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広告運用に携わる中で、下記のような課題やお悩みに直面したことはございませんか?

  • 十分な予算を投下しているはずなのに、広告が想定よりも表示されていない
  • コンバージョンが獲得できていたキーワードの表示回数が、ある日を境に減少した
  • レポートで「インプレッションシェア」という項目は見るが、その具体的な意味や活用方法が分からない
  • 競合の出方が分からず、自社の広告がどれだけ優位なポジションにいるのか把握できない

広告は、出稿すれば必ず表示されるというものではございません。Google広告やYahoo!広告といった運用型広告の世界では、限られた広告枠を無数の競合他社と奪い合う「オークション」が常時発生しています。このオークションの結果、様々な理由で広告が表示されない事象が発生し、これに気づかなければ、本来獲得できたはずの顧客を取り逃がす「機会損失」が日々積み重なってしまいます。

その機会損失の大きさを可視化し、改善の糸口を掴むために不可欠な指標、それが「インプレッションシェア」です。

インプレッションシェアとは、自社の広告が表示される可能性があった全ての機会のうち、実際にどれくらいの割合で表示されたかを示す、広告アカウントの「健康診断」ともいえる重要な指標です。この数値を正しく理解し、分析することで、広告が表示されない原因が「予算」にあるのか、それとも広告そのものの「品質(ランク)」にあるのかを特定し、的確な対策を講じることが可能になります。

特に、2019年にGoogle広告が「平均掲載順位」という指標を廃止して以降、インプレッションシェアの重要性は飛躍的に高まりました。かつては掲載順位を見れば競合との相対的な位置関係を把握できましたが、現在はインプレッションシェアとその関連指標を読み解くことでしか、広告の表示機会や競合優位性を正確に把握することはできません。

本記事では、獲得型広告の成果最大化という観点から、「インプレッションシェア」の基本的な定義や仕組みはもちろんのこと、具体的な分析方法、そして即実践可能な改善策まで、網羅的かつ詳細に解説してまいります。ぜひ、貴社の広告運用における機会損失の最小化と、コンバージョン獲得の最大化にお役立てください。

インプレッションシェアとは?

インプレッションシェアとは、広告が表示される可能性があった合計回数(インプレッションの総数)に対して、実際に広告が表示された回数が占める割合を示す指標です。この割合はパーセンテージ(%)で表され、広告の露出機会をどれだけ活用できているかを quantitatively(定量的)に評価するために用いられます。

算出方法は、以下の非常にシンプルな計算式で定義されています。

インプレッションシェア (%) = 広告の実際の表示回数 ÷ 広告が表示可能だった合計回数 × 100

具体例を挙げて考えてみましょう。例えば、貴社が出稿しているあるキャンペーンにおいて、1日のうちに広告が表示される可能性があった回数が合計で1,000回だったとします。そして、そのうち実際に広告が表示された回数が800回だった場合、計算式は「800 ÷ 1,000 × 100」となり、インプレッションシェアは80%となります。これは、広告表示の機会が1,000回あったにもかかわらず、残りの200回(20%)は、何らかの理由で広告を表示できず、機会を損失していることを意味します。

この「20%の機会損失」という事実を把握できる点に、インプレッションシェアを分析する極めて重要な価値があります。この損失分は、裏を返せば「広告のパフォーマンスをさらに伸ばせる余地」とも解釈できます。現在の広告クリエイティブやターゲティング設定のままで、この20%の損失を取り戻す施策を講じることができれば、理屈上は表示回数を25%(200回 ÷ 800回)増加させ、それに伴いクリック数やコンバージョン数の増加も期待できるのです。

したがって、インプレッションシェアは、単に広告が表示された割合を示すだけでなく、現状の広告パフォーマンスの健全性を測り、将来的な成長のポテンシャル(伸びしろ)を判断するための、広告運用者にとって羅針盤のような役割を果たす重要な指標といえます。

