Google広告のアトリビューションには6つのモデルがあり、コンバージョンに繋がった広告やキーワード、キャンペーンの評価方法が異なります。
中でも広告の最適化に役立つのが「データドリブンアトリビューション」。厳しい利用条件が定められていますが、条件をクリアできれば「コンバージョンへの貢献度の高い広告やキーワード」を判断可能になります。
この記事では、データドリブンアトリビューションの詳しい仕組みや利用条件、設定方法を解説しています。
また、Google広告に関してさらに知見を深めたい!という方は、以下の記事に総括的にまとめてありますので、ぜひ読んでみてください。
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データドリブンとアトリビューションの意味
データドリブン アトリビューションは、マーケティングにおける造語です。解説していく前に「データドリブン」と「アトリビューション」、それぞれの本来の意味を知っておきましょう。
データドリブン
データドリブンとはマーケティングやビジネスにおいて、測定や分析、実験データなど可視化できる資料をもとに、マーケティングやビジネスの施策の決定を行うプロセスを指します。
広告運用では分析ツールを活用して得たデータや、顧客情報などを元にターゲティングやプロモーションに活用するケースも増加。その際はデータドリブンマーケティングやデータドリブン広告運用とも呼ばれます。
現代ではSNSやインターネット、スマホの普及によりユーザーの行動は多様化かつ複雑化しています。そのため広告運用においても、ユーザーの行動を可視化して活用する考えは、重要となっているのです。
またユーザーの行動を可視化することで、マーケティングやプロモーション施策の精度を向上させることも可能。そのため広告運用者にとって「データドリブン」の考えを知っておくことは、必須といえるでしょう。
アトリビューション
アトリビューションとは、広告ごとにコンバージョンに至るまでにユーザーが接点のあった広告への貢献度を計測することです。
広告からコンバージョンに至るには、必ずしも1つの広告から成果に繋がっているとは限りません。
そのため従来通り、コンバージョンに繋がった最後の広告だけを評価していては、本当に効果のあった広告へのさらなる投資や、コンバージョンに繋がりにくい広告の改善をしていくのは難しいでしょう。
たとえば購入予定のパソコンを探している途中で、検索結果のサイトに他のパソコンの広告が表示され、気になってクリック。検討した結果、当初に購入予定だったものではなく、表示された広告のパソコンを購入する、といったケースもあるでしょう。
このように検索エンジンや情報が溢れている現代では、いつどのような経路で最終的にコンバージョンに至ったのか企業が特定するのは困難です。
そこで重要なのが広告のアトリビューションによる、コンバージョン成果の適切な評価なのです。
【Google広告】データドリブン アトリビューション(DDA)とは?
データドリブン アトリビューションは、 一定期間に蓄積されたデータを元に、どのキーワードやキャンペーンがコンバージョンに貢献したのか分析して、貢献度の高かったものを判断します。
多くの企業ではラストクリックを評価の対象としているケースが多いですが、実際にはコンバージョンに至るまでには、途中で何度もクリックされていることがほとんどです。
そのため全てのクリックを正当に評価しようというのがアトリビューションであり、その中でも蓄積されたデータをもとに最も貢献度の高いキャンペーンやキーワードを割り出すのが「データドリブン アトリビューション」なのです。
DDAの仕組み
たとえばYoutubeを見ているときに流れてきた広告をクリック→広告内容をさらに詳しく知りたくなってGoogleで検索→検索先に表示されたバナー広告をクリック→商品購入、という経緯でコンバージョンにいたった場合、データドリブンアトリビューションモデルでは、すべての経緯に貢献度が割り当てられます。
一般的に多くの企業が導入しているラストクリックのアトリビューションモデルでは、最後に表示されたバナー広告が評価対象に。しかしコンバージョンに結びついたのはバナー広告でも、ユーザーはYoutubeを視聴して、さらにGoogleで検索した経緯があったからバナー広告に行きついてきます。
ゆえに最初のYoutubeとGoogle検索もコンバージョンに寄与しているのは明白であることから、それぞれに評価を行うのが適切といえるでしょう。
データドリブンアトリビューションの貢献度の算出には、過去にデータの蓄積(キーワード・広告キャンペーンなど)のコンバージョンデータをもとに、最もコンバージョンに影響を与えたポイントを判断する仕組みとなっています。
利用するのに必要なデータ量
データドリブンアトリビューションを活用するには、一定量以上のデータが必要になります。
- 過去30日間にGoogle検索で15,000回以上クリックされていること
- 各コンバージョンアクションに600回以上のコンバージョンが必要
上記の必要データ量が蓄積されると、Google広告でアトリビューションモデル「データドリブンビューション」を選択できるようになります。
またデータドリブンアトリビューションを利用中でも、必要データ量を下回ると警告が表示され、改善されなければデータドリブンアトリビューションを継続利用できなくなる仕組みとなっています。
Googleが提供しているアトリビューションモデル
Google広告では、データドリブンアトリビューションを含めた6つのアトリビューションモデルが提供されています。下記ではデータドリブンアトリビューション以外の5つについてご紹介します。
モデル名 | 概要 |
ラストクリックアトリビューション | コンバージョンに至った最後の広告やキーワードだけに貢献度が割り当てられる |
ファーストクリックアトリビューション | コンバージョンに至った最初の広告やキーワードだけに貢献度が割り当てられる |
線形アトリビューション | コンバージョンに至った経路全てのクリックに均等に貢献度が割り当てられる |
