広告運用を仕事にし、効果的で効率のよい管理をしていくうえで「ビュースルーコンバージョン」は重要な指標のひとつです。

ユーザーや顧客が商品の検討や購入を考えている時、ひとつのサイトではなく複数のサイトや広告を見てから、お問い合わせや購入に至ることは少なくありません。

例として、別の目的でサイトを見ていて「たまたま見つけた広告」が印象に残っても、その時の状況によってはスルーしてしまうこともあるでしょう。

そのあと、気になって調べた広告をクリックする…という経験は誰にでもあると思います。

このように、一旦見られるだけだった広告が「コンバージョン」に影響しているかどうかを検証・見える化する指標がビュースルーコンバージョンです。

本記事では、ビュースルーコンバージョンについて詳しく解説していきます。

 

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ビュースルーコンバージョンとは

ビュースルーコンバージョンとは、画像や動画の広告を見たが「クリックや課金に至るまで見なかった」ユーザーや顧客が、あとで別の方法でサイトに訪れてコンバージョンまで進んだ時にカウントされる指標です。

主にディスプレイ広告やSNSに表示される広告で利用されますが、検索広告で使われることはありません。

GoogleやYahoo!での「コンバージョン」という指標は「クリックスルーコンバージョン」といわれ、広告をクリックしたユーザーがその場でコンバージョンした・一定期間内にコンバージョンに至った数になります。

広告をクリックするに至っていないビュースルーコンバージョンの評価は困難ですが、評価をすることで、該当する広告の貢献度や必要性を確認することが可能です。

クリックスルーコンバージョンとの違い

ビュースルーコンバージョンとクリックスルーコンバージョンとの大きな違いは、広告を見たユーザーが一定期間内または即座にコンバージョンに至っているか否かです。

見られただけでコンバージョンにならなかった広告は、一見貢献度が低い広告だと思われがちですが、その広告がきっかけで別の広告からコンバージョンに至ったのであれば「可能性のある広告」だと判断できます。

ビュースルーコンバージョンは、そういった「影の功労者」の効果を評価できる指標なのです。

ビュースルーコンバージョンの重要性

ビュースルーコンバージョンの重要性は、ユーザーや顧客に対する認知向上や潜在意識への印象づけにあります。

クリックされずコンバージョンに至らなかった広告は、重要性を低く見られ「表示広告の変更」や「作り直し」の対象にされることが少なくありません。

顧客への意識づけに大きな影響を及ぼしている広告を、知らず知らずのうちに削除してしまい、全体的なコンバージョン率を下げてしまう可能性もあります。

しかし、ビュースルーコンバージョンを利用して正確な効果を評価することで、思いがけずコンバージョン率を下げてしまうことを防ぎ、場合によっては広告コンテンツ再制作の手間を削減することも可能です。

ビュースルーコンバージョンを測定するメリット

ビュースルーコンバージョンを利用し、運用中の広告を管理するなら、利用して得られるメリットが気になるでしょう。

後述する「広告レポート自動化ツール」を導入するにあたって、何かしらのメリットがなければツールを使用するための予算がおりないこともあります。

ビュースルーコンバージョンを測定して得られる主なメリットは、次の3つです。

  • ユーザーの行動を知ることができる
  • 広告の間接効果が得られる
  • 広告を運用していくための指標となる

これらのメリットについて、以下で詳しく解説していきます。

ユーザーの行動を知ることができる

ビュースルーコンバージョンを測定することで、ユーザーや顧客が「どういった経路を辿ったのか」を知ることができます。

通常のコンバージョンから得られる情報だけでは、クリックされた広告の情報しか得られず、それ以外に運用している広告が「役に立っていない」広告と判断される可能性があるかもしれません。

そうなった場合、間接的に効果を出している広告と知らずに削除してしまい、結果としてコンバージョン数が低下する恐れがあるのです。

しかし、ビュースルーコンバージョンを測定することで、ユーザーや顧客がどの広告からコンバージョンに至ったのかという情報を知ることができます。

その結果、ユーザーの行動や求めていることを深く理解できるようになり、コンバージョン数アップに繋げることも可能です。

広告の間接効果が得られる

ビュースルーコンバージョンを測定すれば、運用している広告のコンバージョン数だけでなく、間接効果を得ることができます。

直接コンバージョンに至らなかった広告でも、間接的にユーザーや顧客に広告の内容を意識づける結果になったものは少なくありません。

そういった間接効果をもたらした広告の情報を可視化することで、広告コンテンツの不要なリテイクや再制作といった労力の削減が可能。時間や人的リソースの節約にもなるので、運用にかかる費用もおさえられます。

