宣伝失礼しました。本編に移ります。
本稿では、直近に公開された複数の調査・統計を突き合わせ、消費者が怪しい・不審と感じるメールやECサイトにどう向き合っているのか、そして企業が何を優先して備えるべきかを、実務の観点で整理いたします。ニュース性の核となるファクトは以下の通りです。2025年9月4日に公開された調査では、怪しいメールを受け取った際の対応として「メールを開封せず削除」が73.9%と最多、怪しいメールが多い業界ランキングでは「銀行・クレジットカード」「宅配業者」に次いでECが第3位でした。また、2024年の国内フィッシング報告件数は171万8,036件と過去最多で、悪質ECサイトの通報は2025年上半期だけで1万8,738件に達しています。これらの数字は、マーケティングとセキュリティが不可分である現実を雄弁に物語っています。
まず押さえるべき5つの事実(本日の要点)
上記は、消費者側の行動・心理と、攻撃側の量的増加、そして企業側の認証整備の“足並みの乱れ”を示すシグナルです。これを踏まえて、戦略・運用・組織の順で、短期と中期に分けて最適解を導きます。
ユーザーの対応:多数派は「開かず削除」だが、2割は開封——心理は“既読判定”と“誤クリック”の板挟み
「開かず削除」が多数派であることは、昨今のリスク認知の高まりを映す一方、依然として約5人に1人は開封しています。CTA(行動喚起)の設計次第で誤クリックが生まれうる環境にある以上、企業のメールは「見間違えられない作り」にする必要があります。具体的には、差出人表示名とドメインの一貫性、ブランドロゴ表示(BIMI)による“ひと目の安心”、そして“至急”“停止”など脅し系の表現を避けたニュートラルなトーンへの統一が有効です。さらに、メール内リンクを極力減らし、公式アプリ・公式サイト経由での誘導に切り替えることが、セキュリティとCVの両立につながります。
どのメールが“怪しく見える”のか:銀行・宅配・ECが上位——日常生活に寄り添うブランドほど狙われる
銀行・クレジットカード
宅配業者
ECサイト
疑似体験の濃いサービスほど、攻撃者は“普段の文脈”に溶け込ませます。決済・本人確認・配達通知は生活動線の真上にあり、思考停止でクリックされやすい瞬間が必ず生じます。企業側は「本物の自社メール」をユーザーの頭に正しく刷り込むブランドガイド(件名トーン、送信ドメイン、署名ブロック、ドメインキー)を公開・更新し、FAQやヘルプに恒常的に掲出すべきです。ユーザー教育は“注意喚起の一発勝負”ではなく、継続的な習慣設計です。
攻撃の現在地:スミッシング、QR誘導、サポート詐欺が三本柱——証券・クレカ・ECの模倣が目立つ
フィッシングの全体量は高止まりどころか増勢にあり、2024年は報告件数が過去最多を記録しています。分野別の構成比では直近の月次推移で証券・クレジット・ECの順に高い比率が観測されています。攻撃文面はAI翻訳により粗が消え、見た目と日本語の自然さだけでは見抜けません。企業は“リンクを踏ませず、公式アプリへ”という導線デザインへの移行、そして“メールを疑う”前提の業務設計が求められます。
偽ECサイトのいま:通報は高水準で推移——“銀行振込オンリー”“異常値引き”“特商法表記の粗”に赤信号
悪質ECサイトの通報は2024年にかけ減少に転じたものの高止まりし、2025年上半期は前年同期比で微増に反転。ユーザーが偽サイトを知る経路は検索結果・メール・SNSが上位で、メール経由の比重が再び高まっています。EC事業者は自社名+公式ドメインの正規リストをヘルプに常設し、偽サイト報告フォームへの導線を目立たせることで、ユーザーと共に被害の早期遮断を図るべきです。
“本物の証”を仕込む:DMARC/BIMI、ドメイン一貫性、ロゴ表示で“ひと目の安心”を設計する
施策 | ねらい | 即効性 |
---|---|---|
DMARC(SPF/DKIM整備+ポリシー適用) | なりすまし遮断と配信到達性の安定 | 高 |
BIMI(ブランドロゴ表示) | 一目で“本物”の印象を付与 | 中 |
