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近年、私たちデジタルマーケティングに携わる者にとって、避けては通れない大きな変革の波が押し寄せています。その核心にあるのが、個人情報保護の世界的な潮流を背景とした「Cookie(クッキー)」利用の厳格化です。Apple社が提供するiOSのトラッキング防止機能「ITP (Intelligent Tracking Prevention)」は年々その精度を高め、Safariブラウザにおける「3rd Party Cookie」のブロックはもはや標準となり、さらに「1st Party Cookie」の有効期限にさえも制限を加えています。加えて、長らく業界の標準であったGoogle Chromeにおいても、2025年からの段階的な「3rd Party Cookie」のサポート終了が目前に迫っており、これまで獲得型広告の根幹を支えてきたリターゲティング配信やコンバージョン計測のあり方が、根本から覆されようとしています。この「Cookieレス時代」の到来は、広告の費用対効果(ROAS)やコンバージョン単価(CPA)を追い求める広告主様にとって、極めて深刻な課題を突きつけていると言えるでしょう。そこで今回は、このような大きな環境変化に対応し、Cookieだけに依存しない新たなユーザー追跡・計測手法として急速に注目を集めているLINE広告の「詳細マッチング(Advanced Matching)」について、その本質的な価値から、具体的な設定方法、導入効果、そして利用する上での法的な注意点まで、網羅的かつ実践的に解説してまいります。本記事が、貴社の広告パフォーマンスを一段階上へと引き上げるための一助となれば幸いです。

また、LINE広告の運用全般に関して、より体系的な知見を深めたい方は、以下の記事に総括的に情報をまとめておりますので、本記事とあわせてぜひご一読ください。

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LINE広告における「詳細マッチング」の基礎知識

LINE広告 詳細マッチングの概要図

まずはじめに、「詳細マッチング(Advanced Matching)」とは何か、その定義と基本的な仕組みを正確に理解することから始めましょう。この機能を一言で表現するならば、「ウェブサイト訪問者のファーストパーティデータを活用し、LINEユーザーとを高精度で結びつけるための架け橋」と言えます。具体的には、ウェブサイトに設置されたLINEの計測タグ「LINE Tag」を介して、サイト訪問者が自らの意思で入力した「電話番号」や「メールアドレス」といった個人情報を取得します。ここでの重要なポイントは、取得した個人情報がそのままの形でLINE社のサーバーへ送信されるわけではないという点です。これらの情報は、ユーザーのブラウザ上で「ハッシュ化」と呼ばれる不可逆的な暗号化処理を施された上で、安全にLINEのプラットフォームへと送信されます。そして、LINE側で保持している約9,700万人(2024年3月末時点)もの膨大なユーザーデータベースに登録されている情報(こちらも同様にハッシュ化されています)と照合(マッチング)が行われます。この一連のプロセスにより、Cookieが利用できないブラウザ環境(例えば、Safari)や、ユーザーが複数のデバイスを使い分けている状況下でも、同一人物として正確に特定し、広告配信の最適化やコンバージョン計測に活用することが可能になるのです。

この機能の重要性について、LINE社の公式ドキュメントでは以下のように定義されています。

Advanced matching(詳細マッチング)とは、LINE Tag を通してハッシュ化された1st party data(電話番号/メールアドレス)をLINEに送ることで、配信の最適化やコンバージョン計測精度の向上と、オーディエンス蓄積を増加させる機能です。

引用元:Advanced matching(詳細マッチング)-LINE for Business

この定義からも、詳細マッチングが単なる計測補完機能ではなく、「配信最適化」「計測精度向上」「オーディエンス増加」という、獲得型広告における3つの重要な要素を同時に改善するための戦略的な機能であることがお分かりいただけるかと存じます。この機能を支える根幹技術である「LINE Tag」については、下記の記事でその基本的な役割や設置方法について詳しくご紹介しておりますので、先にこちらをご確認いただくと、より理解が深まります。

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詳細マッチングが実現する3つの核心的価値

詳細マッチングを導入することで、具体的にどのような価値がもたらされるのでしょうか。ここでは、獲得型広告のパフォーマンスに直結する3つの核心的な価値について、それぞれを深掘りして解説いたします。これらは、従来のCookieベースのトラッキングが抱えていた構造的な課題を克服するための、強力なソリューションとなります。

