ECサイトでの新しい販売方法として注目されている「ライブコマース」。

リアルタイムにライブ配信することで、画像や動画ではわかりにくい商品詳細を伝えられるのが魅力。視覚で訴求しやすいファッションやコスメ、インテリアや家電など、幅広いカテゴリーで活用され始めています。

また配信者と視聴者は、その場でコミュニケーションがとれるので商品に関する疑問や不安を解消できるのも、ライブコマースの特徴です。

この記事ではライブコマースの特徴から導入するメリット、実践するうえでの注意点や始め方までご紹介していきますので、参考にしてみてください。

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ライブコマースとはライブ配信とECを合わせた販売手法

ライブコマースとはSNSなどのライブ配信を通じて、リアルタイムで商品を販売する手法です。配信者は画像や動画では伝えきれない商品の魅力を配信。また視聴者はその場で疑問や質問に回答してもらえるといった、双方のコミュニケーションによって成立するのが特徴です。

ECサイトの商品を販売するケースが多く、視聴者は気に入った商品があると、そのままサイトで購入が可能。またライブコマースは配信者の伝え方ひとつで、店舗来店の促進にも高い効果を発揮します。そのためECサイトと実店舗の運営をしている人にとっては、両方の売上向上に有効的な手段といえるでしょう。

ライブコマースは中国で先行普及

ライブコマースは中国で先行して普及した販売手法です。2021年の日本貿易進行機関(ジェトロ)の調べによると、中国では新たなECツールとして「ライブコマースが急成長している」と発表。

また2020年のコロナウイルスの影響で、家にいながら楽しめることが流行。そのひとつがライブコマースです。自宅にいながら楽しんでショッピングができるとして、さらに注目を集め、2021年までの5年で約50倍の市場規模に拡大しています。

中国インターネット情報センターの発表によると、2020年時点でのライブコマースの利用者は約3億8000万人。インターネットの利用者のおおよそ40%を占めていると言われるほどです。

参考:ライブコマース、健全な発展を見据えて(中国) | 地域・分析レポート - 海外ビジネス情報 - ジェトロ

ライブコマースの種類

ライブコマースには、おおまかに分けて次の5種類があります。

種類 概要
ECモール型 ECサイト(楽天やAmazonなどの大手ECモール)の配信サービスを利用してライブ配信する手法
SaaS型 自社のサイトやアプリに、ライブコマースができるようにタグを埋め込むことでライブ配信が可能になる手法
SNS型 SNS内ですでにあるライブ配信サービスを活用してライブ配信を行う手法。無料で利用できるケースが多いので、導入している企業が多いのが特徴
キュレーション型 すでにライブコマースをビジネスとして行っている配信者にライブ配信を委託する手法
独自アプリ制作支援型 自社オリジナルのライブコマースを制作してライブ配信をする手法。ECサイトへの誘導が不要で、そのまま購入が可能なので「別のサイトに行くのがめんどくさい」などの理由による離脱を防げる

自社のライブコマースにかけられるコストや、マーケティング手法に沿った方法を選択するのは、成功させるうえで重要です。

ライブコマースに向いている業界や商材

ライブ配信での販売に適している業界や商材は「商品の外観が購買意向に影響するもの」「機能を実際に実演できるもの」「こだわり商品」などです。

例えばファッションに関する商品は、まず見た目で購入するかどうか決める人が多いでしょう。ライブコマースでは視覚で購買意向をそそるだけでなく、実際に着てウォーキングをする姿を見せたり、詳細な機能についても説明が可能なので、効果的に宣伝ができます。

また家電をインターネットで購入するときは、商品説明や口コミを参考にしますが、実際に使ってみたら想像と違った、ということがありませんか。しかしライブ配信で家電の実演を行えば、画像やテキスト、簡単な動画では説明しきれない魅力も伝えられるので、視聴者も購入後の生活をリアルに想像できます。

さらにライブ配信では商品やこだわった製法について、より詳しい説明が可能。ゆえに「こだわり製法の〇〇」「高額商品」「特産品」など、詳細な説明をして納得したうえで購入してほしいような商品の販売にも、ライブコマースが向いています。