一般的に、インプレッションシェアの数値が高ければ高いほど、ターゲットとしたキーワードやオーディエンスに対して、自社の広告が広く、安定的に表示されている健全な状態を指します。機会損失が少なく、競合他社と比較しても優位なポジションを築けている可能性が高いと判断できます。

反対に、インプレッションシェアの数値が低い場合、それは由々しき事態です。多くの表示機会を逃しており、潜在的な顧客が貴社のサービスや商品を知る機会そのものが失われていることを意味します。これは、早急な原因究明と改善策の実施が必要な危険信号です。

ただし、インプレッションシェアは常に100%を目指すべき指標というわけではございません。100%を追求するあまり、入札単価を過度に引き上げたり、関連性の低い検索にまで広告を表示したりすると、費用対効果(ROAS)や顧客獲得単価(CPA)が著しく悪化するリスクがあります。コンバージョンに繋がらない無駄なクリックが増え、結果的に広告費を浪費してしまうのです。そのため、多くのケースでは80%~90%程度を健全な目標値の目安とすることが推奨されます。もちろん、この目標値はキャンペーンの目的やキーワードの重要度によって変動します。

ここで注意すべきなのは、計算式の分母である「表示が可能だった広告の合計回数」が、あくまでGoogleやYahoo!による「推定値」であるという点です。この推定値は、キャンペーンで設定しているターゲティング(キーワード、地域、デバイス、オーディエンスなど)、広告の品質スコア、広告の承認ステータスといった様々な要素を考慮して算出されます。自社の広告がオークションに参加する資格があると判断された機会の総数であり、特定のキーワードの月間検索ボリュームそのものではないことを、正確に理解しておく必要があります。

インプレッションシェアの仕組み

インプレッションシェアの数値は、その日の広告オークションに参加したすべての広告との競合結果に基づいて算出されます。つまり、日々の競合環境の変動に応じて、インプレッションシェアの数値も常に変動するということです。

インプレッションシェアの対象となる「表示機会」は、自社の広告が競合の広告と十分に戦えると判断されたオークションに限定されます。Googleは、広告の品質や現在の入札単価、ターゲティング設定などを総合的に評価し、その広告が表示される現実的な可能性があるかどうかを判断しています。

例えば、あるキーワードのオークションにおいて、上位表示に必要な入札単価が500円程度だとします。貴社の広告の入札単価が450円であれば、それは「十分に表示可能性がある」と判断され、インプレッションシェアの計算対象となるオークションに参加できます。もしこのオークションで表示されなかった場合、それはインプレッションシェアの損失としてカウントされます。

しかし、もし貴社の広告の入札単価が著しく低く、例えば50円だった場合、「現在の10倍の入札単価に引き上げなければ、到底広告が表示される見込みはない」とシステムに判断されることがあります。このような、競合性が著しく低いと見なされたオークションは、そもそもインプレッションシェアの計算の土俵にすら上がれず、分母である「表示が可能だった広告の合計回数」には含まれません。

この仕組みは、非現実的な機会を除外することで、より実態に即した機会損失の割合を算出するために存在します。自社の広告が、同じキーワードやターゲティングを設定している競合他社と、最低限戦えるレベルにあるかどうかで、カウントされるかどうかが決まる、と理解しておくと良いでしょう。

広告別インプレッションシェアと算出方法

インプレッションシェアの基本的な考え方は「表示可能な機会のうち、実際に表示された割合」で共通していますが、広告の種類によって、その「表示可能な機会」の定義が若干異なります。ここでは、運用型広告で頻繁に利用される主要な3つの広告タイプにおけるインプレッションシェアの概要と算出方法について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