価値1:コンバージョン計測の精度向上(クロス環境トラッキングの実現)

第一の価値は、コンバージョン計測の「正確性」と「網羅性」が劇的に向上することです。これは、ユーザーの行動がますます多様化・複雑化する現代において、広告施策の効果を正しく評価し、適切な予算配分を行うための絶対的な基盤となります。

端末やブラウザを跨いだコンバージョン計測やオーディエンス蓄積

現代のユーザーは、単一のデバイスやブラウザだけで購買行動を完結させることは稀です。例えば、以下のようなケースは日常的に発生しています。

  • ケースA:通勤中の電車内でスマートフォンのLINE広告を見て商品に興味を持ち、職場のPCのブラウザで詳細なスペックを比較検討し、最終的に帰宅後のタブレットで購入する。
  • ケースB:自宅のPC(Chrome)で広告をクリックして商品をカートに入れたが、外出先でスマートフォンの標準ブラウザ(Safari)を使って決済を完了させる。

従来のCookieベースのトラッキングでは、これらの行動はすべて別々のユーザーによるものとして分断されてしまい、広告がコンバージョンに貢献したという事実を正確に捉えることが極めて困難でした。特に、3rd Party CookieがブロックされるSafari環境では、広告クリック後のユーザー行動を追跡すること自体が不可能に近い状況でした。しかし、詳細マッチングを導入すれば、電話番号やメールアドレスという「個人に紐づく情報」をキーとして、これらの分断された行動を一つの線として結びつけることが可能になります。上記のケースAであっても、ユーザーが各デバイスで同じメールアドレスを使ってログインや会員登録を行っていれば、それらすべてを同一ユーザーの行動として認識し、最初の広告接触から最終的なコンバージョンまでを一気通貫で計測できるようになるのです。これにより、これまで計測できずに過小評価されていた広告の効果が可視化され、より正確なCPAやROASを算出することが可能となります。

クロスドメイントラッキング

コンバージョン計測の精度を阻害するもう一つの要因が、「ドメインの壁」です。特に、多くのECサイトやサービスサイトでは、以下のような構成が採用されています。

  • 商品紹介ページ:https://www.example.com
  • 会員登録・ログインフォーム:https://login.example-service.jp
  • ショッピングカート・決済システム:https://cart.another-domain.com

このように、ユーザーが一連の行動の中で複数の異なるドメインを遷移する場合、従来のCookieベースのトラッキングではドメインを跨いだ瞬間にセッション情報が途切れてしまい、ユーザーの追跡が困難になるという課題がありました。これを解決するためには、Google Analyticsなどで複雑なクロスドメイントラッキング設定を行う必要がありましたが、設定の煩雑さや計測漏れのリスクも伴いました。詳細マッチングは、この問題に対しても有効な解決策を提示します。ドメインが変わったとしても、LINE Tagが設置され、ユーザーのメールアドレスや電話番号が取得できる環境であれば、Cookieに依存することなく同一ユーザーとして認識し続けることができます。これにより、複雑なサイト構造を持つウェブサイトにおいても、シームレスなコンバージョン計測が実現するのです。

価値2:オーディエンスデータの最大化と質の向上

第二の価値は、広告配信の対象となる「オーディエンスリスト」を、量と質の両面で大幅に強化できる点です。これは、リターゲティング広告のリーチ拡大や、類似オーディエンスの精度向上に直接的に貢献します。

ITP機能が強力なSafariブラウザの利用者が多い日本では、ウェブサイトを訪問したユーザーのうち、かなりの割合がCookieベースのリターゲティングリストから漏れ落ちていました。これは、広告主にとって大きな機会損失を意味します。詳細マッチングは、この「見えない訪問者」を可視化し、オーディエンスとして蓄積することを可能にします。サイトを訪問し、メールマガジン登録や会員登録などでメールアドレスを提供してくれたユーザーであれば、たとえそのユーザーがSafariを利用していたとしても、LINEユーザーと照合できればリターゲティング広告の配信対象に含めることができます。これにより、リターゲティングリストの母数が大幅に増加し、これまでアプローチできなかった潜在顧客層に対して、再度広告を配信するチャンスが生まれるのです。結果として、広告のリーチ数が拡大し、コンバージョン機会の最大化に繋がります。