ライブコマースと相性の悪い商品

ライブコマースは多くの場合SNSによる集客をおこない、専用のプラットフォームを使ってライブ配信をします。

ゆえにあまりインターネットの利用率が高くない年齢層向けの商品は、ライブコマースとの相性があまりよくないため、避けた方がよいでしょう。

またその場で味や効果がわかりにくい健康食品やダイエット商品も、ライブ配信では魅力が伝わりにくいので、選ばない方が無難です。

ライブコマースの市場規模

ライブコマースはSNSを活用する販売手段であるため、SNSを使ったマーケティングが主流の現在では、日本でも多くの企業がこぞって活用すると予想されました。

しかし過去5年で市場規模50倍になった中国に比べると、日本でのライブコマースの認知度は決して高いとはいえません。

では日本でライブコマースが普及しない原因はなんでしょうか。

それは日本の消費文化が他国に比べて消極的であるのが原因と考えられています。中国では偽物でも流通するほど、購買意向が高い文化がありますが、日本では「質がいいもの」「信頼できるもの」を選ぶ傾向にあります。

そして、そもそも商品をライブ配信でPRするライバーが、日本では多くいません。ライブ配信での販売は「配信者×配信環境×商品」で成り立ち、ライバーがいかに上手く商品の魅力を伝えられるかで売上が変わってきます。ゆえにライバーがいなければ、成り立たない手法なのです。

「爆買い」のイメージも強いほど、買い物を盛大に楽しむ中国に比べて、消費者マインドが高くない日本においては「ライブ配信で商品を購入する」手法がマッチしないことが、ライブコマースが普及しない要因となっているでしょう。

ライブコマースが注目されつつある4つの理由

中国に比べて日本ではまだまだ普及していないライブコマースですが、まったく活用されていない訳ではなく、実際に日本で導入して成功した事例も多数あります。

日本でも注目されつつある理由を、4つご紹介します。

  1. 文章や写真では伝えられない魅力が伝わる
  2. リアルタイムでコミュニケーションが取れる
  3. ファンになってもらいやすい
  4. 購入までのスムーズな導線ができる

1.文章や写真では伝えられない魅力が伝わる

ライブコマースでは写真や動画では伝えきれない商品の魅力を、言葉で伝えられます。

インターネットで商品を買う際に最も重要視されるのが、写真や動画による視覚による訴求とテキストによる商品説明です。しかし1商品につき掲載できる写真や動画には制限があり、すべてを伝えるのは困難でしょう。

万が一テキストで商品の魅力を伝えようとすると、ズラズラと長い文章になってしまいます。読者にとっては商品説明は「自分の知りたいことを瞬時に知れる状態」を好みます。ゆえに商品の魅力を長く書いても、読者が読んでくれるとは限りません。

一方でライブコマースを活用すると、掲載する写真や動画に加えて言葉で魅力を伝えられるので、商品より強く印象付けできます。

2.リアルタイムでコミュニケーションが取れる

ライブコマースは配信者と視聴者双方でコミュニケーションがとれるので、商品への疑問や不安があればその場で質問が可能。

たとえばカメラを販売したい場合、配信者はカメラの性能や使い方を実際に触りながら説明します。そして視聴者はその説明に対して疑問や不安があれば、その場で質問を投げかけて解消、というコミュニケーションがリアルタイムに実現。

購入時の不安が解消されれば、ライブ配信からの購入率が高まります。

3.ライバーのファンに宣伝しやすい

ライブ配信ではライバーの個性やスキルによって売上が大きく変わります。ゆえにライバーのキャラが好き、この人から商品を買いたいと思ってもらえれば、ほかのブランドとの差別化も可能。

またライバーにインフルエンサーを起用したりすでにファンがいたりする場合、ライブコマースの集客化がしやすくなります。

SNSでの集客も定着しつつありますが、どうしても興味関心が低いユーザーにも届いてしまい、精度の高い集客にはマーケティングや広告運用スキルが必要でした。

しかしライバーのファンになってもらったり、有名タレントやインフルエンサーを起用してライブ配信を行えば、数万単位で視聴者を集めることも可能。このように、ライブコマースは高い集客率がある点もメリットといえます。