こういった間接効果を「見える化」するためには、ビュースルーコンバージョンの測定が必要不可欠です。

アトリビューションとは

ビュースルーコンバージョンについて理解するためには、コンバージョンに至るまでの貢献度を調べる「アトリビューション」の考え方は必須の思考です。

アトリビューションとは、ある広告でコンバージョンに至るまでの複雑な経路を可視化して、間接効果をもたらした広告も含めた貢献度を評価・分析する考え方になります。

アトリビューションモデル比較レポートを利用すれば、間接的にコンバージョン獲得に貢献した広告を評価できるようになり、運用中の広告削除・置き換えによって生じる「商品の情報を知るきっかけを喪失する」リスクを減らし「コンバージョン数の減少」を防ぐことが可能です。

広告を運用していくための指標となる

ビュースルーコンバージョンを測定して、運用中の広告の「間接効果の見える化」をすれば、広告を運用していくための指標や戦略を決めることができます。

直接コンバージョンだけを指標にした場合、コンバージョンに至ってない広告は「不要な広告」と判断されてしまい、削除や置き換えの対象になってしまうでしょう。

しかし、ビュースルーコンバージョンの測定により「影の功労者」になっている広告の存在を知ることができるので、より正確な効果測定をおこなえます。

同時に、運用していく広告の取捨選択が可能になり、さらなるコンバージョンアップに繋げるための戦略を考案・実施することも可能です。

プラットフォームごとの計測条件

ビュースルーコンバージョンの測定条件には2つのパターンがあり、「表示された時間や面積」と「計測期間」に分けることができます。

「表示された時間や面積」は、配信しているプラットフォームでどれだけの占有面積でどのくらいの時間表示されるかを判断基準にした条件です。

「計測期間」は、ビュースルーコンバージョンとしてカウントしてから、どれだけの期間カウントし続けるかの期間になります。

例としてGoogle広告の場合、「計測期間」を1日間とした時は、広告の50%以上が1秒以上表示されるとビュースルーコンバージョンとしてカウントされます。

しかし、そこから1日以上経過した場合はカウントされなくなり、ビュースルーコンバージョンに至らなかったと計測されるのです。

以下に各プラットフォームの計測条件などを詳しく解説していきます。

ビュースルーコンバージョン Google

Google広告のビュースルーコンバージョンは、インプレッションをベースにして計測され、デフォルトの計測期間は1日です。

設定により30日まで決めることが可能ですが、基本的には短期間に設定したほうが良いでしょう。商材によっては長期設定にしたほうがよいものがありますが、あまり長期間に設定すると、ユーザーが広告と違う接点を持ってしまう可能性があります。

そうなった場合、コンバージョンした時に「広告の効果があったのか?」が判断しづらくなり、カウントできないからです。

注意点として、同じ広告を他のサイトで見たあとに気になってクリックした…という場合は、ビュースルーコンバージョンに加えてクリックスルーコンバージョンもカウントされてしまいます。

 

そうなると、クリックスルーコンバージョンと判断されてしまい、クリックされるきっかけとなった広告は評価されません。

ほかにも、「あとから自分で検索してコンバージョンになった」場合は、「ビュースルーコンバージョン1件」「自然流出1件」となり、重複カウントになるので正確な測定ができなくなることに注意が必要です。

ビュースルーコンバージョン Yahoo!

Yahoo!広告の場合、広告面積の5割以上が1秒以上表示された場合にカウントされます。

他のプラットフォームと違い、計測期間が1日と短いので長期間設定ができません。それに加えて、YDNの場合はビュースルーコンバージョンの計測は「予約型」のみです。

運用型を利用する場合は直接計測できないので、専用ツールを別に用意しておく必要があります。

導入には多少なりのコストがかかるため、どの程度の費用対効果があるのかを前もって調査しておくことが必要です。使い方を誤ると、コストが高くなり採算が取れなくなる恐れがあるので、事前にテストなどをおこなったうえで導入を検討しましょう。