  • 検索広告
  • ディスプレイ広告
  • ショッピング広告

これらの広告タイプごとの特徴を理解し、自社のキャンペーンに合わせて指標を正しく解釈することが、的確な分析と改善アクションに繋がります。

検索広告

検索広告におけるインプレッションシェアは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果ページ(検索ネットワーク)で、広告が表示される可能性があった合計回数に対して、実際に広告が表示された回数の割合を指します。これは最も基本的なインプレッションシェアの指標です。

さらに、検索広告では、広告がページの「どこに」表示されたかに焦点を当てた、より詳細なインプレッションシェア指標も確認できます。それが「ページ最上部インプレッションシェア」と「ページ上部インプレッションシェア」です。これらは、単なる表示・非表示だけでなく、広告の掲載位置の質を評価する上で非常に重要です。

検索広告のページ最上部インプレッションシェア

「ページ最上部インプレッションシェア」とは、検索結果ページの自然検索結果(オーガニック検索)よりも上に表示される広告枠の中でも、最も上、つまり絶対的な1位のポジションに表示される可能性があった回数のうち、実際にそのポジションに表示された回数の割合です。

広告の最上位ポジションは、ユーザーの目に最も触れやすく、クリック率(CTR)が他のポジションと比較して格段に高い傾向にあります。この指標が高いということは、競合他社を抑えて最も優位な位置を確保できていることを意味し、ブランドの信頼性向上にも寄与します。自社の主力商品や、コンバージョン率が特に高い重要キーワードにおいて、この指標をモニタリングすることは極めて重要です。競合がこのポジションを狙って入札を強化してきた場合、この指標は敏感に低下するため、競合の動向を察知する早期警戒システムとしても機能します。

算出方法は以下の通りです。

ページ最上部IS (%) = ページ最上部に表示された回数 ÷ ページ最上部に表示可能だった回数 × 100

検索広告のページ上部インプレッションシェア

一方、「ページ上部インプレッションシェア」とは、検索結果ページにおいて、自然検索結果よりも上に表示される広告枠全般(通常1~4枠)に表示される可能性があった回数のうち、実際にそのいずれかの場所に表示された回数の割合を指します。

ページ最上部(1位)だけでなく、2位や3位といった上部枠に含まれていればカウントされるため、通常は「ページ最上部インプレッションシェア」よりも高い数値になります。この指標は、ユーザーの視線が集まりやすい一等地に、自社の広告がどれだけ食い込めているかを示すバロメーターとなります。必ずしも1位でなくとも、ページ上部に表示されることで、多くのクリックを獲得するチャンスが生まれます。予算やCPAとのバランスを取りながら、まずはこのページ上部インプレッションシェアを高めていくことが、多くのキャンペーンにおける現実的な目標となります。

算出方法は以下の通りです。

ページ上部IS (%) = ページ上部に表示された回数 ÷ ページ上部に表示可能だった回数 × 100

ディスプレイ広告

ディスプレイ広告におけるインプレッションシェアは、Webサイトやアプリなどの広大な広告掲載スペース(ディスプレイネットワーク)上で、広告が表示される機会があった総数に対して、実際に広告が表示された割合を指します。

検索広告がユーザーの能動的な「検索」という行動を起点とするのに対し、ディスプレイ広告はユーザーがコンテンツを閲覧している最中に表示されるため、「表示機会」の考え方が異なります。ディスプレイネットワークは無数のウェブサイトやアプリで構成されているため、表示機会の総数は検索広告よりもはるかに大きくなる傾向があります。ターゲティング設定(オーディエンス、トピック、プレースメントなど)が、表示機会の総数を決定する上で非常に重要な要素となります。

算出方法は以下の通りです。

ディスプレイ広告IS (%) = 実際の表示回数 ÷ 表示可能だった回数 × 100

ショッピング広告

商品画像が直接表示されるショッピング広告(Googleショッピング、Yahoo!ショッピング広告)のインプレッションシェアの基本的な算出方法は、検索広告と同様です。ユーザーが商品を検索した際に、広告が表示される可能性があった回数のうち、実際に表示された割合を示します。