4.購入までのスムーズな導線ができる

ライブコマースでは、紹介されている商品へのアクセスおよび購入までがスムーズに行えるようになっています。

例えば通販サイトで商品が気に入っても「どうやって購入するのかわからない」といった状態では、購入に結びつきにくいでしょう。

しかしライブ配信では「商品かわいいな→不安点も聞いて解消できた→このまま購入」と、購入までの導線をスムーズにできるのがメリットです。

ライブコマースを利用するときの4つの注意点

ここではライブコマースを導入してライブ配信をするうえで、気を付けたい点を4つご紹介します。

  1. 通信環境や中傷コメントなどのトラブル対策が必須
  2. 視聴者を確保するための集客が大変
  3. 配信者にスキルが必要
  4. 配信中の注文殺到への対応

1.通信環境や中傷コメントなどのトラブル対策が必須

ライブ配信をおこなうには、通信環境が必須。また視聴者が多ければ多いほどサーバーへの負担もかかるので、通信トラブルが発生しやすくなります。

せっかく視聴者がライブ配信を閲覧していても、映像が止まりがちだったり、音声が途切れ途切れだと、満足度に大きく影響を及ぼします。

このように通信トラブルがおきないように、事前に安定した通信環境を確保やトラブルが生じた時の対策を練るようにしておきましょう。

また配信中には中傷コメントがつくことも。中傷コメントひとつひとつに対応していては、ほかの視聴者がライブ配信を楽しめません。またトラブル対応によっては、最悪の場合ブランドイメージを損ねることも。

そのため中傷コメントすべてに返信するのではなく、トラブルに発展しそうな場合にのみ対応するのなど、トラブル対策のルールを決めておきましょう。

2.視聴者を確保するための集客対策が大変

ライブコマースは突然ライブ配信をしても、なかなか視聴者は集まりにくいという特徴があります。

せっかく配信者に商品を紹介してもらっても、視聴者が少なければ売上に繋がりにくいです。そのため事前に告知をして、ライブ配信の当日にどれだけ集客できるかがポイントになります。

ただし現状SNSには数えきれないほどの広告が配信されています。そのため「とりあえず告知」するだけでは、視聴者の確保は難しいでしょう。「ライブ配信まで〇〇日」などのイベント感を出したり、「ライブ配信で初めて販売開始!」などの特別感を演出したりと、視聴者の興味関心を惹きつける工夫が必要です。

また告知や広告内容によっては、普段は実店舗に買い物に行くユーザーに対しても訴求が可能。通常ネットで買い物をしない消費者を取り込むことができれば、売上向上も見込めます。

3.配信者にスキルが必要

ライブ配信は事前に台本を作っていても、ただそれを読めばいいわけではなく、リアルタイムで見ている視聴者とのコミュニケーションを大切にしながら、進めていく必要があります。

そのため配信者には、臨機応変に対応できるスキルや、質問されても答えられる知識が重要です。

フォロワー〇万人などのインフルエンサーという理由だけで配信者に選ぶと、視聴者に商品の魅力が上手く伝わらずに効果がでないケースもあります。

そのためライブ配信になれている、商品知識があるといった「スキル」の部分が高い配信者を選ぶと成功しやすいです。

4.配信中の注文殺到への対応

視聴者はライブ配信で気に入った商品があれば、そのまま購入することが多いので一時的に商品ページへのアクセスが集中します。そのため注文に滞りなく対応できる運営状況を、整えておくことが必要です。

せっかく商品を買おうと思ってもサーバーがダウンしていたり、いつまでたっても商品が発送されない、といったスムーズな取引ができないと、マイナスイメージがついてしまいます。

顧客満足度を高めてリピーターになってもらうためにも、ライブ配信時の注文殺到への対応ができるように、運営状況を整備しておきましょう。

ライブコマースを始めるために必要な準備

ライブコマースを始めるには、次の8つの準備を整えておきましょう。

  1. 配信のタイミングや時間、頻度を決める
  2. 何の商品やサービスを配信するか
  3. 配信するための機材
  4. インターネット環境
  5. 配信する人
  6. 台本を作成
  7. 商品在庫とECサイトへの誘導方法
  8. 視聴者からの想定される質問への回答

配信のタイミングや時間、頻度を決める

ライブコマースでライブ配信をするタイミングは、商品を売りたいターゲット層に合わせて決めましょう。例えば30~40代をターゲットにした商品であれば、子どもが家にいない平日の日中や、家事が終わりやすい21時以降などが見てもらいやすい時間帯です。

一方で仕事をしている男性向けの商品であれば、お昼休みや帰宅の時間帯だとスマホを触る機会も増えるでしょう。

また配信の時間は30分~1時間程度が一般的です。動画コンテンツなどに比べると長く感じるかもしれませんが、10分ほどの短い時間だと、気づいたときには終わっていたという可能性もあります。

