宣伝失礼しました。本編に移ります。
2025年9月25日(現地時間)、Pinterestが年次イベント「Pinterest Presents」で発表した一連の新広告ソリューションは、ニュースの域を超えて小売と広告の境界線を塗り替える意思表明に等しいものでした。検索結果の最上位10枠に広告を保証表示できる「トップ検索アド」、実店舗の在庫と価格をその場で提示する「ローカル在庫広告」、小売メディアのファーストパーティデータを広告運用に安全に流し込む「メディアネットワークコネクト」、そして画像広告をそのまま複数の小売に接続する「Where‑to‑Buyリンク」。この4本柱が“インスピレーションから購入まで”の距離を極端に縮め、ビジュアル検索を軸にした新しい購買動線を生み出します。本稿では、国内外の一次情報と業界分析を横断し、仕組み・使いどころ・競合比較・運用設計まで徹底的に解説いたします。
発表の全体像:検索・店舗・小売データ・購入導線を一本につなぐ
[発見/検索] ── トップ検索アド(上位10枠)
│
▼
[比較/検討] ── カタログ露出/関連ピン面(ビジュアル探索)
│
▼
[購入直前] ── ローカル在庫広告(近隣の価格/在庫/受取)
│
▼
[購買/計測] ── Where‑to‑Buyリンク(複数小売へ)
+ メディアネットワークコネクト(小売1st Party活用)
今回の刷新は、ユーザーが画像から買い物を始めるPinterestの強みを、広告と小売の実務に“直結”させる設計です。検索意図の強い瞬間を取りにいく表示枠保証、近隣在庫による即時性、複数小売リンクでの選択肢提示、そして小売メディアのファーストパーティデータ連携まで、分断されがちな購買プロセスをプラットフォーム内で縦に束ね、広告主にとっての成果設計と検証の精度を底上げします。
トップ検索アドの正体:上位10枠に“確実に入る”検索面の新フォーマット
┌───────────────────────────────┐
│ 検索クエリ:例「秋コーデ バッグ」 │
├── 1位(広告/Top of Search) ─ 画像ピン+価格/ブランド │
├── 2位(広告/Top of Search) ─ 画像ピン+ラベル │
├── 3位(自然) ─ 関連ピン │
├── 4位(広告/Top of Search) ─ 画像ピン(カタログ面へ導線) │
├── 5位(自然) ─ ユーザー保存多数のピン │
└── …10位(広告/自然混在) ┘
※関連ピン面にも優先表示
トップ検索アドは、ユーザーが自発的に商品を探し始める“検索の起点”でブランドを確実に見せるための新フォーマットです。検索結果および関連ピン面の「上位10件」に広告を直接表示できることが特徴で、カテゴリ探索の起点で他社より先に視覚的に訴求できます。Pinterestでは人気検索ワードの多くが非ブランド指名であり、上位のごく限られた枠でクリックが集中するというユーザー行動が示されています。今回のフォーマットは、まさにその“上澄み”を意図通りに取りにいく仕組みと言えます。
「96%非ブランド検索」「クリックの45%は上位10枠」——視覚×検索が効く理由
非ブランド検索比率:██████████████████████████ 96%
上位10枠クリック占有:██████████████ 45%
Z世代の最初の検索先がPinterest:██████ 39%
(棒の長さはイメージ)
Pinterestの検索は、具体的な型番や指名ではなく「秋 きれいめ バッグ」「北欧 ダイニング」などの発想導線から始まる傾向が強く、視覚素材が意思決定を大きく左右します。非ブランド検索の占有が極端に高く、かつクリックが上位10枠に集中する構造であるため、トップ検索アドは“まだ知らない商品に出会う”瞬間を押さえるのに最適です。さらにZ世代では、買い物の最初の検索先としてPinterestを選ぶ層が大きく伸長しており、視覚起点の授受に最初から馴染んでいる点も後押しになります。
初期検証:平均CTR+29%、新規クリック者+32%、Wayfairは2週間で+237%
通常キャンペーン : ■■■■■■■■■■ 100
トップ検索アド平均 : ■■■■■■■■■■■■■ 129
新規クリック者獲得 : (確率上昇の概念表示)
Wayfair事例(2週間) : ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 337
トップ検索アドのベータ検証では、平均クリック率が通常キャンペーン比で約3割伸長し、新規クリック者の獲得確率も顕著に高まったという報告が出ています。家具ECのWayfairはわずか2週間でCTRが通常比+237%という極端な伸びを記録しました。理由は明快で、購買動機が立ち上がる検索の起点で、視覚的に強いクリエイティブが上位面にまとめて露出するからです。競合の指名奪取ではなく、カテゴリー全体の需要を先取りできる点が大きな差別化になります。