ただし、ショッピング広告には特有の算出ロジックが存在します。それは、一人の広告主が同じ検索に対して、同時に複数のショッピング広告(例えば、色違いの同じ商品や、関連する別の商品など)を掲載する可能性がある点です。この場合、インプレッションシェアの計算では、それらの広告の中で最も広告ランクが高いものが代表として選ばれ、その広告にのみ表示機会が与えられたと見なされます。

例えば、ある検索に対して、貴社のアカウントから以下の3つの商品広告がオークションに参加したとします。

  • 広告A(広告ランク10)
  • 広告B(広告ランク5)
  • 広告C(広告ランク2)

この場合、システムは最も広告ランクが高い「広告A」に表示機会を与えます。そして、このオークションにおけるインプレッションシェアの計算は、「広告A」が獲得したかどうかでのみカウントされます。たとえ広告BやCが個別に高いポテンシャルを持っていたとしても、この特定のオークションにおいては、インプレッションシェアの対象とはなりません。この仕組みは、一回の検索に対するインプレッションを二重、三重にカウントすることを避けるために設けられています。

インプレッションシェアで知っておくべき指標

インプレッションシェアの数値を改善するためには、まず「なぜインプレッションシェアを失っているのか」という原因を正確に突き止める必要があります。インプレッションシェアが100%に満たない場合、その損失分は必ず「予算」または「広告ランク」のいずれかの要因によって引き起こされています。Google広告やYahoo!広告では、この原因を切り分けて分析するための、2つの重要な指標が提供されています。それが「インプレッションシェア損失率(予算)」と「インプレッションシェア損失率(ランク)」です。

この2つの損失率を理解することは、効果的な改善策を立案するための第一歩です。いわば、広告アカウントの健康診断における「精密検査」の項目にあたります。どちらの数値が高いかによって、打つべき施策は全く異なります。ここでは、それぞれの指標が何を意味し、どのような状態を示唆しているのかを詳しく解説します。

インプレッションシェア損失率(予算)

「インプレッションシェア損失率(予算)」とは、設定したキャンペーンの1日の予算が不足していることが原因で、広告が表示される機会を逃した回数の割合を示す指標です。Google広告では、この指標はキャンペーン単位でのみ確認が可能です。

この指標の数値が0%より大きい場合、それは「広告の品質や入札単価は十分で、表示される資格があったにもかかわらず、財布にお金がなかったために広告表示が強制的に停止された状態」を意味します。これは非常にもったいない状況であり、広告運用においては深刻な機会損失と捉えるべきです。

例えば、インプレッションシェア損失率(予算)が30%だったとします。これは、広告を表示できたはずの機会が100回あったとして、そのうち30回は予算不足が原因でみすみす逃してしまったということです。もし十分な予算があれば、クリック数やコンバージョン数をさらに積み増せた可能性があったことを示唆しています。そのため、「インプレッションシェア損失率(予算)の発生は、本来得られたはずの成果を取りこぼし、それまでにかかった広告費用の一部を無駄にしていることと同義」ともいえるのです。

この損失は、具体的には、1日の予算上限に月の前半や、あるいは1日の早い時間帯(例えば午前中)で到達してしまい、それ以降の時間帯で広告の配信が停止されてしまうことで発生します。かつては、予算が尽きた瞬間に広告配信が完全にストップしていましたが、近年のGoogle広告の配信アルゴリズムは、1日の予算をなるべく均等に配分しようと自動で調整を行います(「標準」配信設定の場合)。そのため、「いつ予算が上限に達したのか」を時間帯レポートだけで正確に把握するのは難しくなっています。だからこそ、このインプレッションシェア損失率(予算)という指標で、予算がボトルネックになっていないかを直接的に確認することが不可欠なのです。

