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宣伝失礼しました。本編に移ります。
現在、多くの広告媒体では「機械学習」を使用したターゲティングの拡大をサポートしています。
Yahoo!広告も例外ではなく、ディスプレイ広告において「コンバージョンする可能性の高い」ユーザーに向けて広告を自動で配信するシステムがあり、多くの企業が利用して成果を上げている状態です。
Yahoo!広告では「スマートターゲティング」という機能があり、2023年8月からβ版として提供されています。
現在、β版としての提供のため、これから2024年夏頃の正式リリースに向けた大幅な仕様変更などがあるかもしれませんが、本記事では2023年11月の時点で明らかにされている「Yahoo!ディスプレイ広告 スマートターゲティング」の詳細について解説していくので参考にしてください。
またYahoo! 広告の基礎知識を得たい方は、以下の記事「【入門】Yahoo!広告とは?始め方や出稿種類、費用や特徴など全て解説」にて詳しく解説しています。
スマートターゲティングとは何か?
スマートターゲティングとは、設定した「興味関心」に対する配信対象(ユーザーや顧客)を拡大して、コンバージョン獲得を促す機能です。
広告運用者が手動でやらなくても、あらかじめ設定された内容で自動的にターゲットの範囲が拡張されるので、コンバージョン獲得に至りそうなユーザーのリーチを増やせます。
機械学習によって自動でおこなわれるため、広告運用オペレーターの省力化にも繋がるのは大きなメリットです。
従来からある「オーディエンスリストターゲティング」や「サーチキーワードターゲティング」では、ユーザーの興味関心からターゲティングできる反面、設定範囲外のユーザーには広告が配信されていません。
そのため、広告配信が限定的になり「新規ユーザーの獲得や顧客の新規開拓が進まない」「広告効果が最大限活かされていない」という問題がありました。
それを解決するために提供されたのが、今回の「スマートターゲティング」です。
今回のスマートターゲティングについて語る前に、以下でディスプレイ広告の「オーディエンスリストターゲティング」と、「サーチキーワードターゲティング」について軽くおさらいしておきましょう。
オーディエンスリストターゲティング
オーディエンスリストターゲティングとは、いろいろな種類のデータソース(オーディエンスソース)を基本にしたオーディエンスリスト・共通オーディエンスリストを広告グループに関連づけ、リストにあるユーザーに広告を配信できる機能になります。
ちなみに、「オーディエンス」とは、広告メッセージの受け手という意味です。
オーディエンスリストで可能なターティングは以下になります。
- webサイトを訪問したユーザーに広告を配信する「サイトリターゲティング」
- 独自に作成したリストを利用して広告を配信する
- アプリの情報を利用してユーザーに広告を配信する
- 類似の行動履歴を持つユーザーに向けて広告を配信する
- 複数のオーディエンスリストを組み合わせて、より多くのユーザーに広告を配信する
共通オーディエンスリストでは、以下のターゲティングが可能になります。
- 特定のユーザー層に広告を配信する
- ディスプレイ広告(予約型)におけるターゲティング
従来あった「オーディエンスカテゴリターゲティング」は、2023年10月にこちらのオーディエンスリストターゲティングに統合されています。
オーディエンスカテゴリターゲティングとは
オーディエンスカテゴリターゲティングとは、特定のカテゴリに興味関心を持つネットユーザー・特定の属性を持つユーザー・ライフイベントを迎えるユーザー層に対して広告配信をおこなうターゲティング機能です。
カテゴリタイプは以下の3つになります。
- 興味関心カテゴリ
- 購買意向カテゴリ
- 属性・ライフイベントカテゴリ
オーディエンスカテゴリターゲティングを使えば、ターゲットを限定してアプローチできるので、ユーザーと接点を持ちやすいです。
また、興味関心を持っている潜在層にもアプローチできるため、新規ユーザーの獲得や新規市場開拓の可能性も高くなります。
クリック率やコンバージョン獲得数を参考に「クリエイティブテスト」がしやすくなるので、広告運用のPDCAも回しやすくなるでしょう。
