告の管理画面からテンプレート(CSV形式)をダウンロードし、その仕様に従って作成します。

商品フィード作成のイメージイラスト1
商品フィード作成のイメージイラスト2
商品フィード作成のイメージイラスト3

商品フィードには、必須項目と推奨項目があります。以下は主要な項目の一例です。

項目名 ステータス 内容
id 必須 商品固有のID。LINE Tagで送信するIDと完全に一致させる必要があります。
title 必須 商品名。広告のタイトルとして表示されます。
link 必須 商品の詳細ページURL。広告の遷移先となります。
image_link 必須 商品画像のURL。広告のメインビジュアルです。
price 必須 商品の価格。「JPY 1000」のように通貨と価格を記載します。
availability 推奨 在庫状況(in stock, out of stockなど)。在庫切れの商品を広告から除外するために重要です。
description 推奨 商品説明文。広告のテキストとして使用される場合があります。
category 推奨 商品カテゴリ。レコメンド精度の向上に寄与します。

作成した商品フィードは、管理画面の「商品カタログ」から登録します。在庫や価格は変動するため、定期的に(可能であれば毎日)フィードを最新の情報に更新することが、広告効果を維持・向上させる上で不可欠です。

ステップ4:オーディエンスを作成する

次に、どのようなユーザーに広告を配信するかを定義する「オーディエンス」を作成します。LINE広告では、このオーディエンス設定がターゲティングに相当します。

オーディエンスは、広告管理画面の「オーディエンス」メニューから作成します。LINEダイナミック広告で主に使用するのは以下のタイプです。

  • ウェブトラフィックオーディエンス: LINE Tagを設置したウェブサイトへの訪問者や、特定のアクション(カート追加、購入など)を行ったユーザーを基に作成するオーディエンスです。これがダイナミックリターゲティングの核となります。「過去30日以内に商品をカートに追加したが未購入のユーザー」といった具体的な条件でリストを作成できます。
  • 類似オーディエンス: 既存のオーディエンス(例:購入完了者リスト)に似た行動特性を持つユーザーをLINEのプラットフォーム上から探し出し、新たなオーディエンスを作成する機能です。これにより、購入確度の高い新規ユーザーへのアプローチ(プロスペクティング配信)が可能になります。

目的に応じて、複数のオーディエンスを作成し、それぞれの効果を検証していくことが重要です。

ステップ5:キャンペーンを作成し、配信を開始する

全ての準備が整ったら、最後に広告キャンペーンを作成します。

1. キャンペーンの作成: 新規キャンペーン作成画面で、キャンペーンの目的として必ず「商品フィードから販売」を選択します。これを選択することで、ダイナミック広告の機能が有効になります。

2. 広告グループの作成: 次に広告グループを作成し、配信したいオーディエンス(ステップ4で作成したもの)を設定します。ここで、リターゲティング対象のオーディエンスや、類似配信のオーディエンスを指定します。予算や入札戦略もこの階層で設定します。

3. 広告の作成: 最後に広告を作成します。ダイナミック広告では、個別のクリエイティブをアップロードするのではなく、使用する商品カタログ(ステップ3で登録したもの)を選択します。広告に表示するロゴや、共通のテキストなどを設定することも可能です。

全ての設定が完了し、審査を通過すれば、LINEダイナミック広告の配信が開始されます。

ダイナミック広告の運用イメージ

オーディエンス戦略:誰に、何を、いつ見せるか

LINEダイナミック広告の成否は、オーディエンス戦略にかかっていると言っても過言ではありません。LINE Tagから得られる豊富なデータを基に、ユーザーの購入ファネルに応じてきめ細かくオーディエンスを設計することが、費用対効果の最大化に繋がります。

LINEダイナミック広告のオーディエンス種別

画像引用元:LINE Dynamic Adsを利用する

リターゲティングオーディエンスのセグメント戦略

サイト訪問者と一括りにするのではなく、その行動の深さに応じてセグメントを分け、それぞれに最適化されたアプローチを行うことが重要です。

  • 全サイト訪問者(期間別): サイトを訪問したが、特定の商品閲覧には至らなかった層です。「過去7日以内の訪問者」「過去30日以内の訪問者」など、訪問からの経過日数でセグメントを分け、それぞれ入札を調整します。最近訪問したユーザーほど、関心度が高いと考えられます。
  • 商品閲覧者(ViewContent): 具体的な商品ページを閲覧した、関心の高い層です。このセグメントには、閲覧した商品をそのまま表示するのが基本戦略となります。
  • カート追加者(AddToCart): 商品をカートに追加したものの、購入には至らなかった「カゴ落ち」ユーザーです。購入意欲が非常に高い層であり、最も優先的にアプローチすべきセグメントです。「あと一押し」を促すため、強めの入札で配信します。
  • 購入完了者(Purchase): すでに商品を購入したユーザーです。このセグメントは、リターゲティング配信の「除外オーディエンス」として設定することが基本です。同じ商品を何度も表示して広告費を無駄にしたり、ユーザー体験を損ねたりするのを防ぎます。ただし、消耗品のリピート購入を促す場合や、関連商品(クロスセル)を提案する場合には、あえて配信対象とすることもあります。