この指標が高い場合は、単純な予算不足だけでなく、「設定した予算に対して、ターゲティングが広すぎる」あるいは「キーワードのマッチタイプが部分一致に偏りすぎている」といった、予算の非効率な使い方を示唆している可能性も考慮する必要があります。

インプレッションシェア損失率(ランク)

「インプレッションシェア損失率(ランク)」とは、広告ランクが低いことが原因で、オークションで競合に敗れ、広告が表示されなかった回数の割合を示す指標です。

広告ランクは、運用型広告の掲載順位を決定するスコアであり、主に「入札単価 × 品質スコア」という計算式に、広告表示オプションなどの要素を加味して算出されます。この広告ランクが低いということは、端的に言えば「広告の魅力や競争力が、同じ広告枠を狙う他社の広告に劣っている」ということを意味します。予算は十分にあったにもかかわらず、オークションで負けてしまったのです。

広告ランクが低くなる主な要因としては、以下の2点が挙げられます。

  • 入札単価が低い:競合他社よりも低い入札単価を設定している。
  • 品質スコアが低い:広告文やキーワード、ランディングページの品質に問題がある。具体的には、「推定クリック率が低い」「キーワードと広告文の関連性が低い」「ランディングページの利便性が低い」などが原因となります。

インプレッションシェア損失率(ランク)が高いということは、広告の根本的な品質や入札戦略に課題があることを示しています。この損失を取り戻すためには、単に予算を増やすだけでは不十分で、入札単価の見直しや、広告クリエイティブ、キーワード、ランディングページといった広告の構成要素そのものにメスを入れる、本質的な改善が必要となります。

この指標は、自社の広告がユーザーや検索エンジンからどのように評価されているかを映し出す鏡です。この数値が高い場合は、競合に勝つための戦略的な見直しが急務であると認識すべきです。

インプレッションシェアの活用方法と改善策

インプレッションシェアとその損失率を確認することで、広告が表示されない原因が「予算の壁」によるものなのか、それとも「品質と競争力の壁」によるものなのかを明確に切り分けることができます。原因が特定できれば、取るべき対策もおのずと見えてきます。ここでは、それぞれの損失の原因を把握した上で、具体的にどのような改善策を講じるべきかを詳しく解説していきます。

予算による損失の把握と改善策

「インプレッションシェア損失率(予算)」の数値を確認することで、設定しているキャンペーンの1日の予算が、現在の広告表示機会に対して適正か、あるいは不足しているかを判断できます。この損失率が高い場合、広告が表示されるポテンシャルがあるにも関わらず、予算不足によって機会を逃していると判断できます。この機会損失を防ぐために、以下の3つの対策を検討・実施しましょう。

  • キャンペーンの予算引き上げ
  • ターゲットの見直しによる予算の効率化
  • 配信設定の最適化

これらの施策を組み合わせることで、予算の制約による機会損失を最小限に抑えることが可能です。

キャンペーンの予算引き上げ

最も直接的かつシンプルな解決策は、キャンペーンの1日の予算を引き上げることです。予算不足が原因で広告が表示されていないのですから、予算を増やすことで損失は解消されます。Google広告の管理画面では、推奨予算額が提示されることもあり、それを参考に予算を調整することで、インプレッションシェアの向上が見込めます。

ただし、この施策には注意が必要です。やみくもに予算を増額し続けると、広告費全体が膨らみ、事業の採算を圧迫する可能性があります。また、コンバージョンに繋がりにくいキーワードや時間帯にも広告が表示されるようになり、結果として顧客獲得単価(CPA)が高騰するリスクも伴います。予算を増額する際は、必ずしも費用対効果が改善するとは限らないことを念頭に置き、CPAやROAS(広告費用対効果)といった重要指標の変動を注視しながら、段階的に実施することが肝要です。予算の引き上げは、他の改善策と並行して行うべき施策と位置づけましょう。

