
宣伝失礼しました。本編に移ります。
インフルエンサーや専門家、さらには熱量の高い一般ユーザーの「本音の声」を広告クリエイティブとして活用する「第三者投稿広告」。従来の企業発信型広告が敬遠されがちな現代において、その重要性は増す一方です。本記事では、X(旧Twitter)とInstagramという二大プラットフォームにおける第三者投稿広告の基本構造から、具体的な設定手順、そして2025年に激変したXの広告ポリシーへの対応策まで、網羅的かつ実践的に解説します。さらに、BtoB領域での応用戦略や、厳格化されたステルスマーケティング規制(ステマ規制)への具体的なコンプライアンス対策など、一歩進んだ戦略的視点も提供。この記事を最後まで読めば、両プラットフォームの特性を最大限に活かし、信頼をテコにエンゲージメントと事業成果を最大化するための、明確なアクションプランを描くことができるでしょう。
第三者投稿広告とは?信頼を成果に変える新しい広告のカタチ
第三者投稿広告とは、企業が直接広告を配信するのではなく、インフルエンサーや顧客、専門家といった第三者のオーガニックな投稿(自然な発信)を、その本人のアカウントから広告として配信する手法を指します。ユーザーにとっては、企業からの一方的な宣伝ではなく、信頼できる個人からの「推薦」や「口コミ」として情報が届くため、広告特有の嫌悪感が薄れ、極めて高いエンゲージメントや共感を得やすいのが最大の特徴です。この手法は、消費者の情報リテラシーが向上し、企業発信の情報が届きにくくなった現代のマーケティング環境において、不可欠な戦略となりつつあります。
各プラットフォームでの呼称
この広告手法は、プラットフォームによって呼称が異なります。基本的な概念は同じですが、それぞれのプラットフォームの思想や機能に合わせて最適化されています。
Instagram:「パートナーシップ広告」
クリエイターが作成したフィード投稿、ストーリーズ、リール動画を、企業が広告として配信できる機能です。投稿には「タイアップ投稿」というラベルが明瞭に表示され、ユーザーはそれが企業とクリエイターの商業的な関係性に基づいていることを一目で理解できます。
X(旧Twitter):「第三者ポストのプロモーション」
他のユーザーのツイート(ポスト)を、そのユーザーのアカウントからプロモーション(広告配信)する仕組みです。配信されるツイートには「プロモーション」というラベルが付与され、通常のオーガニックなツイートと区別されます。
Instagram vs. X:どちらを選ぶべきか?二大プラットフォームの戦略的使い分け
第三者投稿広告を実施する上で、どちらのプラットフォームが自社の目的に適しているかを理解することは極めて重要です。それぞれに異なる特性とユーザー層、そして文化が存在します。
Instagram:ビジュアルと世界観でブランド価値を構築する
Instagramは、写真や動画といったビジュアルコンテンツが主役のプラットフォームです。そのため、ブランドの世界観や商品の持つライフスタイルイメージを、視覚的に、そして情緒的に伝えることに長けています。アパレル、コスメ、食品、旅行といった、ビジュアルが購買意欲に直結する商材との相性は抜群です。クリエイターの洗練されたクリエイティブを通じて、ブランドへの憧れや共感を醸成し、長期的なファンを育成するブランディング活動に最適です。
X:リアルタイム性と拡散力で「話題化」を狙う
Xの強みは、なんといってもそのリアルタイム性と圧倒的な情報拡散力にあります。新商品の発表、キャンペーンの告知、イベントの実況など、瞬間的な話題性を最大化したい場合に絶大な効果を発揮します。また、匿名性の高さから生まれるオープンな議論や情報交換の文化は、IT、金融、ガジェットといった情報感度の高い層や、特定の趣味を持つコミュニティへのアプローチに適しています。専門家によるレビューや、インフルエンサーを起点とした議論の喚起など、情報の信頼性と拡散性を両立させた戦略が可能です。
Instagramパートナーシップ広告:詳細ガイド
Instagramのパートナーシップ広告は、Meta社の提供するツール内でクリエイターと広告主がスムーズに連携できる、洗練された仕組みが特徴です。
仕組みと設定フロー
配信までのプロセスは、クリエイター側と広告主側の双方での操作が必要です。
クリエイター側の手順
1. ブランドパートナーの承認:まず、設定から「ブランドコンテンツ」ツールを有効化します。その後、広告主となる企業アカウントからの提携リクエストを承認するか、自ら企業を検索してリクエストを送信します。
2. パートナーシップ広告コードの発行:広告として使用を許可する投稿を作成する際、詳細設定画面で「パートナーシップ広告としてシェア」をオンにします。これにより、その投稿専用の広告コードが生成され、広告主に共有することが可能になります。
広告主側の手順
1. クリエイターの承認:クリエイターからのブランドパートナー申請を、自社の設定画面で承認します。
