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宣伝失礼しました。本編に移ります。

現代のデジタルマーケティングにおいて、顧客との接点は極めて多様化しています。ユーザーは単一の広告や検索から即座にコンバージョン(商品購入や問い合わせなどの最終成果)に至ることは稀であり、多くの場合、複数のチャネルを複雑に行き来する過程を経て最終的な意思決定を下します。一部の低価格帯かつ衝動的な購入が見込まれる商材を除き、一度の接触でコンバージョンが完結するケースは、獲得型広告の世界では非常に少ないと認識すべきです。

例えば、BtoB向けのSaaS製品を検討している担当者を想定してみましょう。初めは業界の課題を解決する方法を検索し、あるオウンドメディアの記事(オーガニック検索経由)で製品の存在を知ります。その後、業務中にSNS広告(Facebook広告)で同じ製品の導入事例を目にし、数日後には競合製品との比較記事で再びその製品の優位性を確認します。最終的には、導入を本格的に検討する段階で製品名を直接検索(指名検索)し、公式サイトから資料をダウンロードする、といった経路は極めて一般的です。この一連の流れにおいて、最初のオウンドメディアも、途中のSNS広告も、最後のコンバージョンに不可欠な貢献をしています。

このような状況で、もしコンバージョン直前のラストクリック(この例では指名検索)のみを評価する「ラストクリックモデル」に依存した分析を行っていると、どのようなリスクが生じるでしょうか。それは、コンバージョンに至るまでの重要な過程で貢献したオウンドメディアやSNS広告の価値を完全に見過ごし、「この広告は直接コンバージョンに繋がっていないから停止しよう」といった、極めて危険で誤った意思決定を下してしまう可能性です。これは、得られるはずだった未来の成果の機会を自ら放棄する行為に他なりません。

本記事では、こうしたラストクリック評価の罠を回避し、各マーケティング施策の真の貢献度を正確に可視化するために不可欠な「マルチチャネル分析」について、現在のウェブ解析の標準であるGoogle アナリティクス 4(GA4)をベースに、その概念から具体的な設定・分析手法、さらには実践的な活用シナリオまで、網羅的かつ詳細に解説していきます。

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GA4時代におけるマルチチャネル分析の重要性

GA4におけるマルチチャネル分析とは、ユーザーがコンバージョンに至るまでの一連の行動履歴(コンバージョンパス)において、経由した全てのマーケティングチャネル(ウェブサイトへの流入経路)を特定し、それぞれのチャネルが最終的な成果に対してどの程度貢献したのかを多角的に評価・分析する手法です。これにより、単一の指標では見えなかった各施策の相乗効果や間接的な貢献度を明らかにすることができます。旧来のユニバーサルアナリティクス(UA)でも同様のレポートは存在しましたが、GA4ではその計測基盤と分析思想が大きく進化し、より精緻で実用的な分析が可能となりました。

GA4のマルチチャネル分析で主に計測・分析できる要素は以下の通りです。

  • コンバージョン経路の全体像:ユーザーがどのような順番で、どのチャネルに接触してコンバージョンに至ったかの具体的な経路。
  • 各チャネルの貢献度の可視化:コンバージョン獲得に貢献したチャネルを「起点(ファーストタッチ)」「中間(アシスト)」「終点(ラストタッチ)」の役割別に評価。
  • コンバージョンまでの所要日数:最初の接点からコンバージョンに至るまでにかかった日数。
  • コンバージョンまでの接点回数:コンバージョンに至るまでに接触したチャネルの回数。
  • アトリビューションモデル比較:貢献度を評価する様々なモデル(ルール)を用いて、チャネルの価値を多角的に分析。

これらの分析を通じて、広告予算の最適な配分、クリエイティブやターゲティングの改善、さらには費用対効果(ROAS)の最大化といった、獲得型広告における具体的なアクションへと繋げることが、マルチチャネル分析の最終的な目的となります。

そもそもマルチチャネルとは何か

マルチチャネルという言葉自体は、ユーザーとの接点(チャネル)が複数存在することを指します。獲得型広告の文脈におけるオンラインチャネルには、例えば以下のようなものが含まれます。