さらに、オーディエンスの「質」も向上します。詳細マッチングによって蓄積されるオーディエンスデータは、Cookieベースのデータよりも遥かに正確で信頼性が高いものです。この質の高い元データ(シードオーディエンス)を基にして「類似オーディエンス」を作成することで、拡張されるユーザーリストの精度も格段に向上します。例えば、「購入完了」というコンバージョン地点で詳細マッチングによって蓄積された高精度なユーザーリストを元に類似オーディエンスを作成すれば、実際に購買に至る可能性がより高い潜在顧客層へ効率的にアプローチすることが可能となり、新規顧客獲得の効率を大幅に高めることが期待できます。

価値3:広告配信の自動最適化の進化

第三の価値は、LINE広告の強みである機械学習による「自動最適化」の精度を、根底から引き上げることです。現代の運用型広告において、もはや機械学習の活用は不可欠ですが、その性能は投入される「教師データ」の質と量に大きく左右されます。

広告運用の世界には、「Garbage In, Garbage Out(ゴミを入れれば、ゴミしか出てこない)」という格言があります。これは、不正確でノイズの多いデータを基に分析や最適化を行っても、良い結果は得られないということを的確に表現しています。従来のCookieベースの計測では、前述の通り、多くのコンバージョンが欠損したり、誤って計測されたりしていました。このような「不完全な教師データ」を基にLINE広告のAIが学習を行っても、最適な入札単価やターゲティングを見つけ出すことは困難です。結果として、自動入札のパフォーマンスが安定せず、CPAが高止まりしてしまうといった事態を招きかねません。

詳細マッチングは、この問題を解決します。クロスデバイス、クロスブラウザ、クロスドメインで正確に捉えたコンバージョンデータを、質の高い教師データとしてLINE広告のAIに提供します。AIは、この正確なデータを基に「どのような属性や行動履歴を持つユーザーが、どのようなクリエイティブや配信面に接触した際にコンバージョンに至りやすいのか」というパターンを、より深く、より正確に学習することができるようになります。この学習精度の向上が、自動入札の最適化能力を飛躍的に高め、結果としてコンバージョン数の最大化やCPAの低減といった、広告主が求める最終的なビジネス成果へと繋がっていくのです。詳細マッチングの導入は、単なる計測の補完ではなく、LINE広告というプラットフォーム全体のパフォーマンスを最大化するための、極めて戦略的な投資であると言えるでしょう。

詳細マッチングがもたらす具体的な導入効果

理論的な価値を理解した上で、次に詳細マッチングを導入することで得られる具体的なビジネス上の効果について、4つの側面に分けて解説いたします。これらは、広告予算の最適化と事業成長に直接貢献する重要な指標です。

効果1:CPA(獲得単価)の改善

最も直接的で分かりやすい効果が、CPA(Cost Per Acquisition)、すなわち1件のコンバージョンを獲得するためにかかった広告費用の低減です。CPAが改善されるメカニズムは、前述の「広告配信の自動最適化の進化」と密接に関連しています。詳細マッチングによってコンバージョン計測の精度が向上すると、LINE広告の機械学習アルゴリズムは、より「コンバージョンしやすいユーザー」を高精度で見分けられるようになります。無駄なインプレッションやクリックが減少し、コンバージョンに繋がる可能性の高いユーザーに対して、より集中的に広告を配信できるようになるため、結果として同じ広告予算でもより多くのコンバージョンを獲得できるようになり、CPAが改善されるのです。例えば、これまでSafariユーザーからのコンバージョンが計測できていなかったECサイトが詳細マッチングを導入し、隠れていたコンバージョンが可視化されたとします。すると、システムは「実はこの広告クリエイティブはSafariユーザーに非常に効果的だった」という事実を学習し、Safariユーザーへの配信を強化します。この最適化サイクルが回ることで、全体のCPAは着実に低下していくことが期待できます。

効果2:ROAS(広告費用対効果)の向上

ROAS(Return On Ad Spend)は、投下した広告費用に対してどれだけの売上が得られたかを示す指標であり、特にECサイトなど、コンバージョン毎の売上金額が異なるビジネスにおいて重要視されます。詳細マッチングは、このROASの向上にも大きく貢献します。LINE Tagでは、コンバージョン時にその「売上金額」を動的に取得し、パラメータとして送信することが可能です。詳細マッチングによって計測精度が向上することで、どの広告が、どれくらいの売上に繋がったのかを、より正確に把握できるようになります。この正確な売上データを基に、LINE広告の自動入札戦略で「コンバージョン価値の最大化」を選択すれば、アルゴリズムは単にコンバージョン数を増やすだけでなく、より高額な商品を購入してくれる可能性が高いユーザーや、LTV(顧客生涯価値)の高いユーザーへの配信を優先するようになります。これにより、広告費用全体の効率が最適化され、事業の収益性を直接的に高めるROASの向上が実現します。