プロスペクティング(類似配信)による新規顧客獲得

LINEダイナミック広告は、リターゲティングだけでなく、購入確度の高い新規顧客を獲得するためにも活用できます。これがプロスペクティング(類似配信)です。

最も効果的なのは、「購入完了者」の類似オーディエンスを作成することです。LINEの膨大なデータを基に、すでに自社の商品を購入した顧客と行動パターンや興味関心が似ているユーザーを探し出し、そのユーザーに対してダイナミック広告を配信します。この際、配信される商品は、類似元のユーザーが購入したものや、サイト全体で人気のある商品がレコメンドされます。これにより、全くの新規ユーザーでありながら、高いコンバージョン率が期待できるのです。

【業界別】LINEダイナミック広告 活用シナリオ

LINEダイナミック広告のポテンシャルを最大限に引き出すには、自社の業界特性に合わせた活用シナリオを設計することが重要です。ここでは主要な業界における具体的な活用法を考察します。

Eコマース(アパレル、雑貨、家電など)

Eコマースは、ダイナミック広告との親和性が最も高い業界です。無数の商品の中から、ユーザーの好みに合わせた一点を的確にアピールできます。

  • カゴ落ち対策: 「カート追加後、24時間以内に未購入」のユーザーセグメントを作成し、強力にリターゲティングを実施。クーポンの有効期限などを広告テキストに含め、緊急性を訴求するのも効果的です。
  • クロスセル・アップセル促進: 「商品Aを購入したユーザー」に対し、関連商品である「商品B」や上位モデルの「商品A'」を提案する広告を配信。顧客単価の向上を目指します。
  • セール・キャンペーンの最大化: セール対象となっているカテゴリの商品を閲覧したユーザーに対し、セール期間中に集中的に広告を配信。フィード内の価格情報をセール価格に更新することで、お得感を直接的に訴求します。

不動産業界

検討期間が長く、比較検討が前提となる不動産業界においても、ダイナミック広告はユーザーの関心を維持し続けるために有効です。

  • 閲覧物件の再アプローチ: ユーザーが閲覧した物件情報を、数日間にわたってリターゲティング。「この物件は残り1室です」といった情報をフィードに含め、希少性をアピールします。
  • 類似条件の物件提案: ユーザーが閲覧した物件と「同じエリア」「同じ間取り」「同じ価格帯」といった条件の類似物件を自動で提案。ユーザーの潜在的な選択肢を広げ、サイトへの再訪を促します。
  • 内見予約への誘導: 複数の物件を閲覧している熱心なユーザーに対し、「内見予約はこちらから」といったCTA(行動喚起)を明確にした広告を配信し、コンバージョン(内見予約)へと直接的に誘導します。

人材業界

求職者と求人案件のマッチング精度を高める上で、ダイナミック広告は強力なツールとなります。

  • 閲覧求人のリマインド: 求職者が閲覧した求人案件を再度提示し、応募を促します。「募集締め切り間近」といった情報をフィードに含めることで、応募を後押しします。
  • 類似求人のレコメンド: 閲覧した求人の「職種」「勤務地」「給与レンジ」などの条件に基づき、非公開求人を含む類似案件を提案。求職者の選択肢を広げ、マッチングの機会を最大化します。
  • 会員登録への誘導: 複数の求人を閲覧しているものの、まだ会員登録に至っていないユーザーに対し、会員登録のメリットを訴求する広告を配信し、見込み顧客リストの獲得を目指します。

まとめ

LINEダイナミック広告は、単なるリターゲティング広告の延長線上にあるものではなく、膨大な商品・サービス情報とユーザー一人ひとりの行動データをリアルタイムで掛け合わせ、最適なコミュニケーションを自動で実現する、獲得型広告のソリューションです。その導入には、LINE Tagの設置や商品フィードの作成といった技術的な準備が必要ですが、一度その仕組みを構築すれば、広告運用の劇的な効率化と、コンバージョン率の飛躍的な向上が期待できます。

特に、取扱商材が多く、個別の手動運用に限界を感じておられるEC、不動産、人材、旅行などの事業者様にとって、LINEダイナミック広告は、事業成長を加速させるための極めて強力な一手となり得ます。本記事で解説した手順と戦略を参考に、ぜひ導入をご検討ください。

LINE広告全般に関するより深い知見や、他の広告メニューとの組み合わせに関心をお持ちの場合は、こちらの記事もご参照いただけますと幸いです。

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