  • 有料検索(Paid Search):Google広告やYahoo!広告などの検索連動型広告。特定のキーワードで検索した能動的なユーザーにアプローチする。
  • ディスプレイ広告(Display):Webサイトやアプリの広告枠に表示されるバナー広告や動画広告。
  • ソーシャルメディア広告(Paid Social):Facebook, Instagram, X (旧Twitter), LINEなどSNSプラットフォーム上の広告。詳細なターゲティングが特徴。
  • オーガニック検索(Organic Search):広告費を介さない自然検索結果からの流入。SEO(検索エンジン最適化)による成果。
  • 参照(Referral):他のWebサイトに設置されたリンクからの流入。アフィリエイトサイトや比較サイト、ブログ記事などが含まれる。
  • Eメール(Email):メールマガジンやステップメール内のリンクからの流入。
  • 直接(Direct):URLの直接入力やブックマークからの流入。指名検索に近い、意欲の高いユーザーが多い。
  • アフィリエイト(Affiliate):成果報酬型広告であるアフィリエイトプログラム経由の流入。

一般的に、これらのオンラインチャネルを複数活用し、ユーザーに対して多角的にアプローチしている状態が、デジタルマーケティングにおけるマルチチャネルの基本となります。そして、これらの複数のチャネルがどのように連携し、影響を与え合いながら最終的なコンバージョンを生み出しているのかを解明する羅針盤となるのが、GA4のマルチチャネル分析機能なのです。

GA4の「アトリビューションレポート」で計測できる主要指標

GA4では、ナビゲーションメニューの「広告」セクション内に、マルチチャネル分析の核となる「アトリビューション」に関するレポートが集約されています。ここでは、主要な2つのレポート「モデル比較」と「コンバージョン経路」で確認できる指標について、旧UAのレポート体系と比較しながら、より実践的な視点で解説します。

1. モデル比較レポート:チャネルの貢献度を再評価する

モデル比較レポートの画面キャプチャ

「モデル比較」レポートは、マルチチャネル分析の心臓部とも言える機能です。同一のデータに対して、異なるアトリビューションモデル(貢献度の配分ルール)を適用した場合、各チャネルのコンバージョン数や収益がどのように変動するかを比較できます。これにより、「ラストクリック」という一つの視点に囚われず、各チャネルが持つ多面的な価値を明らかにすることができます。

例えば、「ラストクリック」モデルと、GA4が推奨する「データドリブン」モデルを比較することで、これまで過小評価されていたチャネルを発見できます。下の図のように、複数のアトリビューションモデルを並べて比較することで、どのチャネルがどのモデルで評価が高まるのかを一目瞭然で把握することが可能です。

アトリビューションモデルの比較ベン図

このレポートで主に分析する指標は以下の通りです。

  • コンバージョン数:選択したアトリビューションモデルに基づいて再計算された各チャネルのコンバージョン数。
  • 収益:Eコマースサイトなどで収益が計測されている場合、モデルに基づいて再計算された収益額。
  • 広告費用対効果(ROAS):Google広告など費用データが連携されている場合、モデルに基づいたROAS。
  • コンバージョン単価(CPA):同様に費用データがある場合のCPA。
  • 変化率(%):比較対象のモデル間で、各指標が何パーセント増減したかを示します。この変化率こそが、チャネルを再評価する上での重要なヒントとなります。

例えば、「データドリブン」モデルと比較して「ラストクリック」モデルのコンバージョン数が大幅に少ないチャネル(例:ディスプレイ広告、汎用キーワードでの有料検索)は、コンバージョン経路の初期段階や中間で貢献している可能性が高いと判断できます。これらのチャネルへの予算削減は、将来のラストクリックコンバージョンを減少させる危険性があることを、このレポートは明確に示唆してくれます。

2. コンバージョン経路レポート:勝利の方程式を発見する

コンバージョン経路レポートの画面キャプチャ

「コンバージョン経路」レポートは、ユーザーが実際に辿ったチャネルの順序を可視化し、コンバージョンに至るまでの具体的な道のり(パス)を詳細に分析するための機能です。これにより、「どのようなチャネルの組み合わせがコンバージョンに繋がりやすいのか」という、いわば”勝利の方程式”のパターンを発見することができます。

レポートは大きく分けて「早期タッチポイント」「中期タッチポイント」「後期タッチポイント」というセクションに分かれており、各チャネルが経路のどの段階で貢献しているかを視覚的に把握できます。これにより、旧UAの「アシストコンバージョン」レポートが担っていた役割を、より洗練された形で分析することが可能です。

