宣伝失礼しました。本編に移ります。
20代のビジネスパーソンは、実は上の世代よりも「感謝を言う」のが得意——。テレワーク経験者1,005人を対象にしたLASSIC(テレリモ総研)の最新調査は、リモートワークで伸びたスキルの年代別ランキングにおいて、20代の2位に「感謝を言う力」が入ったと伝えています。同期・上司・他部署に向けた短い称賛やお礼の言語化が、若手のほうが素早く、ためらいが少ないのです。
同調査は、SNSのリアクション文化やチャット中心の業務コミュニケーションが、若手の“短い称賛”を日常化させた可能性を指摘しました。本稿では、この結果の背景をデータと実践で読み解き、マネジメントやチームづくりに直結する具体策までまとめます。
調査の要点——20代の2位は「感謝を言う力」
年代別ランキング(上位) 20代: 1位 報連相 | 2位 感謝を言う | 3位 情報整理 30代: 1位 文章要約 | 2位 情報共有 | 3位 情報整理 40代: 1位 情報共有 | 2位 報連相 | 3位 文章要約 50代: 1位 情報共有 | 2位 文章要約 | 3位 情報整理 60代: 1位 情報共有 | 2位 判断 | 3位 文章要約 20代「感謝を言う」回答数: 23 60代: 11
今回の調査は2025年5月に実施され、対象は20〜65歳のテレワーク/リモートワーク経験者です。全体では「情報を共有する力」が最上位となりましたが、年代別に見ると差が際立ちます。20代では1位が「報連相の力」、2位が「感謝を言う力」、3位が「スピーディに情報を整理する力」。60代では「情報を共有する力」「スピーディーに判断する力」「端的に文章をまとめる力」が上位で、“ありがとう”の順位は相対的に低い結果でした。個票レベルでは、20代の「感謝を言う力」の回答数が23、60代は11と約2倍の差が確認されています。この“逆転現象”は、若手の礼儀作法が「長い前置き」や「過度な謙遜」から、短く明快な承認表現へとシフトしていることを示唆します。
加えて、調査はニュースメディアでも取り上げられ、世代別の傾向に関する編集部の解釈として、若手はSNSなどに触れているため、リアクションやスタンプで感謝を表す行動が習慣化している可能性があると説明されました。調査時期が出社回帰の文脈と重なっている点も見逃せません。雑談や声かけが減るリモート環境では、成果や協力に対して明示的な言葉を添えないと、貢献が見えづらくなります。そのため、感謝の一言が“見える化”の役割を果たし、若手ほど価値を実感しやすい構造が生まれていると考えられます。サンプルはテレワーク経験者に限定されているため、日本の就業者全体への一般化には慎重さが必要ですが、少なくとも“デジタル中心の業務環境”における感謝運用の優位は明確です。
SNSが育てた“短い称賛”の反射神経
SNS → マイクロ承認 → 気分上昇 → 感謝の言語化 → 良循環 [いいね/スタンプ] [ドーパミン] [ポジ感情] [短い称賛] [再現]
若手の感謝表現を後押ししている最も大きな要因は、SNSの利用習慣です。インスタグラムのストーリーズやXのいいね、LINEのスタンプなど、ワンタップで相手の貢献を承認するミクロな行為が、1日のなかで数十回規模で繰り返されます。この反復経験は、職場のチャットでも躊躇なく感謝を返す“反射神経”を育てます。さらに、SNS上で他者の感謝のやりとりを閲覧するだけでも、対面での感謝頻度や人生満足度が上がるという実験結果が報告されています。つまり若者は、日常的に“感謝の目撃証人”になっており、承認を素早く言語化する筋力を無意識に鍛えているのです。