配信頻度は1週間に1~2回ほどが多いですが、昼と夜でターゲットを替えて配信をおこなうのもよいでしょう。

このように配信した商品によって頻度やタイミング、時間を決めて定期的におこなうことで、視聴者が定着したり、ターゲットへの機会損失を防げます。

何の商品やサービスを配信するか

どんな商品やサービスを紹介するのかによっても、売上に大きな影響を与えます。

ライブ配信ですぐに効果を実感できたり、購入したあとの自分をイメージしやすい商品を選ぶと、購入意欲をかきたてることができます。たとえばよく切れる包丁や、髪につやを出すヘアオイルなど、視覚的に効果がわかるものはとくにライブコマース向きの商品といえるでしょう。

またECサイトでよく売れている商品や、問い合わせが多いものもより一層売上をあげるチャンスです。

配信するための機材

ライブコマースはスマホ1つで始められます。初期投資は手持ちのスマホだけなので、初期費用を抑えたい人も、手軽にライブ配信を始められるのも魅力。

ただし配信映像や音声をクリアにしたい、という人は照明やカメラ、音声機材などの専用機材を用意するのも良いでしょう。

せっかくライブ配信をしていても、映像が暗くて商品がよく見えない、音声が途切れ途切れになってしまったら、商品の魅力が伝わりません。

またせっかく専用機材を用意して準備を整えたつもりでも、実際に配信者から「見えづらい」「聞こえない」などの意見が出たときの対応策についても、マニュアルを作成しておくと安心です。

手軽に始められるライブコマースですが商品の魅力を最大限に伝えるには、配信者のスキルだけでなく、機材なども整備しておくと、より売上向上が見込めるでしょう。

インターネット環境

ライブコマースは、ライブ配信ができるプラットフォームから配信するので、インターネット環境は必須です。

また生配信が途切れないような安定した通信環境も重要。必ず本番のライブ配信をする前にテストをおこない、インターネット環境に問題がないか確認しておきましょう。

配信する人

ライブコマースは人対人で商品を販売する手法です。そのためライバーが必須。ただしライバーはライブ配信で話せればいいわけではなく「商品の魅力をわかりやすく伝える」「コメントに対応する」「誹謗中傷への適切な対応」など、さまざまなスキルが求められます。

しかし企業の社員を起用する場合には、生配信のライブで話すことになれていない人が多いので、人選は慎重におこなう必要があります。事前に台本を書いて本番のように読み上げるなど、トレーニングに十分な時間を割くようにしましょう。

配信者は必ずしも集客効果がある人を採用するとは限らないので、ライバーを長期的に育てる意識で取り組むのも大切です。

人前で話すことになれているタレントやインフルエンサーにライバーをお願いする場合には、事前に台本を作成して打ち合わせするのが良いでしょう。ただし視聴者の中には、インフルエンサーが仕事で商品を紹介しているというのが見えてしまうと、購入意欲が減退してしまう人も。

ライバーを外部に委託する場合は、普段から商品を愛用している、商品について十分に理解している人を選ぶようにしましょう。

台本を作成

台本はいわゆる配信する内容の設計図です。配信前に伝えたい内容を書きだし、そして必要なものを肉付けして全体像を作成しておくことで、ライブ配信本番にスムーズに進行が可能になります。

またライブ配信では商品詳細だけではなく、ライバーの人間性も売上に大きな影響を与えます。言葉選びや伝え方に不信感不快感を覚えると、視聴者は配信から離脱する可能性も。

アドリブには限界があるため、事前に台本を作成し情報をまとめておいたり、購入への導線を明確にしたりすることで、高い視聴率に繋がりやすくなります。

商品在庫とECサイトへの誘導方法

事前告知から見込まれる集客数から必要な在庫数を予想して、機械損失を逃さない、適切な量を確保するようにしましょう。

ただし過剰在庫には注意が必要です。数多く商品を取り扱っているECサイトでは、過剰在庫は商品倉庫を圧迫してしまい、保管費用や維持にコストがかかったり、商品自体の劣化による廃棄処分が必要になってしまいます。