2. Meta広告マネージャでの設定:キャンペーン作成後、広告セットの階層で「パートナーシップ広告」のチェックボックスをオンにします。クリエイティブ設定画面で「パートナーシップ広告コードを使用」を選択し、クリエイターから共有されたコードを入力します。これにより、該当の投稿が広告クリエイティブとして読み込まれ、ターゲティング設定などを行なった上で配信を開始できます。
成功のポイント
ビジュアルが命のInstagramでは、商品の世界観やブランドイメージを自身のスタイルで魅力的に表現してくれるクリエイターとの連携が成功の鍵を握ります。例えば、パナソニックが高級オーブントースター「ビストロ」のプロモーションで、人気料理家と提携。調理のシズル感や、商品があることで豊かになるライフスタイルを想起させる質の高い動画広告を配信し、ブランドリフトの大幅な向上と旧モデル比で売上2倍という驚異的な成果を達成した事例は、その好例と言えるでしょう。
Xの第三者ポストプロモーション:詳細ガイド
リアルタイム性と拡散力に優れるXのプロセスは、Instagramとは対照的に、当事者間の合意とX社への手動申請が基本となります。
仕組みと設定フロー
1. インフルエンサーからの許諾取得:最も重要な最初のステップです。広告として利用したいツイートの投稿主に対し、広告利用の目的、利用期間、二次利用の有無などを明記した上で、メールなどの書面で正式な許諾を得ます。この許諾の証拠が後の申請で必須となります。
2. X社への申請:Xの広告サポートの問い合わせフォームなどを通じて、第三者ツイートのプロモーション利用を申請します。申請時には、広告主の広告アカウントID、プロモーション対象のツイートURL、インフルエンサーのアカウント名、そして許諾を証明する書面(メールのスクリーンショットなど)の提出が求められます。
3. 承認と配信設定:X社による審査・承認が完了すると、広告管理画面のクリエイティブ選択画面で、当該インフルエンサーのアカウントとツイートが選択できるようになります。その後は通常の広告と同様に、ターゲティングや予算を設定して配信を開始します。
【重要要件】認証アカウントの必須化
現在のXでは、広告主とインフルエンサー、双方のアカウントが認証済み(青いチェックマークまたは金色のチェックマークが付与されている状態)であることが、第三者投稿広告を利用するための必須条件となっています。この点は事前に必ず確認が必要です。
【緊急解説】2025年ハッシュタグ広告停止の衝撃と新戦略
2025年6月、Xは広告においてハッシュタグを含む投稿の配信を停止するという、重大なポリシー変更を実施しました。これは、従来のXにおけるキャンペーン戦略を根底から覆すものであり、マーケターは迅速な対応を迫られています。
何が起きたのか?
「#(商品名)をつけて投稿しよう」といった、ハッシュタグを軸としたUGC(ユーザー生成コンテンツ)キャンペーンの広告配信が全面的に不可能になりました。これは、プラットフォームの見た目をシンプルにし、独自のレコメンデーションシステムの精度を向上させたいというX社の意向が背景にあるとされています。
キャンペーン設計への影響と代替戦略
1. UGCキャンペーンの変化と代替案:ハッシュタグによる参加の容易さや、関連投稿の一覧性が失われ、ユーザーの参加ハードルは確実に上昇しました。代替案として、キーワード指定キャンペーンへの移行が必須となります。「#(キーワード)」の代わりに「『(キーワード)』という言葉を入れて投稿」を参加条件とするのです。ただし、この変更をユーザーに分かりやすく伝えるため、クリエイティブやインフルエンサーの投稿本文での丁寧な説明が、これまで以上に重要になります。
2. PR表記の新常識:WOMJ(クチコミマーケティング協会)ガイドラインで推奨されてきた「#PR」という表記も広告では利用できなくなりました。そのため、投稿本文の冒頭などに【PR】や「(企業名)社提供」といったテキストで広告であることを明記する必要があります。これは後述するステマ規制への対応としても、もはや新しい常識です。
3. 新広告プロダクトとの連携:この変化は、他の広告プロダクトとの連携を促す側面もあります。例えば、ユーザーがボタンをタップするだけで定型文を含んだ投稿を作成できるカンバセーショナル広告などを活用し、インフルエンサーの投稿を起点にユーザー参加を促すといった、複合的なアプローチが今後の主流となる可能性があります。
成功に導く横断的戦略:インフルエンサー選定からリスク管理まで
プラットフォームを問わず、第三者投稿広告の成否を分けるのは、戦術レベルの横断的な戦略です。
インフルエンサー選定術:フォロワー数という幻想
インフルエンサー選定は、単にフォロワー数が多い人物を選ぶ作業ではありません。ブランドとの親和性を見極める、より多角的な視点が求められます。
定量評価:フォロワー数に加え、エンゲージメント率(いいね、コメント、保存数 ÷ フォロワー数)や、過去のPR投稿の実績を必ず確認します。
定性評価:最も重要なのが定性評価です。「フォロワーの属性(年齢、性別、興味関心)は自社のターゲット層と合致しているか」「コンテンツのトーン&マナーはブランドの世界観と親和性があるか」「コメント欄はポジティブで、フォロワーとの信頼関係が築けているか」「過去に炎上や不適切な投稿はないか」といった点を、リスト化して徹底的にチェックします。