実態データを見ても、若者とSNSの親和性は圧倒的です。国内主要SNSの年代別利用状況では、20代の利用率が最も高く、Xでは20代が約8割に達する推計もあります。Z世代女性に限定した調査では、Instagramの利用率が9割近く、投稿はストーリーズなど“エフェメラル”型が優勢でした。この“短期露出・即時反応”の環境は、長文よりも短い称賛を自然に選好させ、感謝の可用性を高めます。心理学の実験では、SNSで他者の感謝投稿を閲覧するだけでも、対面での感謝行動が増加し、人生満足度が上がることが示されています。つまり“感謝を見る→真似る→気分が上がる→また感謝する”という正の循環が生まれる。若者のタイムラインは、日々その循環の露光を受けており、職場での感謝言語化が早いのは必然と言えます。
「ありがとう」と「すみません」の語用論
謝罪型 ←———————————————→ 称賛型 すみません ありがとう 負担配慮/距離 喜び共有/親密 依頼前後で有効 成果共有で有効
日本語の感謝表現には「ありがとう」と「すみません」という二大系譜が共存します。前者はポジティブ・ポライトネス(親密さ・共感の表明)で、後者はネガティブ・ポライトネス(相手の負担への配慮)に近い。研究では、目上への恐縮を込めた場面や依頼の前後では「すみません」が選ばれやすい一方、喜びや称賛を中心に伝える場面では「ありがとう」が適合すると整理されています。若年層はSNSで育った“短い称賛”に親しみ、「すみません」よりも「ありがとう」を基軸に置く傾向が強い。対照的に上の世代は、相手に負担をかけたという感覚から謝罪型の感謝を選ぶことが少なくありません。この語用論の差が、メールや会議の一言の温度差として表面化し、世代間ギャップの源泉になります。
日本語特有の“謝罪型感謝”は、相手への配慮と自分の控えめさを同時に示す強力なツールです。しかし、常に“すみません”を頭に置くと、相手の行為を“負担”としてフレーミングする副作用が生じます。研究でも、状況が非困惑(相手に特段の負担をかけていない)のとき、援助者は「ありがとう」と言われたほうが、その後の向社会的行動が促進されやすいことが示唆されています。一方、困惑状況(相手に明確な負担がある)では「ありがとう」と「ごめんね」の差が統計的に小さくなる。この知見は、職場での言い回しに直結します。負担が小さい日常支援ほど“謝罪を混ぜない称賛”が、行動の再現性を高めます。若者の“ありがとう基調”は、まさにこの再現性に最適化された言語選択です。
絵文字・スタンプは新しい礼儀か
絵文字辞書(社内推奨) 👍=承認 🙏=感謝 ✅=完了 📌=重要 👀=確認中 ルール: 外部文書× 議事録× / チャット補助◯
職場の絵文字・スタンプは“軽い”のか——。最新の調査では、業務コミュニケーションでの絵文字利用に賛成42%・反対58%と評価が割れ、年代によって受け止めが大きく異なる傾向が示されました。若手は“即時の承認シグナル”として肯定的に活用するのに対し、年長層は“礼儀の省略”と受け取りやすい。しかし、チャットにおいては返信の即時性が価値であり、文章での過度な冗長さは生産性を下げます。推奨は、本文で要点を明確化し、補助的にリアクション(👍🙏✨)で温度を添える二層構造。この運用は、形式と温度の両立を実現し、若年・年長双方の納得解に近づきます。
絵文字・スタンプの扱いは、社内規範の明文化で摩擦を最小化できます。提案はシンプルです。業務決定や外部送付には使わない、議事録には残さない。ただし、チーム内チャットでの承認・感謝・完了の合図としては推奨し、意味を限定します。“👍=承認”“🙏=感謝”“✅=完了”“📌=重要”のように辞書を作り、絵文字は言葉を代替するのではなく“補助記号”として定義する。これだけで、過度な軽さに見える問題の多くは回避できます。
30秒でできる感謝UXの実装
30秒の感謝UX(4ステップ) 観察→具体→即時→公開範囲 例: 「仕様変更に即応→障害回避→ありがとう(#チャンネル)」