効果3:リターゲティング広告のリーチ数と効果の拡大

前述の通り、詳細マッチングはCookieベースではリーチできなかったユーザー(特にSafariユーザー)をリターゲティングのオーディエンスリストに加えることを可能にします。これにより、広告配信の対象となる母数が物理的に増加するため、機会損失が大幅に減少します。例えば、サイト訪問者の30%がSafariユーザーだった場合、従来はその30%に対してリターゲティング広告を配信する機会を逸していました。詳細マッチングによってこの層にアプローチできるようになることは、単純に考えても広告経由の売上を向上させる大きなポテンシャルを秘めています。「一度サイトを訪れたが購入には至らなかった」という、最も購買意欲の高いユーザー層に対して、漏れなくアプローチを継続できることは、獲得型広告の成果を安定させる上で極めて重要です。

効果4:正確な効果測定に基づく予算配分の最適化

広告運用において、どのキャンペーン、広告グループ、クリエイティブに予算を投下すべきかという意思決定は、成果を左右する最も重要な要素の一つです。しかし、その意思決定の基盤となるデータが不正確であれば、誤った判断を下してしまうリスクが高まります。例えば、実際には多くのコンバージョンを生み出しているにもかかわらず、計測漏れによって成果がゼロに見える広告キャンペーンがあったとします。運用担当者はそのキャンペーンの効果が低いと判断し、配信を停止してしまうかもしれません。これは、本来得られるはずだった利益を自ら手放すことに他なりません。詳細マッチングは、このような「データの罠」から広告主を解放します。各施策の真のパフォーマンスを正確に可視化することで、これまで過小評価されていた広告の価値を正しく認識できるようになります。これにより、データに基づいた客観的かつ合理的な予算配分が可能となり、広告ポートフォリオ全体のパフォーマンスを最大化へと導くことができるのです。

【完全ガイド】詳細マッチングの実装・設定手順

ここからは、実際に詳細マッチングを導入するための具体的な手順を、準備段階から実装、そして動作確認まで、ステップ・バイ・ステップで詳細に解説していきます。このセクションは、技術的な内容も含まれますが、マーケティング担当者様と開発担当者様が連携して進めていただくことを想定し、可能な限り分かりやすく記述しています。

ステップ0:導入前の準備と最重要確認事項

技術的な実装に着手する前に、必ず完了させておくべき法務・企画面の準備があります。これを怠ると、将来的に大きな問題に発展する可能性があるため、慎重に進めてください。

1. プライバシーポリシーの改訂(必須)

詳細マッチングでは、ユーザーのメールアドレスや電話番号という「個人情報」を取り扱います。日本の個人情報保護法では、個人情報を取得・利用する際には、その利用目的などを本人に通知または公表することが義務付けられています。また、取得した情報をLINE社という第三者に提供することになるため、その点についても明記し、原則として本人の同意を得る必要があります。したがって、ウェブサイトのプライバシーポリシーを改訂し、以下の項目を明記することが必須となります。

  • 取得する情報の種類:ハッシュ化されたメールアドレス、電話番号など、具体的に取得する情報の内容を記述します。
  • 取得した情報の利用目的:「広告配信の最適化、コンバージョン計測、およびオーディエンスデータの作成のため」など、利用目的を具体的に記述します。
  • 情報の第三者提供について:LINE株式会社に対して、ハッシュ化された個人関連情報を提供することを明記します。
  • オプトアウト手段の提供:ユーザーが広告配信の停止(オプトアウト)を希望する場合の方法について案内します。(例:LINE広告のオプトアウトページへのリンクを設置)

これらの記載がないまま詳細マッチングを導入することは、法令違反のリスクを伴います。必ず、法務部門や顧問弁護士にご確認の上、適切な対応をお願いいたします。

2. ユーザーからの同意取得方法の検討

プライバシーポリシーへの記載に加え、ユーザーから個人情報の第三者提供について、明確な同意を得るプロセスをウェブサイト上に実装することが強く推奨されます。同意を取得する具体的なタイミングとしては、以下のようなものが考えられます。