減衰アトリビューション | コンバージョンに至るまでの短いクリックほど貢献度が高く割り当てられる |
接点アトリビューション | コンバージョンに至るまでのラストクリックとファーストクリックに40%ずつ、残り20%を他の広告やキーワードに貢献度が振り分けられる |
テンポラリーアトリビューションとの違い
データドリブン アトリビューションとよく混同されるのが「テンポラリーアトリビューション」。テンポラリーアトリビューションは、期間限定やイベント向けの短期間で運用される広告に実施されるアトリビューションモデルです。
活用できる時間に制約があるため、表示期間が決められているような広告のリターゲティングのデータ計測に向いています。
データドリブン アトリビューション(DDA)を利用する3つメリット
データドリブンアトリビューションでは、主に以下の3つのメリットがあります。
- 成果が出ているキーワードや広告、キャンペーンの把握
- 入札単価の最適化
- 複数のデバイス間で分析できる
成果が出ているキーワードや広告、キャンペーンの把握
データドリブンアトリビューションでは、ラストクリックやファーストクリックなどのように決まった広告への貢献度の割り振りではなく、過去のデータに基づいた機械学習によって、より貢献度の高いキーワードや広告を把握できます。
成果に繋がりやすい広告を把握することで、ユーザーに求められているキーワードや広告の傾向を知ることができます。効果の高い広告を量産できれば、ビジネスの収益を高めることにもなり、ビジネスを拡大するための戦略を考えるヒントにもなり得るでしょう。
入札単価の最適化
効果が高いキーワードやキャンペーンを把握できれば、成果に繋がりやすい広告の入札単価は引き上げ、逆に低いものは入札単価を下げることが可能。
入札単価を最適化できれば無駄な広告費を省くことができ、より費用対効果の高いものに投資できるようになります。
複数のデバイス間で分析できる
データドリブンアトリビューションは、複数のデバイス間でのデータ収集が可能です。
現代ではSNSや検索エンジン、ECサイトやオウンドメディアなど情報を得られる手段は多様化。さらにユーザーが使用するデバイスもスマホだけとは限らず、タブレットやPCなど、さまざまなデバイスを使って検索するようになっています。
データドリブンアトリビューションは、現在のユーザー行動にマッチした計測が可能で、媒体やデバイス間での分析によって、総合的に貢献度を評価できる手法です。
データドリブン アトリビューション(DDA)のデメリット
データドリブンアトリビューションの利用によって考えられるデメリットは、以下の3つです。
- 時間やコストがかかる
- スキルが必要
- 分析に不向きなケースがある
時間やコストがかかる
データドリブンアトリビューションを活用するには、先に述べた通り一定のデータ量が必要です。
- 過去30日間にGoogle検索で15,000回以上クリックされていること
- 各コンバージョンアクションに600回以上のコンバージョンが必要
ゆえにデータを蓄積するまでに時間がかかり、さらに専用のツールやシステムの導入も必要になります。そのため広告運用費を抑えたい、もしくは短期間で結果を出したい人にとっては、不向きな手法といえるでしょう。
スキルが必要
膨大な量のデータを扱うデータドリブンアトリビューションは、データの分析や戦略に落とし込むためのスキルが必要とされます。
また戦略を見つけ出した後に、広告に反映させるための技術も必須。ゆえに自社で分析や改善難しい場合には、外部の広告代理店に委託することも検討してみてはいかがでしょうか。
分析に不向きなケースがある
データドリブンアトリビューションは精度の高い評価ができることから、コンバージョンに至るまでの経路が複雑な場合に向いている手法です。
しかしコンバージョンに至るまでの経路が単純であったり、ほぼ1本化されているような商材は、コンバージョンの成果につながった経路が明確なため、データドリブンアトリビューションは不向きといえます。
データの取得に時間がかかったり、自社では分析が難しく外部委託が必要になるケースが考えらえることから、評価すべき広告が明確な場合には、コストがかかりすぎる点から、別な分析方法を検討してみる必要があるでしょう。
データドリブン アトリビューション(DDA)の設定方法
データドリブンアトリビューションの設定方法は以下のとおり。
- Googleアナリティクスにログイン
- 「管理>アトリビューション設定」をクリック
- レポート用のアトリビューションモデルから「データドリブン」を選択
- 画面下の「保存」をクリック
上記が完了すると、すぐに分析が開始されます。
なお「データドリブンアトリビューションの設定」はGoogle広告からできます。
- Google広告アカウントの「ツールと設定>コンバージョン」をクリック
- 編集したいコンバージョンの「設定」をクリック
- アトリビューションモデルの中から「データドリブン」を選択
- 「保存」で完了
正しい評価方法を取り入れて広告を最適化しよう
Googleで提供されているアトリビューションモデルのうち、広告の最適化に適しているのが「データドリブンアトリビューション」。費用対効果を高めるには、DDAの導入は欠かせないでしょう。
「過去30日間にGoogle検索で15,000回以上クリックされている」、「600回以上のコンバージョンが必要」の条件をクリアすれば、コンバージョンに最も貢献度の高い広告やキャンペーンを割り出せます。
過去に蓄積されたデータを活用して機械学習による分析なので、精度の高い結果を期待できるのがメリットですが、一方で時間とコストがかかるというデメリットも。
また自社でやるにはスキルや知識も自信ないし…高い費用をかけて失敗したくない、という企業も多いでしょう。コストをかけて失敗しないためにも、この機会に外部委託を検討してみるのがいかがでしょうか。
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