感謝は“感じる”だけでなく“実装する”ことでチームの成果に変わります。ポジティブ心理学の古典的実験では、週次の感謝日記を付けた群は、運動頻度が上がり、身体症状が減り、人生満足度や翌週への楽観が有意に高まりました。国内の研究でも、感謝介入が主観的幸福感を押し上げる傾向が報告されています(文化要因によるばらつきはあり得ます)。現場に落とし込む際は、①観察(貢献の特定)、②具体化(事実の明記)、③即時化(24時間以内)、④公開範囲の最適化(個別DM/チャンネル)という4ステップを徹底してください。この“30秒の感謝UX”が、心理的安全性と助け合いのフローを加速させます。
感謝介入には文化差や個人差が伴います。日本の研究では、感謝を想起することで主観的幸福感が上がる一方、心理的負債感がやや高まる群があるという報告もあります。したがって、業務では“恩を売る/買う”のニュアンスが出ないよう、感謝の対象を“行為”と“事実”に厳密に結びつけ、将来の見返りを期待しないフレーミングに統一することが重要です。また、感謝の公開範囲は“相手の照れ”に配慮する。1on1での称賛と、全体への称賛を使い分け、称賛の“量”よりも“分布”を管理することが、組織の公平感を守ります。
仕組みで回す“感謝デザイン”
仕組み化の全体図 [thanks-〇〇]→[週報ダッシュボード]→[定例3分称賛] ↘ 評価の参考(具体性・横断性)
個人の善意に頼らず、仕組みで感謝が循環する設計が効果的です。たとえば、SlackやTeamsのチャンネルに“thanks-〇〇”を常設し、メンションと具体的事実をルール化。リアクション数だけでなく“誰が誰にどんな貢献で感謝されたか”を週報化して見える化します。評価制度には“称賛の具体性”と“横断的な支援行動”を組み込み、期末アンケートで同僚から受けた具体的な援助エピソードを収集します。経営メッセージは“速い承認は最高のフィードバック”を合言葉に。定例会では3分間の“グッドニュース&サンクス”を儀式化し、短い言葉での感謝を日常のリズムに編み込みます。
制度としては、月次の“グラティチュード・レビュー”を設け、プロジェクト横断で称賛が偏っていないかを点検します。ダッシュボードには“受けた称賛の件数”“送った称賛の件数”“部門間の称賛比率”を並べ、成果主義に偏らない“互恵主義”の温度をモニタリングします。さらに、称賛の“質”を高めるために“具体・タイムリー・インパクト・ラーニング(GTIL)”の4項目で自己採点する運用を導入します。これにより、形式的なお世辞を排し、学習につながる称賛が増えます。
NGと誤解への対処
Do / Don't Do: 事実+影響+学びで短く Don't: 形容詞だけの空虚な褒め
感謝文化の導入で懸念されやすいのが“馴れ馴れしさ”と“褒めすぎ”です。解決の鍵は、曖昧な称賛を避け、業務成果や行動に紐づく具体性を担保すること。「助かった、ありがとう」ではなく「締切前日の仕様変更に即応し、デグレをゼロにしてくれて助かった。ありがとう」のように、観察可能な事実と影響(影響半径)をワンセットで伝えます。また、頻度は“日常の小さな行為に薄く広く”が原則。特定個人に集中しすぎないよう、チーム全体に散らす運用を推奨します。
“褒めすぎ疲れ”への懸念には、テンプレートとタイムボックスで対応します。一例として、“事実→感謝→影響→次の一手”を100字以内に収めるマイクロ称賛を推奨し、1日3件までなど軽い制限を設けます。また、称賛が評価に直結しすぎるとインセンティブが歪み、儀礼的な相互称賛が横行します。これを防ぐため、称賛は“人事評価の参考情報”に留め、最終評価では“成果指標”と“学習行動”の加点でバランスを取るのが賢明です。
場面別の言葉遣いチューニング