  • 会員登録フォーム:「個人情報の第三者提供に同意する」といったチェックボックスを設置し、ユーザーが自らチェックを入れることで同意(オプトイン)を得る方式。
  • メールマガジン登録フォーム:同様に、同意取得のためのチェックボックスを設置します。
  • 購入完了ページやお問い合わせ完了ページ:フォーム送信のボタン付近に、「送信することでプライバシーポリシーに同意したものとみなします」といった一文を明記し、プライバシーポリシーへのリンクを設置する方式。

ユーザーに安心してサービスを利用していただくためにも、透明性の高い同意取得プロセスを設計することが重要です。

3. ウェブサイトのHTTPS化の確認

詳細マッチングを利用して個人情報を送信する際は、通信を暗号化し、第三者による情報の盗聴や改ざんを防ぐことが絶対条件です。そのため、LINE Tagを設置するすべてのページが「HTTPS」で通信されていることを必ず確認してください。「HTTP」のページでは、詳細マッチングを実装することはできません。

ステップ1:LINE Tagの取得と基本設定

準備が整ったら、LINE広告の管理画面からLINE Tagを取得します。

  1. LINE広告の管理画面にログインします。
  2. 画面上部のメニューから「共有ライブラリ」内の「トラッキング(LINE Tag)」を選択します。
  3. まだLINE Tagを発行していない場合は、画面の指示に従って発行します。すでに発行済みの場合は、「ベースコード」が表示されますので、これをコピーします。

このベースコードが、すべての計測の基本となるHTMLタグです。このコードを、ウェブサイトの全ページの<head>タグの直後に設置するのが基本となります。

ステップ2:詳細マッチング用コードの追加実装(最重要)

次に、コピーしたベースコードに、詳細マッチング用のパラメータを追加する作業を行います。この実装は、ウェブサイトの構造によって方法が異なります。

まず、基本となるコードの変更点です。元のベースコード内の `l.pageView();` の直前に、`'customerType': 'account',` という行と、詳細マッチング用のパラメータを追加します。`,(カンマ)`の抜け漏れはエラーの原因となりますので、十分にご注意ください。


<!-- LINE Tag Base Code -->
<script>
(function(g,d,o){
  g.LINE_SPROUT_ID = "[tagid:123abc]";
  g.self_id = g.LINE_SPROUT_ID;
  g.line_sprout_em = function(a){g.line_sprout_cp = a};
  o=d.createElement("script");d.head.appendChild(o);
  o.async=1;o.src="https://scdn.line-apps.com/n/line_tag/public/release/v1/lt.js";
})(window,document);
</script>
<noscript>
  <img height="1" width="1" style="display:none"
       src="https://tr.line.me/tag.gif?c_t=none&e_s=S&e_v=1&tag_id=[tagid:123abc]" />
</noscript>
<!-- LINE Tag Base Code -->

<!-- Advanced Matching Code -->
<script>
  window.line_sprout_em( {
    'customerType': 'account', // LINE公式アカウントで発行したタグの場合は'account'
    'email': 'user@example.com', // ユーザーのメールアドレスを動的に設定
    'phone': '09012345678' // ユーザーの電話番号を動的に設定
  } );
  l.pageView();
</script>
<!-- End Advanced Matching Code -->

上記のコード例のうち、`'email'`と`'phone'`の値は、実際のユーザーの情報を動的に取得して設定する必要があります。以下に、代表的な実装方法を解説します。

実装方法1:サーバーサイドで動的に出力する

PHPやRuby、Javaなどで構築されたウェブサイトの場合、ユーザーがログインしている状態であれば、サーバー側でユーザーのメールアドレスや電話番号を取得し、HTMLを描画する際に直接JavaScriptコード内に埋め込む方法が最も確実です。

(PHPでの実装例)


<script>
  window.line_sprout_em( {
    'customerType': 'account',
    'email': '<?php echo htmlspecialchars($user_email, ENT_QUOTES, 'UTF-8'); ?>',
    'phone': '<?php echo htmlspecialchars($user_phone, ENT_QUOTES, 'UTF-8'); ?>'
  } );
  l.pageView();
</script>