ビュースルーコンバージョン facebook

Facebook広告のビュースルーコンバージョンの計測条件は、広告の1%以上表示・計測期間は1日間/7日間/28日間から選択可能ですが、今後「7日間/28日間」についてはサポートを打ち切ることがFacebookから公表されています。

Facebook広告のコンバージョンの特徴として、デフォルトの設定ではビュースルーコンバージョン数とクリックスルーコンバージョン数を合算した数値が表示されることです。

したがって、各コンバージョンの正確な数値を知るためには、前もって設定を変更しておく必要があります。

そのほかの特徴として、広告をクリックしていなくてもクリックスルーコンバージョンとしてカウントされてしまうパターンがあるということです。

広告に対して「いいね」や「コメント」の投稿、「シェア」などの広告に対してのエンゲージメントもクリックスルーコンバージョンとして計測してしまうので、注意しましょう。

ビュースルーコンバージョン Twitter

Twitter広告のコンバージョン計測の条件は「広告が1pixel以上表示・1〜90日間で指定可能」で、コンバージョン計測方法は2種類あります。

「Webサイトタグをサイトに直接設置」の方法では、アカウント作成などの工程を省略可能です。Googleタグマネージャのようにアカウントを作成する必要がないので、すぐに設置することができます。

しかし、複数の広告媒体で広告を運用している場合は、タグの管理が複雑になりやすいので注意が必要です。

 

もうひとつの方法は、「Googleタグマネージャを利用」した方法になります。Googleタグマネージャでは、HTMLを修正することなく「タグの追加・編集」が可能なツールとなっています。

Googleタグマネージャを利用すれば、HTMLファイルを編集する必要がありません。

Googleタグマネージャの管理画面からタグの追記・ペーストができるので、人的ミスの防止に繋がります。

しかし、ツールの使用方法や設定方法などを事前に学習しておく必要があるため、そのための時間と人的リソースが必要です。それに加えて、広告の全コードをGoogleタグマネージャ用に変更しておく必要があるので注意してください。

ビュースルーコンバージョン YouTube

YouTube広告の計測条件は「広告の50%以上が2秒以上表示・1〜30日間で指定可」で、平均コンバージョン数はほかの広告媒体と比較して高い傾向にあります。

YouTube広告には「TrueViewアクション広告」というものがあり、これがユーザーからのアクションを促進させるための「コールtoアクション」を設置可能です。

TrueViewアクションは、ユーザーがクリック・動画再生すると課金される方式になっているので、広告費用をおさえることもできます。

コンバージョン率を上げるには、「ユーザーの印象に残るような魅力的なもの」にすることです。動画にインパクトをつけたり、動画広告のキャッチコピーを工夫したりするのもいいでしょう。

コンバージョンの計測期間は長めにして、「後追いコンバージョン」の数値を把握することで、広告運用の方向性が見えてきます。

ビュースルーコンバージョンとクリックスルーコンバージョンが両方発生している場合

ビュースルーコンバージョンとクリックスルーコンバージョンが別々に発生している場合は、それぞれの計測に問題ありません。

しかし、多くの場合はいろいろなパターンで両方発生しています。主なパターンは次の3つになります。

  • 複数の広告でインプレッションがあった時
  • 一方はインプレッションのみ、もう一方でクリックがあった場合
  • 複数の広告でインプレッションがあっても、クリックは別の広告からあった場合

以下で詳しく説明していきましょう。

複数の広告でインプレッションがあった時

複数の広告でインプレッションがあった時は、コンバージョン直前の「インプレッションが発生した広告」をビュースルーコンバージョンとしてカウントします。

商品Aの広告を10月1日と10月5日に閲覧して、10月6日に検索サイトを経由して商品Aの購入したパターンでは、ビュースルーコンバージョンとしてカウントされるのは、コンバージョン直前(10月5日)に閲覧された広告です。

それ以上の広告でインプレッションがあっても、ビュースルーコンバージョンとしてカウントされるのは、コンバージョン直前に閲覧された広告のみになります。

一方はインプレッションのみ、もう一方でクリックがあった場合

一方はインプレッションだけあって、もう一方で広告のクリックがあった場合は「クリックスルーコンバージョン」が優先されてカウントされます。

このパターンでは、ビュースルーコンバージョンは計測されません。

たとえば、商品Bの広告を10月1日に見た人が、10月3日に別の「商品B」が紹介されている広告をクリックし、10月5日に検索サイト経由でサイトに訪問したのち商品Bの購入をしたとします。