こちらのオーディエンスカテゴリターゲティングですが、前述の通り2023年10月に上記の「オーディエンスリストターゲティング」に機能統合されているので、そちらを参考にしてください。
サーチキーワードターゲティング
サーチキーワードターゲティングとは、ユーザーが過去に検索したキーワードの情報から、「指定のキーワード」を検索したユーザーに限定して広告を配信できるターゲティング機能です。
サーチキーワードターゲティングでは、キーワード単位で詳細なターゲティングが可能なので、リスティング広告では獲得できなかったユーザー層を集める補助的な役割を担っています。
それに加えて、CPCを抑える効果もあるため、以下の問題を解決できるかもしれません。
- 業界BIGワードのリスティングで競争が激しいため、検索上位に広告表示できない
- リスティング以外のコンバージョン数を増やしたい
- 潜在層のユーザーにもアプローチしたい
- 指名検索ユーザーからのコンバージョン数アップを目指したい
検索キーワードに対してディスプレイ広告を配信できる点はメリットですが、注意点として以下の2点があります。
- 登録しているキーワードと必ずしも「完全一致」で配信されるとは限らない
- 過去にキーワード検索したユーザーが対象のため、現在検索しているユーザーに対して「すぐ広告配信される」という保証はない
利用を推奨できるケースは?
機械学習を利用して、自動的にターゲティングをおこなってくれる「スマートターゲティング」ですが、どんな条件でも利用できるわけではありません。
以下の表にて、推奨・非推奨のケースをまとめてみたので、参考にしてください。
スマートターゲティングのメリット・デメリット
スマートターゲティングは、機械学習に基づき「コンバージョン」に至る可能性が高いユーザーを対象にターゲティングをおこないます。
簡単な設定で効率のよい運用ができるようになるため、人的リソースの削減や省力化の面でも高い効果が期待できるのが大きなメリットです。
人力では難しい24時間365日の運用管理も自動化できるので、少数経営の会社や個人事業での広告配信に向いています。
デメリットとしては、「現在提供されているのがβ版」だということです。
正式なリリースは2024年夏頃で、現在はデータ収集しながら機能改善中…という状態のため「将来に向けて大きな仕様変更が発生する」可能性があり、挙動としては不安定だと言えるでしょう。
また、すぐに自動化できるわけではなく、効果があらわれるまでに一定の時間が必要なのも現時点でのデメリットです。
スマートターゲティングの設定方法
設定方法はとてもシンプルです。
メニューの「広告グループ設定」を選択して編集ボタンをクリック、ターゲティングの項目で「利用する」のラジオボタンを選択するだけで設定は完了します。
画像引用:Yahoo!広告 スマートターゲティングβ版のリリースについて
一定のターゲティング精度を維持するために「一定数の学習データ」が必要なため、コンバージョン数はキャンペーン単位で「過去7日間20件以上」が推奨される条件です。
必ずこの条件をクリアしている必要はありませんが、機能を最大限活用するなら把握しておきたい情報になります。
スマートターゲティングの注意点
スマートターゲティングを利用するには、いくつか注意点があります。
簡単な設定で大きな成果を期待できる機能ですが、自動で実行されるぶん「想定外」のことが起こらないとも限りません。
前述の通り、2023年夏頃の正式リリースまでは現在β版として提供されているため、正式リリース時には大きな仕様変更があるかもしれないということも注意点です。
現時点での「そのほかの注意点」について解説していきます。
一定の学習期間が必要である
スマートターゲティングは、広告グループに設定した情報から「一定期間の学習」をおこない、データがある程度蓄積されてからターゲティング最適化を開始します。
なお、学習中でも「設定したターゲット」への配信は可能です。
数日から2週間程度の時間が必要で、β版では学習の進捗状況が確認できません。ある程度の期間をあけてから、コンバージョンの増加・顧客獲得単価の確認をしてください。
学習中にターゲティングを変更した場合は、再度学習し直しとなるため注意が必要です。
設定により、配信対象が変わってくる