せっかくライブ配信で商品が多数売れても、過剰在庫にコストがかかっては利益低下のリスクに繋がります。ゆえに商品在庫の確保には「機会損失を防ぐ」「過剰在庫にしない」、この2点に注意が必要です。

またせっかく在庫を十分に準備していても、ECサイトへの誘導が不十分だと視聴者が購入に至らず配信から離脱してしまうことも。

「商品の魅力を伝える>視聴者の疑問を解消する>購入」へのスムーズな導線を確保することで、ライブ配信の効果が最大限に発揮されるでしょう。

視聴者からの想定される質問への回答

ライブコマースのメリットは、リアルタイムで質問できたり対話できる「双方向性」です。

そのためライブ配信中には視聴者からのコメントにも配慮して、不安や疑問を解決していくことで、視聴者の購入行動の促進に繋がります。

ゆえに商品に関する予想される質問に対して事前に回答を用意しておくなど、準備をしておきましょう。

また配信者が即座に回答できないような質問や疑問がコメントされたときや、コメントを見逃すケースも考えられます。そのような場合でも対応できるように、調べてフリップなどで教える人を配置するなど、サポート体制を整えておくと安心です。

ライブコマースは2つのプラットフォームから配信可能

ライブコマースは主に2つのプラットフォームから、ライブ配信が可能です。

メリット デメリット
SNSのライブ配信機能
  • 集客に有利
  • 費用がかからない
  • スマホだけで手軽に始められる
  • ECサイトに遷移するときに離脱される可能性がある
  • 購入サイトに移動するとライブ配信の続きが見られない
ライブコマースの配信機能
  • 購入までの導線に役立つ機能が多い
  • ライブ配信中にそのまま購入できる
  • 費用がかかる
  • 商品登録など手間がかかる

    SNSのライブ配信機能

    ライブ配信機能が備わっているSNSは、主にInstagram、Facebook、Youtube、LINEです。

    SNSのライブ配信機能を活用することで、SNS利用者に別のアプリをいれてもらわなくても、ライブ配信を視聴してもらえる機会が増えます。

    また今やSNSの利用者はスマホ保有者の7割を占めていると言われているため、集客にも有利といえるでしょう。

    ただしSNSでのライブ配信は、商品を買ってもらうためにECサイトに遷移してもらう必要があります。ゆえにそのタイミングで離脱されてしまう可能性も。またSNSでのライブ配信を視聴しているユーザーの多くはスマホでみています。

    そのためECサイトに遷移してしまうと配信の続きを見れなくなってしまうので、なかなかECサイトに遷移してくれずに、結局売上に繋がらないケースも考えられます。

    ライブコマースの配信機能

    ライブコマースは、SNS以外にも専用のプラットフォームを活用してライブ配信が可能。

    専用のプラットフォームは、ライブ配信中に商品詳細を画面に表示して、そのまま視聴者がカートに入れて購入できる機能など、配信から購入までの導線に役立つ機能が多く備わっています。そのためSNSでのライブ配信と違い、ECサイトに遷移時の離脱を防げます。

    しかしライブコマースのプラットフォームは、初期費用または月額料金が発生するので、ある程度コストがかかります。

    またプラットフォームで購入までできるようにするには、商品登録や受注処理など、ライブ配信以外にも覚えるべきことが増えます。

    ライブコマースと成功させるコツ

    ライブコマースを成功させるコツを5つご紹介します。

    1. ライブ配信の事前告知を実施する
    2. 視聴者との交流を大切にする
    3. 限定感を演出する
    4. 短期目標を決める
    5. 分析と改善をする

    ただライブ配信をしても必ず成果に繋がるとは限りません。次に紹介するコツを踏まえてライブコマースを実施して、売上向上を目指しましょう。

    ライブ配信の事前告知を実施する

    ライブコマースでいきなり始めても視聴者が集まりにくく売上に繋がることはないので、事前告知は必須です。

    • いつやるのか
    • どこでやるのか
    • 生ライブ配信
    • 限定〇〇がある
    • ライブ開始まで〇〇

    など、視聴者がみたくなるような内容を盛り込んで、多くの人の興味関心をひくような工夫をしましょう。

    視聴者との交流を大切にする

    ライブコマースはファンを増やすことも大切です。

    • 告知をみて気になったから
    • たまたまライブ配信していたから
    • ブランドが好きだから
    • 配信内容が楽しいから

    視聴者はこのような理由でライブ配信をみる人が多いでしょう。そのため事前告知やブランドの認知度も重要ですが、配信内容を充実させて、ファン化することで売上向上や視聴者数増加が見込めます。