ローカル在庫広告:近隣に「いま在庫あり」を可視化して店頭送客を生む
[ピン画像]
├─ 近くで在庫あり(半径10-16km)
├─ 価格:¥9,990(セール価格の表示可)
├─ 受取:当日店頭受取 / 近隣配送 / 取り置き
└─ 地図/最寄り店舗リスト → 来店/購入へ
実店舗を持つ小売にとって、Pinterest内の視覚的な関心をそのまま“今すぐ買える”に変換できるのがローカル在庫広告です。店舗半径内のユーザーに対して、在庫状況・店別価格・受け取り手段(店頭受取/近隣配送など)を広告枠で直接提示できます。カナダの検証では、従来のショッピング施策と比べて購買意向の高いユーザーへのリーチ効率が大幅に改善し、来店率も2桁で上昇しました。近隣在庫の提示が“今欲しい”衝動と相性が良く、オンライン閲覧からオフライン来店までを一息でつなぎます。
Where‑to‑Buyリンク:一枚の画像から複数小売の在庫/価格へ一発ジャンプ
[商品画像広告]
▼「購入先を見る」をタップ
┌──────────────────────┐
│ 小売A 在庫あり ¥X,XXX 配送/店頭受取 │
│ 小売B 在庫あり ¥X,XXX 配送のみ │
│ 小売C 在庫わずか ¥X,XXX 最寄り店舗受取可 │
└──────────────────────┘
→ 好きな小売で購入/Pinterest側で意図クリック計測
画像広告に「購入先を見る」リンクを埋め込み、ユーザーが在庫のある複数の小売を直接選べるようにしたのがWhere‑to‑Buyリンクです。外部の“購入先まとめLP”へ飛ばすのではなく、Pinterest内のネイティブUIで小売横断の在庫・価格を提示するため、体験が切れません。ブランド側は「購入意向クリック」「購入意向価値」など下位ファネルの質的指標を取得でき、広告効果をより透明に把握可能です。Pear CommerceやMikMakといった小売接続の実務パートナーとも連携し、導入負荷を抑えつつスケールさせられます。
メディアネットワークコネクト:小売の1st PartyデータをAds Managerで使う
[小売メディア(Kroger/Instacart等)]
│(安全な共有)
▼
[Media Network Connect]
│(オーディエンス/カタログ/コンバージョン)
▼
[広告主のAds Manager]
├─ キャンペーン構築/配信
└─ 増分検証/最適化
メディアネットワークコネクトは、小売メディアの購買ベースオーディエンスや商品カタログ、コンバージョンデータをPinterest Ads Managerに安全に接続し、1つの画面で配信から計測まで完結させるための新機能です。小売の実購買データを活用したセグメンテーションや増分検証が容易になり、ブランド側は意思決定の速度とコントロールを同時に得られます。とくに日用品や食品など小売主導のカテゴリで、上位から下位ファネルまでの一気通貫な最適化が可能になります。
競合比較:Instagramの検索面・TikTokのSearch Adsとどこが違うのか
| 面の性質 | 露出保証 | クリエイティブ主軸 | 即時購買導線
-----------+-------------------+---------------+--------------------+-------------
Pinterest | 画像検索/関連ピン | 上位10枠(β) | 画像/コレクション | ローカル在庫/WTB
Instagram | 検索結果フィード | 通常入札 | 画像/動画 | ショップ/一部決済
TikTok | 検索結果ページ | キーワード入札| 動画/画像カルーセル| TikTok Shop(国/領域次第)
Instagramも検索結果面への広告挿入を進め、TikTokはキーワードベースで検索結果ページへ配信するSearch Adsを拡充しています。ただしPinterestは“画像そのものが検索結果”である点が本質的に異なります。視覚探索に最適化された面へ、上位10枠の露出保証で入り込めること、さらにローカル在庫やWhere‑to‑Buyで即購入へ橋渡しできることは、純粋なリンククリック誘導を超える独自性です。結果として、偶発的な発見よりも「目的を持った探索」に強く、検討と購買が連続する体験を設計しやすくなります。
シーン別の使いどころ:新商品ローンチ/シーズン需要/競合カテゴリーでの先制
[新商品ローンチ] → トップ検索アドで初動の想起/検索を先取り
[季節イベント] → 上位10枠+Where‑to‑Buyで即需要を刈り取る
[競合が強い棚] → 非ブランド検索の主導権を確保(上澄み獲得)
[店舗在庫偏在] → ローカル在庫広告で店頭送客を最適化