この方法は、サーバー側で情報が確定しているため、最も信頼性が高い実装と言えます。

実装方法2:Googleタグマネージャー(GTM)を利用する

多くの企業で導入されているGoogleタグマネージャー(GTM)を利用することで、ウェブページのHTMLを直接編集することなく、柔軟に詳細マッチングを実装することが可能です。この方法は、特にマーケティング担当者様が主体となって実装を進める場合に有効です。

手順は以下の通りです。

  1. データレイヤー(dataLayer)への情報プッシュ:まず、開発担当者様に依頼し、ユーザーのメールアドレスや電話番号が取得できるページ(例:会員登録完了ページ、ログイン後のマイページなど)で、それらの情報をGTMのデータレイヤーにプッシュしてもらいます。(実装コード例)
    
    <script>
      window.dataLayer = window.dataLayer || [];
      window.dataLayer.push({
        'event': 'userDataReady',
        'userEmail': 'user@example.com', // ユーザーのメールアドレス
        'userPhone': '09012345678' // ユーザーの電話番号
      });
    </script>
    
  2. GTMで「データレイヤー変数」を作成:GTMの管理画面で、「変数」メニューから「ユーザー定義変数」を新規作成します。「変数のタイプ」として「データレイヤーの変数」を選択し、「データレイヤーの変数名」に `userEmail` や `userPhone` を設定します。これをそれぞれの情報ごとに行い、変数を作成します。
  3. GTMでトリガーを作成:「トリガー」メニューから新規作成します。「トリガーのタイプ」として「カスタムイベント」を選択し、「イベント名」に `userDataReady` を設定します。これにより、データレイヤーに `userDataReady` イベントがプッシュされたタイミングでタグを配信できるようになります。
  4. GTMでカスタムHTMLタグを作成:「タグ」メニューから新規作成し、「タグの種類」として「カスタムHTML」を選択します。HTMLの入力欄に、詳細マッチング用のLINE Tagコードを記述します。この際、メールアドレスと電話番号の部分を、先ほど作成したデータレイヤー変数に置き換えます。(GTMのカスタムHTMLタグ記述例)
    
    <script>
      window.line_sprout_em( {
        'customerType': 'account',
        'email': '{{userEmail}}', // GTMの変数で置き換え
        'phone': '{{userPhone}}'  // GTMの変数で置き換え
      } );
      l.pageView();
    </script>
    
  5. タグにトリガーを設定:作成したカスタムHTMLタグに、ステップ3で作成した「userDataReady」のトリガーを設定します。

以上の設定により、HTMLを直接触ることなく、GTM経由で詳細マッチングの実装が完了します。

ステップ3:動作確認とデバッグ

実装が完了したら、必ず正しく動作しているかを確認します。

  1. ブラウザの開発者ツールで確認:Google Chromeの「デベロッパーツール」を開き(WindowsではF12キー、MacではCmd+Opt+Iキー)、「Network」タブを選択します。フィルタに `tr.line.me` と入力し、詳細マッチングを実装したページをリロードします。`tag.gif` というリクエストが表示され、そのリクエストの詳細(Payloadタブ)に、ハッシュ化された `em` (email) や `ph` (phone) のパラメータが含まれていれば、データは正常に送信されています。
  2. LINE広告管理画面で確認:詳細マッチングによって蓄積されたオーディエンスは、LINE広告管理画面の「オーディエンス」リストで確認できます。データが反映されるまでには時間がかかる場合がありますが、数日後にオーディエンスサイズが増加し始めていれば、正しく計測されていると判断できます。

詳細マッチング利用における法的注意点とプライバシーへの配慮

前述の通り、詳細マッチングの導入は、技術的な側面だけでなく、法務・コンプライアンスの観点から細心の注意を払う必要があります。ここでは、特に重要なポイントを改めて深掘りします。

個人情報保護法との関連性

ユーザーのメールアドレスや電話番号は、それ単体で特定の個人を識別できるため、個人情報保護法における「個人情報」に該当します。これを第三者(LINE株式会社)に提供する行為は、「第三者提供」にあたります。個人情報を第三者に提供する場合、原則としてあらかじめ「本人の同意」を得ることが法律で義務付けられています。