このパターンの場合、カウントされるのはクリックスルーコンバージョンになり、10月3日にクリックされた広告のみです。

最初(10月1日)に見ただけの広告は、ビュースルーコンバージョンとしてカウントしません。

複数の広告でインプレッションがあっても、クリックは別の広告からあった場合

複数の広告でインプレッションがあった時は、コンバージョンに至った直前にインプレッションがあった広告をビュースルーコンバージョンとしてカウントします。

閲覧のみのビュースルーコンバージョンがコンバージョンの直前にあっても、クリックスルーコンバージョンが優先され、クリックした広告のみがカウントされます。

例として挙げると、商品Cの広告を10月1日と10月3日・10月5日に閲覧し、10月3日にだけクリックしたとします。後日、10月7日に商品Cを検索してサイトから購入した場合は「10月1日」と「10月5日」の閲覧はビュースルーコンバージョンとしてカウントされません。

このパターンでは、10月3日に閲覧した広告のみビュースルーコンバージョンとしてカウントされます。

閲覧とクリックが混在している場合は、閲覧された順序やインプレッション数は関係なく「クリック」されたクリックスルーコンバージョンだけです。

ビュースルーコンバージョン計測時の注意点

ビュースルーコンバージョンは直接コンバージョンされなかった広告の間接効果を知ることができる便利な指標ですが、カウントされる数値の扱い方や計測結果の判断が難しい指標ともいえます。

商材の性質や価格に応じた計測期間をおこない、実際の評価との乖離を最小限にするために注意が必要です。

以下で、主な注意点を詳しく解説していきます。

クリックスルーコンバージョンとは別に考える

ビュースルーコンバージョン計測時に注意すべきは、クリックスルーコンバージョンと混同しないことです。

とあるユーザーが複数の広告の閲覧後、最終的に広告をクリックしてコンバージョンに至った場合、その影響はビュースルーコンバージョンによるものなのか、クリックスルーコンバージョンのものなのかの判断が難しくなります。

このパターンの対策としては、ビュースルーコンバージョンとクリックスルーコンバージョンの各計測期間を調整し、それぞれの効果を測定することが必要です。

一例として、ビュースルーコンバージョンの計測期間を短期に設定し、その設定した期間内にコンバージョンしていれば、「これはビュースルーコンバージョンの効果によるもの」と判断することが可能になります。

コンバージョンの重複カウント

ユーザーが広告をクリックせず「閲覧のみ」だけでもカウントの対象になるため、コンバージョンの重複カウントには注意が必要です。

例えば、表示された広告をその場ではクリックせず、間をおいてから自然検索により商品紹介のWebページに到達してコンバージョンした場合は、「ビュースルーコンバージョン」と「自然検索によるコンバージョン」を各1件とカウントしてしまう可能性があります。

こういった場合の重複カウントを防止する方法として、専用ツールを利用した計測方法の導入がおすすめです。

長すぎる計測期間の設定

長すぎる計測期間の設定は、ビュースルーコンバージョンまたはクリックスルーコンバージョンどちらの影響によるものかの判断が難しくなるため、あまり長期間に設定し過ぎないように注意しましょう。

ユーザーが「広告で見かけた商品やサービス」に対して、印象に残っている期間でコンバージョンに繋がった…という点がビュースルーコンバージョンの効果です。

したがって、数か月経ったあとで「ふと思い出して」コンバージョンする…といった状況は起こりにくく、それを期待するのは現実的ではないため、長過ぎる期間の計測期間設定は避けたほうがいいでしょう。

例外として、自動車や不動産などの商材の場合は「その高額さから即決が困難」なため、長期間の計測期間設定がおすすめです。

ビュースルーコンバージョンの活用をおすすめする状況とは

運用している広告の効果を知るために、ビュースルーコンバージョンを活用することは「効果が出ていない」広告の隠れた効果や影響を再確認できるので、自社広告を運用している企業や個人事業主におすすめです。

なかでも、ビュースルーコンバージョン計測を特におすすめしたいパターンを6つ紹介します。

これから紹介するパターンに近いものがあれば、活用を検討してみてはいかがでしょうか?