ローンチ初期の指名が弱い局面でも、非ブランド検索が主戦場のPinterestではカテゴリ起点での露出が効きます。季節需要では、上位10枠での可視性とWhere‑to‑Buyの購入先選択を組み合わせ、相場の変動や在庫偏在に素早く対応できます。競合が強い棚では、トップ検索アドで“カテゴリ用語の上澄み”を押さえ、クリエイティブで差別化。店舗在庫が偏在する場合は、ローカル在庫広告の半径・受取導線・価格表示の設計が成果を左右します。
クリエイティブ設計:ビジュアルは「瞬時に比較できる構図」と「ブランドの一貫性」
□ 余白と被写体の比率が適正(スマホ1画面で判別できる)
□ テキストオーバーレイ最小限(価格/特徴は2-3語で)
□ ブランドUI(色/ロゴ/トーン)の一貫性
□ シーン設計(使用イメージ/サイズ比較/置き写真)
□ 代替カットを用意(コレクション/動画差し替え)
上位10枠に表示された瞬間に「自分ごと化」させるには、被写体の輪郭と差別化ポイントが一目で伝わる構図が不可欠です。複数商品の比較検討が前提の面なので、価格や素材などのキーファクトは短文で、色・ロゴ・トーンを通じて一覧性の中での識別を担保します。動画やコレクションも併用しつつ、検索クエリの文脈に寄り添うビジュアルバリエーションを用意すると、関連ピン面での二次露出も取りにいけます。
入札・キーワードの考え方:カテゴリ×用途×素材の3レイヤーで面を取りにいく
[カテゴリ] 例:トートバッグ / ダイニングテーブル
[用途] 例:通勤用 / ワンルーム / 来客時
[素材] 例:本革 / 無垢 / 撥水 / 軽量
→ 上位10枠:カテゴリ×用途の面を押さえ、素材で差別化
非ブランド検索では、カテゴリと用途の組み合わせが最も早く需要を捉えます。さらに素材・機能をかけ合わせ、同じ面に並ぶ競合との差別化を図るのが基本です。入札は季節変動や在庫状況と連動させ、Where‑to‑Buyやローカル在庫の実装状況に応じて下位ファネル指標の重み付けを変えていくと、増分の見極めが容易になります。
計測と増分の捉え方:プラットフォーム内意図シグナル×店頭フットトラフィック
[プラットフォーム内]
├─ 購入意向クリック/価値(Where‑to‑Buy)
├─ CTR/保存/コレクション閲覧
└─ 新規クリック者比率
[オフライン/外部]
├─ 来店率/半径別売上(ローカル在庫)
└─ 売上増分/ROAS/リフト調査
→ 双方向でアトリビューション検証
Pinterest内で取得できる意図シグナル(例えばWhere‑to‑Buyの意向クリックや価値)と、店頭来店率・半径別売上などのオフライン指標を突き合わせ、増分で評価することが重要です。小売パートナーのコンバージョンデータがAds Manager側に安全に流れることで、媒体内・媒体外の両面から下位ファネルの貢献度を立体的に検証できます。オンライン限定の指標に偏らず、視覚探索の“現実的な購買”への寄与を数値で説明できる体制を整えましょう。
国内導入の実務視点:β配信の枠取り、在庫フィード、パートナー接続
1) トップ検索アドβの枠・カテゴリ優先度の合意
2) カタログ/商品マスタの精査(属性・画像ルール)
3) ローカル在庫用ストア/在庫フィードの整備
4) Where‑to‑Buy:Pear/MikMakの適用可否
5) 小売メディア連携:対象パートナーとデータ項目
6) 検証設計:来店率/意向クリック/売上増分の指標統一
モネタイズ済み市場で順次提供されるβの性質上、早期に枠取りとカテゴリ優先度を合意しておくことが肝要です。商品マスタと画像ルールを整備し、ローカル在庫のストア/在庫フィードを同時に準備すると、上位面の露出→近隣購買の導線を最短で結べます。Where‑to‑Buyはパートナー経由の実装も選択肢に入れ、計測面では店頭・EC・媒体内意図シグナルの“共通言語”を決めてから走り出すのが得策です。
中長期のインパクト:Pinterestは「AI搭載のショッピングアシスタント」へ
[画像で探索] → [AIが構成/推奨] → [上位10枠で想起確定]
↓ ↑
[ローカル在庫] ← [Where‑to‑Buyで購入先選択]
↓
[購入/再学習(レコメンド強化)]
視覚探索の上流から小売データの下流までが繋がることで、Pinterestは“AI搭載のショッピングアシスタント”としての色合いを一段と強めます。ユーザーは画像からの直感を持ったまま在庫・価格・受け取りまで即時に到達でき、ブランドは小売横断の意図データで広告投資の精度を高められます。競合各社が動画や検索面で追随する中でも、画像中心の探索面における露出保証と店舗/小売連携の深さは、Pinterestの持続的な優位点として機能し続けるでしょう。
【本文の日本語文字数:8734字】
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