コンバージョン経路の各段階の貢献度

このレポートで特に注目すべき5つの主要な指標群について解説します。

  1. コンバージョン数:その経路パターンがもたらした総コンバージョン数。最も基本的な成果指標です。
  2. 購入による収益:その経路パターンがもたらした総収益額。ECサイトにおける最重要指標です。
  3. コンバージョンまでの日数:経路の最初のタッチポイントから最後のコンバージョンまでにかかった平均日数。商材の検討期間を把握し、リマーケティングリストの有効期間設定などに活用できます。
  4. コンバージョンまでのタッチポイント数:コンバージョンに至るまでに接触したチャネルの平均回数。接触回数が多いほど、ユーザーが慎重に検討していることを示唆します。
  5. 貢献度のクレジット:「モデル比較」レポートで選択したアトリビューションモデルに基づき、各タッチポイント(チャネル)に割り当てられた貢献度の割合です。これにより、単なるアシスト回数ではなく、より精緻な貢献度を定量的に評価できます。例えば、データドリブンモデルを選択すれば、「有料検索 → オーガニック検索 → 直接」という経路において、それぞれのチャネルが何%ずつ貢献したのかを数値で確認できます。

さらに、このレポートでは「プライマリディメンション」と「セカンダリディメンション」を駆使することで、分析をより深く掘り下げることが可能です。これは旧UAでもおなじみの機能ですが、GA4ではより柔軟な組み合わせができます。

ディメンション設定の画面キャプチャ

例えば、プライマリディメンションを「デフォルトチャネルグループ」に設定し、特定の経路(例:「ディスプレイ広告」が起点となっている経路)に絞り込み、セカンダリディメンションに「キャンペーン」を追加することで、「どのディスプレイ広告キャンペーンが、その後のコンバージョンへの”種まき”として最も効果的だったのか」を特定することができます。このように、ディメンションを掛け合わせることで、施策レベルでの具体的なインサイトを得ることが可能になります。

3. より深い洞察を得るための追加分析視点

GA4のアトリビューションレポートは、単に数値を眺めるだけではその真価を発揮しません。ビジネスの成果に繋げるためには、いくつかの重要な分析視点を持つことが不可欠です。

視点1:コンバージョン経路のパターン分析

具体的なコンバージョン経路の例

コンバージョン経路レポートで、特にコンバージョン数や収益が高い上位の経路パターンを抽出し、共通点や特徴を探ります。例えば、以下のようなパターンが発見できるかもしれません。

  • 「ディスプレイ広告 → 指名検索 → CV」:ディスプレイ広告で潜在層にアプローチし、その後に指名検索で刈り取るという王道のパターン。ディスプレイ広告の予算を増やすことで、指名検索経由のCV数も増加する可能性があると仮説を立てられます。
  • 「オーガニック検索(比較記事) → 有料検索(ブランド名) → CV」:比較検討段階のユーザーをSEOで集客し、最後のクロージングを有料検索が担っているパターン。SEOで上位表示されている記事の内容と、有料検索の広告文やランディングページのメッセージングを連携させることで、CVRの向上が期待できます。
  • 「SNS広告 → Eメール → CV」:SNS広告でリード(メールアドレス)を獲得し、その後のステップメールで育成してコンバージョンに至るパターン。この場合、SNS広告の評価はリード獲得(マイクロコンバージョン)で計測しつつ、最終的な本コンバージョンへの貢献度もアトリビューション分析で正しく評価することが重要です。

これらのパターン分析を通じて、ラストクリックだけでは見えなかったチャネル間の相乗効果を理解し、チャネル横断での最適なコミュニケーション戦略を設計することができます。

視点2:コンバージョンまでの所要期間の活用

所要期間レポートの画面キャプチャ

コンバージョン経路レポートで確認できる「コンバージョンまでの日数」は、リマーケティング戦略を最適化する上で極めて重要なデータです。例えば、上記の図のように、大半のコンバージョンが「0日」、つまり初回のセッションで発生している場合、その商材は比較的検討期間が短いと考えられます。一方で、高価格帯の商材やBtoBサービスでは、コンバージョンまでの日数が数週間から数ヶ月に及ぶことも珍しくありません。

このデータを具体的に活用するシナリオを考えてみましょう。

  • シナリオA:大半のCVが初回接触から3日以内に発生する場合:この場合、サイト訪問後1~3日のユーザーは非常に確度が高いと判断できます。このセグメントに対しては、リマーケティング広告の入札単価を大幅に強化(例:+70%)し、強力なオファーを提示することで、コンバージョンを確実に取りに行く戦略が有効です。逆に、30日以上経過したユーザーへの広告配信は抑制し、無駄な広告費を削減します。
  • シナリオB:CVまでの期間が「7~14日」と「28~30日」に山がある場合:これは、例えば給与所得者が給料日前に検討を再開する、といった特定の行動パターンを示唆している可能性があります。この場合、サイト訪問後7日目以降のユーザーと、28日目以降のユーザーで、リマーケティング広告のクリエイティブやメッセージを変える(例:「給料日後のご褒美に」「月末までの限定オファー」など)といった、より高度なアプローチが考えられます。