契約と報酬のリアル:トラブルを未然に防ぐ
口約束は絶対に避け、必ず書面で契約を締結します。契約書には、投稿回数、公開期間、広告利用期間、報酬(「フォロワー単価×2円~5円」が相場)、コンテンツの著作権の帰属、企業のウェブサイトなどでの二次利用の条件、競業避止義務、秘密保持義務などを明確に記載します。
リスクマネジメント:ステマ規制と炎上対策
ステルスマーケティング(ステマ)規制の遵守:2023年10月から景品表示法で規制が開始されました。企業からの依頼であることを隠して宣伝を行うと違法となります。重要なのは、規制の対象は広告主であり、インフルエンサーではないという点です。広告主は、インフルエンサーに対し、広告であることを明瞭に表示するよう指示する義務を負います。【PR】、「広告」、「プロモーション」といった文言を、ユーザーが一目で認識できる投稿の冒頭などに分かりやすく表示するよう、徹底させなければなりません。
炎上対策:インフルエンサーの起用前調査はもちろん、薬機法や景品表示法に関するレギュレーションを共有し、投稿内容を事前確認する体制を構築します。万が一炎上が発生した場合の対応フロー(事実確認、謝罪の要否、投稿削除の判断基準)を事前に定めておくことも、企業のレピュテーションを守る上で不可欠です。
応用編:BtoBマーケティングでの活用戦略
第三者投稿広告はBtoC領域だけの専売特許ではありません。専門性と信頼性が購買決定の鍵を握るBtoB領域においてこそ、その真価を発揮します。
ビジネスインフルエンサーの活用
BtoBで鍵となるのは、業界の専門家、アナリスト、著名な経営者、特定分野に精通した技術者といった「ビジネスインフルエンサー」です。彼らの発信は、単なる知名度ではなく、その分野における深い知見と信頼性に裏打ちされています。
プラットフォーム別のBtoB戦略
X:専門性と速報性で業界のオピニオンリーダーを狙う
業界の最新ニュースへのコメント、新技術の解説、イベントでの実況など、専門性の高いコンテンツとの相性が抜群です。インフルエンサーである専門家の信頼性を借りて、自社製品の技術的な優位性や、業界の未来に対するビジョンを語ることが有効です。
Instagram:ビジュアルで複雑な価値を直感的に伝える
SaaSの洗練されたUI/UXのデモ動画(リール)や、製造業の高度な加工技術の紹介、導入企業の先進的なオフィスツアー(ストーリーズ)など、文章だけでは伝わりにくい価値をビジュアルで直感的に訴求するのに適しています。
BtoBにおけるROIの考え方
BtoBは検討期間が長いため、直接的なコンバージョンだけでなく、リード獲得単価(CPL)、商談化率、ホワイトペーパーのダウンロード数、そして何よりも「ブランドの第一想起」や「専門分野における信頼性向上」といった中長期的な指標をKPIとして設定し、計測することが成功の鍵となります。
未来の広告:アンバサダーマーケティングへの展開
ステマ規制の遵守は、もはやスタートラインに過ぎません。ユーザーからの真の信頼を勝ち取り、持続的な関係を築くためには、より高い透明性が求められます。その答えの一つが、単発のPR依頼に留まらない、アンバサダーマーケティングです。
これは、ブランドへの深い共感と熱量を持つインフルエンサーや顧客と、アンバサダーとして長期的なパートナーシップを築く取り組みです。作業服から一般向けアパレルへと進出し大成功を収めたワークマンが、製品のコアなファンであるインフルエンサーを公式アンバサダーとして認定し、製品開発にまで巻き込むことで、熱狂的なコミュニティを形成した事例は象徴的です。アンバサダーは、企業の代弁者ではなく、企業とユーザーをつなぐ「共創パートナー」となります。このような関係性は、顧客ロイヤリティの劇的な向上と、質の高いUGCの持続的な創出に繋がり、企業の最も価値ある資産となるでしょう。
まとめ:今すぐ始めるべきアクションプラン
第三者投稿広告は、複雑化するメディア環境の中で、生活者の信頼を獲得するための極めて有効なソリューションです。しかし、その成功は、プラットフォームの特性理解、最新の規制への対応、そして何よりも誠実なコミュニケーションに懸かっています。
本記事で解説した内容を元に、まずは自社の目的とターゲットを再確認し、InstagramとX、どちらのプラットフォームが最適かを見極めてください。そして、インフルエンサーを選定する際は、フォロワー数だけでなく、その人物が持つ世界観やコミュニティとの関係性を深く洞察すること。Xでキャンペーンを企画する際は、ハッシュタグに頼らない新しいアイデアを模索すること。そして、全てのコミュニケーションの根底に、法規制の遵守と、ユーザーへの透明性を確保するという強い意志を持つこと。これらが、ポストハッシュタグ時代の新しい広告戦略を成功に導くための、確かな第一歩となるはずです。
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