言い回しテンプレ 依頼前: ご対応いただけると助かります 完了後: 〜のおかげで〜できました。ありがとうございます 全体周知: 学びが大きかったためWikiに追記しました
感謝の言葉遣いは、相手との距離と状況文脈でチューニングします。依頼や負担を伴う場面では「お手数おかけします、ありがとうございます」や「ご対応感謝します」のように、“配慮+感謝”の二段構えが安全です。一方、成果の共有や称賛の場面では、謝罪成分を混ぜずに「ありがとうございます」「助かりました」を軸に置く。謝罪型に偏ると、相手の行為を“負担”として再定義してしまい、組織にとっての報酬価値が下がることがあります。若手の“ありがとう基調”と年長層の“すみません基調”の折衷として、場面に応じたスイッチングをリーダー自ら実演してください。
実務で使える言い回しも用意しておきます。依頼前は「急ぎでお願いしたい件があります。詳細は3行でまとめます。ご対応いただけると助かります」。完了後は「仕様変更に即応いただき、障害を未然に防げました。ありがとうございます」。関係者一斉送信では「◯◯さんの検証手順が決定打でした。学びが大きかったため、手順をWikiに追記しました。感謝します」。否定形を避けたいときは「××ではなく、〇〇が特に良かった」と肯定文で置き換えると伝播力が上がります。
Slack/Teams運用の型
チャット運用の型 [要約] [感謝] [次アクション] リアクション: 👍🙏✅ の3種のみ
チャットは“非同期で流れる会話”です。見逃しと誤解を防ぐため、感謝の設計も流量に合わせます。運用の型は次の通りです。①成果投稿には“要約→感謝→次アクション”の順で一行ずつ分ける。②スレッドを原則化し、感謝はスレッドの最上段に固定する(ピン留め)。③リアクションは基本3種(👍=承認、🙏=感謝、✅=完了)で統一し、乱立を防ぐ。④月末に“thanks-〇〇”のハイライトをまとめ、全社で共有する。この程度の軽量ガイドラインでも、意思決定スピードと関係資本は目に見えて改善します。
さらに、プロダクト開発の現場では、チケットのコメント欄に“サンクス行”を標準化します。課題がクローズしたら、最後に“誰のどの貢献が解決に寄与したか”を一行で残す。この一行が、検索可能な称賛データベースとなり、入社直後のメンバーでも“称賛の型”を学習できます。テキスト文化の成熟は、オンボーディングと属人化の解消に直結します。
出社回帰でも消えない“感謝力”
ハイブリッド時代の称賛 オフィス称賛 ↔ デジタル称賛 両輪化で学習速度UP
出社回帰が進む今、オフィスでの偶発的な称賛は戻りつつあります。しかし、ハイブリッド時代の主戦場は依然としてデジタル。若者が磨いた“短い称賛”は、メールや会議の前後、チケット管理のコメント欄まで浸透し、組織の学習速度を高める潤滑油になります。重要なのは、感謝を“気分”ではなく“設計”として扱うこと。LASSICの調査が示すように、若手の強みはすでに現場で顕在化しています。この強みをルールと運用に組み込み、世代間の言語ギャップを翻訳するのが、これからのリーダーの役割です。
最後に、世代間の翻訳をマネージャーが担うことを改めて強調します。若手の“短い称賛”を、年長層の業務観に合わせて“具体と根拠”で橋渡しする。年長層の“丁寧な配慮”を、若手のスピード感に合わせて“短い言い回し”に落とす。この双方向の通訳ができるチームは、オンラインでもオフラインでも強い。“ありがとうの設計”は、採用・定着・生産性という三つの曲面を同時に押し上げる、費用対効果の高い施策です。
日本文化の変容と“ミニ・ポライトネス”
文化の変遷 儀礼的贈答 → 日常のミニ・ポライトネス (鍵アカ/ストーリーズでの練習→職場へ移植)