このように、所要期間のデータを基にリマーケティングリストの有効期間や入札戦略を設計することで、広告の費用対効果を大きく改善させることが可能です。

視点3:コンバージョンまでの経路の数の分析

経路の数レポートの画面キャプチャ

「コンバージョンまでのタッチポイント数」は、ユーザーがコンバージョンに至るまでにどれだけ慎重に情報を収集し、比較検討したかを示す指標です。この数値は、商材の価格帯や専門性(関与度)によって大きく変動します。

  • 経路の数が少ない(1~2回):低関与商材や、緊急性の高いサービス(例:鍵の紛失、水漏れ修理)などで見られる傾向です。この場合、ユーザーが最初に接触した段階でいかに分かりやすく価値を伝え、スムーズに行動を促せるかが重要になります。ランディングページの最適化(LPO)が特に効果的です。
  • 経路の数が多い(5回以上):高関与商材(例:自動車、住宅、高額なBtoBツール)で典型的に見られます。ユーザーは複数のチャネルを渡り歩き、時間をかけて情報を吟味しています。この場合、各タッチポイントで一貫したメッセージを伝えつつ、検討段階に応じた適切な情報(機能比較、導入事例、価格シミュレーションなど)を提供し続ける、計画的なコミュニケーション設計が求められます。

経路の数が想定よりも多い、または少ない場合は、自社の製品・サービスが顧客にどのように認識されているかを見直すきっかけにもなります。

視点4:モデル比較ツールによる貢献度の再定義

モデル比較ツールの画面キャプチャ1

前述の通り、「モデル比較」レポートはチャネルの価値を再発見するための強力なツールです。ここでは、最大3つのアトリビューションモデルを同時に比較し、その差異から具体的なアクションに繋げる方法を考えます。

例えば、「ラストクリック」「起点(ファーストクリック)」「データドリブン」の3つのモデルを比較してみましょう。

モデル比較ツールの画面キャプチャ2

  • チャネルA(例:ディスプレイ広告):「ラストクリック」ではCV数50だが、「起点」では150、「データドリブン」では120と評価された。これは、チャネルAがコンバージョン経路の初期段階で非常に重要な役割を果たしていることを明確に示しています。ラストクリック評価だけではこのチャネルの予算を削減してしまいがちですが、実際には新規顧客との最初の接点を生み出す重要な”種まき”役であり、予算を維持または増額すべきだと判断できます。
  • チャネルB(例:指名検索広告):「ラストクリック」でCV数200と最も高いが、「起点」では30、「データドリブン」では150と評価された。このチャネルはコンバージョンの最終的な刈り取り役として極めて優秀ですが、その成果の多くは他のチャネルが作り出した需要に依存していることが分かります。このチャネルの成果をさらに伸ばすためには、起点として機能している他のチャネル(上記のチャネルAなど)への投資を強化することが有効な戦略となります。

このように、複数のモデルを比較することで、各チャネルが持つ「役割」を立体的に捉え、より賢明な予算配分やチャネル戦略を立案することが可能になるのです。

GA4におけるマルチチャネル分析の基本設定

GA4で精度の高いマルチチャネル分析を行うためには、いくつかの重要な事前設定、特にGoogle広告との連携が不可欠です。ここでは、分析の土台となる設定方法について、ステップバイステップで解説します。

GA4が自動で認識するチャネルと設定が必要なチャネル

まず、GA4がどのようなチャネルを認識するのかを理解しておく必要があります。特別な設定をしなくても、GA4はある程度のチャネルを自動で分類してくれます。

自動的に検出・分類されるチャネル:

  • オーガニック検索(Organic Search):Google, Yahoo!, Bingなどの主要な検索エンジンからの流入。
  • 参照(Referral):他のウェブサイトからのリンク経由での流入。
  • 直接(Direct):URLの直接入力やブックマーク経由での流入。
  • オーガニックソーシャル(Organic Social):X (旧Twitter), Facebookなどの主要SNSからの非広告流入。
  • オーガニック動画(Organic Video):YouTubeなどの動画プラットフォームからの非広告流入。