差出人名・ドメインの一貫性 | 誤クリック抑制・ヘッダでの識別 | 高 |
アンケートでは、メール開封後に表示される“青いチェックマーク+メッセージ”が正当性判断に役立つと答えた人が84.4%にのぼりました。DMARCの導入企業はまだ3割程度で、BIMIの導入は2割未満。裏を返せば、ここに安全性と到達性とCVの同時改善余地があります。関係省庁も送信ドメイン認証の強化を事業者に要請しており、実装は早ければ早いほど効果が累積します。
“疑わしきは公式アプリへ”:メール・LP・アプリの導線設計(Do/Don't)
- メール内リンクを最小限にし、公式アプリ・公式サイトへの自己遷移を促す
- 件名・送信者名・差出人ドメイン・署名のガイドラインを公開し固定化
- ブランド認証(BIMI)と二要素認証/パスキーの導入をセットで打つ
- 期限・金額などの“焦らせる要素”は、アプリ内通知に集約し透明性を担保
- “至急”“停止”などの威圧トーンでメール内クリックを強要
- 短縮URLやリダイレクト多用で到達先を不透明化
- 差出人名・ドメインの表記揺れ(開発・保守の都合による分散)
- キャンペーンのLPを乱立させ、検索結果に公式と偽サイトが混在
“公式アプリへ寄せる”ことは、フィッシングの踏み抜きリスクを根本から下げ、同時にパーソナライズと再来訪を促します。メールの役割は“気づかせて連れてくる”まで。検収・決済など重要アクションはアプリ/会員サイトに閉じるのが、2025年の実務的最適解です。
インシデント発生時の“最初の30分”フロー:誰が、何を、どの順で
CSがユーザー報告を受けた瞬間に、広報・SREと“同じ原稿”で動ける体制を日ごろから準備しておくことが重要です。偽URLの早期無効化、検索結果からの除外申請、公式アカウントからのアナウンス、そして補償と再発防止策の同時提示が、炎上の伸びを止めます。
経営の意思決定:90日で終わる“最低限”と、180日で効く“稼ぐセキュリティ”
- 送信ドメイン認証(SPF/DKIM/DMARC p=quarantine以上)を必ず整備
- 差出人名・ドメイン・署名・ヘッダの統一ガイドを定め公開
- “偽サイト報告フォーム”と“正規URL一覧”をヘルプに常設
- CS・広報・SREの同報アラート設定、エスカレーション表の整備
- BIMI導入とブランドロゴ運用、アプリ内通知への重要連絡集約
- 二要素認証/パスキーへの段階的移行、メール内の認証導線の撤廃
- ユーザー教育:月次の“本物メールの見本市”をブログ/アプリ内に公開
- 偽サイト検知・自動通報の外部連携(検索・ホスティング・レジストラ)
“守るための投資”は“売上と信頼を積む投資”に変えられます。ブランド認証とアプリ中心設計は、ボットの踏み抜きも人的ミスも下げ、同時に継続率とLTVを押し上げます。セキュリティとマーケティングは、もはや一枚岩です。
ユーザーに約束する“5つのルール”:疑わしきは削除、公式は自分で開く
- メールやSMSにあるURLは基本踏まない。公式アプリ・公式サイトを自分で開く
- 差出人の日本語名だけで判断しない。ドメインの綴りを必ず確認する
- “至急”や“停止”で焦らせるメッセージは一旦深呼吸し、公式で事実確認
- “銀行振込のみ”“異常値引き”“特商法表記の粗”があれば購入しない
- 怪しいと感じたら通報する。あなたの一件が、次の被害を止める
ユーザーの行動設計は企業の責務でもあります。アプリとヘルプを“安全の母港”として設計し、そこへ戻す習慣を共通言語にしましょう。
まとめ:2025年の標準装備——“開かず削除”の時代に、企業が先回りして信頼を可視化する
メールは、もはや“売るため”だけのチャネルではありません。“守るため”“信頼を可視化するため”のチャネルでもあります。開封以前に勝負が決まる時代、ユーザーの第一印象を設計するのは、あなたの送信ドメインとロゴと導線です。今日、着手できます。
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