以下で詳しく解説していきます。

複数の広告媒体を利用している時

FacebookやTwitterなどのSNS広告やディスプレイ広告・リスティング広告など複数の広告媒体を同時に管理・運用している場合は、ビュースルーコンバージョンの計測がおすすめです。

複数の広告を管理・運用している場合、時間や人的リソースの関係から「最終的にクリックしてコンバージョンに至った」数値のみで広告媒体の評価をしてしまいます。

こういった時に、ビュースルーコンバージョンの計測による直接効果や間接効果を評価すれば、運用している各広告媒体ごとの正確な評価が可能です。

正確な評価が可能になれば、運用を継続すべき広告と打ち切るべき広告の判断が可能になり、結果として省力化や効率化に繋がります。

コンバージョン数が少ない時

手間をかけて制作した広告でも、コンバージョン数が少ない広告が出てしまうのは仕方がないことですが、そういった広告に対してもビュースルーコンバージョンの計測をしてみる価値はあります。

コンバージョン数が少ない広告でもビュースルーコンバージョン数が高く、「縁の下の力持ち」的な広告になっている場合が少なくありません。

こういったタイプの広告は「間接的」にコンバージョンに貢献しているパターンが多いため、計測せずに運用を打ち切るのはご法度です。

直接のクリックのみを重視する戦略ならビュースルーコンバージョンは必要ありませんが、運用している広告の総合的な効果を確認をしたいなら、ビュースルーコンバージョンの計測はおすすめといえます。

広告の出稿停止を考えている時

広告の出稿には少なからず費用がかかり、目標成果に達していない広告やコンバージョンが得られない広告に対して「出稿停止」を考える人は少なくありません。

コンバージョン数が少なく成果が出ていない広告は、出稿停止する前にビュースルーコンバージョンの計測をおこない、出稿を打ち切るかどうか調べてみましょう。

たとえコンバージョン数が少ない広告でも、ビュースルーコンバージョン数が多く間接的にコンバージョンアップに貢献している場合があるからです。

そういった広告を目先のコンバージョン数のみで判断して出稿打ち切りにした場合、運営している広告全体のコンバージョン数低下に繋がる恐れがあるため、出稿停止をする前に計測してみてください。

ビュースルーコンバージョンを計測することで、思いがけない機会損失を防ぐことが可能になるので、出稿停止予定の広告があるなら計測してみましょう。

動画広告の評価の参考にしたい時

動画広告は、静止画像の広告と比較してクリックされにくい傾向にありますが、動画の性質上「伝達可能な情報量」が多いためビュースルーコンバージョンが発生しやすい広告形式です。

例として、AとBという2つの動画広告があった時、Aの動画広告ではクリックスルーコンバージョンが多く、Bは視聴回数が高いもののクリックスルーコンバージョン数がほとんどありません。

結果だけ見ると、Bは効果が出ない広告と判断されがちですが、ビュースルーコンバージョン数を計測してみるとAの広告よりも高い数値が出ていました。

このようなパターンの場合、Bの広告がAの広告のコンバージョン数アップに何らかの影響を及ぼしている可能性があり、Bの動画広告を出稿停止するのは得策ではない…と判断できます。

余談ですが、Googleの動画広告では初期設定でコンバージョン列にエンゲージビューコンバージョン(スキップできるインストリーム広告を10秒以上視聴し、別ルートでコンバージョンした数)が含まれる仕様です。

広告ごとの総合的な効果と、予算配分を決めたい時

複数の広告を運用している場合、コンバージョン数だけでなくビュースルーコンバージョン数を含めた総合的な評価が可能になり、各広告への予算配分を決めることができます。

ビュースルーコンバージョンは、直接コンバージョン数に影響しにくく効果を掴みにくいため、軽視されがちです。

しかし、ビュースルーコンバージョンを正確に計測することで「コンバージョンに貢献している評価の高い広告」を洗い出すことができるため、各広告に対する予算配分を見える化できます。

コンバージョン数が少ない広告でも、ビュースルーコンバージョンを計測することで適切な予算配分をおこない、成果がアップした例は少なくありません。

広告への認知向上やブランディングのKPIにしたい時

ビュースルーコンバージョンを利用すれば、自社商材の認知向上やブランディングのKPI(Key Performance Indicator…主要業績評価指標)にすることもできます。

