宣伝失礼しました。本編に移ります。
2025年上期のネット炎上は、件数としては前期比で微減でした。それでも獲得の現場が体感したのは「楽になった」ではなく「難しくなった」です。特に飲食領域を中心に表面化した「○○混入」系の事案は、検索行動を一気にネガティブに傾け、指名系クエリのコンバージョン率を冷やし、広告のクリック意欲そのものを削りました。数字が下がったのに効率は落ちる――この逆風に対し、運用担当者はどの順で、どこから、何を変えるべきか。本記事はエルテスの最新レポートを軸に、獲得の観点で今日から実装できる即応策を具体的に提示します。
毎月の炎上件数では、上期を通して2025年5月が最多
2025年上期(1月〜6月)のネット炎上件数は、2024年下期からわずかに減少しました。一方で月次では5月が突出しました。インフルエンサーマーケティング施策への反発や、経営層の不適切発言に対する批判が重なり、関連語の検索が急騰。ブランド名とネガティブ語の併記検索が増えることで、意図せぬコンテンツへの広告露出が増えやすく、獲得単価の悪化を招きやすい地合いとなりました。通常は季節要因で伸びやすい領域であっても、該当月は潜在的な離脱圧力が強く、着地の質が揺らぎました。
上期の特徴――「サービス企業」が過半、発言起因の炎上が増加
業種別に見ると、サービス企業の炎上比率が半数超となり、なかでも売上高が大きいエンタープライズ企業の比重が高まりました。知名度が高いほど批判の起点が広がりやすい構造のため、露出量の多い施策ほど火種検知と初動が遅れた際のダメージも大きくなります。また「不適切発言・行為、失言」による炎上の構成比が前年下期から増加し、文言の一語一句、映像のワンカットが意図と異なる解釈を生みやすい状況が続いています。制作や投稿の最終段でのチェックフローを、広報部門だけでなく広告の着地設計まで含めて再設計する必要があります。
注目度が跳ね上がった「異物混入」――飲食チェーンの一挙一動が転換率を直撃
2025年上期の象徴的な変化が「異物混入」の増加です。2024年下期と比べると構成比が倍増し、飲食チェーンを中心に虫や小動物に関する投稿が短時間で大拡散しました。このカテゴリは視覚的ショックが強く、動画や画像が拡がるほどユーザーの心理に深く刻まれるため、店舗に関係のない商材でも、その日の意思決定を鈍らせます。特定企業の指名検索に波及した際は、検索連動型広告の説明文にまでネガティブ連想が及び、クリックからの離脱や比較サイトへの流出が増え、獲得単価の跳ね上がりにつながりました。さらに、企業の対応が遅い、情報が曖昧と受け止められた場合には、火力が増し、関連クエリの増加とコンバージョン率の低下が長引く傾向が見られました。
公開情報から読み取れる具体事案(抜粋)
飲食領域では、複数の大手チェーンで「混入」関連の事案が短期間に相次ぎました。ある牛丼チェーンでは特定店舗でのみそ汁に小動物の混入が確認され、その後の別店舗でも害虫混入が判明。全国規模で店舗の一時休業と清掃強化に踏み切り、深夜帯の営業を見直すまでの対応が行われました。ファミリーレストランでは、ピザの生野菜に小型の生物が混入した事案が発生し、原因と洗浄工程の見直しを即日で公表。ラーメンチェーンでは、具材上を虫が動く映像が拡散し、該当店舗が無期限の休業に入るなど、衛生体制の抜本見直しに迫られました。共通して言えるのは、事実関係と対応計画の開示スピードがネット上の反応を大きく左右し、獲得の歩留まりにも直結したという点です。
獲得の現場で今すぐ実装すべき「即応策」
第一に、検索連動型広告の除外設定を即日で見直してください。具体的には、ブランド名に「混入」「虫」「異物」「衛生」「不衛生」「ネズミ」「カタツムリ」などの語が併記された検索を、購入意図の低い無効トラフィックとして切り分けます。完全一致の除外だけでなく、表記揺れや俗語、地域名との組み合わせも辞書化し、当日中に管理画面へ反映します。第二に、コンテンツターゲティングとプレースメントの除外リストを更新します。主要ニュース媒体の事故・事件・炎上カテゴリは、緊急時のみ一時的に外す判断を準備し、クリエイティブの審査保留や掲載停止が起きた場合の差し替え動線をチーム内で共有します。第三に、指名系の広告文を一時的に行動喚起中心へ寄せ、比較検討に流出しない導線設計へ切り替えます。たとえば「最短お届け」「当日受け取り」「店舗受け取り可」「返品無料」など意思決定を前に進める要素を上段に配置し、衛生や品質に関する表現は事実の範囲で簡潔に置きます。第四に、ランディングページの折り返し上を再配置し、ファーストビューで「今すぐ選べる理由」を明示。CTAボタンの視認性を上げ、周辺の文言から連想され得るリスク語を排除します。