日本の感謝は、この半世紀で“大仰な儀礼”から“日常のミニ・ポライトネス”へと重心を移してきました。冠婚葬祭や年末年始の贈答といった節目の礼から、日常の小さな手間に対する即時の言葉へ。インターネットとスマートフォンの普及が、この変容を大きく後押ししました。スマホしか使わない割合が10〜50代で9割を超えるという状況では、テキスト上の微細な感謝が人間関係の主要な潤滑剤になります。さらに、鍵付きアカウントやストーリーズなど、半公開の空間に“安全に投下できる称賛”が蓄積され、失敗しても消える投稿が“練習場”として機能することで、言語化のハードルは下がりました。若者はこの環境で育ち、職場に“ミニ・ポライトネス”を持ち込んでいます。
海外の学びと日本型の設計余地
海外×日本の称賛 海外: Kudos/ピアボーナス 日本: 公開称賛+学習資産化
海外のテック企業では、称賛を仕組みに組み込む事例が早くから一般化してきました。“Kudos”“Shout-out”などの習慣に加え、感謝日記やピアボーナスのシステム化により、日常の称賛が可視化されています。日本では“金銭に紐づく称賛”への抵抗感が残る一方、非金銭的な承認(公開の称賛、学びの共有、挑戦の評価)は受容性が高い。ここに日本型の設計余地があります。称賛を“学習資産化”する——すなわち、良い行動の再現可能な手順をセットで残す運用です。称賛の瞬間に“何がどう良かったか”をミニ手順として記録すれば、称賛がそのまま手引きになり、組織の暗黙知が減ります。
明日から使えるチェックリスト
チェックリスト 24時間以内/事実・具体・影響/個別+全体/辞書共通/分布点検/GTIL自己採点/Wiki化
明日から導入できるチェックリストをまとめます。①感謝は24時間以内に。②事実・具体・影響の三点セット。③個別と全体の両面で。④リアクション辞書を共通化。⑤称賛の分布を毎月点検。⑥“お世辞化”を防ぐGTIL自己採点。⑦期末に称賛ログを読み返し、学びをWiki化。これだけで、組織の空気は数週間で変わり始めます。
数字で掴むインサイト
データポイント n=1005(テレワーク経験) 全世代で情報共有が上位 Z世代: Instagram約9割、X約7割(推計) ストーリーズ>フィード 絵文字賛成42% 反対58%
データポイントも併せて整理します。テレワーク経験者1,005人のスクリーニングという規模は、業務コミュニケーションの実態を捉えるには十分なレンジです。全世代で「情報を共有する力」が1位または2位に入ったことは、組織が“短く・早く・共有する”方向へ最適化している証左です。Z世代のSNS利用では、Instagramの利用率が9割前後、Xが7割近くとされ、ストーリーズなど消える投稿の比率が高い。業務チャットのリアクション辞書を整えるだけでも、返信のタイミングと温度がそろい、無用な誤解と再確認の往復を減らせます。このような小さな設計変更が、1件あたり数十秒の節約を積み上げ、週次で数時間の余剰を生み出します。
会話例で見る“短い称賛”
会話例 NG: 修正しました。すみません OK: #1234を迅速に修正→未然防止。ありがとうございます
実際の会話例を二つ提示します。例1:バグ修正が完了したとき。NG:「修正しました。すみません」。OK:「#1234のNullPointerを迅速に修正いただき、障害を未然に防げました。ありがとうございます。次のテスト観点はチケットに追記しました」。例2:急な資料差し替えを依頼するとき。NG:「すみません、今から差し替えお願いできますか?」。OK:「急ぎの差し替えをお願いしたい件です。差分は3点、どれも3分以内で修正可能です。ご対応いただけると助かります」。いずれも、事実と影響を先に置くことで、“謝罪前置き文化”から“具体→感謝→アクション”へと重心を移せます。
よくある疑問への回答