コンバージョン目的の広告出稿でも、場合によってビュースルーコンバージョン数が高く認知向上に貢献しているケースは少なからずあり、広告クリエイティブの改善次第でより効果の高い広告にできるかもしれません。

認知向上を目的とする広告内容にシフトする場合、インパクトのあるクリエイティブの作成や、ユーザーの印象に強く残るような見出し・画像を使用した広告クリエイティブにしてみると効果が出やすいことがあります。

広告効果測定ツールを利用してできること

ビュースルーコンバージョンなどの広告の効果を知るためには、さまざまな指標があります。限られた時間と人的リソースの範囲内で、これらの指標を効率的に分析するには「広告効果測定ツール」の利用が欠かせません。

現在は効率的な運用や分析に特化した広告効果測定ツールが多くあり、広告効果測定ツールでは次のようなことが実現できます。

  • データ収集の効率化
  • 正確なデータの集計
  • データ管理の簡略化

主にこの3つのことについて、ここから詳しく解説していきましょう。

データ収集の効率化

広告効果測定ツールを利用すれば、膨大な広告データを効率よく収集することができます。

特に複数の広告を管理・運用している場合、各広告媒体・個々の広告からデータを収集してまとめるという作業には、ある程度の時間や人的リソースが必要です。

広告効果測定ツールを導入すれば、作業時間の大幅な短縮や人的リソースの削減・省力化に繋げることができます。

正確なデータの集計

広告効果測定ツールを利用することで、正確なデータの集計が可能になるため、人的ミスのリスクを低減できます。

人力によるデータの集計では、収集したデータが多いほど集計に時間がかかり、人的リソースの浪費・ヒューマンエラーが起こる可能性は否定できません。

ツールによる自動化をおこなえば、「データ収集の効率化」でも述べた時間の短縮や省力化だけでなく正確なデータの集計も可能になります。

データ管理の簡略化

広告効果測定ツールの導入は、正確なデータ収集・集計だけでなく、データ管理の簡略化という恩恵も与えてくれます。

データ管理ではExcelなどのソフトを利用していることが多いですが、入力ミスやファイル管理・共有の際に思いがけないトラブルが発生することは少なくありません。

広告効果測定ツールを利用すれば、運用している広告データはすべてツールで指定したストレージ内で管理されているので、ファイル共有のミスやデータの紛失といったトラブルを回避できます。

主な広告レポート自動化ツール5選

広告レポート自動化ツールとは、Web広告の運用業務を効率化し、広告レポート作成の簡略化や広告効果の可視化などが可能になるツールです。

現在、いろいろな広告レポート自動化ツールがありますが、特におすすめできる5つのツールを紹介していきます。

Web広告の効率的な運用や、限られた人的リソースで正確なデータ収集・集計を考えている担当者・管理者におすすめしたいツールです。

Databeat Explore(ETLツール)

Databeat ExploreはWeb広告の効果を可視化できる広告レポート自動化ツールです。

Web広告の運用データの一元管理・レポート作成を自動でおこなうことが可能で、広告の効果検証も可能になります。

もちろん、ビュースルーコンバージョンの計測・数値の管理も可能です。

【当ツール導入のメリット】

  • 広告の運用データを自動で収集するので、個々の広告出稿媒体へログインする手間がなく、管理工数の削減になります。
  • 運用している広告の分析効率アップ。収集したデータは当ツールのダッシュボードで管理が可能で、複数のテンプレートによるビジュアル化した管理画面で広告運用の現状把握が容易です。
  • 収集したデータを、Googleアナリティクスへ自動でインポートできるため、各広告の効果検証が容易になります。
  • 広告クリエイティブのサムネイル画像を自動で出力可能なので、クリエイティブの効果検証も簡単におこなうことが可能です。

glu(運用型広告レポート作成支援システム)

gluは運用型広告レポート作成支援システムになります。

API連携により業界最多クラスのツールとなっており、Google広告やYahoo!広告・その他のSNS広告などの運用型広告のレポートを効率よく作成することが可能です。

【当ツール導入のメリット】

  • 運用型広告業務で発生するデータを抽出して、表やグラフを用いたわかりやすいレポート作成を簡略化できます。
  • GoogleアナリティクスやLooker StudioなどのBIツールとの連携に対応しているため、gluで収集したデータを他ツールへ連携・分析が可能です。
  • ツール導入前から導入初期・導入後まで3つのフェーズに分けて、課題解決のサポートが受けられます。