機械学習によってターゲティングを自動で最適化してくれる機能ですが、設定内容によっては「配信される範囲」が想定よりも拡大されてしまう可能性があります。
学習期間中は「運用者が設定したターゲティング(配信or除外)が全て適用されます。
学習期間中は、パフォーマンス安定のために「必要なターゲティング」を全て設定してからスマートターゲティングを利用してください。
除外対象へも広告配信される可能性がある
オーディエンスリストターゲティングで除外設定していても、スマートターゲティングを利用した場合は「配信対象」になることがあります。
以下のターゲティング設定の場合は、指定した範囲だけが配信の対象です。
- デバイス
- 性別
- 年齢
- 曜日・時間帯
- 地域
- プレイスメント
- コンテンツキーワード
- サイトカテゴリ
例として、「デバイス」をモデルに限定している場合は、PCは配信対象外になり、いくらコンバージョン率が高くとも広告は配信されません。
- オーディエンスリスト
- オーディエンスカテゴリ
- サーチキーワード
これらのターゲティング設定の場合は、指定している範囲を超えたターゲットにも広告が配信される可能性があります。
ターゲティング単位のレポートへの数値が反映されない
仕様として、スマートターゲティングを利用している時は「オーディエンスカテゴリ」「オーディエンスリスト」「サーチキーワード」単位のレポートには、実績が反映しません。
最適化によって増加した広告配信の数値を正確に知りたい場合は、最適化が始まったおよその期間を考慮した導入前後の数値を手動で確認してください。
オーディエンスリスト(類似ユーザー)との違いは何か?
スマートターゲティングと同様の機能で「オーディエンスリスト(類似ユーザー)」という機能もあります。
ターゲットになりそうなユーザーを自動抽出してくれる…という点ではよく似ているものですが、細かい点では違いがあるため「同じもの」として利用するには注意が必要です。
以下でオーディエンスリスト(類似ユーザー)との相違点を詳しく解説していきます。
設定の柔軟性はオーディエンスリストのほうが高い
類似ユーザーは、元になるオーディエンスリスト内のユーザーによく似た行動履歴を持つユーザーをリスト化しています。
そのため、「特定のサイトページに訪問したユーザー」といった具合に、対象となるユーザーを柔軟にターゲティングすることが可能です。
また、拡張範囲を10段階で選択可能なので、範囲を広めたり縮小したりすることも簡単に設定できます。
逆にスマートターゲティングでは「コンバージョンに至る可能性の高いユーザーを対象にした拡大」のみなので、設定の柔軟性では類似ユーザーのほうが高いです。
ユーザー抽出に必要な情報量が違う
機械学習の後に配信が開始されるスマートターゲティングは、配信対象になるユーザーの抽出に必要な情報量にも違いがあります。
類似ユーザーの場合は、オーディエンスリストにあるユーザーの行動履歴が「主な情報源」です。
スマートターゲティングは、詳細が非開示のため憶測でしかありませんが、コンバージョンのデータのほか広告の設定情報も参照されていると明示されています。
利用時の推奨条件が違う
類似ユーザーの場合は、元になるオーディエンスリストの「過去28日間のユーザーサイズ」が100以上あれば利用できることになっています。
スマートターゲティングの場合は、対象になるキャンペーンで過去7日間に20件以上のコンバージョン数が推奨条件です。
気軽に活用できるという点では類似ユーザーのほうに分がありますが、スマートターゲティングはコンバージョンに特化している機能なので、キャンペーンの目的やデータの蓄積状況によって使い分けるのがベストと言えるでしょう。
まとめ
機械学習を利用したスマートターゲティングは、上手く活用すれば効率よく広告配信の範囲を拡大できる機能です。
2023年11月の現時点ではβ版のみのリリースで、除外しているオーディエンスまで配信対象になることや学習中のステータスが確認できないなどの問題点がありますが、正式リリース前のお試しとしては十分な機能があります。
正式リリースされれば、少数経営の会社や個人事業での広告運営の手助けとなる可能性があるので、こちらの問題点が改善されることに期待したいですね。
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