媒体別の特性と押さえるべき運用ポイント
短文投稿の媒体は拡散速度が速く、批判の可視化が一気に強まります。引用や返信でネガティブ文脈が連鎖しやすいため、当該媒体に広告を出稿している場合は、当日中に掲載面の健全性レポートを点検し、必要に応じて一時停止や上限入札の引き下げを実施します。短尺動画の媒体は、アルゴリズムの露出が一気に広がるため、批判的な動画に付随するコメント欄での誘導リンクにユーザーが流れる事象が起きやすく、成果型の出稿ではリマーケティングの質に影響が及びます。視覚的な不快要素を含む投稿が急増しているタイミングは、動画リーチの一部を停止し、検索やショッピングなど意図の明確な面へ一時的に予算を振り替える判断が堅実です。写真中心の媒体は炎上の拡散は比較的緩やかでも、スクリーンショット経由で他媒体に波及します。コメント欄の負荷が高いアカウントでは、広告コメントのモデレーション体制を強化してください。
数字を守るための「当日〜48時間」タイムライン
発生初日:関連語の増加を検知したら、除外辞書を三段階(ブランド併記/一般語/俗語)で更新し、検索クエリレポートの監視頻度を時間単位に上げます。プレースメントは直近24時間の表示回数の上位から健全性を判定し、センシティブカテゴリを段階的に外します。予算配分は、意思決定に直結する面へ一時的に寄せ替えます。発生24時間後:広告文とLPのファーストビューを、行動喚起の強い言い回しへ最適化し、FAQの上位に利用手順や保証条件など「迷いを解消する情報」を追加。顧客対応窓口の稼働時間や返答の目安を明示し、購入前の不安を解消します。発生48時間後:関連語の沈静化度合いに応じて、除外設定を精査し直し、過剰に切ってしまった検索面を段階的に戻します。成果データをみながら入札単価を再調整し、在庫や配送の実態に合わせて日次の着地を確保します。
制作・審査・配信の三位一体で「事故らない」運用体制を常設する
炎上は偶発的に見えて、運用の現場では反射神経の勝負です。制作段階では、言い回しやビジュアルがどのように切り取られても誤解されにくいかを、複数の視点でクロスチェックする仕組みを常設します。審査段階では、違反リスクのみならず、社会的な受け止めの変化を前提に、季節・情勢・世論の時間軸を加味して判断します。配信段階では、健全性レポートを毎日確認し、除外辞書を常にメンテナンス。万一の際に「誰が」「何を」「何分で」やるかを決めた運用台本を、全メンバーが同じフォーマットで持ち、即時に動けるようにします。これらは獲得の勘と技を支える基盤であり、目の前の数字を守るための最短距離です。
調査の概要
本記事の数値と傾向は、エルテスが公開した2025年上期のネット炎上レポートおよび国内主要メディアの報道に基づきます。エルテスの定義では、ネット炎上とは「オフライン・オンラインでの行動や発言に対して、ネット上で批判が殺到し、拡散している状態」を指し、対象に対する批判投稿が通常時より有意に多い事例を抽出しています。調査対象期間は2025年1月〜6月で、件数推移、対象区分、要因区分などをもとに分析されています。
まとめ――数字は小さく、影響は大きく
2025年上期は、炎上件数自体は微減でしたが、獲得の現場に与えた影響は決して小さくありませんでした。特に「○○混入」カテゴリーは、視覚的なインパクトと共有のしやすさから、瞬間的に購買行動を凍らせます。こうした揺らぎは、広告の配信先や文言の数センチのズレが、成果の数十パーセントの差として跳ね返る領域です。だからこそ、除外設定の整備、媒体別の即応、行動喚起の再配置、そして日次の復元計画までをひとつの運用台本に統合し、平時から手を届く場所に置いておくことが重要です。数字は作るものではなく、守り抜くもの。炎上が起きた日も、見込み客の指先を前に進める導線を用意できたチームが、最後に獲得を手にします。
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