ターゲットの見直し

限られた予算を有効活用するためには、無駄な広告表示を徹底的に排除し、予算の浪費を防ぐことが重要です。ターゲット設定を見直し、よりコンバージョンに至る可能性が高いユーザー層に広告配信を集中させることで、予算による損失率を改善できます。

具体的には、以下の項目を見直します。

  • キーワードとマッチタイプ:部分一致で登録しているキーワードの検索語句レポートを精査し、意図しない検索語句で広告が表示されていないかを確認します。コンバージョンに繋がらない無関係な検索語句は、積極的に「除外キーワード」として登録しましょう。また、キーワードをより具体的なフレーズ一致や完全一致に変更することで、ターゲットを絞り込み、無駄な表示を抑制できます。
  • オーディエンス:リマーケティングリストやカスタムオーディエンスの精度を高め、より関心度の高いユーザーに広告が届くように設定を見直します。逆に、コンバージョンに至らないユーザーセグメントを除外することも有効です。
  • 地域:成果の出ていない地域への配信を停止、または入札単価を引き下げることで、予算を成果の高い地域へ集中させることができます。

これらの見直しにより、1クリックあたりの価値を高め、日予算の上限に達するまでの時間を遅らせることで、結果的にインプレッションシェアの回復に繋がります。

配信設定を行う

リスティング広告では、予算をより効率的に投下するための詳細な配信設定が可能です。これらの設定を最適化することで、費用対効果の高い時間帯やデバイスに予算を集中させ、予算による損失を減少させることが期待できます。

  • デバイスごとの入札調整:Google広告では、「パソコン」「モバイル」「タブレット」「テレビ画面」の4つのデバイスカテゴリで、入札単価を個別に調整できます。例えば、BtoB向けの商材で、コンバージョンが平日の日中のパソコンに集中しているのであれば、モバイルやタブレットの入札比率を引き下げることで、予算を最も効果的なデバイスに振り向けることができます。
  • 広告スケジュールの調整:コンバージョンが多く発生する曜日や時間帯に絞って広告を配信したり、その時間帯の入札単価を引き上げたりすることで、予算を最もホットな時間帯に集中投下できます。逆に、深夜帯などコンバージョンが見込めない時間帯の配信を停止することも、無駄な予算消化を防ぐ上で有効です。
  • 配信先の地域の絞り込み:前述のターゲットの見直しとも重なりますが、店舗ビジネスであれば来店可能な商圏に地域を限定したり、特定の都道府県で特に成果が高い場合は、その地域の入札を強化したりすることで、予算効率を最大化できます。

広告ランクによる損失の把握と改善策

「インプレッションシェア損失率(ランク)」が高い場合、それは広告の品質や競争力が競合に劣っていることを示す明確なシグナルです。この損失を改善するには、広告ランクそのものを向上させる必要があります。広告ランクが高まれば、オークションでの勝率が上がり、より低いクリック単価で上位に表示されやすくなるため、広告運用全体の効率改善に繋がります。広告ランクの向上は、一朝一夕にはいきませんが、継続的に取り組むべき最も重要な施策の一つです。

具体的には、次の3つのポイントを押さえて改善を進めていきましょう。

  • 入札単価や自動入札の目標値の引き上げ
  • 広告内容(クリエイティブ)の質的改善
  • アカウント構成の戦略的な見直し

入札単価や自動入札の目標値の引き上げ

広告ランクを構成する最も直接的な要素の一つが「入札単価」です。競合よりも低い入札単価を設定している場合、品質スコアが同等であればオークションで負けてしまいます。したがって、入札単価を引き上げることは、広告ランクを改善し、ランクによる損失率を低下させるための即効性のある手段です。

自動入札戦略(例:「目標コンバージョン単価」「コンバージョン数の最大化」など)を利用している場合は、設定している目標値を調整します。例えば、目標コンバージョン単価(tCPA)を少し引き上げることで、システムはより競争の激しいオークションにも参加できるようになり、結果として広告ランクが向上し、表示機会が増加します。