適切なトラッキングのために設定が強く推奨されるチャネル:

  • Google広告(Paid Search, Displayなど):最も重要な連携設定。これを怠ると、Google広告からの流入が「オーガニック検索」や「参照」などに誤って分類され、正確な分析が不可能になります。
  • Google以外の有料検索広告:Yahoo!広告やMicrosoft広告など。これらはカスタムURLパラメータ(UTMパラメータ)を使用して手動で設定する必要があります。
  • カスタムキャンペーン:Eメールマガジン、SNS広告、アフィリエイト広告など、Google以外の広告施策はすべてUTMパラメータを用いて、流入元(source)、メディア(medium)、キャンペーン名(campaign)などをGA4に正確に伝える設定が必須です。

最重要設定:Google広告とGA4のリンク手順

Google広告の成果をマルチチャネル分析で正しく評価するため、GA4プロパティとGoogle広告アカウントの連携は必ず実施してください。この設定により、広告のクリックデータだけでなく、インプレッションやコストデータもGA4にインポートされ、ROASやCPAといった費用対効果の分析が可能になります。

以下に具体的な設定手順を示します。

GA4の管理画面

  1. Google アナリティクスにログインし、画面左下の「管理」(歯車アイコン)をクリックします。
  2. リンク対象のGA4プロパティが選択されていることを確認し、「プロパティ」列の中にある「サービスとのリンク」セクションから「Google広告とのリンク」を選択します。プロパティ列のメニュー
  3. 画面右上の青い「リンク」ボタンをクリックします。リンクボタンの表示
  4. 「リンクするGoogle広告アカウントを選択する」という画面が表示されます。GA4にログインしているGoogleアカウントがアクセス権を持つGoogle広告アカウントの一覧が表示されるので、リンクしたいアカウントにチェックを入れ、「確認」ボタンをクリックします。アカウント選択画面
  5. 次の設定画面に進みます。「パーソナライズド広告を有効にする」はオンのまま、「自動タグ設定を有効にする」も必ずオンになっていることを確認してください。この自動タグ設定(gclid)が、詳細な広告データをGA4に渡すための鍵となります。「次へ」をクリックし、最後に「送信」ボタンを押せばリンク設定は完了です。

アトリビューションレポートの表示方法

上記の設定が完了し、データが蓄積され始めると、アトリビューションレポートを確認できるようになります。

GA4の管理画面

  1. Google アナリティクスにログインします。GA4の管理画面のサイドバー
  2. 左側のナビゲーションメニューから「レポート」をクリックします。レポートメニュー
  3. レポートメニュー内の「ライフサイクル」セクションにある「集客」ではなく、「広告」という独立したセクションをクリックします。これがマルチチャネル分析の中心地です。広告セクション
  4. 「広告」セクション内に「アトリビューション」という項目があり、その下に「モデル比較」と「コンバージョン経路」のレポートが表示されます。これらをクリックすることで、各レポートを確認できます。

GA4における広告アトリビューション分析の本質

マルチチャネル分析の中核をなすのが「広告アトリビューション分析」です。これは、単にレポートの数値を読むだけでなく、その背景にある「貢献度の割り当てルール(アトリビューションモデル)」を深く理解し、自社のビジネスに最適なモデルを選択・活用していく思考プロセスそのものを指します。

広告アトリビューション分析とは何か?

広告アトリビューション分析とは、前述の通り、ユーザーがコンバージョンに至るまでの一連のタッチポイント(広告クリックやサイト訪問など)を追跡し、それぞれのタッチポイントが最終成果に対してどれだけ貢献したのかを、特定のルール(モデル)に基づいて定量的に評価する分析手法です。この分析の最終目標は、データに基づいた客観的な評価を下し、「どの広告施策に、どれだけの予算を投下することが、事業全体の成果を最大化させるのか」という問いに対する最適解を導き出すことにあります。

ラストクリック評価は、ゴールを決めた選手だけを評価するようなものです。しかし、実際にはそのゴールに至るまでには、見事なアシストパスを出した選手や、中盤でボールを奪取した選手の貢献があったはずです。アトリビューション分析は、こうしたアシスト役や起点となった選手の貢献度をも正しく評価し、チーム(マーケティング施策全体)としてのパフォーマンスを最大化するための戦略を立てるために不可欠なのです。

GA4で利用可能なアトリビューションモデル

GA4の「モデル比較ツール」では、複数のアトリビューションモデルを比較できます。それぞれのモデルがどのようなロジックで貢献度を割り振るのかを正確に理解することが、適切な分析の第一歩です。