FAQ 価値は下がる?→曖昧だと下がる 恣意的?→分布点検+質評価 軽い?→本文は具体、絵文字は補助
よくある疑問にも先回りしてお答えします。Q1. 感謝を言いすぎると価値が下がりませんか? A. 価値が下がるのは“曖昧で具体性が欠ける称賛”です。事実・影響・学びを添えれば、むしろ標準作業の質が上がります。Q2. 称賛が恣意的になりませんか? A. 月次レビューで分布を点検し、部門横断で偏りを是正してください。称賛の“質”評価(GTIL)も導入しましょう。Q3. 年長メンバーが“軽い”と感じるのでは? A. リアクションは補助記号に限定し、本文は短くても具体性を担保すれば、軽薄さの印象は残りません。Q4. 外部とのやり取りでは? A. 外部向けは“丁寧語+具体+感謝”の三点セットに限定し、絵文字は使わない。内部規範と対外規範を明文化します。
4週間の導入ロードマップ
導入ロードマップ(4週間) 観察→言語化実験→公開範囲最適化→定着設計
現場導入のロードマップも具体に描いておきます。第1週は“観察”の週です。日報やチャンネルで「助かった瞬間」「学びが生まれた瞬間」を拾い、事実だけを箇条書きにします。第2週は“言語化実験”の週です。拾った事実に30〜50字の感謝を添え、3人以上に薄く分散します。第3週は“公開範囲の最適化”の週です。個別DMとチャンネル投稿のどちらが心地よいか、相手の反応を観察します。第4週は“定着設計”の週です。定例会に3分間の称賛タイムを追加し、Slackのthanksチャンネルを正式運用に移します。1か月で“短い称賛”の回路が立ち上がり、以後はダッシュボードで偏りを見ながら微調整すれば充分です。
“短い称賛”ミニ辞典
ミニ辞典(例) 事実: 〜の検証手順が決定打 影響: 納期を守れました 学び: 手順をWikiに追記
最後に、“短い称賛”のためのミニ辞典をご用意します。事実を添える:「〜の検証手順が決定打でした」「〜の一文が誤解を消しました」「〜の一括置換で作業が半分になりました」。影響を示す:「納期を守れました」「顧客の不安が消えました」「障害の再発を防げました」。学びで結ぶ:「手順をWikiに追記しました」「次回のテンプレートに反映しました」「議事録に“良かったポイント”を追加しました」。配慮を保つ:「時間帯の配慮に感謝します」「負担の大きいタスクを引き受けてくださりありがとうございます」「急な依頼に即応いただき助かりました」。否定形を避ける:「××ではなく、〇〇が特に良かったです」「〜の工夫が効いていました」「〜の判断が流れを変えました」。
“ありがとうの設計”がもたらす三つの変化
感謝の効果(3つの変化) ナレッジ可視化/意思決定迅速化/越境協業促進
“ありがとうの設計”は、単なるマナー強化ではありません。ナレッジの可視化、意思決定の迅速化、越境協業の促進という三つの変化を同時に引き起こします。たとえば、称賛ログが蓄積されると、次のプロジェクトで“誰に何を相談すればよいか”が一目でわかる。感謝は“人の地図”を描き、見えない専門性と信頼の経路を明らかにします。また、称賛の言語は“よい手順”の言語でもあります。具体性のある感謝は、そのまま再現可能な手引きになり、メンバーのスキル差を縮め、オンボーディングの時間を短縮します。結果として、チームは“速く、静かに、強く”なります。
当社では、AI超特化型・自立進化広告運用マシン「NovaSphere」を提供しています。もしこの記事を読んで
・理屈はわかったけど自社でやるとなると不安
・自社のアカウントや商品でオーダーメイドでやっておいてほしい
・記事に書いてない問題点が発生している
・記事を読んでもよくわからなかった
など思った方は、ぜひ下記のページをご覧ください。手っ取り早く解消しましょう
▼AI超特化型・自立進化広告運用マシンNovaSphere▼