この施策は、予算による損失率の改善にも間接的に寄与する可能性がありますが、クリック単価(CPC)の上昇に直結するため、全体の広告費が増加するリスクを伴います。特に費用対効果を重視するキャンペーンでは、コンバージョン率が高いキーワードや、利益率の高い商品に関連するキーワードから優先的に入札単価を引き上げるなど、戦略的な判断が求められます。

広告内容の改善

広告ランクのもう一つの重要な要素である「品質スコア」を改善することが、ランクによる損失を減らすための本質的なアプローチです。品質スコアは、主に以下の3つの要素で構成されており、これらを改善することで広告の露出機会を増やせます。

  • 推定クリック率(CTR)の向上:広告が表示された際に、ユーザーがクリックする可能性が高いと予測されるほど、スコアは高まります。ユーザーの検索意図を正確に捉え、メリットや緊急性を訴求する魅力的な広告文を作成することが重要です。レスポンシブ検索広告を活用し、複数の広告見出しや説明文を登録して、最も効果的な組み合わせをシステムにテストさせることも非常に有効です。
  • 広告の関連性の向上:ユーザーが検索したキーワードと、広告文、そしてリンク先のランディングページの内容が一貫していることが求められます。キーワードを広告文の見出しに含めたり、広告グループをテーマごとに細かく分けたりすることで、関連性を高めることができます。
  • ランディングページの利便性の向上:広告をクリックした先のページが、ユーザーにとって分かりやすく、使いやすいものである必要があります。ページの表示速度の改善、モバイル表示への最適化(レスポンシブデザイン)、明確なナビゲーション、そしてユーザーが求める情報へのアクセスのしやすさなどが評価されます。

これらの改善は、ユーザー体験の向上に直結するため、広告ランクの向上だけでなく、コンバージョン率の改善にも繋がり、広告運用全体の成果を底上げします。

アカウント構成の見直しを検討

キャンペーンや広告グループの構成が、広告の関連性を損ない、結果として広告ランクの低下を招いているケースも少なくありません。特定の広告グループの中に、テーマの異なるキーワードが混在している場合、アカウント構成そのものの見直しが必要です。

例えば、「パソコン周辺機器」という広範な広告グループの中に、「ワイヤレス キーボード」「ゲーミング マウス」「webカメラ 高画質」といった異なるニーズを持つキーワードが混在しているとします。この場合、「パソコン周辺機器のおすすめ〇〇選」といった汎用的な広告文しか作成できず、各キーワードとの関連性が低くなってしまいます。「ワイヤレス キーボード」で検索したユーザーは、マウスやカメラではなく、キーボードに関する具体的な情報を求めているため、広告文とのミスマッチが生まれ、クリック率も品質スコアも低下します。

このような場合、「キーボード」「マウス」「Webカメラ」といった形で、製品カテゴリや検索意図ごとに広告グループを細分化し、それぞれのグループに特化したキーワードと広告文を作成することが有効です。これにより、キーワードと広告文の関連性が劇的に向上し、品質スコアが改善され、結果としてインプレッションシェア損失率(ランク)の改善に繋がります。

インプレッションシェアのデータ表示方法

インプレッションシェアとその関連指標は、Google広告とYahoo!広告の管理画面から簡単に確認できます。ここでは、それぞれのプラットフォームでデータを表示させるための具体的な手順をご紹介します。定期的にこれらの指標を確認する習慣をつけることが、機会損失を早期に発見し、迅速な対策を講じるための鍵となります。

Google広告での確認方法

Google広告では、キャンペーン、広告グループ、キーワードの各階層でインプレッションシェア関連のデータを確認できます。管理画面の表示項目をカスタマイズすることで、いつでもデータを確認できるようになります。