Shirofune(広告運用自動化ツール)

Shirofuneはユニバーサルアナリティクスに引き続き、Googleアナリティクス4との自動APIデータとの連携にも対応しているツールです。

広告運用が未経験でも、簡単な操作で出稿から最適化までできるようになるので、広告業務の生産性を大きく改善することができます。

広告運用のプロによるサポートメンバーが、広告運用の内製化支援を提供しており、生産性や再現性の高い広告運用体制の構築支援を受けることが可能です。

【当ツール導入のメリット】

  • Googleアナリティクス4のコンバージョン計測データを自動取得し、各広告媒体の配信データに統合。自動入札の最適化やレポート化が可能です。
  • ユニバーサルアナリティクスとGoogleアナリティクス4の両データを繋げた統合レポート作成が可能。両データの同期間の計測データやユニバーサルアナリティクスの過去実績と、Googleアナリティクス4の現状実績の比較が容易になります。
  • Shirofuneを利用すれば、長期スパンでのデータ比較が可能になるため、一部のユニバーサルアナリティクスとGoogleアナリティクス4の「データ保持期間14ヶ月」の制限がありません。

Lisket(広告レポート自動作成ツール)

Lisketは、Web広告運用業務のなかでも工数や人的リソースが必要な業務を「正確」「スピーディー」に作成することができます。

ほとんど人手をかける必要なくレポート作成ができるため、ツールの利用によって得られた時間的余裕を、改善のためのPDCAや運用結果の分析に使うことが可能です。

広告運用のプロによって作成されたLisketは、現在も継続的にアップデートされており、専用サポートサイトにて最新の使い方や仕様を見ることができます。

【当ツール導入のメリット】

  • 管理画面上で必要な項目を選ぶだけで、リスティング広告やSNS広告のデータを集計して「見やすく整理されたExcel形式のレポート」を自動作成可能。
  • Google広告やYahoo!広告などの複数の広告媒体ごとの配信状況・予算の推移を一元管理可能で、コンバージョン数やLisketによる「推奨日予算」の確認ができます。
  • 各広告媒体の管理画面を個別に調べる手間がなく、計測数値の見落としなどによるミス発生のリスクを低減可能です。

AD EBIS(広告効果測定ツール)

AD EBIS(アドエビス)とは、広告効果測定に使用されるツールです。

APIを利用して多くの広告媒体と連携が可能で、中小企業から大手企業まで数多くの導入実績があります。

アドエビスは、広告管理画面から運用データを収集するだけのツールではない…という点が他の広告ツールとの違いで、広告の効果を多様な角度から分析できる効果測定ツールです。

【当ツール導入のメリット】

  • ユーザーが関わった複数の広告媒体を「ユーザー単位」で計測できるので、重複コンバージョン発生の問題を気にすることなく正確なデータの計測が可能になります。
  • 複数の広告媒体の管理画面を開く必要がないため、各データの比較や分析をアドエビスの画面で確認できる。
  • 国産のツールなので、感覚的に広告の進捗状況の確認が可能。ツール導入後のサポート体制が整っているので、わからない点は丁寧なサポートサービスを受けることが可能です。
  • CNAMEトラッキングによる計測が可能で、プライバシーを保護しつつユーザーの行動を把握できます。cookieと違い、ユーザーの行動履歴が無断で第三者に伝わることがありません。
  • 広告以外のWebマーケティングに必要なデータの集約や管理ができます。広告以外の多様なデータを集約することで、マーケティング全体を理解し、現状を把握することができます。

まとめ

ビュースルーコンバージョンは直接的なアクションではないので、評価がとても難しく軽視されがちな指標です。

しかし、直接コンバージョンに至っていない広告でも、ほかの運用広告のコンバージョンに貢献している「縁の下の力持ち」的な広告を調べるのにビュースルーコンバージョンの計測は必要不可欠になります。

成果が出ていない広告でも、「本当に役立たずな広告なのか?」「出稿打ち切りするべき広告なのか?」を調査・検証していくのは、これからの広告運用のためのスキルアップにも繋がり、思いがけないコンバージョン数低下のリスク低減にもなるでしょう。

目先のコンバージョン数だけにこだわらず、ビュースルーコンバージョンを参考指標のひとつとして利用することをおすすめします。



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