    コメントを通じて積極的に交流をしたり、いつも同じ配信内容にならないように工夫したりと、ライブ配信を楽しいと思ってもらえるように心がけるなど、コミュニティの場にするのも戦略のひとつです。

    限定感を演出する

    ECサイトとはまた違ったライブ配信限定の特別感を演出することで、視聴者の購買意欲が高まり、購入に繋がりやすくなります。

    たとえばECサイトで配っている5%クーポンを、ライブ配信を視聴してくれている人だけに特別クーポンを配布するなど「今ならお得」といった心理的効果を上手くつかうことで、購入への後押しになるでしょう。

    またECサイトで活用して「〇〇日にライブ配信決定!新商品を先行販売」などの特別感を告知することで、集客効果も生まれます。

    短期目標を決める

    ライブコマースを導入するうえで売上だけを目標にしてしまうと、達成できない期間が続くことでモチベーションが低下してしまう可能性があります。ライブコマースを始めたばかりは、必ずしもたくさんの商品が売れるとは限りません。

    そのため「視聴者1000人」「1ヶ月決まった曜日に配信を続ける」など、売上以外の内容かつ短期で達成できそうな目標を定めましょう。小さな成功体験の積み重ねによって、モチベーション低下を防げます。

    また定期的に配信によってファンを増やすチャンスにも繋がるので、軌道に乗るまでは売上にこだわらずに、ライブコマースを継続させることを意識してみてはいかがでしょうか。

    分析と改善をする

    ライブコマースで商品が売れた場合、分析と改善が必要です。

    売れた商品や買ってくれた視聴者の傾向、よくコメントされた内容などを分析して、顧客のニーズを把握することで、次の配信や告知内容に活かせます。

    また「どうして売れたのか」「この商品はどの年代に人気なのか」などを知ることで、新商品開発にも役立ちます。

    日本でリリースされているライブコマースサービス

    ここでは日本でリリースされている、13種類のライブコマースサービスを比較検討していきましょう。

    サービス名 概要
    Facebook 「Facebook Shops」サービスを活用して、FacebookとInstagramでECサイトを作成可能。作成したサイトからライブ配信ができる。
    Youtube 「Youtube Live」の機能を活用してライブ配信が無料でできる。動画配信プラットフォームでトップクラスの認知度を誇るサービスなので、集客率やブランディング向上が見込める。
    Instagram アカウントをもっていれば誰でも無料でライブ配信が可能。ライブ配信画面に商品タグを表示できるので、クリックするだけで商品ページにいき購入できる
    LINE LIVE コミュニケーションツールとしてもっとも使われているLINEの中の、LINE LIVEというサービス名でライブ配信に対応。利用ユーザーが多いことから、高い集客率が見込める。
    楽天ショッピングチャンネル 楽天市場に出店している企業であれば、店舗ページのライブ配信機能を通じて、ライブコマースが行える。定期的に行われるイベントと連動すれば、楽天経済圏ユーザーの集客に高い効果が期待できる。
    au Wowma!ライブTV KDDI系列のECサイト内で利用できる、ライブ配信機能
    SHOPROOM SHOWROOMの利用者は年齢層が低めであり、アイドルやアーティストが自らプロデュースした商品をライブ配信で紹介しているケースが多いのが特徴。
    C CHANNE 女性向けの動画配信メディアで、2015年にサービスが開始して以降、現在では国内の利用者は2000万人を超える。インフルセンサーが1万人以上在籍しているので、商品やブランドのファンと配信者のファン、両方から集客が見込める。
    HansUP 配信アプリ「17LIVE」が提供しているライブコマースサービスで、、現在ではライブ配信アプリでNo.1の利用率を誇っている。万全のサポート体制が整っているので、SNSのプラットフォーム以外でライブコマースを利用したい人に選ばれているサービス。
    LIVEPARK 企画から配信までを、すべてサポートしてくれるライブコマースサービス。ECサイトのみならず、社内セミナーやイベント開催にも活用している企業が多数。月額6万6千円~。
    ライコマ 独自のツールに加えて、運営サポートが充実しているのが特徴。また導入しやすい「月額3万円〜」と低価格。「htmlの埋め込み機能」を使えば、簡単にライブ配信ができる。
    TAGsAPI ショート動画とライブ配信の2つの機能を利用できるライブコマースサービス。「戦略・集客・分析・体制構築」のコンサルティングが必ず受けられる。
    LiveCall 最短3日とスピード導入が可能なライブ配信サービス。フリープランでは無料で基本機能を、ずっと使い続けられて操作が簡単。