  1. Google広告の管理画面にログインします。
  2. 左側のナビゲーションメニューから、データを確認したい階層(例:「キャンペーン」)をクリックします。
  3. データが表示されている表の上部にある「表示項目」アイコン(縦に3つ並んだ棒グラフのようなアイコン)をクリックします。
  4. ドロップダウンメニューから「表示項目の変更」を選択します。
  5. 「表示項目の変更」画面が開いたら、左側のメニューから「競合指標」をクリックします。
  6. 「競合指標」のリストの中から、表示させたい項目にチェックを入れます。最低でも以下の項目はチェックしておくことを推奨します。
    • インプレッション シェア
    • インプレッション シェア(ページ上部)
    • インプレッション シェア(ページ最上部)
    • IS損失率(予算)
    • IS損失率(ランク)
  7. 最後に「適用」ボタンをクリックすると、管理画面の表に選択した項目が追加されます。

一度設定すれば、以降は常にこれらの指標が表示されるようになります。

Yahoo!広告での確認方法

Yahoo!広告でも、同様に表示項目を編集することでインプレッションシェア関連の指標を確認できます。Yahoo!広告では、検索広告とディスプレイ広告で若干メニュー名が異なりますが、基本的な手順は同じです。

  1. Yahoo!広告の広告管理ツールにログインします。
  2. 確認したいキャンペーンや広告グループの一覧画面を表示します。
  3. 一覧表の上部にある「表示」タブをクリックし、「表示項目の編集」を選択します。
  4. 「表示項目」の選択肢の中から、「インプレッションシェア」や「インプレッションシェア損失率(予算)」、「インプレッションシェア損失率(ランク)」といった、確認したい項目にチェックを入れ、「適用」をクリックします。

Yahoo!広告のレポート作成画面のイラスト

ただし、Yahoo!広告の管理画面上では、Google広告のように過去のデータの推移をグラフで視覚的に確認することはできません。過去からの推移を分析したい場合は、パフォーマンスレポートを作成し、ダウンロードしたデータをExcelなどの表計算ソフトでグラフ化する必要があります。

パフォーマンスレポートの作成手順は以下の通りです。

  1. Yahoo!広告の管理画面で、上部の「レポート」タブをクリックし、「パフォーマンスレポート」を選択します。
  2. 「+新規レポートを作成」ボタンをクリックします。
  3. レポートの種類(例:「キャンペーンレポート」)や、表示したい項目(インプレッションシェア関連指標を必ず含める)、集計期間、表示対象などを選択します。
  4. 「作成」ボタンをクリックすると、レポートが作成され、ダウンロード可能になります。

このレポートデータを基に、週次や月次でインプレッションシェアの推移を定点観測することで、施策の効果測定や、新たな課題の発見に繋がります。

インプレッションシェアを定期的に確認し、機会損失をなくそう

本記事で解説してきたように、インプレッションシェアは、広告が表示される可能性があった回数のうち、実際に表示された回数の割合を示す、極めて重要な指標です。この指標を正しく理解し、活用することで、これまで見過ごしてきたかもしれない「機会損失」を白日の下に晒すことができます。

配信した広告が表示されない原因は、大きく分けて「予算不足」または「広告ランクの低さ」の2つに集約されます。そして、インプレッションシェア損失率(予算)とインプレッションシェア損失率(ランク)という2つの補助指標を確認することで、どちらが主要な原因であるかを明確に特定できます。原因がわかれば、対策も立てやすくなります。予算を引き上げるべきなのか、それとも広告の品質改善に注力すべきなのか、データに基づいた的確な判断が可能になるのです。

広告運用とは、PDCAサイクルを回し続ける地道な活動です。インプレッションシェアを定期的に(可能であれば週次で)確認するプロセスを業務に組み込み、自社のアカウントの健康状態を常に把握しておくことが、無駄な広告コストを削減し、獲得型広告の成果を最大化するための確実な一歩となります。ぜひ、本日解説した分析手法と改善策を、貴社の広告運用にご活用ください。



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