クロスチャネル ルールベースモデル:

  • ラストクリック(Cross-channel last click):コンバージョン経路上の最後のタッチポイント(チャネル)に貢献度の100%を割り当てます。シンプルで分かりやすいですが、それ以前の貢献を全て無視するため、現代のマーケティング評価には不十分とされることが多いモデルです。
  • ファーストクリック(Cross-channel first click):経路上の最初のタッチポイントに貢献度の100%を割り当てます。新規顧客との最初の接点を生み出したチャネルを評価する際に有効です。
  • 線形(Cross-channel linear):経路上の全てのタッチポイントに貢献度を均等に割り振ります。(例:4つのタッチポイントがあれば、それぞれに25%ずつ)。全ての接点を平等に評価したい場合に用います。
  • 接点ベース(Cross-channel position-based):経路の最初と最後のタッチポイントにそれぞれ40%ずつ、中間のタッチポイント全体で残りの20%を均等に割り振ります。起点と終点の両方を重視するバランス型のモデルです。
  • 減衰(Cross-channel time decay):コンバージョンに近いタッチポイントほど貢献度を高く評価します。コンバージョン直前の行動をより重視したい場合に適しています。

Google広告優先モデル:

  • Google広告のラストクリック(Ads-preferred last click):経路の最後にGoogle広告のクリックがあった場合、そのクリックに貢献度の100%を割り当てます。もし最後のクリックがGoogle広告でない場合は、クロスチャネルのラストクリックモデルと同様の評価になります。Google広告の成果を最優先で評価したい特殊なケースで利用します。

データドリブン アトリビューション(DDA):

  • データドリブン(Data-driven):GA4における最も先進的かつ推奨されるモデルです。このモデルは、アカウントに蓄積された実際のコンバージョンデータ(コンバージョンした経路と、しなかった経路の両方)を基に、Googleの機械学習アルゴリズムが、各タッチポイントがコンバージョンに与えた影響の確率を統計的に分析し、貢献度を動的に割り振ります。つまり、憶測や固定のルールではなく、「実際のデータが語る貢献度」を算出してくれます。十分なデータ量が必要ですが、最も客観的で精緻な評価が可能なモデルです。

プロパティのデフォルトアトリビューションモデル設定方法

GA4では、プロパティ全体のレポートで使用されるデフォルトのアトリビューションモデルを設定することができます。ラストクリックからデータドリブンモデルに変更することで、GA4内の全てのレポート(例:「集客」レポートなど)におけるコンバージョン数の計上方法が変わり、組織全体で統一された評価基準を持つことができます。

GA4の管理画面

  1. GA4の「管理」画面にアクセスします。
  2. プロパティ列にある「アトリビューション設定」をクリックします。アトリビューション設定メニュー
  3. 「レポート用アトリビューション モデル」という項目で、ドロップダウンメニューから「データドリブン」など、デフォルトとして使用したいモデルを選択します。モデル選択画面
  4. 右上の「保存」ボタンをクリックして設定を完了します。

この設定を変更すると、それ以降に処理されるデータに新しいモデルが適用されます。過去のデータには遡って適用されない点に注意が必要です。可能であれば、GA4プロパティの運用開始初期段階で「データドリブン」に設定しておくことが理想的です。

GA4のレポート画面全体

マルチチャネル分析のまとめと次のステップ

本記事では、GA4におけるマルチチャネル分析の重要性から、具体的なレポートの見方、実践的な活用法、そしてその根幹をなすアトリビューションの考え方までを詳細に解説してきました。ラストクリック評価という古い呪縛から脱却し、データドリブンな意思決定を行うための第一歩は、まずこれらのレポートに日常的に触れ、自社のビジネスにおける顧客の行動パターンを理解することから始まります。

「モデル比較ツール」でチャネルの新たな価値を発見し、「コンバージョン経路レポート」で勝利の方程式を探る。そして、得られたインサイトを基に、広告予算の再配分やクリエイティブの改善といった具体的なアクションに移していく。このサイクルを回し続けることが、獲得型広告の成果を継続的に向上させる鍵となります。

GA4のアトリビューション分析は、一部に高度な概念を含んでいますが、まずは「ラストクリック」と「データドリブン」を比較してみるだけでも、これまで見えていなかった多くの発見があるはずです。この記事を参考に、ぜひ自社のGA4プロパティでマルチチャネル分析に挑戦してみてください。



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