    SNSのプラットフォームから無料で始められるものから、サポート体制の整ったライブコマースサービスまでを、それぞれご紹介します。それぞれ特徴やメリットを理解したうえで、導入の参考にしてみてください。

    Facebook

    Facebookでは2020年5月に、Facebook上でオンラインショップが開設できる「Facebook Shops」のサービスが開始されました。同サービスはFacebookとInstagramでECサイトを作れる機能で、ライブ配信機能も設けられています。

    店舗や予算に関係なく、無料で利用できるのも特徴。普段は商品に関する投稿をおこない、定期的にライブ配信をすることで、ブランドの認知度向上が見込めます。

    Youtube

    動画配信プラットフォームでトップのYoutubeは「Youtube Live」の機能を活用することで、ライブ配信が無料でできます。

    スマホ所有者のうちYoutube認知率は約96%となっており、うち60%がYoutubeを利用していると言われています。そのためユーザー数の多さを理由に視聴者を集めやすいのが特徴。

    普段から動画配信をしている場合、チャンネル登録者がそのまま自然とライブ配信をみてくれる可能性があるので、チャンネルをもっているのであれば、試してみる価値はあるでしょう。

    ただしライブ配信画面に商品タグを表示させるには、特定の資格要件を満たす必要があります。日本を拠点にしているECサイトは、残念ながら資格を満たさない為、タグ付け以外の方法でECサイトへ誘導させる必要があるので注意が必要です。

    Instagram

    Instagramのライブ配信機能を活用して、ライブコマースが可能。アカウントをもっていれば誰でも無料でライブ配信を行えます。

    2021年3月からは4人同時に配信できる「ライブルーム」機能が導入されました。複数人で配信したい場合でも、全員が同じ場所に集まる必要はありません。またそれぞれのフォロワーさんに告知できるので、高い集客率も望めます。

    SNSの中でもInstagramは、ECサイトの商品タグをつけた投稿が多いのが特徴。そのため普段から発信をおこないフォロワーを増やしておくことで、そのまま視聴者となってくれる可能性が高まります。ゆえにライブ配信の告知だけでなく、日頃の投稿も大切になってくるでしょう。

    またライブ配信画面でも投稿同様に商品タグを表示できます。ゆえに視聴者は気になる商品があれば、クリックするだけで商品ページにいき購入まで可能です。

    LINE LIVE

    日本の約8割が使っているコミュニケーションツールであるLINEも、LINE LIVEというサービス名でライブ配信に対応しています。

    国内でトップクラスに利用率の高いSNSのプラットフォームを活用できるのは、集客によって収益に影響を与えるライブコマースにとって、大きなメリットといえます。

    楽天ショッピングチャンネル

    楽天市場に出店している企業であれば、店舗ページのライブ配信機能を通じて、ライブコマースが行えます。

    楽天市場といえば定期的に開催される「楽天スーパーセール」や「お買い物マラソン」。このセールを目当てに大量買いするユーザーも多数いるので、イベントと連動すれば、楽天経済圏ユーザーの集客に高い効果が期待できます。

    また楽天のショッピングチャンネルは、リアルタイムで視聴者が質問や疑問を投稿可能。ゆえに視覚的訴求に加えて、コミュニケーションによって購買購買行動を促すことも実現できるでしょう。

    au Wowma!ライブTV

    au Wowma!ライブTVはKDDI系列のECサイト内で利用できる、ライブ配信機能です。視聴には専用のアプリをダウンロードする必要があります。

    SHOPROOM

    SHOWROOM(株)が提供するライブコマースサービスで、SHOWROOM内で使えるショッピング機能。ライブ配信中にそのまま商品が購入できるので、ECサイトへの遷移が必要ありません。