「ハッシュ化しているから個人情報ではない」という見解もありますが、注意が必要です。ハッシュ化された情報であっても、提供先であるLINE社が保有する情報と照合することで容易に特定の個人を識別できる場合、その情報は「個人関連情報」として扱われ、提供先で個人データとして取得されることが想定される場合には、やはり本人の同意が必要となります。詳細マッチングはこのケースに該当する可能性が極めて高いため、安全を期して「個人情報の第三者提供」と同等の手続き、すなわち「明確な本人同意の取得」を行うべきです。この点については、必ず企業の法務部門や専門家にご確認ください。

プライバシーポリシーの具体的な記載例

ユーザーに対して透明性を担保するために、プライバシーポリシーにはできるだけ具体的な記載を心がけるべきです。以下に記載例を示しますが、これはあくまで参考であり、貴社のサービス内容に合わせて適宜修正してください。

【記載例】

第X条(広告配信のための第三者提供)

当社は、お客様により適切な広告を配信するため、LINE株式会社が提供する広告配信サービス「LINE広告」を利用しております。その利用にあたり、当社は、お客様のメールアドレスおよび電話番号をハッシュ化した情報を、LINE株式会社に提供し、同社が保有するデータと照合して広告配信に利用することがあります。これらの情報が、当該第三者によってお客様個人を特定する目的で利用されることはありません。

LINE株式会社における個人情報の取り扱いの詳細、および広告配信の停止(オプトアウト)方法については、以下の同社プライバシーポリシーおよびオプトアウトページをご確認ください。

  • LINEプライバシーポリシー:[LINE社のプライバシーポリシーへのリンクを記載]
  • LINE広告オプトアウトページ:[LINE広告のオプトアウトページへのリンクを記載]

LINE広告 詳細マッチングに関するよくある質問(FAQ)

最後に、詳細マッチングの導入を検討される担当者様からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

Q1. 詳細マッチングを導入すれば、Cookieはもう不要ですか?
A1. いいえ、不要にはなりません。詳細マッチングは、メールアドレスや電話番号を取得できたユーザーに対してのみ有効です。サイトを訪問したものの、個人情報を入力しなかったユーザーについては、引き続きCookieベースの計測が補完的に機能します。両方を組み合わせることで、計測の網羅性を最大化することが可能です。
Q2. 電話番号とメールアドレス、両方を実装する必要がありますか?
A2. 両方を実装することが理想です。ユーザーがLINEにどちらの情報を登録しているか分からないため、両方のパラメータを送信することで、マッチング率(LINEユーザーと照合できる確率)を最大化することができます。技術的に片方しか実装できない場合でも、可能な方だけでも実装する価値は十分にあります。
Q3. ハッシュ化の処理は自社で行う必要がありますか?
A3. いいえ、その必要はありません。LINE Tagのスクリプトが、ユーザーのブラウザ上で自動的にSHA-256というアルゴリズムを用いてハッシュ化処理を行ってから送信します。広告主様側で別途ハッシュ化のシステムを開発する必要はありません。
Q4. 導入後、すぐに効果は現れますか?
A4. 効果が現れるまでには、ある程度のデータ蓄積期間が必要です。オーディエンスリストのサイズが十分に大きくなり、機械学習の最適化が進むまでには、数週間から1ヶ月程度の時間を見るのが一般的です。すぐに結果が出なくても、継続してデータを蓄積することが重要です。
Q5. LINE公式アカウントをやっていなくても利用できますか?
A5. はい、利用可能です。詳細マッチングはLINE広告の機能であり、LINE公式アカウントの有無に関わらず、LINE広告を出稿している広告主様であればどなたでもご利用いただけます。

詳細マッチングのまとめ

本記事では、Cookieレス時代における獲得型広告の新たな標準施策となりつつある、LINE広告の「詳細マッチング」について、その仕組みから具体的な導入効果、実践的な設定手順、そして法的な注意点まで、多角的に解説いたしました。LINE Tagを利用して詳細マッチングを正しく導入・活用することは、もはや単なる計測補完の域を超え、広告パフォーマンス全体を底上げするための戦略的な一手と言えます。コンバージョン計測の精度を高め、機会損失をなくし、機械学習の効果を最大化することで、より高い精度でコンバージョンが見込めるLINEユーザーへ強力なアプローチが可能になります。Cookie規制という逆風を追い風に変え、競合他社に差をつけるためにも、この機会にぜひ詳細マッチングの導入を本格的にご検討してみてはいかがでしょうか。

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