    SHOWROOMの利用者は年齢層が低めであり、アイドルやアーティストが自らプロデュースした商品をライブ配信で紹介しているケースが多いのが特徴です。

    しかしSHOPROOMの視聴は、専用のアプリをダウンロードしている必要があり、現在はiOSとAndroidにのみ対応しています。

    参考:SHOPROOM

    C CHANNEL

    2022年6月にサービスを開始した「SUVパッケージ」では、ショート動画配信に特化したプロモーションが可能です。

    C CHANNELは女性向けの動画配信メディア。2015年にサービスが開始して以降、現在では国内の利用者は2000万人を超える人気メディアとなっています。

    メイクや料理のHowto動画やファッションや旅行など、女性の悩みを解決するためのコンテンツが多数アップ。またインフルエンサーも1万人以上所属しているので、商品やブランドのファンと配信者のファン、両方から集客が見込めます。

    参考:C CHANNEL

    HansUP

    HansUPは、配信アプリ「17LIVE」が提供しているライブコマースサービス。2019年11月に日本でのサービスを開始しており、現在ではライブ配信アプリでNo.1の利用率を誇っています。

    ライブ配信に特化したSNSなので、ライブコマースに必要な機能が備わっているのも利用者にとって嬉しい点。また初心者でも安心して使えるように、成果の見方や改善策などのコンサルティングを受けられます。

    万全のサポート体制が整っているので、SNSのプラットフォーム以外でライブコマースを利用したい人に選ばれているサービスです。

    参考:HansUP

    LIVEPARK

    LIVEPARKは企画から配信までを、すべてサポートしてくれるライブコマースサービスです。ECサイトのみならず、社内セミナーやイベント開催にも活用している企業が多数。

    配信スタジオも用意されているので「自宅や企業でライブ配信をするのに抵抗がある」という人にも安心です。

    テレビ局や大手EC企業のライブ配信やライブコマースを手がけた経験のあるスタッフがお手伝いしてくれるので、初めてライブコマースを導入するけど、本格的に始めたい人に選ばれています。

    サポートなしでライブ配信プラットフォームを利用したい場合は、6万6千円〜利用可能。

    参考:LIVEPARK

    ライコマ

    ライコマは独自のツールに加えて、運営サポートが充実しているのが特徴。また導入しやすい「月額3万円〜」と低価格からあらゆる企業に選ばれています。

    独自ツールには、ライブコマースを成功させるための機能が幅広く提供。たとえばそのうちの1つが「カゴ追加機能」。視聴者は、動画配信中に気になった商品があれば、そのままの画面で商品詳細が閲覧、カートに入れることができます。

    TAGsAPIゆえに配信画面からECサイトへ遷移する必要がないので、ライブ配信中の離脱防止に役立ちます。そして視聴者は動画配信終了後に、カートに入れた商品をまとめて決済できる仕組みとなっています。

    もう1つのおすすめな機能は「htmlの埋め込み機能」。管理画面で作成した「視聴ボタン」のタグを、配信したい商品ページに埋め込むだけで、簡単にライブ配信を開始できます。

    参考:ライコマ

    TAGsAPI(タグエーピーアイ)

    TAGsAPIは、ショート動画とライブ配信の2つの機能を利用できるライブコマースサービスです。

    ショート動画でブランディング促進、ライブ配信でコンバージョンを促すなど、使い分けすることで売上向上に役立ちます。

    またTAGsAPIは、「戦略・集客・分析・体制構築」のコンサルティングが必ず受けられるのも、利用者にとってはうれしいメリットです。

    参考:TAGsAPI

    LiveCall

    LiveCallは最短3日とスピード導入が可能なライブ配信サービスです。フリープランでは無料で基本機能を、ずっと使い続けられるのも特徴。

    直観的に操作できるシンプルな画面設計がされているので、初めての人でも使いやすいと、好評です。

    ほかにもGoogleアナリティクスのトラッキングコードを埋め込めば、顧客の行動をトラッキングも可能。データをもとに分析、改善を繰り返すことで売上向上が見込めます。

    参考:LiveCall

    ライブコマース活用で売上向上を目指そう

    ライブコマースは、ECサイトや店舗を運営している人にとって、集客や売上拡大、ブランディングを図るのに有効的な手段といえます。

    日本ではまだまだ認知度や導入率は低いですが、中国を初めとして海外ではライブコマースの市場は拡大傾向にあります。

    まだライバルの少ない日本で先行導入することで、先行者利益を得られるのではないでしょうか。導入を検討している人は、参考にしてみてくださいね。



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